和洋折中

ある日、君が食パンを箸で持って食べていたから

何故か、と聞いてみた

君は、「和洋折衷だよ」と子どものように笑いながら言葉を返した

そこは食材同士じゃないんだ、と思ったが君が自由なことを僕は止めたくない

次の日、君がカレーを箸で食べていたから

何故か、と聞いてみた

君は、「和洋折衷だよ」と変わらず微笑んだ

インドはどこだよ、と聞いてみたら

「インド洋の洋だよ」だってさ、変な発想だ

だけど、君らしいとも思った

また次の日、君がチャーハンをスプーンで食べていたから

普通だね、と言ってみた

君はムッとして、「和洋折中だよ」と言ってきた

なるほど、中華だから中ねと思った

字が違うけどいいんじゃない?と言おうとしたら

目の前にチャーハンが乗ったスプーンを差し出してきた

「折半の折だよ」と言いながら

まいった、僕はやはり君を止められない

金色にかがやく君の髪の毛は、風にそよがれて僕の心を揺り動かす

君が日本に来てくれてよかった、と思った

和洋折中

和洋折中

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-09-27

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