「冬の空」
とぼんとした顔をして
ぼうと流れる雲
灰色で
川の瀬の如く激しく流れている
とぼんとした雲が
ぼうと流れる
きょとんとした雲が
ぼうと流れる
雲
雲
地平線這う不思義なおろち
その恐ろしい灰色の鱗は噴火の名残
はらわたに宿すは濁流のとどろき
吐く舌は大地の震えで揺らめく
とぼんとして
きょとんとして
目無き灰色のおろちは肉体を果無く伸ばしたり
その雲は
雪を秘める雲である
黒はすべてを混ぜると言うが
白はすべてをくるむらしい
見よ
もう冬だ
「冬の空」