誰か俺の射精を止めてくれ。第二話~1月9日の家族会議~
1月8日
・・・・~僕らの願いを届けて~♪
隣の部屋から今流行のアイドルの曲が聞こえてくる。弟の目覚ましのアラームだ。
毎朝大音量で聞こえてきて、まだ寝ていたい私を、眠気と怒りの朝へといざなう。
私は布団の毛布を体に巻きつけると、弟の部屋へと向かった。
トントントン・・・
本当は粉砕したいこのドアを、私は軽く叩く。
そして弟には聞こえなそうな小さな声で言った。
「あけるよ~。」
そしてドアを開いた瞬間、私の視界が白く染まり、意識を失った。
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1月9日
家族4人。リビングの小さなコタツに、それを取り囲むように入っている。
俺にはもう、恥じらいなんて無かった。襲い来る、己の射精への恐怖が、恥じらいを凌駕していた。
性のことを家族にすべて打ち明ける。だんだんと増える精液の量。毎日夢に現れ、俺のアレをしごくマリリン。夢精。
そして、昨日の朝、エリリをおかずにオナニーをしていたら、消防車の放水のように精液が噴射したこと。
父、母、そして叔父は、話を真剣に聞いてくれた。
俺には姉もいるが、昨日の俺の強烈な射精に巻き込まれてしまっていたらしい。病院で手当てを受け、今は部屋で眠っている・・・。
「健次郎・・・」
父が口を開いた。
母はうつむく。
「それは矢場荒(やばあれ)家の男が、100年に一回掛かる、呪いなんだ。」
真剣な表情で話す父。しかし俺は話の内容が理解できない。
唐突に悔しそうな表情を浮かべて泣き出す母。
「ごめんね健次郎!わたしがこんな男と結婚したから!!」
こちらを向き、大きな声で謝ってくる。
まて。結婚してなきゃ俺が産まれてないだろ。
「しょうがないだろ!これが矢場荒家の運命なんだ!理解してくれよ!」
怒鳴る父。
父は俺に話を続ける。
「その呪いはな、毎日夢に出てくる女の人と、夢じゃなく、現実で性交をすると取れるんだ。」
「え?」
・・・それを聞いて、ちょっと喜んでいる自分がいる。しかし顔は少し歪ませる。
「そんな変な呪いあるわけ無いでしょ!」
母が怒鳴る。混乱しているように見える。
父はそれを無視して話を続ける。
「この呪いは解かなくてはならない。解かなかったら、精液の量が増え続け、地球を飲み込むことになる。」
誰か俺の射精を止めてくれ。第二話~1月9日の家族会議~