ペールブルー
感情の外付けは不可能だと分かったから、
増殖が止まない喜怒哀楽を廃棄する。
内外の区別は無意味だと分かっていても、
修正の利かない自己犠牲が堆積する。
花期も間近な百日紅が笑う。
夕焼けに呑まれる前のいっときを
安易にペールブルーの空と呼んだ、
うなされそうな夏の日が消えても
不用意に思い出してしまえるよう。
それからの踏み石が頼りなくとも
視界に残り続けるなら心配ないよ、
身体に詰まっている清冽も汚濁も
無作為に空へ散らせば道標になる。
曖昧な言葉は優しさだったと知って、
雄弁さを騙る喜怒哀楽は鏡像に変化した。
適度な自傷の心地よさを知ったって、
軽さを持った自己犠牲は仮定に帰結する。
道端の待宵草が光っていた。
ペールブルー