Once in a blue moon

Once in a blue moon

"once in a blue moon" 直訳すれば"青い月に一度だけ"となるが、実際の意味は"めったに起こらない"という意味になる・・・・

三島啓五は学校の英語の授業で習ったフレーズを読み直していた。日ごろから宿題やテストを完璧にこなし、彼は学校の教師からも信頼されている生徒の一人だった。しかし、今日の彼は机に向かい合ったまま不敵な笑みを浮かべなにやら興奮したかのような表情をしていた。
-10:40-
彼は学校の屋上にいた。日ごろから生徒会の仕事で学校の鍵を預けられることも多く彼はたびたび教師の目を盗んでは屋上に来ていた。そして、今日も彼は屋上に侵入していたのだ。しかし、今日の啓五には目的があった。彼は今日同じクラスの黒澤順子とこの場所で会う約束をしていた。啓五は前々から順子が啓五に気がある事は知っていた。そこで、今日この場所に呼び出したのだ。
「約束の時間まで20分・・・早く準備しないと」啓五は持ってきたカバンからカメラを取り出し、屋上の隅に隠しておいた。
-11:00-
階段から足音がした、その音は次第に近づき、屋上の扉の前で止まった。窓越しに見える頭は紛れもなく順子のものだった。「出てきてよ」啓五は順子を怖がらせないために、優しい声で呼んだ。すると、扉から順子がもぞもぞと出てきた。「わざわざこんな時間に呼んでごめん、今日は黒澤さんに話しがあったんだ」と啓五はとりあえず謝罪をする。「いいんです。でもなんでこんな時間に?」順子の声は震えていた。当然だろう。自分の好きな人とはいえこんな時間にわざわざ呼び出されたとはいえこういったシチュエーションでは誰しも、告白されるかいかがわしいことをされるかのどちらかだと思うだろう。まぁ、むこうからのこのこやってくるところからして満更でもないみたいだが・・・「実は、前から黒澤さんのことが好きでした」「え?!」順子は赤面しうつむいた。
あれから5分はたっただろうか・・・順子は一向に顔を上げようとしない。すると何の前触れもなく順子が飛びついてきた。「私も前から好きでした」といいながら順子は啓五に抱きついた。啓五も順子顔に手をやり順子の唇にキスをした。順子は突然のキスに困惑したが次第に、啓五に身を任せされるがままの状態になっていた。啓五は服の中に手をっ込み胸を触ろうとした。しかし、順子はそれを拒絶し啓五を押し戻した。「ごめんなさい。好きって言ってもらえたもはうれしいんですけど、このままじゃ人が来ちゃいますし・・ごめんなさい!」そういって順子は屋上から駆け出して行った。
「・・・まぁ、いいか」啓五はぽつりと独り言を漏らした。
そして彼は次のプランを練り始めた・・・・・

次の日、啓吾は学校に順子が来ていないことに気付く。ーやはりあそこまでやるのはやり過ぎだったー と彼は自分の過ちを反省する。今日、彼は全ての授業に出席していた。彼の本来の学力ならこの学校の授業など受けなくてもいいだろう。しかし、彼は一般の生徒と同じく授業に出席することに意味があると考えていた。それは、人間という生物の行動を観察するという点にある。啓吾はまるで自分が羊の群れの中に迷い込んだ狼であるかの如く生徒一人一人に目を光らせ、自分は捕食者でありながら餌であるものに気づかれていないことに喜びを感じていた。彼は日々その様なことを考え、学校生活という物を満喫していた。昨日の出来事もその一つた。彼の中では一種のゲームでしかなく、これから彼の起こそうとしている事件に比べれば些細なことである。しかし、彼は始めたゲームを途中で投げ出したりしない。やはり、順子の事はどうにかすべきだろう。彼は、この状況を打破すべく次の手を考えた。

Once in a blue moon

Once in a blue moon

  • 小説
  • 掌編
  • アクション
  • サスペンス
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-10

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