6 - 1 - 逆説。
定義を忘れた感情を仮想して、更に言葉へと分類を試みる。
それはとても不確かで信頼の出来ない行為だ。
仮定と変換を繰り返し、膨れ上がった誤差は未来の変数すらも呑み込んでいった。
形を持てない真実は、器を変える度に生じる不和に絶望し、流した涙でその質量を減らしていくのだ。
精査と追及は、嘘で壊した物々と何ら変わりない結末を見せた。
同じことを何十と繰り返した。連鎖に加担し全身で傾倒した。
言葉。時系列。真実。信頼。整合性。正当。記憶。文脈。時間。照合。基準。率直。天秤。好意。感性。感覚。表現。
離れていくそれが大切であればある程、それは逆説的に零れ落ちていく。
零れたそれは範囲を逸脱し、手を取り合うように他の真実と侵し合っていく。
繋がり、関係性、境界線を、私から忘れさせようとしている。
そして、きっといつかひとつになるのだ。
真実と呼べなくなった表裏のない何かが、定石通り逆説し、いつか私のヒーローになる。
それを待てずして、私は終えるのだ。
夢中という言葉は、 それそのものの真実ではない。
朝という言葉は、 それそのものの真実ではない。
歌うという言葉は、 それそのものの真実ではない。
ヒーローという言葉は、それそのものの真実ではない。
私の言葉には、文章には、詩には、何もない。
今日も逆説的な眠りに救われる。
からからと空に笑いかける。
形のない符号を探している。
何もかもがわからないまま。
私の世界の底にはあまのじゃくがいる。
私がそう創った。
6 - 1 - 逆説。