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白月 浩二 編(1)
青い空の下
紅い空の下
暗い空の下
僕はキャンパスに筆を進めてきた。
筆を動かすたびに、明日が開けてきた。
そんな時はすでに過ぎ、、
好きだったもの
嫌いだったもの
目指してきたもの
超えてきたもの
何もかもすぎていった。
そして僕は、夢を捨てて街に出た
見慣れた町、雪が降っていた。
雪は空の果てから降りてきて、
そして、濡れた地面に溶けていく。
とても寒い。
そして、儚い。
儚い時間は
ゆっくり過ぎる
こんなに長い時間、
僕は、、
必死に生きたんだろうか
そして
これから僕は
頭の中に、一枚の風景が浮かんだ。
そういえば、
あれはどこなんだろう。
昔、秋風さんが僕にくれた写真の中に
この町でとったという花畑の写真があった。
行く手を阻むようにビルの立ち並ぶこの町に
あんなにきれいな場所があるのだろうか・・
疲れた目で見回してみる。
正面から歩いてくる女の子。
なぜか、見覚えがある・・
誰だろう・・
うわっ
僕は、突然訳もなく転んでしまった。
痛む体、砂のついた手。カバンから散らばる絵。
「あっ、大丈夫ですか。」
「大丈夫です、」
起き上がり始めた僕を確認した彼女は
散らばった絵を集め始めた。
「上手ですねー」
にやにや笑いながら彼女は僕の絵を一枚一枚眺め始めた・。
「あ。これは」
その中の一枚に彼女は興味を持ったようだった。
秋風 凛 編
私が子供のころ
父は死んだ。
そして、私が中学生になったころ母は再婚をした。
そして、あの日。
よそものの父は私を厳しくしかりだした。
突然、父は叱るのをやめ黙り込んだ。
そして投げやりに私を置いてどこかに行ってしまった。
そして私は
部屋に引きこもった。
そして2年が過ぎ、同級生は卒業する日となった。
もう出なきゃと思った。ぜったいに
ドアの前に立っていた。
そろそろ、母が昼ご飯を持ってきてくれる時間帯。
母はよく言っていたセリフを言った。
「ねえ・・。もう出てきなさい。」
「うん」
私は部屋を出た。
それからはあまり覚えていない
二人でご飯を食べた。
そして何回かしゃべった。
もう父はいないとも聞かされた。
母も泣いていたかもしれない。
父の部屋は空で
ただ、薄汚れた鳥小屋がかかっていた。
私は落ち込んだ。
それから、なにも考えなくなった。
忘れかけた記憶を時に思い返す。
今日も意味もなく歩いていた。
前を絵筆を持った男が歩いている。
子供のころ、私は画家を目指していた。
あのまま勉強を続けていれば彼のように画家になったかもしれない。
どこに行くんだろう。すごく興味があった。
駅から離れたこんな場所に
何かがあるのだろうか。
親しみを感じてしまう。
突然、彼は転んだ。
「あっ」
ふと弾んだ声が出てしまった。
「大丈夫ですか」
彼の手にあった大きなバックから絵が散らばった。
「大丈夫です。」
彼ははずかしそうに立ち上がり、手についた砂を見て苦笑いをした。
転がった絵を拾い集めながら一枚一枚絵を見る。
知らないものがたくさん書かれていた。
一枚一枚。
その中に、
父の絵があった。
「この人知ってるんですか?」
「知っているよ。とてもいい人だった。いい人なんだ」
「お願いします。・・会わせてください!」
「知り合いなのかい?」
「彼は、秋風 陽一。私のお父さんです」
「君が・・。本当にお父さんに会いたいの?」
「どうしても会いたいんです。お願いします。」
「わかった、行こうか」
私から絵を受け取ると彼はタクシーを呼んだ。
「お父さん。元気そうでしたか?」
「うん。最初のころは元気にやっていたんだ。
自分にはまだ仕事があるといって」
「お父さんの仕事って」
「写真家だったんだ。僕の絵の題材にしてもらったこともある。
あの絵は彼にプレゼントしたもののコピーなんだ。
いつも秋風さんにはお世話になってたんだ」
「最近はあってないの?
会っているよ。すごく沈み込んでいた。」
「どうして・・」
「秋風さんは君のことを気にしているんだ。忘れられないといっていた。可哀そうだと。人生を無駄にして」
「私はもう大丈夫なんです」
「彼はそれも知ってる。それを聞いて元気になったんだ。昔みたいに。しかし」
「私。会いに行ってもいいのかな」
「それは、わからない・・」
「用事は大丈夫?」
「大丈夫」
沈黙。
気まずそうに彼は言った
「大丈夫。この写真の場所を探していただけなんだ
タクシーが止まった。いつの間にか雨にかわっていた。
白月 浩二 編(2)
僕は彼女を連れて、秋風さんの住む一室に向かった。
秋風さんの部屋は僕の部屋のひとつ奥。
「ここだよ」
「・・・」
「私、本当は、父にはひどいことをしてしまったの。
もう。取り返しがつかない」
あれは、みんなどんどん成績を上げ私を追い抜いて行った。高校時代。
ストレスのはけ口を求めた私は、父を憎んだ。
父の大事にしていた鳥のえさを
私になついていた野良猫に挙げてしまった。
そんな日々が続き、
ある日、帰ってきたら
鳥が死んでいた。
お母さんが、「お父さんには逃げたっていいましょう」
といった。
しかし、ある日、叱られた私は言ってしまった。
父は叱るのをやめ黙り込んだ。
そして投げやりに私を置いてどこかに行ってしまった。
それから私は引きこもったのだった。
「いこうか」
僕はチャイムを鳴らした。
返事はない。
「最近あまりあわないんだ。ちょっと心配しているから、入ってしまおうか」
「いいんですか。」
僕達は扉を開けて中に入った。
締め切られた部屋のにおいがしていた。
ドアが一つこの向こうにいるだろう。
彼女は一枚の写真を見た。
「この写真・・・
私が父のところを破ってしまったんです。
なんてことをしてしまったんだろう。
やっぱり、もう父には会えません」
「さあ、はいって」
「・・・。はい」
「秋風さん」
「おお。白月ひさしぶりだね。君は・・!」
「ごめんなさい。」
「ずっと。お前のことを考えていたよ」
「たくさん、ひどいことをしてしまって」
「いいんだよ。来てくれただけで。ここに座って」
「でも、・・」
「急にお父さんが変わってつらかったんだろう。お父さんの部屋。鳥の羽で汚してしまってごめんな」
「そんなこと、気にしてないの。ただ・・」
僕は二人を残して家に帰った。
そして、ご飯を食べ、一人つぶやいた。
「すべてうまくいくだろう」
ピンポーン。
だれだろう。
きょうはもうつかれた
だれだ。だれだ。
「こんにちは」
「ああ。秋風さん。」
「さっきはありがとうございます。」
「君はさっきの」
「白月さん、いっしょにいきましょう。
あの写真の場所へ」
僕たちはそこで写真を撮った。
新しい写真はみんな笑顔だ
そして、そこは
僕と彼女の待ち合わせの場所となった
おわり
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初めて書いた話です。
ここまで読んでもらって、つまらなかったらごめんなさい。