「雀の声」
外をふらふら彷徨しました
冬の真昼の日射しはぬくくって
しっとりと汗は止まらず
風はいつでも冷たいから
凍えそうになりました
のどかな日向には
懐かしの雀が三羽
ちい ちい ちい
変らぬ唄声
今まで何処に居たのだろう
「ずっと居たよ」と雀が言ふ
「聞えていなかったんだよ」と言ふ
「ずっと呼んでたよ」と言ふ…
わたくしは氷の壁を憎んだ
どうして無視など出来よう
氷の壁はわたくしの願いであった
冬の日の温かさより
とうめいな水を望んだ
静かな底での凝結を欲した…
あゝ雀が鳴いている
呼ぶのだろうか
泣くのだろうか
ちい ちい ちい
ちい ちい ちい…
「雀の声」