夢の詩の夢、亦夢
青津亮
わたしの淋しさにはりつめている睡る水晶は、
はや 真暗に清んでいると歌うことができない、
飛沫のような銀の音楽がそれを瑕つけてきたけれど、
暗みに曳かれ奥へ往く一条の光は、裾をひるがえした。
わたしの淋しさをいきれする睡る水晶は、
はや まっさらな暗闇に磨れてめざめはしない、
真夜中こそわたしの冷然硬質な水晶が眸へ剥かれる時、
されど暗みから昇り沈むような無辜は、嗚何処に奔った?
むせかえるような完全な憧れは 青薔薇の吐くいきれ
むっと充ちみちる豪奢なる一条への放擲、全的なそれ
滅亡へ投げこまれた槍としての希望ははや見失い、茫然。
歌こそ 嗚、歌こそがわたしの夢であり 単調であった、
如何なる計算された宗教画のタイルよりもわが身惹く、
単調な線 無個性な光 匿名の音楽──わたしには詩が夢だった。
*
わたしは夢の裡で詩をみいだし 詩で夢を曳のばし、
おそらくやその真暗な國から失墜するだろう それがわたしの夢。
夢の詩の夢、亦夢