神椿市崩壊中。〜肆番街、伍番街〜

勇「んで、話せよ観測者。」
「あー。あんま言いにくいんだけどさ…観測者もプログラムなんだ。」
勇「はぁ?」
「上には上がいるんだよおっさん。つってもさ。わたしはもう観測者としての記憶はほんの少ししかない。」
勇「じゃあ。今のお前を話せよ。」
「それでも長くなるぜ?私の話は。小さい頃から色々失ってる。」
勇「…」
眠夢「わたしの名前は無夜眠夢(ないよねいむ)。一応肆番街だと魔女騎士を名乗ってるけど…おっさんの話聞いたらそれも怪しくなってきたな…。魔女の概念ってやつがさ…」

どうでもいい前世のお話

あー。
適当に聞き流しても構わないよー。

世界の終焉の踊り場で。
私は旅をしてきた。
始めは神が人類を呪った物語。
スマイリー症候群の発生源と戦った。
ま、パートナーはそこで呪われたまま…しばらく殺し合うことになったりすれ違ったりするんだけど…。
二番目は未来都市で起こる宇宙人との戦い。
最後まで戦って死んだ思い出がある。
三番目はクトゥルフ神話の話。
宇宙人の侵略によって文明がねじ曲がった。
ここでパートナーが完全に敵側になっちゃって、私の首をチョンパ。
四番目は魔女狩りの物語。
魔法の使えない世界で西洋の怪物達と戦った話。
最後は普通の人間の私が、最後の魔女だと嘘をついて処刑台にて首チョンパ。
奇跡的に魔女の末裔は救われて、再び魔法が使えるようになる。ここで何百年生きてたパートナーを倒して、呪いは解いた。

まあここで話すと時間がかかるから…色々あってね…15回目まで転生した。
そこで世界は一巡して平和になったと思ったら…。
2巡目が始まった。
X、Y、Zの世界線の自分がいるのは分かっていた。 
私はXらしい。
でも今回気づいてしまった。
更にa,bと分かれていることが。
てことは同じタイミングで息を吸って吐いてる自分が6人いる。
そして、今のままだと私はバッドエンド確定で死に続ける。
だから…パソコンの世界にあるパソコンの中に入ることにした。
ややこしいね、ごめん。
幸せを掴むために。
18回目の転生。
バッドエンドを断ち切ってみせる。
と思ってたらさ…
なーんで前前世の私がニコニコしながら布団に丸まって寝てんだよ。さっき焼きマシュマロなにかけてたってのに。
あの時はこんなに笑ってない。
つまり…グッドエンドの私。
てことをおっさんに話したらさ…。
勇「わけがわからん。」
まーあたりまえか。
眠夢「あー。わりぃわりぃ。この記憶も曖昧だしな。関係無かったよな。さて、無夜眠夢としての話を始めるぜ。」

幼少期

私は観測者の時、どんなに転生しても親がクソすぎてロクな愛を知らなかった。
孤児院だったり、拾われたり、兎に角同じ血のつながった家族が欲しかった。
私は願い続けた。
奇跡だ。
父はロボット、アンドロイドを作る設計士。
母は美しい吸血鬼の騎士だった。
肆番街はしばらくゾンビなるものがいたらしい。
人間にしか感染しないウイルス、父はゾンビから人々を守るためにアンドロイドを作成、母は身を削って戦った。
そして平和を勝ち取ったのだ。

5歳の頃だ。
ある日父が、姉を作った。

姉の名前はミツキだ。
何故か前世のパートナーの名前をつけてしまった。
かすかに覚えていたのかな?
姉は凄い人だった。
私よりも人間をしていたからだ。
例えば…
眠夢「えんぴちゅ!旨い!」
ミツキ「キャァ!何やってんの!たべちゃだめだって!」
とか。
眠夢「抱っこして!」
ミツキ「良いけど耳舐めたら怒るよっ!」
とか。
本当に高性能AIアンドロイドなの?人間じゃん!
と思うくらい真人間の人だった。
そんな姉が一度だけ怒ったことがある。
私が保育園で嫌がらせを受けている事を知ってしまったのだ。
私はただの人間。
吸血鬼ではない。
皆が血をすすっている間、私は普通食。
だからよく私は噛まれた。
勿論喉が渇いてどうしても…という友人には血を分け与えていたが、無理矢理噛み付いてくる奴もいた。
皆には私が食い物にしか見えないのかとも思った。

保育園の送迎の時だ。
噛み跡と顔色の悪さに姉が気付いたのだ。
私に見せたことのない怒りに塗れた顔を今でも忘れない。
ずんずんと同級生に近づく姉、そして叫んだ。
ミツキ「君達は!私の妹をなんだと思ってるの!」
同級生「えー…ごはん?」
ミツキ「私にとっては、妹も貴方も!人種が違えど同じ仲間なんだよ!」
同級生「そんなのロボットに言われてもなー」
眠夢「っ…」
そうか。
吸血鬼の皆はそういう目で私達を…。
そんな思いを姉は吹き飛ばしてくれた。
ミツキ「私のお母さんは!吸血鬼だよ!お父さんと妹は人間!私はアンドロイド!でも裏の顔無しで!いつも笑い転げて!…腹がよじれるってこんな気持ちなんだって!」
同級生「それもデータなんでしょ?」
ミツキ「そうかもね…今は…心が痛いよ!心臓が痛い…」
姉の動きがピタ、と止まる。
姉は自分の心臓の位置が分からないことに気付いたらしい。
同級生「人間じゃない癖に」
あああああ!!!
気づいたら私は同級生に手を出していた。
頬に拳が当たっていた。
同級生「うわあああん!痛いよぉ!」
そこで先生も飛んでくる。
先生「こらっ!何やってるの!」
ミツキ「先生!眠夢のこの噛み跡は何なんですか!」
先生「幼少期の吸血鬼は歯が痒くなるんです!」
ミツキ「人間だって同じだろうがっ!」
先生「そうやって!貴方達人間が!私達吸血鬼を追い込むから!居場所がなくなるんです!」
ミツキ「私は人間じゃ…!」
その一言で姉はピタ、と止まった。
そして今度は全く動かなくなってしまった。
ショートだ。
眠夢「お、おねえーちゃん…。」
その後は地獄のような時間が流れた。
先生は私の家に電話。
吸血鬼の同級生、先生、私。
私の母が来るまで一言も喋らず。
姉の様子に母がパニックになり、結局父も呼んで。
父は、大型のトラックの中にメンテナンス用のアンドロイドカプセルを積んできた。
姉を慎重にカプセルに入れる時、棺桶に見えて。
私は、オイオイと泣いてしまった。
いつも柔らかい笑顔の父が、焦り顔でPCを操作し、安堵したような溜息をついた。
父は厳しい顔をし、震える手でメガネをクイッと上にあげて、喋り始めた。

共存、共生

父「先生、共存、共生は難しいものです。妻から聞きました。貴方達は人間に酷い扱いを受けたと。だから私は、貴方達を救うために戦闘型アンドロイドを作った。先生は吸血鬼ですか?」
先生「私は…吸血鬼です。」
父「そうですか…。そこの君も吸血鬼かな?」
同級生「うん…」
父「私の仲間がある実験をしています。吸血鬼を人間に、人間を吸血鬼にする実験です。」
父はククク…と笑い始める。
そしてニコニコとした顔で口を開いた。
父「実にくだらない!完璧じゃないから美しいんですよ!」
先生「完璧じゃないから…美しい?」
父「例えば!私と眠夢は人間だ!血生臭い食べ物は食えません!だから妻がいっつも魚の生き血をすすって捌いてくれるんです!」
母「ちょっと…ヤダ…」
と、母は照れて笑った。
父「やっと笑った!妻は笑うともっと!とても可愛いくなるんですよ!自分の一番大好きな顔です!ミミ(母の名前)は?俺のどんな顔が好き?」
母「うむ。精一杯頑張ってる顔だな。その顔が見たくてコーヒーを貴様の部屋に持っていくのが一番心が踊る。」
父「ね?色んな人間、吸血鬼がいるんです!人種なんて関係ありますかね???」
先生「…ええ。そうかも知れませんね…。」
先生の顔が少し柔らかくなった。
父「でもね、この世には不幸にネジ曲がった顔が好きな奴がいるんです。大事なのはその顔が自分でないといけないんです。人間は人間。吸血鬼は吸血鬼。自分自身を好きになれってことです。ああ!なりすぎて周りが見えなくなったらだめですけどね!」
母「貴様!自分の為に笑うな!人の笑顔で笑え!」
父「昔からストイックだなぁミミちゃんは!」
ハハハ!としばらく笑い声が響く。
不抜けた空気に私は腹が立った。
眠夢「おとーさん!おねえーちゃんは!大丈夫なの!?」
父「ねっ?怒ってる顔可愛いでしょ!私の娘!そして優しい。」
父はどこからか水筒を取り出し、ゴクゴクと飲み始める。
コーヒーの良い香りが周りに広がった。
父「ミツキのデータを、いや、記憶を確認しました。貴方に人間扱いされた事が嬉しかったんでしょう。同時に自分がアンドロイドで人間で無い事を思い知った。彼女は今、自分がアンドロイドだと誇るべきか、アンドロイドなのに人間だと言われて誇るべきか。悩んでいる。」
ちょっと待って。
眠夢「わたしはおねえーちゃんにいつも真人間!って言ってるけど…」
父「それは君が大切な家族だからなのと、『性格が真人間だ』と認識しているのかもね。」
…おねえーちゃん…。
父「ああ!心配しないで!大丈夫!ミツキは少し眠ってるだけだから!」
眠夢「今日は一緒に眠れないの…?」
父「いや!そんなことないぞ!よぉし!久しぶりに皆でプラネタリウムでも見ながら寝ようか!」
母「ミツキは星が好きだからな…。」
父「では私はここで!ミミちゃん!あと頼んだよ!」
父は母と私のほっぺにキス。
カプセルを開け姉のほっぺにキスをし、トラックの運転席へと戻っていった。

戦傷

母「さて、先生、眠夢についた噛み跡はどう責任をとってくれるんだ?」
また空気がピリッとする。
眠夢「おかーさ…」
母「なぜお前は噛まれている事を隠していた?黙っていたのだ?」
眠夢「それは…皆の為になると思って…。」
母「それでお前がもし死んでたら…私は全員許さなかったぞ。今は子供がやったことで…いや…すましていいのかこれは…?おい、そこの少年」
同級生「はい…」
母「生まれは…?」
同級生「生まれは…」
生まれを聞いて目を見開く母。
母「ああ…そうか…お前…家族が…。」
先生「この子は…いや、私の担当しているクラスは眠夢ちゃん以外吸血鬼です。家族のいない…ね…。寮に住んでるんです。」
えっ…。
母は写真を手帳から取り出した。
母「皆死んでいったよ。隊長の為に、と。私は…隊長失格だ。自分だけ幸せになっていた…。」
先生は母をぶん殴った。
突然のことで私は身がビクリとした。
先生「そんなこと…言っちゃあ駄目でしょうよ。貴方がいなかったら!人間も死んでいたんです。貴方がウイルスの核を潰してくれたから、私達は、この子達は生きている。」
母「相変わらずだな副隊長。」
先生「う、うるせぇ。」
母「眠夢、少年、後は頼んだ。噛み合うな。お前らは協力して運命を噛み砕いてほしい。ここからなんだ。ここからなんだよ。肆番街は。」
先生「私からもきちんと生徒にお話します。」
母「よろしく頼む」
こうして、私が噛まれる事件は幕を閉じた。
この時の時代は貧困差が激しかったのも事実。
私が裕福な生き方をしていた事、今になって呪っている。

さて、お次は妹について話そう。
妹は…植物型のゾンビだった。
父の知り合いの実験室から逃げ出したらしい。
小学三年生の頃だ。
とてもつもなく酷い状況だった。
イタイ、イタイと呟いていた。
私は小さい身体を担いで家まで帰る。
父は研究していた会社に電話をし、怒鳴り散らかした。
母は私と、母の血液を混ぜ、点滴を作り、妹に注入した。
何とか命を取り留めた妹。
私は好きな曲から、花束の意味「ブーケ」と妹に名付けた。
私とブーケは妹というか…同じ歳の双子のような関係だった。
時にブーケは私にこんな話をした。

花束

ブーケ「姉ちゃん!」
眠夢「ん?」
ブーケ「何で私ブーケ?」
眠夢「ブーケって意味知ってる?」
ブーケ「食べ物?」
眠夢「花束って意味だよ。」
ブーケ「やったあ!当たった!」
食べ物なの!?
ま、まあ食べれなくはなさそうだけど…。
眠夢「花束はね!幸せな人に渡す物なんだよ!貴方は幸せの固まりなの!だって!こーんなに可愛いんだもの!」
私はブーケに抱きついて頭を撫でる。
ブーケ「キャハハハ!」
そこで姉が帰ってきた。
最近は吸血鬼の寮で働いている。
ミツキ「ただいまー!」
ブーケ「おかえりぃ!」
ミツキ「んんん!頭を撫でさせろぉ!」
眠夢「わたしも撫でてぇ!」
最近これが日課である。
成長する度に一緒にいる時間が減っていったが、それ以上に短い時間をありったけこの三人で使いまくった。
ブーケ「面白い話してた!」
ミツキ「うーん!?なんの!」
ブーケ「私の名前!花束なんだね!」
ミツキ「うんうん!そうだね!」
ブーケ「花束は幸せな時に渡すんだよね!」
…。
その時姉はまたピタ、と止まった。
そして。
ミツキ「違うよー!」
眠夢「…え?」
ミツキ「あー…えっと…二人にはまだ結婚は早い!!!」
なんだ…結婚か…!
ブーケ「二人と結婚するぅ…!」
そこで母がキッチンから現れてくる。
母「ご飯できたぞー。今日はおでんだ!」
この時には人間と吸血鬼がうまく共存できるようになってきた。
血液と同じ成分の入った味のない栄養をおでんに入れることにより、同じ窯の飯を食えるようになったのだ。
母は料理にハマっていた。
そんな幸せな家庭がしばらく続いていたが、最悪の事件が起こる。
小学六年生の時の冬だった。

さよならの悲劇(前編)

それは冬の日だった。
私はその日伍番街にいた。
ブーケはいつか工場で働きたいと言い始めた。
それから家族で工場見学しようということになったのだ。
しかし、テセラクター起こしたたった一つのQで伍番街は崩壊した。
眠夢「ううっ…」
目を開けると瓦礫に挟まれていた。
動けない…!
母「見つけた!ミツキ!」
ミツキ「うん!せーの!」
瓦礫が浮き、身体の自由になる。
眠夢「一体何が…」
母「分からない…とんでもなく大きい魚が空を張っていった…。」
ミツキ「グウウウ…!」
姉が突然苦しみ始めた、身体がバチバチと音を立てている。
母「ミツキ…?」
眠夢「ミツキ姉!」
ミツキ「…戦闘モード二入リマス。」
!?
母「ぐぷ…」
姉の手が母の身体に突き刺さる。
母「ミツキ…!すまない!」
母は刀を血で生成し、姉の手を斬り落とした。
母「眠夢!こっちおいで!」
それでも私は身体中が震えて動かない。
母は私を抱きかかえて姉から離れる。
眠夢「お姉ちゃん…お母さん!」
母「大丈夫!大丈夫だから!お父さんとブーケは…たしかまだ工場内か!ミツキの状況を見て他のロボットの暴走もあり得る!」
母のぽっかり空いた身体から姉が走ってくるのが見えた!
眠夢「お母さん!お姉ちゃんが来てる!」
母「クソ!こんな娘を育てたつもりはない!」
母は工場に入り鍵を締めた。
母が意識が抜けたようにその場で崩れ去る。
私も転げ落ちた。
眠夢「お母さん…?」
母「はは…いやはや…私も歳をとったな…傷の治りが遅い…。」
母は苦しそうに呟いた。
母「眠夢…私の左ポケットに携帯が入ってる。お父さんに電話できるか?」
眠夢「…うん!」
私は急いで連絡を取る。
電話はすぐに帰ってきた。
眠夢「お父さん!」
父「眠夢!無事か!ミミちゃんは!?」
眠夢「ミツキ姉がお母さんを…お母さん死んじゃいそうだよ!」
父「なんてことだ…全くロボットの制御が効かない!眠夢!ロボットの工場から離れろ!ブーケ!お姉ちゃんを頼むぞ!」
ブーケは無事なようだ。
ホッとするのも束の間、扉がガチャガチャと音を立てる。
ミツキ姉だ。
ドンドン!と扉をこじ開けようとしている。
母「…マズイな…抑えろ…!」
眠夢「うん!」
あまりにもの衝撃で身体が浮く!
数分後ブーケがやってくる。
眠夢「ブーケ!助けて!」
ブーケ「二人とも!外でろ!」
眠夢「どういう…」
ブーケ「はやぁぁぁく!」
焦る私とは違い、母は大きく息を吸ってこう言った。
母「私がミツキを抑える。お前とブーケは外に出ろ。」
眠夢「え?あっ?」
母「行くぞ…逃げろ!」
母は真顔で襲ってくる姉にタックル。
私はブーケに抱きかかえられ、外に出た。
その時、今まで感じたことのない爆風が私達を襲った。
父が工場を爆発させたのだった。

さよならの悲劇(後編)

眠夢「うっ…く…」  
ああ、お父さん…どうして…。
母は爆発に巻き込まれ見るも耐えない身体になっていた。
すぐに近寄りたいが。
ミツキ「戦闘…再開シマ…ス…」
片腕のない姉がこちらに向かってきた。
最悪なのはこれからだった。
ブーケ「友達と同じ匂いする…」
後を振り返ると大量のゾンビが湧いていた。
伍番街にこんな研究室があるなんて…。
ブーケ「ブーケと同じ、ウイルス持ってる…。ブーケも時間ない。」
眠夢「何が!なんの時間がないの!?」
ブーケ「薬全部爆発に巻き込まれた」
ブーケは私を庇うために重りになる大量の薬を捨てたのだ。
薬がないと自我が持たないのだ。
ブーケ「私戦う。」
眠夢「えっ…」
話をする暇もなくブーケはゾンビの方に走っていった。
目の前を振り向くと姉がもう数メートルの所にいた。
眠夢「来ないで…来ないでっ!」
私はそこら変にあった石を投げたりして、応戦したが…。ミツキ「…。」
何も効いてない。
私はそこで言ってはいけない事を言った。
今でも後悔している。
眠夢「人間じゃない癖に!ロボットの癖に!止まれ!止まれぇ!あんたさえいなければ!お母さんは助かったんだ!お父さんも救えたかもしれないのに!」
…私は弱い。
自分で救う気もなかった。
人間でない私は守られていたというのに。
恐怖で動けなかった。
私はわがままだ。
姉はピタリと止まった。
ミツキ「私ハ人間二ナリナカッタ。デモワカラナイ。人ノ心ガ」
眠夢「お姉ちゃん?…」
ミツキ「貴方ガ憎カッタ。可愛ガラレテイル貴方ヲ何度も殺ソウトシタ。デモヤットワカッタ。」
殺そうとした…?
姉の両足が急に外れた。
ミツキ「私は…とっくに人間になってたんだって。」
地面に倒れる姉。
私は恐る恐る近づく。
眠夢「意識を取り戻したの?ミツキ姉…?」
ミツキ「うん…でも…もうおしまいみたい。貴方を救えない。修復も不可能みたい。」
眠夢「一体何が?」
ミツキ「でっかい魚がね。ウイルス信号を送ってきたの。でも…私勝った。ロボットじゃなくて…今の私は人間だから。」
後を振り返るとブーケもボロボロになって帰ってきた。
ブーケ「時間ない。私お姉ちゃん達食べたくなってきた。」
どうやら全て倒したようだ。
私は何もしていない…っ!
ミツキ「眠夢、もうすぐ私は眠る」
ブーケ「私も寝たい…」
ブーケはミツキに抱きついた。
眠夢「なんで…二人とも!まだ諦めちゃ…」
ブーケ「諦めるんだよ!人間じゃないから…人間じゃないからこそ眠夢ちゃん守って…人間になりたい…。」
ミツキ「私の舌に全てのデータが入ってる。引きちぎって捨ててほしい。悪用するやつは必ず出る。それを止めてほしい。」
ブーケ「私の心臓の中に種が入っている。それは私にとってのコア。私が消滅しても消えない。だから潰して…」
眠夢「できないよ!怖いよ…。」
ミツキ「…私も怖い。だって…死なんて概念…私にはないから…」
ブーケ「私…ここに来るまでにたくさん人殺した。地獄に落ちるんだろうなぁ…」
ミツキ「怖いね…私も一緒に地獄いきたい…怖い…眠夢にもう会えなくなるのが怖い…」
ブーケ「怖いよミツキちゃん…」
…。
そこで彼女達の会話は終わった。
ブーケは灰になっていく。そこから緑色の種が現れた。
ミツキお姉ちゃんは最後の力を振り絞って舌を噛みちぎっていた。
きっと私にできないと思ったからだろう。
そう…私には何もできない。
人間だから。
こんなの捨てたくない。
宝物よりも大事な物。
私は舌と種を口に入れ丁寧に飲み込んだ。
私はその時、人間という自分を捨てることにした。
さよならの味がした。

箸休めその1

眠夢「なっげえだろ?でも話はまだ序盤だ。」
勇「食ったってお前…身体大丈夫だったのか?」
眠夢「ああ、ゾンビになると思ったんだけどな…黒い雷みたいのがビリビリってなってロボットみたいに強くなるとも。でもさ、私、少しだけ吸血鬼の血が混じってたみたいだ。ゾンビにはならなかった…。」
ふう…と眠夢は溜息をついて続きを話し出す。
眠夢「話を続けるぜ。お姉ちゃんの舌を食ったせいか?吸血鬼がテセラクターになっちゃう事件が高校の時あったんだけどさ…私だけ洗脳にかからなかった。食った時に克服したのかもなーアンタみたいに。」
勇「その前に…その後お前…伍番街で何を?」
眠夢「あー…ん…まぁ…約3年間溢れかえったゾンビとロボットを相手にして一人で戦った。」
勇「お前…飯とかは?」
眠夢「工場を点々として食料室を見つけ出して食べた。ゾンビの肉は流石にな…今思えば奇跡だよ。工場見学してなかったら食べ物の場所わかんなかった。工場は大体同じところに食料室あったからなぁ…」
勇「どうやって脱出したんだ?」
眠夢「それも奇跡、偵察に来た共創者の始まり?みたいな人達に助けてもらった。その後私は晴れて高校生に…つってもバカ高校に入るしかなかったんだけど…ちょっとだけ復興されてた肆番街にある吸血鬼ばっかの高校でさ、そこでさっき言ってた…」
勇「テセラクターの洗脳?」
眠夢「そう!いわばQってやつだな。」
話疲れたのだろうか…少しフラフラする眠夢。
勇「大丈夫か?」
眠夢「おっと…やべえ…ふう!ああ…!大丈夫!大丈夫!高校生メンバーは誰一人欠けちゃいない。そんなに重くない話だ。」

高校生

しばしの休養を与えられた私は高校に入ることになった。
その時私の家なんてなくて、まぁ…友達もそうなんだけどね。
私も友達も吸血鬼が住んでる寮に住んでたんだよ。

眠夢「こ、こんにちは…お久しぶりの人はお久しぶり…」
噛み付いてきた人もクラスメイトにはいた。
私が教室に入るやいなや質問攻めだ。
「質問ッス!3年間も一人で戦ってきたって…。どうやって生き延びたんすか?」
眠夢「ロボットは同じ動きをするから…何パターンかを予測して、戦った。ゾンビはできるだけ戦闘を避けたよ。熱ですぐにボロボロになったし、ロボットも本当のこと言うとさ、二年半には全部バッテリーを充電する所のコードを私が切って回ってたから、止まってたね。」
今質問してきたのは瞳光幕(ひとみこうまく)。
珍しく私と同じ人間だ。
ただ…彼には強い二重人格の姉がいる。
暗幕(あんまく)という名前だ。
「あーん!もう可愛い!よく生き延びた!ハァァァ!相変わらず!可愛い!食べちゃいたい〜!」
眠夢「あはは…は?お、おいお前…」
コイツ…いや、え、そうだよな?女ァ!?
かつて少年だと思っていた噛みつき野郎がまさかの女の子っていう…
コイツの名前は米みかん(よねみかん)。
コイツに両手拳銃の使い方とか教えてもらったり、今でも電話したりする、大切な親友の一人。
「…くだらんな。」
クールぶってるやつは渚鯉戸(なぎさこいと)。
眠夢「…男装?カッコいいね!」
実は高校、と言っても女子校なのだ。
鯉戸「…ガチで男だ…。」
え?
そう、彼は通う高校が遠く、難しいという理由で女子校に入ってる。
鯉戸「ギャーギャー騒ぐなよ?お前ら…ったく女ってやつは…」
彼は吸血鬼の中ではイケメンらしい。
武器は血を糸に変えて多彩な戦闘スタイルを行う。
鯉戸「おい!光幕!お前も人間の男として特別に入学してきたんだろ!」
暗幕「あ…授業私受けるから…」
スッ…と影が纏い、暗めの美人な女の子が出てくる。
鯉戸「なんでだよ!」
暗幕ちゃんには兎に角甘えた。
勉強や、メイクをかなり知っていて、美少女マスターなんてあだ名がついていた。
戦闘は影の鎌を使い、光を吸収、敵が弱ってきたところを光幕が光を放つ一撃必殺技らしい。
鯉戸「んで?お前強いのか?」
眠夢「聞かないでよ…私は弱いよ…」
みかん「ワタシが守る!」
鯉戸「それじゃ無意味だ。死人は出したくない。足手まといになるなら置いていく。」
暗幕「あ…私が教えてあげる…。」
眠夢「私…色んな人に頼ってきた。だから…今度は自分でみんなを守りたい。私は、私の将来の夢は人間をやめる事、否定し続けること。弱いけど…。」 
鯉戸「√2+√2は?」
はい?
鯉戸「√2+√2は?って聞いてんだよ。」
眠夢「え…あの?…何急に…英語?」
鯉戸「ハァ…ったく。しょうがねえな…。今日はお前ら中学の復習でもしとくかー?」
鯉戸が教卓に立つ。
暗幕「眠夢ちゃん…こっち…。」
みかん「私もー!」
ガリガリ!と机を引きずるみかんに。
鯉戸「おい!バカ!床が傷つくだろ!」
と一喝。
眠夢「…先生は?」
みかん「…。保育園の先生覚えてる?…。担任の先生として私達と一緒に生きてくれた家族のような人…。私の事庇って…死んじゃった…。だから鯉戸が先生やってるの。」
暗幕「あ…彼、私の次に頭良いから…。」
鯉戸「聴こえんぞ!お前ぇ!」
眠夢「他の大人達は?」
暗幕「あ…。復興に力を入れてくれてる。食事ができるのも大人のおかげ。」
みかん「遠くにさ、人間達が通ってる大学があってさ…みんなそこで勉強もしてる。」
暗幕「あ…安心して、学力は貴方とほぼ同じ…。だって…」
貴方と同じだから。
悲しそうに笑う暗幕ちゃん。
私達は大人のいない3年間。
大きく成長することになる。

鯉戸の優しさ

高校に入って数ヶ月、私は知識ではなく、戦闘方法も教えてもらっていた。
鯉戸「いいか?銃の撃ち方教えるぞ。」
眠夢「う、うん!」
鯉戸「まずは…普通のハンドガンだな。気をつけろよ。トリガーを引くだけで弾が発射されるようにした。まずは慣れるより慣れろだ。」
私は的をめがけて撃つ。
びぃぃぃん…と身体中に衝撃が伝わった。
眠夢「ぬぬぬぬぬうあああ〜…」
鯉戸「痺れるだろ?俺達吸血鬼はな、血を使って戦うのが基本。だが逆に血の消費量がデカイのが難だ。」
暗幕「ねえ。ストレッチさせたの?」
少し怒った表情で鯉戸を睨む暗幕。
鯉戸「いきなりテセラクターが襲ってきてストレッチすんのか?バカなのかお前。」
暗幕「初めて銃を扱うんだよ?人間が。私達と違う。」
鯉戸「違わねぇよ!コイツもお前も!人間だろうが吸血鬼だろうが死ぬもんは死ぬんだ!楽しく兵隊さん
ごっこやりたきゃ勝手にやれ!」
鯉戸はブチ切れてどっか言ってしまった。
暗幕「全く…お耳に耳栓もしてあげないなんて…」
みかん「うぃーす。」
眠夢「ぬぉわ!」
ぬるっ…と背後から現れたみかんに驚く。
みかん「喧嘩してたね。」
暗幕「あんまりだよ鯉戸。」
事情を説明するとみかんは悲しそうに話し始めた。
みかん「きっと切羽詰まってるんだと思う。親の事、先生の事、後…」
暗幕「一人消えた吸血鬼の子…でしょ?」
入学当日にクラスの一人がテセラクターに変貌。
みかんを守るために先生が死亡。
暗幕が悔しそうに話す。
みかん「眠夢っち…彼は世界一優しい男だよ。ただうちらをまとめるのに必死になっちゃってるだけ。」
暗幕「…あ。謝らないと。」
みかん「うん…。」
影がスッと消えて光幕が現れる。
光幕「そうっすヨ!謝らないと!あ、姉さん逃げようとしてるんで引きずり回すっす!行くっすよ〜!」
何かを引きずるように光幕は出口へと行ってしまった。
みかん「暗幕ちゃ、意地っ張りだから…鯉戸の事めっちゃ好きって言ってたし…」
ああ…そういう関係…。
みかん「さて…ちょっとボディチェックさせてもらうよ!」
眠夢「何すんのよ!いきなり!?」
みかん「貴方が銃に対して適正な筋肉を持っているかどうかを見てるのよ。体幹って知ってる?握力とか…背中の筋肉とか…」
眠夢「へ、へえどうなの?」
みかん「結婚しよう。好きだっ。」
おい。
眠夢「私の事噛みまくってたお前に…私が惚れるとでも?」
みかん「んんん…んぅ〜!」
図星のようだ。
眠夢「ご、ごめんて…それで…私に何が足りないの…」
みかん「爆発的な動きは出せる見たいね…ただスタミナがない。かといってスタミナを持続させる体幹自体はある程度ある…ねっ、ロボットやゾンビと戦った時を思い出して…どうやって戦ってたの?」
眠夢「奇跡的に飛んでくるロボット…まあドローンが一機も武器を所持してなくて、アンドロイド型は猛スピードで走ってくる。だから私は下に縄をいくつもはってこかせてた。足を潰してから、舌を狙って…」
みかん「舌?」
眠夢「そう。舌がコアになってるからそれを引きちぎった。」
みかん「眠夢ちゃんのキスは激しい。握力の検査も必要と」
余計な事をメモるな。
みかん「ゾンビは?」
眠夢「あー奇跡的に走ってくるゾンビは見たことなかったな…ただ握力すごくて、石とか色んなものぶつけてくるから少しびっくりした。だけど腐ってるから両腕はいつか腐り落ちる。だから一体一体後から頭とか弱いところを斧でへし折ったりとか、上から重いものを落として潰すかどっちかだったね。」
みかん「眠夢ちゃんは積極的、待たせたほうが連れ込みやすい。足と腰…背中の筋力を測定。」
どこに連れ込む気だコイツ…。
みかん「よし、なるほどね…体幹。要はインナーマッスルは結構あるみたいだね…だから…もう…吸うとき凄いっと…。とりあえず私の口で吸って?ほら?測定してあげるから。」
眠夢「変態ィィィッッッ!!!」
私は大きくいきを吸って叫んだ!
眠夢「いい加減にッ…!」
みかん「体幹は…肩に少し力が入っちゃってるね…でもそれだけ叫べるってことは…インナーマッスルは完璧…後は扱い方…。」
みかんが真剣にメモをし始める。
眠夢「調子狂うなぁ〜」
みかん「私が守るのよ。眠夢ちゃ…いや…眠夢をね。貴方のお母さんやお父さんに大切な事教えてもらったんだもん。」
眠夢「いや…私は…私が貴方を守る…」
みかん「私もそこは譲れない…ただ…強くなるよ。君は。でもさ…その…何かを失って強くなるのも生き物なんだけど…本当は失わないように強くなるのが正解だと思う。私も鯉戸も光幕も暗幕もクラスメイト全員同じ気持ちだよ。」
眠夢「うん…でも、最終的なゴールってあるのかな?」
みかん「今のところ…さっき言ってたテセラクターになっちゃった女の子。私達にとって毒の成分の煙を出す、汽車型のテセラクターになっちゃったの。そいつを…もう元に戻せない…けど…、倒すのが目標かな。光幕と貴方がカギになる。暗幕ちゃんは動けない。」
眠夢「どうして?」
みかん「光幕は二重人格って言ってるけど…暗幕は…その…汽車なの…」
…は?
みかん「私もよくわからないんだけど…テセラクターと吸血鬼で別れたみたいなの。」
あのでかい魚と吸血鬼が別れた?
みかん「光幕に吸血鬼の幽霊が取り憑いたって事になるかもね。」
眠夢「生前の暗幕を誰も知らないの?」
みかん「自分で影が薄いって言ってたし…でもさ…暗幕が私と鯉戸に言っただけだし、クラスメイトにも光幕にも吸血鬼だってこととか言ってないっぽいし、そもそも二重人格の嘘。なのかもしれないし…」
下校時間のチャイムがなる。
みかん「帰ろうか。あ、この話はナイショね。」
眠夢「う、うん。」

身体測定

あれから何事もなく一年が過ぎた。
あー。
光幕の飯が食いたい。
光幕の寮飯が一番美味い…。
光幕「よっぴー!相棒!」
眠夢「ういっ…今日の夜飯はー?」
光幕「もう夜ご飯の話!?身体測定だよ!」
そうだよな…こんな真夏日にな。
鯉戸「おはよー。お前ら。」
眠夢「暑いんですけど。本領発揮できないって…」
鯉戸「はぁ…眠夢。場を制するものは?」
あー…はいはい…
眠夢「ベッドを制す。」
鯉戸「よし、殺す。」
頭をぐりっぐり手でされる。
あででででで!
眠夢「みかんは?」
鯉戸「なんか舌を怪我したとか言ってたな。」
眠夢「しまった…吸いすぎたか…」
光幕「吸いすぎた?」
あ、やべ。
眠夢「んなこと言ってない。腹すきすぎたんでしょ。朝食を慌てて食べて舌噛んだんじゃない?」
光幕「そんなに!?俺シェフ目指そうかな!?」
鯉戸「はいはい。プラチナトレインを倒してからな。」
プラチナトレインは私達がつけたテセラクターのあだ名。
そして。
鯉戸「期待してるぞプラチナスチーム」
眠夢「あいよ。」
プラチナスチーム。
光幕と一緒に考えたチーム名だ。
鯉戸「んじゃ…測定していくぞー」
まずは体幹測定。
インナーマッスルは強く、そして体幹は柔らかく。
鯉戸「ハハッ…やるじゃねえか。」
眠夢「みんなのおかげだよ。いや、鯉戸に褒められたいだけかもね。あー!でも前屈でギリ手が届かんぐらいかー…身体力んでんのかぁ?股関節がまだ硬いか?太ももが縮んだのか?」 
鯉戸「食い過ぎか、手が短いかどっちかだな。」
眠夢「どつかれたいのか?」
一方光幕は。
光幕「うえーい。」
前屈すげえ…。
鯉戸「長座体前屈測るぞ。」
光幕「うえーい。」
長座体前屈ずげえ…。
鯉戸「よし、お前の場合、そのままキョンシーみたいに立ち上がりそうで怖い。戻ってよし。」
光幕「うえー…」
ゴンッ!
光幕「ウェアアアアアアア!!!アッダ…イッテ…アオエゥ!!!」
後の壁に後頭部を強打し暴れまくる光幕。
鯉戸「ゴ…ゴキブッ…!?」
あーそう言えば鯉戸虫めっちゃ嫌いだもんな。
カサカサしまくってるよ、絶対痛いよあれ。
お次は投球。
眠夢「タイミング…タイミング…柔らかく柔らかくして、力強く…投げる!」
鯉戸「はい3メートル。」
!?
クッソ!2球目!
眠夢「何が足りない!?ハッ!?手の握力か!?ならこれなら。」
スルッ。
あ、ボール落とした。
眠夢「あ。」
鯉戸「1.5メートル。」
3球目。
眠夢「違う。力を入れすぎたんだ。空高く飛ばしてやろう。ふっ…」
突如としてボールが消える。
空高く舞い上がった!
鯉戸「おお。」
眠夢「これが…私の能力…消える魔球ダァッ…?」
脳天に強い衝撃が走る。
ボールが真下に落ちてきた。
眠夢「ダアアアアア!?アアアアアアッ…!?!?!?」
鯉戸「…マイナス0.2メートルー」
眠夢「痛ってえええあああ!!!」
カサカサ!カサカサ!
鯉戸「ゴ、ゴキブッ…!?」
お次は反復横飛び。
光幕「…。」
眠夢「…。」
カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ。 
鯉戸「ウワァァァァ!ゴキブリだぁぁぁぁ!!!」
お次は狙撃。
ハンドガン、マシンガン、ショットガン、スナイパー、ミサイルランチャー。 
大体銃はこれくらい種類があるが、費用が足りないのと、逃げる時に基本吸血鬼の皆は使うため、ハンドガンになる。
でも私の場合は…。
立ち向かう為に使う。
鯉戸「期待してるぞ。チームゴキブリ。」
眠夢「…。」
鯉戸の引きつった笑顔を初めてみた。
私は、ハンドガン、ショットガン、スナイパーを選ぶ。
眠夢「鯉戸、皆、マジでごめん。マシンガンは扱えなかった。アサルトライフルは大人が持ってるし。」
鯉戸「銃剣を磨きたかったけどな…。」
眠夢「動かして。的。」
鯉戸「…。」
動き始める的。
まずはハンドガン。
二丁拳銃にし、相手に近づく為の武器。
眠夢「左肩、足、心臓、手、心臓、股間、頭、足、足、右肩。」
鯉戸「命中率85%。腕を上げたな。しかも2丁拳銃なんて。」
眠夢「弾の節約のために1丁のほうがいいかも…。」
鯉戸「いいや。これでいい。さっ次はショットガンだ。」
ショットガンは落ち着いて撃つ。
正直、背後から必ず倒す必殺の銃ってやつかな。
ドンッ!
鯉戸「まー当たるよな。」
眠夢「うん。」
最後にスナイパー。
遠い的を狙う。
が。
鯉戸「5発中命中率はゼロ…か…。」 
眠夢「…クソ…」
同じく光幕も一発も当たらず。
…。
怒られるなこれ。
怒ると怖いんだよな…。
鯉戸「おい。ふざけるなよ?お前らがちゃんと狙撃できねぇと俺らが死ぬ。そういうの分かってんのか?」
…。
ああ、クソッ!
怖いし…悔しい!
鯉戸「光幕、お前の一撃必殺のレーザーガン。外したらどうなると思う?」
光幕「うるせぇよ…!無理なもんは無理だ。」
ギクシャクしないでくれ。
お前ら親友同士だろ…。
鯉戸「俺だって何とかしてぇよ。俺も…かすりもしねぇ!」
弾数の費用、少なさ、練習なんてほとんどできてないのが現状。
そこで…。
暗幕「私に任せて…ダーリン。」
暗幕が出てきた。
鯉戸「お前…身体大丈夫かよ?遅くまで弾薬管理どころか弾薬作ってたろ?」
暗幕「私だって得意じゃない。でも100メートル。なら…」
ドンッと的を撃ち抜く。
鯉戸「最高の彼女だよお前は。」
暗幕「ハニーっていいなさいよ。」
眠夢「…。」
暗幕「なんて顔してんのよ。ああ眠夢。見てたわよ。貴方の体幹。光幕や私が何かしら力を使えるように。貴方にもなにか見えた。人間なのに、人間じゃなくなってる。」
眠夢「私の夢は…」
暗幕「人間を辞めたい。でしょ?ねえダーリン、スナイパー以外にも必ず道筋はある。貴方達吸血鬼が血を飛ばして、撃ったり、追尾弾をくらわせたりできれば…って一人いるじゃない。クラスで最高の超近距離〜超遠距離まで、血の弾丸を飛ばせる子がさ。」
鯉戸「みかんか…でもプラチナトレインに血の攻撃は…」
暗幕「血に何かを混ぜるのよ。例えば…」
パァコン!
と聞いたことない音が鳴り響く。
後を振り返るとみかんがいた。
みかん「鉄パイプとか?いっそ手榴弾を吹っ飛ばせればいけるね。」 
鯉戸「アハハ…その手が…俺も馬鹿になったな…」
暗幕「私のせいで平和ボケしてたんじゃない?さっ…私とみかんの測定始めるわよ。」
体幹測定。 
前屈。
暗幕「…あ。届かない…。」
鯉戸「可愛いから許す。」
みかん「おりゃ!」
ブシャ!っと血が飛び散る。
眠夢「そんなんで血の能力使うなよ。死ぬぞ。」
みかん「えへへ。ごめんごめん…。」
長座体前屈。
暗幕「…ん…んう…。」
鯉戸「声が色っぽい。100点」
みかん「おりゃ!」
ブシャシャ!
血で中に浮くみかん。
みかん「おおー飛んだ!」
眠夢「馬鹿!死ぬぞ!」
投球。 
暗幕「ふっ。」
!?これは…。
鯉戸「すげえぞ…」 
眠夢「私見てくる…」
…64メートル!?
眠夢「64メートルだったよー。」
鯉戸「なんてー?」
しょうがないぁ…。
私は大きく息を吸って吐き出す。
声を届けるように。
眠夢「64メートルだっ…!」
その時凄い衝撃が起きた。
みかん「これは…!?」
暗幕「大丈夫。範囲は50メートル…」
鯉戸「いや…みんな逃げるぞ!」
皆が散り散りに逃げていく。
どうやら暴風が起きたようだ。
眠夢「なんやー?台風か?」
鯉戸「いや…お前の力みたいだ。」
えっ!?
みかん「ゾッとしたよ。光幕とかプラチナトレインのいわゆる…毒を感じた。」
暗幕「…。やっぱり…ね。」
鯉戸「とりあえずみかん。ボールを投げ…」
パァコン!と音が鳴り響く。
みかん「はいはい。テキトーテキトー。そんなことより眠夢。私の血の弾丸弾き飛ばしてみない?」

勝負

みかん「行くよ!」
血の弾丸がものすごいスピードで飛んでくる。
え…何で私…弾丸がみえるの?
弾き飛ばすイメージ…。
大きく息を吸い込んで…
眠夢「ハアッ!」
バシュバシュ!と血の弾丸が弾ける。
みかん「今度は逆に私を貫くつもりで。」
眠夢「そんなことしたら…」
みかん「夜のことバラすよ?」
それはやべえ。
眠夢「行くよ?スゥゥゥー…キィィィ!!!」
みかん「…。」
パァコン!パァコン!パァコン!
連続でみかんは鉄パイプを撃ちつけ、私が放った何かは消えていった。
みかん「まだまだね…。でも…何か出来そう。」
鯉戸「…風か?」
暗幕「風とかじゃなくて…イメージそのものに近い。死ねとか殺すとか、呪いみたいなものじゃないわね…よくわかんない…でも…強くなったね…眠夢…。」
鯉戸「ああ。」

夜飯と性癖

トントン。
と、扉のノック音がする。
鯉戸「おう。」
眠夢「ハァ…。」
暗幕「ち、ちぬ…。」
みかん「…ふう…ふう…。」
あのあと反復横飛びで、暗幕は熱中症、みかんはふざけて血を使いまくり、貧血で倒れた。
鯉戸「レバーの焼き肉。納豆。あさりの味噌汁。血のサプリが入った白飯だ。にしても、さっき…俺の血飲ませたよな…」
みかん「ご…ごめ…。動ける。自分で食えるよ。」
暗幕「うん…。」
鯉戸「俺、このまま寝るから、きちんと歯を磨いて寝ろよ。お休み。お前ら…俺より強くなったんじゃないか?」
眠夢「バカ言え。あんたが一番強いよ。ブラッドスパイダー。」
鯉戸「ふん。お休み。ビッグマウス。」
あの野郎…。
眠夢「歯磨きしといてー私食器片付けてくる。」
数分後。
眠夢「よし。寝るか。」
暗幕「あ…看病してくれて…あ…ありがと…。」
みかん「てかさ、昨日言ってたことマジ。」
ちょっと…暗幕の前で…。
暗幕「なんの話?」
みかん「いやコイツさ舌が長い女が好きなんだって。」
眠夢「だってみかんがあんな長い舌持ってるなんて…」
暗幕「あー…吸うって…私の舌も凄いよ?」
でろっと舌をだす暗幕。
暗幕「どう?」
眠夢「ドキドキします…。」
私は二人の間に入る。
眠夢「私の弱点知ってる?」
みかん「知ってる」
暗幕「耳よね。」
眠夢「まだ吸いたりないんじゃないですか?」
みかん「え?」
暗幕「舐めてほしいの?」
眠夢「きょ…今日は少し激し目でもいいから…」
みかん「実は足りなかったんだよね、…血が」
暗幕「私も久々に血を飲むわ…。いただきま〜す」
はぁ…幸せ…。

翌日。
鯉戸「おはよう親友…昨日悪かったな…。」
光幕「良いって事よ!俺も悪かったって!あれ?眠夢は?」
みかん「…。」
鯉戸「両耳中耳炎だってよ…しまった…俺ら昨日耳栓つけずに狙撃の測定しちまった…。俺疲れてるのかな…」
光幕「マジか…あー…確かに…」
鯉戸「聴力弱ってないか心配だ…」
光幕「ほら元気出せよ…」
でろっと長い舌を出す光幕。
鯉戸「うわぁ!きっしょ!ムカデみたい!」
光幕「言いすぎだろ…」
こうして私の高校2年の生活は青春を満喫した一年になった。

高校三年生。冬。

鯉戸「ついに来た。プラチナトレインが街中で暴走しているらしい。復興しつつある肆番街をまた壊されるわけにはいかない。」
眠夢「写真だ。皆見て。めちゃくちゃ巨大な汽車だ。私が3年前出会ったテセラクターよりも大きい。」
鯉戸「お前らは俺たちについて来い。人命救助が優先だ。」
眠夢「みかん。光幕。私達はトレインと戦う。皆も早急に人命救助を行い、参戦してくれ。行くぞ!」
プラチナトレイン。
私は守る。
この力で。
皆で。

共鳴

強欲に視界を奪う黒い涙。

取れない血の跡の記憶。

幸せばかりじゃないのさ。 

どこにいたって。

ならばどうか今は。

守りたいと忠わせて。

茜色に染まる街。

夕陽が綺麗と敎えてくれたこの街を。

プラチナトレイン殲滅戦1st

みかん「死なないよね?誰も」
眠夢「当たり前だろ。というか危険ならすぐ逃げよう。」
光幕「二人とも…来る!」
眠夢「みかん下がってろ。」
異様にきれいな蒸気だ。
ダイヤモンドのような。
汽車の先頭にはおどろおどろしいテセラクターの顔。
しばらくの沈黙が流れ…。
地面から線路が現れた。
来る。
眠夢「キイ!」
鋭い衝撃を車輪にぶつける。
横転かせるためだ。
しかし…全く効いていない。
眠夢「あいつ…私の声をブレーキ音だと再認識したってことか!?」
クソ…これじゃ囮にもなれない!
眠夢「一旦下がる!」
私の能力は相手に伝わせる能力。
でも相手がうまいこと否定したらなんにも意味がない!
りんごが放った鉄パイプと通りすがる。
ギュインと音がなりテセラクターがグラついている!
もう一回!衝撃波!
眠夢「ガッ!」
テセラクターはコケるどころか吹っ飛んでいった。
みかん「え?当たった!」
違う。
眠夢「騙されるな!アイツ!空にも線路を張ってやがる!」
避けられた!
戦法を変えてきたんだ!
光幕「賢いな!コイツ!戦い慣れてる!」
みかん「光幕!パワーはチャージできた?」
光幕「ああ!でも満タンじゃない!」
眠夢「今ぶつけるしかなくないか!?弱るかもしれない!」
光幕「く〜!それしかないか!」
眠夢「私がアイツを止める!」
みかん「バックアップする!」
イメージしろ、もし私が汽車だったら…どんな風の音を表現する?
眠夢「ゴウ!」
ガガガガガ!とテセラクターの動きが止まる。
しかし。
が、加速している!?
眠夢「なっ!?どういうことだよ!」
みかん「多分ゴウをGOって再認識したんじゃないの!?」
眠夢「ゴウ!ゴウ!ゴウ!」
メリメリメリとテセラクターが押し進んでくる!
クッソ!
そしてついに急速して私のところまでやってきた。
みかん「ああ…!間に合わ…」
眠夢「ゴウ。」
今度は確実にテセラクターを吹っ飛ばせた。
光幕「なにしたんだ?」
眠夢「テセラクターが聞いてくんないならさぁ…風に聞いてもらうしかなくね?ガッ。」
風でしっかりとテセラクターの動きを止める。
みかん「行け!光幕!」
光幕「行くぜ!光送!」
光幕はテレポートし、テセラクターの顔面に矢を放つ。
光幕「これだけじゃない!」
更に車輪に潜り込み素早い斬撃でタイヤをバラバラにしていく。
明らかに苦しみ始めたテセラクター。
光幕「ん?おーけー!」
光幕から黒いモヤが発生し暗幕が現れる。
暗幕「ブラックサイズ。」
影で鎌を生成し
暗幕「放て。」
スパスパスパ!とテセラクターを斬りつけてゆく。
そうか!身体自体は光幕だから人間!攻撃は可能なのか!
流石暗幕…強いけど…
暗幕「ぐっ!?毒が!」
テセラクターの毒を喰らい落ちてくる。
猛毒じゃないか!かなり身体に回るのが早い!
みかん「オイ!しっかりしろ!」
暗幕「あいつはもう一人の私…せめて私の身体を返せ…返せ!じゃないと…じゃないと…!鯉戸とキスするとき光幕もキスしてることになるでしょ…。」
みかん「こんなところでギャグ言ってる場合かよ!しっかしろ!」
暗幕「…完全に毒を吸っちゃったみたい…しばらく…眠る…」
みかん「暗幕!?暗幕ぅ!」
ヤバい…ヤバいぞ!
眠夢「光幕!出てこい!オイ!」
二人とも気絶したのか!?
全く返事がない!
テセラクターが突進してくるのが分かる。
ヤバイ。
その時だった。
鯉戸「よお。苦戦してるな。」
眠夢「鯉戸!?」
目の前に鯉戸が現れたのだった。

プラチナトレイン殲滅戦2nd

鯉戸「とあるバカが3年間生き延びた。襲ってくるアンドロイドをたった一本の縄で何体も倒した。」
鯉戸は一本だけプラチナトレインの前に血の糸を張り巡らせる。
しかし、簡単に突進され引きちぎられた。
鯉戸「…」
眠夢「…」

高校一年の冬。
私は自殺しようとしたことがある。
鯉戸の当たりが強かったせいかもしれない。
お前は弱いから、足手まといだから、気が強いだけだから、無理するから戦うな。
そんなことを言われて、姉と妹の復讐の気持ちが薄れていった。
全部諦めて、私も地獄へ落ちようとした。
会いたい。
フラフラと電車の駅で飛び降りようとした時、必死に助けに来た奴こそが鯉戸だった。
鯉戸は私を強く抱きしめた。
私は鯉戸を引き剥がし初めて殴った。
アザだらけになった鯉戸は泣きまくっていた。
初めて鯉戸が泣いている所を見た。
眠夢「なによ…なんで泣いてるのよ。」
鯉戸「植物型の…テセラクターを知っているか?」
眠夢「もう私死ぬから。」
鯉戸「5歳くらいの妹だ。」
…は?
何言ってるんだコイツ。
前話したブーケのことか?
それが何だよ。
鯉戸「渚百々(なぎさもも)は俺の妹だ。お前のブーケという妹は…テセラクター化した百々なんだよ。」
思考が停止した。
もう一発殴ろうとした手が止まった。
鯉戸「百々はテセラクター化した時…母を喰った。父は、妹を手放した。ゾンビを研究していた科学者にな。植物型のゾンビみたいだったからな…治してくれると思ったんだろう。でも何故かゾンビが量産された。そのせいで沢山の吸血鬼が死んだ。父親もだ!すべて失った!」
ホームの柱を叩きつけて怒鳴る鯉戸。
眠夢「鯉戸…」
私は近づいて鯉戸の背中をさすった。
鯉戸「お前に近づけば近づくほど百々の匂いがした。やっと会えたと思ったのに…死んじまったんだって思った。でも何でだろうな…。お前が百々に見えてしまうのは。今度こそは死なせない。例え嫌われても…でも…俺はお前に強く当たりすぎた…!ごめん…。」

鯉戸の能力は赤い糸を張るだけじゃあない。
彼の最大の能力は。
鯉戸「最後だ。行くぞ。百々。」
霊が見える。
上からブランクカードが降りてくる。
鯉戸がおもむろに手に取ると光り輝いた。
鯉戸「…アンダーブーケ。A2。」
???「発動しました。」
みかん「ん?誰か喋った?」
沢山の血の糸が張り巡らせ、更に光り輝く。
突進してきたプラチナトレインは鯉戸の糸で粉々に斬られた。
みかん「な!?なんだあれ!?」
眠夢「…凄い…!」
???「存在開放により視覚が欠損しました。貴方は二度と霊が見えません。」
鯉戸は私を見て優しく微笑んだ。
鯉戸「さよなら。百々。」
こうしてプラチナトレイン殲滅作戦は大成功に終わった。

高校卒業

苦しくも楽しかった高校生活が終わりを迎える。
今日が終わればみんなバラバラだ。
とっても寂しくなるなぁ。
あのあとバラバラになったプラチナトレインは暗幕…いや、根暗少女の元に戻った。
しかし、眠ったままで今も起きない。
最後の打ち上げの日、鯉戸が真剣な顔で話してくれた。
鯉戸「俺が使った能力は禁断の能力。諸刃の剣でな、大きな代償を払う事になる。彼女の為だ。やるしかなかった。あ、教えないからな。」
光幕「ところで…暗幕の記憶がないのは何なんだ?本名も知らないし…」
眠夢「彼女に聞こうも…目も覚まさない。そもそも吸血鬼からテセラクターが出てきた。なんてこと自体ありえるのか?」
みかん「…もしかしたらさ、暗幕も大きな欠損を受けてたかもしれないね。」
鯉戸「ああ。まあ、生きてること自体が奇跡。きっと目を覚ますさ。いや、覚まさせる。」
眠夢「えっ!?王子様のキス!?」
みかん「キャーァ!」
鯉戸「うるせぇ!」
最後にみんなで握手をした。
鯉戸は暗幕に何が起こったかの調査、そして目を覚まさせる為に。
光幕は暗幕に頼っていた分強くなるといい、旅路へ。
そしてみかんは。
みかん「私、鯉戸みたいに強くなりたい。」
とだけ言い残した。
何をしているかその時分からなかったが、カードの研究を今はしている。
そして私は。
父以外の人間に初めて会う。

箸休めその2。

勇「何だ?A2って?」
眠夢「おっちゃんが使ってた奴の強化版。」
俺が使ってた?
勇「確か…『メルの黄昏』と書いていたな。」
巨大なテセラクターに眠夢が殺されそうになっていた時、カードが降りてきた。

勇「メルの黄昏…A1?」
自分の影から黒い狼が出てきたのを思い出す。

眠夢「A2は使っちまうと存在欠損って言ってさ、何かを失っちまうんだ。私が何失ったもうわかってるよな?あ?」
今まで話を聴いて、普通の女子高生の喋り方の感じだったが、今はチンピラヤンキーみたいな言葉遣いになっている。
勇「お前まさか…」
眠夢「気づいたかおっさん…私は言葉遣いが欠損しちまったんだよ。おっさんじゃなくて、い、い、いけ、め、お、に、さ、さ、お、き」
眠夢が少し悲しい顔で笑う。
お兄さんと言いたいらしい。
眠夢「まだマシだよ。元々口悪い方だし。そもそも存在欠損しねー時もあるしな。私の親友、みかんのヤローはその存在欠損をしねー方法を編み出したりしてる。でもむやみに使うんじゃねえーぞ?」
眠夢の目を見ると本当に心配そうな目で見てくる。
コイツ…案外良いやつじゃねえか。
「グオオオ…グオオオ…」
マショマロのようにくるまった少年のいびきがこだまする。
眠夢「コイツ…まあいいや…朝になったら私が寝るんだからョ…って、おっさん寝なくていいのか?」
勇「ああ。そのまま大学生の話を聞かせてくれよ。」
眠夢の顔が一気に暗くなる。
眠夢「ああ…分かった…。」

大学生編

大学に来たはいいものの…
私何すればいいんだろう?
何になればいいんだろう。 
そんなこんなで来た大学生。
彼女との出会いはこれが初めてだった。
眠夢「わ、わぁぁぁ!!!遅刻したぁ!」
私はその時一生懸命走っていた。
友達など出来るわけもなく、全くわからん勉強ノートを作る毎日。
と、後からとんでもない爆音とともに美少女が現れる
「へ〜い!今彼女お困りな感じ〜???」
黒紙アテナ(くろかみアテナ)。
私より歳上なのに、車やバイクを乗り回し停学をくらい、今日出てきたらしい。
アテナ「乗ってくかい〜?可愛いお嬢さん?」
眠夢「えっ!?いいんですか!?ありがとうございます〜!」
今思えば…危なすぎるな私…。
アテナ「魔法何使えんの〜?」
は?魔法?
眠夢「魔法?」
アテナ「え〜つかえるでしょ〜私さぁ〜車とかバイク召喚できんのよ〜」
すげー!
アテナ「んで、召喚して〜、売って〜、召喚して〜」
眠夢「降ります。」
アテナ「ちょ!?ちょ!危ないって!」
3分後
アテナ「これなら余裕で間に合うねぇ〜…ん?あれれ?可愛い顔してるなって思ってたんだけどさぁ〜…有名人…だよね?」
ああバレた…。
アテナ「伍番街を一人で生存し、テセラ?テセラなんちゃらをぶっ倒したんだってねー」
眠夢「テセラクター知らないんですか!?」
アテナ「見たこともないねぇ〜。というかそれどころじゃないし。」
それどころじゃない?
眠夢「この街は一体何が?」
アテナ「魔女と魔女狩りの争いが昔からあってさ〜。今でもさぁ〜っ…ここ左か…あーあれ右だっけ?あ〜まあよく起こるわけよ〜。魔女が人を殺したり、魔女を寄ってたかってボコボコにしたりさ〜。」
…私の魔女とはまた違う考え方に驚く。
だって魔女って一人しかいないんじゃないの?
アテナ「で〜君は人間?魔女?」
眠夢「私が住んでた街ではそんなのなくて…あーでも…私の能力は人や物、存在に擬音として、認識させて発生させる能力というか〜」
アテナ「日本語下手だね〜要するに学校にボカンッて言ったら爆発するってことでしょ〜?じゃあ魔女じゃ〜ん」
眠夢「いや〜う〜ん…」
そうなのか?
アテナ「あ〜ついた〜間に合った〜」
そんな話をしていたら大学についていた。
眠夢「じゃあ…私はここで…」
アテナ「じゃあね〜」
…ん?
…なんでついてくるんだこの人。
アテナ「あっ〜同じクラスなのね〜」
ええ…。
教室に入ると
先生「落ちこぼれがバカ連れてきたよ…」
アテナ「あぁ?」
先生「ヒッ…」
周りの生徒「アテナだよな?黒紙アテナ…」
周りの生徒「黒魔術の濃い血が流れてるって〜怖い…。」
アテナ「お〜い待て待て〜ぼ〜いあんどが〜るず〜私はそんな怖くなんか〜」
周りの生徒「気持ち悪い…」
衝動的に口が開いた。
眠夢「えっ…なんでそんなこと言うの?」
咄嗟に出た言葉だった。
アテナは私の頭を優しく撫でた。
アテナ「…ありがとうね…バカなの?なら…バカにされないように私が勉強教えてあげるね〜!」
まさか当時付き合って同棲するぐらい仲が良くなるとは思っても見なかった。
人間の友達が初めてできた瞬間だった。

将来

学校帰りのファミレスにて。
アテナ「ねね、眠夢ちゃん。将来の夢とかなんかあんの〜?」
眠夢「…ハハ…」
ない。 
眠夢「まだ見つかってないです…」
アテナ「私は別に金あるからなぁ〜ん〜」
しばらく沈黙が続く
アテナ「あれ?どうやって生活してんの?」
眠夢「テセラクターと戦った時のおこぼれ…倒したと言っても私ではないんで…後は、伍番街の時国から補助金がて…後は…」
あれ?何で私こんなにもお金持ってるの?
眠夢「あれ?パパの会社って潰れたよね…なんでお金入ってるんだろう…」
アテナ「ん〜…」
アテナが変な機械を触り始める。
眠夢「なんですかそれ?」
アテナ「へ?あ〜…ブレスレット型スマートフォン。略してブマホ〜」
眠夢「携帯…?ですか?私持ってない…」
アテナ「あえっ!?持ってないの〜???この街でそれはヤバイぞ〜?」
ん〜っとアテナはまた考え始め私の手を握ってきた。
アテナ「お嬢さん…デートしない?」
眠夢「デ!デ、デート!?」
アテナ「3連休あるじゃん?ちょっと散策しようよ?ね?」
こんな美女とデートなんて…。
眠夢「でも私…おしゃれとか…」
アテナ「そうだね…よく見たら服高校の制服だよね…よ〜し、奮発しちゃおう。髪の毛もさ…思いっきり、ピンクにして…ポニーテールにして、目は…綺麗なオレンジ色してるね〜このままでよし。そして黒い口紅をして…ウンウン…シュミレーションしてみたけどどうかなぁ?」
アテナがブマホからビームを出してくる
眠夢「ひゃあ!?」
アテナ「あっごめんごめん〜こっちおいで〜」
ブマホは何かを拡大して移していたみたいだ。
まるで小さな映写機だ。
そしてそこには…。
明らかにヤンキーみたいな私が映し出されていた。
眠夢「こんなに目つき悪かったってでしたっけ!?」
アテナ「ハハ〜クールな君もかわいいなぁ〜。」
アテナさんは私を抱きしめながら話を続けた。
アテナ「ねっ?今楽しい?」
眠夢「えっ?はいとっても。」
アテナ「私の将来の夢はさ、楽しい事自体なんだ。お金なんかじゃない。この世には楽しくない人もいる。だから私は楽しい事をせめて共有していきたい。まぁ…お金ない人には冷たい目で見られるんだろうけど…」
ふと、母の言葉を思い出す。
『お金持ちや大きな力を持っている人は、地位や名誉を振り回す奴もいる。でもパパみたいに人のために動く人もいる。苦しんでない奴なんてこの世にいないんだよ。』
眠夢「…私のやりたい事…。」
ミツキ姉さん…ブーケ…。
アテナ「それをふまえてっデートするんだよ〜色々見て回ろう!じゃあお泊まりね〜ついてきな!」
急に抱きかかえられてビックリする。
アテナ「店員さん〜」
店員「はい〜って…アテナか…」
アテナ「なんであんた働いてんの?中学生じゃないの?」
店員「バカにしてんのか。夢を壊すな夢を。会計か?」
アテナ「へいっす。」
店員「一昨日、魔男(まお)を3人殺害。その報酬を…」
アテナ「おいっパイセン。」
アテナは私をゆっくりと降ろした。
え…殺害…?
そして店員の胸ぐらを掴む。
アテナ「ここで話す話じゃねえだろ?小さい男の子が全部歯が無くなるまでボコボコにされてたんだぞ?」
店員「はぁ…ったくお前は…たまたまブラックリストに乗ってた3人だったからまだしも…」
アテナ「弐番街のスラム街はもっと酷い…!」
店員「そうか…貴様…元弐番街出身だったか…。悪かった…悪かったよアテナ。気をつける。」
アテナ「もう〜かんべんしてよね〜ここに英雄さんもいるんだよ〜?」
店員「…。ほう…。」
店員さん?中学生の女の子は私を見つめる。
店員「コイツ…三年間もロボットやゾンビを殺しまくってた奴か…?ちょっとこいお前。」
手招きされる。
え?なにこれ?
店員「おばちゃんが飴ちゃんをやろう。」
ポッケから飴を取り出す店員さん。
それを受け取ると。
店員「よく生きてたな。お見事。天晴れだ。わしは…」
アテナ「話が長えぞ〜ババア〜」
店員「…歳上は丁重に扱えい。」
アテナ「データを後で送っておく。因みに見えたのはたまたまだ。私の能力も完璧じゃない。」
店員「…!?分かっ…た…そうか…。確認してみるよ。二人とも…頑張れよっ」
眠夢「は、はいっ」
アテナ「よ〜し行こうかっ」

殺人鬼とデート

前日私はアテナの家に泊まった。
正直私は怖かった。
だって昨日まお?を3人も殺した人と今寝ているのだ。
アテナ「どうしたの〜…」
眠夢「あ…あの…殺…殺したって…。」
ハァ…とアテナは溜息をつく。
アテナ「正直に言うね。私はアンタが怖い。」
眠夢「え…?」
アテナ「ベットではなそ。」
のわあ!?一緒のベットで寝るの!?
アテナ「裸になれよ…」
眠夢「ならないですよ!」
布団でしばらくいちゃつく。
アテナ「ハハ…。」
眠夢「何なんですか…」
アテナ「アンタは必死に生き延びようとした。最初褒められたでしょ?あんな境地を一人で生き延びたって。」
眠夢「はい。よく生きてたねって皆から言われました。」
アテナ「アンタにとって。ロボットは生きてる?」
眠夢「…はい…。アンドロイドの姉がいました。」
アテナ「ゾンビは生きてる?」
眠夢「…大事な…妹がいました。」
アテナ「私の言いたい事分かるよね?」
アテナの言いたいこと…。
アテナ「貴方は何千人と殺した。私よりも殺してる。でも褒められてる。私はね、怒られたよ。弐番街のスラムで、何回も死にかけた。朝は治安良いから、ご飯は食べれない。夜こっそり盗んで食べるしかなかった。」
眠夢「えっ…お母さんとお父さんは…?」
アテナ「魔女狩りにあってさ…私の前で殺されちゃった。その後…あのセンパイと会うまでそういう生活をしてた。参番街の人達が暖かくて本当に助かった。」
眠夢「歩いて来たんですか?」
アテナ「そだよ〜。私の足見てみる?」
てりゃっと毛布を蹴っ飛ばし足を見せる。
アテナ「ねっ傷だらけでしょ?魔法じゃもう…直せない。その代わり…ずっっっと歩き回ってたせいか。車や飛行機や、船なんか召喚できるようになったのさ。」
弐番街から肆番街は端から端。
とんでもない距離を人に煙たがれながらこの人は生きてきたんだ。
そして今も煙たがれながら生きてるなんて。
アテナ「そんな顔しないでよ…昔の話なんだから。アンタもそうだろ?」
眠夢「…うん。」
アテナ「ほらっ甘えてこい!」
眠夢「うんっ!」
ほぼ半年ぶりに、人と寝た。
そして朝。
アテナ「寝たぁ〜久々にこんなに寝た!」
眠夢「おはようございます…。もうお昼かぁ〜…シャワー…」
アテナ「待て待て…シャワーは我慢だ。」
眠夢「えぇ…」
アテナ「眠夢は温泉って知ってる?」
眠夢「おんせん?」
アテナ「キヒヒヒ…今日は楽しいデートになるぞぉ…」
アテナはしばらく考え…。
アテナ「今日は普通の車でいいかぁ。お話もしたいし…concept−愛。」
な、何だ!?未来型の車が出てきたぞ!?
アテナ「乗って乗って〜。」
アイ「どうもっこんにちは〜!コンセプト愛です!アイちゃんって呼んでね〜!」
眠夢「く、車が喋ってる!?」
アテナ「アイちゃん〜おひさ〜!デートのデータ送っといたから…」
アイ「おおお!?今日は一緒にたくさん走れるんだねぇ!」
アテナ「いける?」
アイ「ちょちょいのちょいの介〜!!!」
アテナ「さて…まずは…コーヒー専門店に行こう!」

コーヒー専門店。
アテナ「ヘイマスター」
スタスタといけたおじいさんがやってくる。
マスター「…アテナじゃないか。おやおや、可愛い女の子まで…。」
眠夢「…こ、コンニチハ…」
アテナ「マスターコーヒーの話をこの子に。」
マスター「長くなるよ〜。ちょっと真剣になるから待っててね〜」
真…剣…?
アテナ「待ってる間に…そうだ…。君と君のお仲間のデータを、実は少し見させてもらった。君の能力と私の能力…やっぱりなんか別物っぽいよね〜しかもなんだい?あの少年の能力は?吸血鬼ってことは知ってるんだけど…データがあんま載ってないのよ〜。」
眠夢「私にもあんまり教えてくれなかったですね…そもそも自分にも跳ね返りがある能力らしくて。」
アテナ「そんな能力もあるんだね〜。」
マスターがスタスタと歩いてくる。
マスター「お待たせ〜」
アテナ「ありがとうマスター!」
マスター「豆はブラックアイボリーと言ってね…象の…この話はしちゃだめだな。ああ…焙煎って知ってるかい?」
眠夢「ばいせん?」
マスター「かんたんに言えばコーヒー豆をピーナッツにする感じかな。豆を焼いちゃうのよ。それで酸味を減らしたり、苦味を引き出したりできるんだ。」
眠夢「す、凄い…」
マスター「お次は…豆を挽くって言ってね、豆を粉々にするんだ。挽きすぎると苦味が出る。逆に荒すぎると酸味出る。…お嬢さんは初めてだから中挽き。甘みが強く出る挽き方にしたよ。そして使っている水。軟水だ。」
眠夢「お水でも違うんですか?」
マスター「味が変わってくるよ〜。入れるときの温度でも変わってくるんだ。ぴったり85度で入れてある。これも苦いのが苦手な子もバッチリ。お次は…」
アテナ「ストリッパーだな」
マスター「ちがうそれダンサー。」
アテナ「スリッパだ。」
マスター「スリッパは…スリッパだ。ドリッパーだよ。コーヒーを淹れる時の奴ね。これもまた種類で味が変わるから面白いよね〜。最後に抽出時間は4分以内に。それ、丁度だ。さあ。いい頃合いだ。飲んでみて。」
か、会話で飲む適切なタイミングを!?
凄いマスター…
眠夢「いただきます…。」
あ、甘ーい!!!
マスター「どうやら口にあったようだね…良かった良かった…」
アテナ「私のもそろそろじゃない?」
マスター「オメェさんも変なの飲むねぇ。でも悪くない。こだわるってのは大事な事だ。」
アテナ「そう言ってくれるの…マスターぐらいだよ。」
マスターは優しく笑い、そしてコーヒーを持ってくる。
マスター「ほい。クソ苦くて、クソ酸っぱくて、クソ匂いがするコーヒーだよ。」
アテナ「これこれ…。…。ニガー!!!最高!」
しばらくコーヒーを堪能した。
アテナ「マスターお会計…」
マスター「あー半額にまけといてやるよ。また街を救ったんだろ?」
アテナ「でも…」
マスター「やり方はどうであれ、君は小さな少年の命を救った。だろ?」
アテナ「…ありがとう…」
マスター「お嬢さん。素敵なお友達ができたね。」
眠夢「…はいっ!」
マスターに手を振り返す。
店を出て背伸びをする。
なんか…世界が違って見える気がした。
眠夢「マスター。良い人でしたね。」
アテナ「優しすぎるよ。あの人は。実はマスターとは参番街の時に出会ってね。いやぁ…今も昔もマジでイケメン…。私もあんなふうになりたい!さっ!次は服屋に行くよ〜!」
服屋。
店員「ようこそっ!あれ?アテナちゃん?」
アテナ「こんにちは〜」
店員「えっ?可愛い子連れてるじゃんえ〜可愛い!」
アテナ「もっと可愛くしてあげて!」
店員「そうね〜黒い服の真ん中に死神降臨!ダメージデニムにシマシマのストッキングね!」
!?!?!?!?!?
えっ?ニコニコなお母さんのような人なのに…えっ!?
死神降臨!?
アテナ「めっちゃいいねぇ!それ!でもさ…その…デート用の?」
店員「あ?私の服が気に食わないってのか?」
アテナ「そ、そんなわけではないっす…姉御…」
店員「チッ…」
アテナ「姉御〜!セ、センスをもっと見せてくださいよ!ほらっ別の路線というか…」
店員「…。」
めっちゃギロって見られる…。
アテナも言う方なのに…この人かなり強い人じゃ…。
アテナ「わっ分かりました!じゃあ…戦闘用に改造したやつを姉御がチョイスしたやつで用意してもらいます!今日はこの子を天使にしてください!あ、召さないで!召さないでね!」
店員「…。」
眠夢「…。」
アテナ「…。」
店員「おっけ〜!待っててね〜。」
店員さんはどこかへ行ってしまう。
アテナ「…あの人は私に戦い方を教えてくれた人だ。」
眠夢「強そう…」
アテナ「弐番街から逃げる時に助けてくれたんだよ。」
眠夢「その時あの人何やってたの?」
アテナ「チャイナ服の研究…。」
なんだよそれ!?
アテナ「それと元ヤンだ。総隊長トップの暴走族で有名だ。色んな乗り物の乗り方教えてくれた人でもある。…!来たッ…!」
店員「お待たせ〜。はい!サテンのパンツに、ピンクのミニジャン。そして、Tシャツは〜」
天 使 降 臨。
結局降臨するんかい!
アテナ「あ、あの下着…」
店員「ん〜?いらねぇだろそんなの〜?」
アテナ「た、頼みますよ!」

店員「しょうがないわね〜。じゃあお会計ね…」
ピピッとして出た会計は…50万fg!?
アテナ「…ちょ…。」
店員「データ。見たわよ。」
アテナは少しうつむく。
アテナ「なら安いですね!」
安いの!?
アテナ「確実なんですか?」
店員「…。」
アテナ「そう…ですか。」
店員「何?捻じ曲げてやるわよ。夫の腕みたいにね!」
バコンッ!とアテナの背中を叩く
アテナ「痛ったぁ!?」
店員「しっかりしな!アンタは私の!たった一人の愛弟子なんだからね!そこの可愛い子ちゃんを全力で守ってやりな!分かったかぁ!?」
アテナ「押忍!」
何だこれ…。
店員「戦闘用の服は送っておく。」
アテナ「ありがとうございます〜」
店員「んじゃね〜バイバイ〜」
情緒不安定な二人だなぁ…。
眠夢「だ、大丈夫?アテナちゃん…」
アテナ「あの…く、クソバ」
店員「聴こえてんぞ〜!」
アテナ「やべえ!逃げるぞ!」
車に逃げ込み早急に出発する。
眠夢「次はどこいくの?」
アテナ「次はお待ちかねの…」

温泉。
アテナ「身体洗うよ〜。」
眠夢「ひゃあ!?耳弱いんで触らないで!」 
アテナ「ふ〜ん。じゃあ二番目に弱いところ探そっかなぁ〜」
眠夢「やめてぇ!」
もしゃもしゃに身体を洗われる私。
寮だとシャワーだけだったのに…。
家にある大きい桶ってお湯を入れて浸かるものだったんだ…。
アテナ「お次は露天風呂〜」
眠夢「…。」
綺麗だ。
空がこんなにも大きく見えるなんて…夕焼けが綺麗だ。
そして桶が室内のよりも薄くてでかい…。
外で入る温泉は最高ってことを知った。
アテナ「最高?」
眠夢「うんっ…」
アテナ「もっと最高にしてやろうか?〜」
そう言われサウナ室?に連れて行かれる。
アテナ「どう暑い?」
眠夢「なんか…暑いのに夏とかの暑さじゃない…何これ…」
アテナ「私達わね…今蒸されてるんだよ…」
眠夢「蒸されている…!?」
アテナ「そう…可愛く蒸されるんだよ。そういや、蒸し料理何が好き?私…茶碗蒸し…」
眠夢「小籠包…鬼まんじゅう…」
アテナ「良いね…最高…。眠夢はまだ初心者だから一旦出ようか?」
サウナから出る。
アテナ「ここでポイント。水を浴びます。」
眠夢「ええっ…」
アテナ「ちょっとずつね…冷たいから気を受けて…」
眠夢「あわあわあわえええれ!冷たい!」
アテナ「これをあと2回します。」
2回も!?
アテナ「血流が良くなって酸素が巡りやすくなるんだよ。それでリラックス出来るんだ。ハマることはないけど…あなたの戦闘スタイルのヒントにはなるかもね〜」
眠夢「しゅ…修行?」
アテナ「…フフフ。もう始まってんのよ…。コーヒーの所からね…」
!?
2回繰り返し、足だけ水に流す。
眠夢「冷たくない…なにこれ…」
アテナ「それが整うってやつだよ。分かる?なんか周りの空気がピッタリくっついてる感覚。」
へえ…凄い。
アテナ「さて…ここから露天風呂だよ…」
外をに出ると黄昏時。
アテナ「ここから休憩しながら満点の星空が見えるまで堪能するの…」
眠夢「私も黄昏時が好きなんです。凄く綺麗で。だんだん星と月が見えるようになって。でもちょっぴり切なくて…」
アテナ「ねー…何でだろうね…。」
眠夢「守りたい…ね…」
アテナ「うん。」

夜ご飯。
眠夢「凄ーい!アテナちゃん!こんな大きいステーキ初めて見たよ!」
アテナ「腹ごしらえな?」
ステーキ屋に来ている。
ステーキ食べ放題らしい。
アテナ「ねえ…明日さ…」
眠夢「うん。」
アテナ「闘ってみない?私と。」
眠夢「え…」
アテナ「身体鈍ってるでしょ?来なよ。会わせたいひとがいるんだ。」
眠夢「会わせたい人…?」

誰に似たか。

日曜日の9時。
アテナ「ここなら大丈夫でしょ〜」
眠夢「…ここは?」
アテナ「会う人の練習場所かな?」
…とてつもなく広い。
眠夢「私は戦わないよ?」
アテナ「え〜なんでさ〜?」
眠夢「圧倒的に不利じゃん」
アテナ「そのセリフ…アンタが言うの〜?」
…。
風がそよぐ。
来る!
アテナ「アパッチ・ロングボウ!」
瞬時に真っ黒な戦闘ヘリが現れる!
アテナ「それだけじゃない!」
!?起動があまりにも早すぎる!?
とんでもないスピードでヘリが空に上がる…!
眠夢「ビュー。」
ヘリを突風で突き落とす。
アテナ「のわぁ!?」
ヘリが大爆発を起こす。
眠夢「…。」
アテナ「あぶねー…巻き込まれる所だった…。…やるじゃん。」
眠夢「私は風だけでスタートの雰囲気も作れる。もっと本気出してよ。怒ってよもっと。弱すぎるよ。」
アテナ「ああ!?てめぇクソガキが…」
眠夢「そうwそれそれwwwカッコいいwww」
アテナ「轢き殺してやる!」
眠夢「アテナちゃん!貴方はなら本気で来てくれるって思ってた!」
アテナ「ブガッティ!」
真っ黒い車を召喚するアテナ。
アテナ「行くぞぉ!」
ブォォォン!
眠夢「早い!?でも…パコォン!」
私は石を飛ばす。
車のガラスが割れる!
アテナ「チィ!?なろぉう!」
アテナ…何持ってんの?
アテナ「ジャベリン!」
ブシュー…とミサイルが飛んできた。
眠夢「ビュー。」
アテナ「ここだっ!シャベリオン!」
ミサイルが超加速する。
眠夢「ちょっ!?私の能力が効かない!?」
あ…死…。
「…。」
ミサイルを小指で止める少女が目の前に現れた。
ミサイルが…グシャリと潰れどこかへ行ってしまった。
眠夢「ん?貴方は…」
ファミレスの…
店員「何やとっんじゃあぁぁぁ貴様らぁぁぁ!!!」
怒号が飛んだ。

ファミレス。
眠夢「ごめんなさい!私がアテナちゃんを挑発したんです!100%悪いんです!」
店員「そうだ!お前が悪い!なんて野郎だ!」
アテナ「…。」
うっわ…めっちゃ怒らせちゃった…。どうしよう…。
眠夢「本気で闘ってくれる子近くにいなくて…その…」
店員「お前なぁ…ったく…。アテナ。今日はタダ飯食っていいぞ。仲良くな。悪気はないんだよコイツは。誰に似たんだっての。」
アテナ「…。」
眠夢「アテナちゃん…ごめんなさい…。」
アテナ「…ハァ…クッソ…。」
店員「アテナ…!」
アテナ「分かってる…自分が弱いって所が。やっぱり沢山殺したら強くなるのか?眠夢ち…ちゃんづけすんのもめんどくせぇ。なぁ眠夢。」
眠夢「…。」
店員「アテナ。なんで私が魔男を3人を殺し時怒ったかわかってるか?」
アテナ「それは…」
店員「お前は戦闘不向きなんだよ。お前の魔法がなきゃ、人が死ぬんだ。だからお前も死んだら駄目なんだよ。」
アテナ「私の乗せた車で何人死んだと思ってる!私のあだ名知ってるか!」
店員「霊柩車だろ?お前は悪くない。私達が悪いんだよ。でも…隣に強い子がいるだろ?」
アテナ「それは…」
店員「アテナ。あの事言ってないな?」
アテナ「言ってない!でも焦ってんだよ!」
店員「無理だ。変わらないよ。そして皆受け入れてる。強くなるなんて思うな。」
アテナ「じゃあ何を…。」
店員「誰よりも速くなれ。」
眠夢「アテナちゃん。」
私は強く彼女の手を握った。
アテナ「また私…アンタの事が分からなくなった。少し寝てくる。貸してよ寝床。」
店員「あぁ。落ち着いたらちゃんと仲直りするんだぞ?」
アテナ「あぁ…。」
アテナは2階に行ってしまった。
店員「さて…」
眠夢「…はい。」
店員「君に話さないと行けないことがある。わしの名前は、戦念輝夜(せんねんかぐや)だ。」
眠夢「…どこかで聞いたことが…」
輝夜「君のお母さんの同級生だよ…」
!?そうだ…アルバムで見た…でも今はもっと幼い…何でだ?
眠夢「何で私よりも若いんです?」
輝夜「命を狙われているからな。歳を中学生にしてある。私が多分吸血鬼じゃ最長かな…。ココア飲むかい?」
眠夢「はい。」
輝夜「にしても…若い子のアイツにそっくりだ。負けず嫌いで、喧嘩ばっかり。男の子をすぐになかしてた。」
眠夢「全然似てないですねぇ!」
輝夜「いつでも本気な奴だった…。」
眠夢「…。」
輝夜「ちょっと外に出ろ。データだけじゃお前の能力は分からん。見せてくれ。」
私は外に出て。石ころを輝夜に渡す。
輝夜「なんの真似だ?」
眠夢「この石を重くします。ドン。」
輝夜「…。」
あれ?何も起こらない。
輝夜「弱いな。打ち消した。そんなんじゃ死ぬぞ。」
眠夢「打ち消した!?…じゃ、じゃあこの石を空高く飛ばします。ビューン!」
ぽて。と石は落ちる。
輝夜「打ち消したって。なんだ…そんなものか。よーし、少し意地悪をしてやろうか。手のひら見せろ。」
眠夢「えっ…はい…。」
輝夜「…。」
そっと小指を近づけてくる輝夜さん。
手のひらにあたった瞬間。
眠夢「熱いっ!ガッあ!」
なんだ!身体全身が熱いし、ビリビリする!
輝夜「特別に教えてやる。今お前に熱と雷の魔法を封じ込めた。」
眠夢「っつぅ…」
輝夜「流せ!外に出すんだ!」
眠夢「で、出てけ!」
輝夜「ハハハwww無理だ無理!だってお前!熱や雷なんて見えてないだろ?体内にあるものなんてイメージ出来るか?見えないよな?」
眠夢「うっ…」
クソ!無理だ!イメージが全くわかない!
その時、服からエラー音のような音が聴こえる。
瞬間アテネが吹っ飛んできた。
眠夢「…アテネちゃん…。」
アテナ「パイセン?何した?」
輝夜「ほお。その服。アイツの服か。命拾いしたな。バリアが展開されたか。ワシのイメージとしては熱と雷を無理やり剥がして反射してくるかと思ってたのに…やはり母とは違うか。にしてもアテナ。嬉しいぞ。本当はちゃんとこの娘の事見てるんじゃないか。」
眠夢「…っ」
立ち上がれない!
輝夜「今みたいになったらもうどうにもならん。死ぬしかない。しかしお前の能力じゃ流すことだって無理だ。」
眠夢「一体どうすれば…。」
輝夜「張れ。常にバリアを張るんだ。今のお前はそれしかない。」
眠夢「なんでそんなこと教えてくれたの?」
輝夜「お前が悪い組織に狙われてるんだよ。だからアテナをお前に見張らせた。あれほど接触するなといったのに…。でも…お前らはいいバディになるぞきっと。」
!?そうなの!?
輝夜さんは私に近づき頬を触る。
輝夜「これで回復できた。まあ本来この魔法は拷問に使うんだけどなー。」
眠夢「身体が軽い。痺れも治った…。」
輝夜「眠夢。お前は弱い。弱すぎる。戦闘力が強くても防御力1じゃ意味がない。はっきり言おう。お前なんかよりアテナの方が数億倍強い。」
アテナ「!?」
輝夜「忠告だ。お前、この街の魔女狩りや魔女の事を知ってるな?狙われているぞ?くだらん。英雄殺し、なんて称号を欲しがってる奴らがいる。地位や名誉にすがってるやからどもだ。気をつけろよ?」
眠夢「…はい。」

アテナの車。
眠夢「…。」
アテナ「…。」
私は取り返しのつかない事をした。
せっかくできた繋がりを自分で切ってしまったのだ。
眠夢「あの…。」
アテナ「…何?。」
眠夢「ここで降ろして。私本屋行きたい。」
アテナ「あそ。」 
キキィ…っと車が止まる。
眠夢「短い間だったけど…仲良くしてくれてありがとう…さよなら…んんっ…」 
涙を堪えれなかった。
私は逃げるように本屋へ逃げた。

憧れ。

おもむろに本を読んだ。
サウナの本だ。
溜まっているもの放出…。
眠夢「…サウナ…。」
血の流れ。
流す…。
眠夢「…流血…!」
お母さんは魔法を巡らせて跳ね返したのかも。
なら私は血を流せば…。
眠夢「いや!?元々お母さんは吸血鬼だった…」
更に本を探す。
…あった。
流血戦闘術の2巻。
高校の図書館に2巻だけなかったのだ。
吸血鬼には当たり前の事だから、眠夢はできないって鯉戸が言ってたっけ?
眠夢「私はもしかしたら…人間だけど吸血鬼の能力もあって、それで身体が耐えきれてない、扱いきれてないってこと?…。」
なんてブツブツ言いながら私は会計へと向かう。
が。
目の前に…パンクな女性が可愛らしい絵本を売っていた。
残り一冊だ。
眠夢「…。」
目を引かれた。
心を惹かれた。
眠夢「あの…すいません…。」
「ん?」
眠夢「一冊…頂けますか?」
「…はい!」
パンクな割にはすごい丁寧で優しい人だった。
眠夢「平和芽亜里(へいわめあり)?」
芽亜里「そう…ペンネーム。平和に芽あり。って意味。ん?もしかして…私のこと知らないの?」
眠夢「す…すいません…。」
芽亜里「じゃあ私の事知ってほしいなぁ…。」
芽亜里さんのことを知る?
芽亜里「私はね。歌が好きで、絵本も好き。平和が好きなの。でもその為には戦わないといけない…。それを作品にぶつけてるんだ…。」
眠夢「へえ…」
芽亜里「貴方…嫌なことあったでしょ…」
眠夢「…。」
芽亜里「特別だよ。Flowering。A1。」

今思えば芽亜里さんは詠唱だけで共創者の能力が出せる強者だ。

ん?なにこれ…。
眠夢「なんか変な気分。」
芽亜里「心がズキズキする。そうか…喧嘩しちゃったんだね…彼女と…。」
眠夢「まだ付き合ってない…。」
芽亜里「付き合う気はあるんでしょ?」
眠夢「それは…ハッ!?」
芽亜里「おお…魔法が解けた…。」
眠夢「いま、えーわん。とか言いませんでした?」
芽亜里「いいや?」
眠夢「私の同級生が使ってた所見たんです。カードみたいなの…。」
芽亜里「共創者!?」
ガタッと立ち上がる。
眠夢「うわっ…共創者…?」
芽亜里「…。そう。魔女の深い契約を交わした人が扱えるの。」
眠夢「…魔女?」
芽亜里「ここの地域の魔女とかじゃなくて…うーん…言い表せないけど…兎に角そういうものなの。もう…私だけかと…」
眠夢「共創者…。」
芽亜里「そう。覚えておいてね。」
眠夢「あの…すいません。」
芽亜里「ん?」
眠夢「私…芽亜里さんみたいになりたいのかも…」
芽亜里「絵本作家に!?」
眠夢「なんか…ピッタリというか…凄くこれだって。思って…。」
芽亜里「へえ…あっ。あれだよ?能力は使ってないからね。君の本心だよそれは。よーし。分かった。なんか私、君と縁があるような気がする。私もね…これだってなってる!あ、そうだ。またおいでよ。しばらく私ここにいるからさ。」
眠夢「ありがとうございます!」
芽亜里「あ、最後に。LIT。A1。」
パッと気持ちが明るくなる。
芽亜里「あ、私が共創者ってこと…秘密ね。その同級生にも彼女にも内緒だよ。絵本。楽しんで。」
眠夢「ありがとうございました。」
私は外に出る。
大雨だ。
そこには、
アテナ「…。」
アテナがいた。
眠夢「…。」
私はアテナにキスをした。
アテナ「帰ったら…分かるよな。」
眠夢「…うんっ。」
アテナ「本持つよ。」
眠夢「重いから気を付けて。」
大雨なのに…何でだろう。
沢山踊りたくなった。

半年後

あの時の言葉は忘れない。
アテナ「実は…初めて人と寝た。」
寝夢「そうなんだ。」
アテナ「凄い寂しかった。」
もう、アテナを寂しがらせない。
守ってみせる。
私はアテナと同居することにした。
先生にも。
先生「お前…最近成績上がってきてるな…」
眠夢「ねっ?アテナって凄いんですよ!」
先生「アテナ」
アテナ「あ?」
先生「お前…特別にSSランクだ。見直した。」
アテナ「おおっ!?どうしたんだよ〜!?」
先生「教え方かなり上手いぞ。眠夢の成長から見ればわかる。」
アテナ「なんか…恥ずいな…」
しかし、私達を嫌っている人は多い。
周りの生徒「あの二人付き合ってるらしいよ〜」
周りの生徒「なんか嫌だわぁ…」
私達はそいつらに舌を突き出す。
先生「それじゃぁ夏休み入るからな。まさかアテナがオールSSになるとはな。流石上級生って所だ。ただ…態度は気をつけろよ。よし、解散!皆怪我や事故!事件に巻き込まれるなよ!」
私達の夏休みが始まる。
それは最高になる予定だった。
地獄の始まりだった。

絶望。

これはアテナに聞いた話だ。

いきなりエラー音が鳴り飛び起きる。
アテナ「なんでこんな急に!?」
私は焦っていた。
眠夢が危ない。
服につけてもらったバリアがとんでもないスピードで削られている!
明らかにデータと日にちがズレている!
アテナ「concept愛!」
車を召喚した瞬間アイも焦っていた。
アイ「や、ヤバいよ!アテナ。どうしよう…」
コーヒー専門店、服屋、そして本屋。
全てがエラー音と共に真っ赤に染まっている
アテナ「今日は職場体験の日…!眠夢は本屋にいる!」
ドォン!と衝撃音がなる!
遠くから声が聞こえる!
「魔女狩りの開始だぁ!」
クソッ魔女狩り結構の日がズレたってことは…魔女サイドに裏切り者がいるってことじゃん!

コーヒー専門店。
アテナ「燃えている!マスター!クソ!消防車!」
消防車を召喚し、火を消しながらマスターを探す!
いくら眠夢が危険とはいえ見ていられない!
ある程度火を消し、扉を蹴破る。
マスターは血を吐いて倒れていた。
アテナ「マスター!おい!」
マスター「バカ…ヤロウ…おめえさん…なんで…来た…」
アテナ「何があったんだよ!」
マスター「アテナ…よく聞け。あいつらは…魔女狩りじゃない。魔女と魔…男の軍団だ。人間じ…ゃない。やられたよ。心臓を焼き焦がさ…れた」
アテナ「マスター!」
マスター「アテナ…最後に。お前は…新しいものに、手をつけ…ようとしていた。それは…お前らしくな…い。お前…はこだわれ。兎に角こだわり…ぬけ…皆お前の…ことを足だと思って…やがる。違う。お前は…もっと強くな…る。戦闘不向きなん…かじゃ…」
その時マスターの身体がピカッと光り、爆発した。
アテナ「ジェットブースト!」
何とか脱出したが…コーヒー専門店は跡形もなく、火の海になった。
アテナ「クソッ…クソッタレ!マスターに爆発魔法なんて!」
私がアイに乗り込むと、アイの鳴き声が聴こえた。
アイ「服屋の店員さんから…。メール…。」
…師匠!?
『愛弟子へ。服は私の下に眠っています。楽しかった。貴方は生きて。』
アイ「みんなし、」
体に衝撃が走る。 
車から投げ出された!
ミ…サイルを打ち込まれ…た!
アテナ「アイ!」
アイ「なんとか…でもごめん…私もう…下がる…。」
クソ!
アイはゆっくりと消えていった。
センパイの言葉を思い出す。
戦闘不向きだ。
マスターの言葉も。
アテナ「何が戦闘不向きだッ!不向きでもやらなきゃいけない時がある!勝ちをぶんどりにいくんだ!」
今まで私はただ乗り物を召喚していただけ…。
作り出すんだ!自分で!未来の乗り物を!
アテナ「スケートホッパーBOOST!」
私は未来型のスケートに乗る。
クッ…速すぎる!これが未来の乗り物か!?
後ろをみるとヘリと戦車が走っているのがわかった。
戦車って…!?あれは90kmも出せる戦車だぞ!奴ら一体誰何を企んでいる!?
アテナ「リベリオン!ハイパー!」
ミサイルを大量に打ちヘリと戦車を撃ち落とす!
更に!発射の衝撃でスピードを上げる!

服屋。
服屋につくと、明かりが真っ暗に消えていた。
ゆっくりと開けると大量の死体。
そこに師匠はいた。
師匠「…。」
アテナ「息をしてない…。」
師匠の亡骸を丁重に移動し、下にあるタイルを開けた。
服だ。 
もう一つバイク用のスーツが現れる。
そして見たこともないデータチップ。
アテナ「…このチップの入るバイクを想像するんだ…サンダースターBOOST!」
バチバチと明らかに風格が違う、バイクが現れる。
私はスーツに着換えバイクに跨った。
アテナ「こんなにも沢山の魔女や魔男と戦って…すべて倒したんだ…アンタは誇り高い…未来予知者だよ。」
私はバイクを走らせ、データチップの中身を確認する。
師匠『アテナ。誕生日おめでとう。これは私からの些細なプレゼントだ。このスーツは1000km以上も耐えられる。最強のスーツ!そして…どうせ私は死んでるだろ?』
アテナ「…。やっぱり知ってたのかよ。」
師匠『お前が見た未来予知のビジョン。確実に起きる。』
アテナ「眠夢が死ぬってのか?」
両目をくり抜かれて…藻掻き苦しむのか?
師匠『でもな、そんなもん変えちまえ。未来予知なんて宛にならない日が必ず来る。それが今日だ。お前が成し遂げろ!』
うおおお!!!
アテナ「眠夢!間に合えええッ!!!」

無くしたもの。

私はフラフラの中起き上がる。
一体何が…
電撃魔法…?
本屋がメチャクチャだ…
芽亜里「…くっ…」
眠夢「芽亜里さん…」
芽亜里「さがって眠夢ちゃん…貴方…魔女よね?」
目の前にニヤニヤした女が立っている、
魔女「こんにちはぁ…ちょっとお尋ねしたいんですけどぉなぜ貴方達は人間なのに魔法が使えるんですかぁ?」
芽亜里「本屋をめちゃくちゃにした貴方に…何も言いません!」
魔女「ふぅん。」
トンと
芽亜里さんの胸元に何か刺さった。
ナイフだ。
芽亜里「…う…」
眠夢「え…」
芽亜里さんは倒れ込む。
魔女はスッと銃をどこからか出した。
間に合わない…。
魔女「これでおしま…」
アテナ「させるかぁ!」
芽亜里さんと魔女の間にアテナが入り込んだ!
が…。
魔女「ショットガンブロウ。」
アテナ「ギッ!?」
アテナは吹っ飛ばされた。
眠夢「アテナァァァ!!!」
魔女「あれがアテナか?黒魔術で一番強いって噂の。あー違うな。これで私が一番だ。ハハハハハハ!」
こいつが黒魔術使いで二番目ってことか!?
芽亜里「フッ!」
芽亜里さんが急に起き上がる。
魔女を刀のような武器で斬った。
魔女「へえ。死ぬところだった。ピンピンしてんじゃん。」
ぎりぎり避けられたか!?
芽亜里「Ambition。A1。」
アテナ「そこだぁ!」
アテナがクロスボウで魔女を撃ち抜く。
魔女「へえ。やるね。効かないけど…。」
アテナ「クソ…。」
魔女「未来は変えられないのさ。良い目をしてるね君。」
急に魔女は私の目の前に現れる。
その時目が見えなくなった。
眠夢「え…」
魔女「…あれ?」
アテナ「なんだ!?」
芽亜里「ぐううううぁぁぁぁ!?」
芽亜里さんが苦しんだ声を出す。
芽亜里「ハァ…ハァ…シリウスの心臓…。A1。」
魔女「未来が変わった…?」
眠夢「目が…」
芽亜里「この世界口づけを。A2。」
瞬時に目が見えた。
眠夢「…一体何が…見えるようになった?」
???「ファンブルです。あなたは右手と画力を失います。」
芽亜里「うっ…。」
右手が何者かに食いちぎられ…いや。
魔女「なんだ?黒い魚?」
眠夢「テセラクター!?」
芽亜里「糸…A1…。」
糸が私の心臓に繋がる。
芽亜里『聴こえるかな…。ああ…気にしないで…私…満足なの。自分の力で未来を変えた。』
な、何これ…。
芽亜里「物語のワルツ。A2。」
芽亜里『貴方に共創者の力をあげる。これで…魔女の誰が裏切ったか分かるはずだわ。』
芽亜里さん…。
芽亜里さんはぐったりと倒れた。
そしてテセラクターが芽亜里さんから現れる。
テセラクターは何もせず泳いでいった。
…声が聞こえる。
???『聞こえる?』
眠夢「え?何?貴方は誰?」
???『私は君のテセラクターさ。名前なんてないよ。君を喰らう。ただそれだけだ。その変わり力は得れるよ。』
眠夢「…そう?じゃあ…メアリーって呼んでいい?」
メアリー『うん。いい名前だね。じゃあ私は今からメアリー。』
輝夜さんに言われた言葉。
今ならよく分かる。
眠夢「…纏え。畢生よ。」
魔女「何?変身ベルト?」
私にとってのバリアは命。
一生。
それすなわち。
死ぬ気。
眠夢「メアリー。死ぬ気で行くよ。」
メアリー『そうかい。じゃあ契約をしようか。』

覚醒

私は見たことない、ベルトを纏った。
眠夢「何これ…?」
メアリー『見たことない魔法発動器だな…このEntryカードをベルトに…ここかな?セットして?』
眠夢「うん。」
発動機にカードを縦に入れる。
メアリー『レバーを横に引けばいいのかな?』
眠夢「…。」
勢い良く引くと。カードがベルトの中で切れる。
メアリー『切腹…なかなか面白いね君。エントリーできたよ。これで魔力が君の身体に流れる。』
眠夢「…何だこれ…今まで体験したことない感覚だ…。」
魔女「何一人でさっきから喋ってる?」
眠夢「覚醒。the last bullet。クライベイビー。」
目の前で指を鳴らすとカードが現れる。
衝動的に。
勝手に身体が動く。
カードを3枚装着する。
そして切腹。
メアリー『3枚同時に発動…こりゃ…見たことないぞ?』
眠夢「オールA1。」
銃と血液から刃が現れる。
魔女「ほお…」
眠夢「アンタは生きて捉える。」
魔女「かかってきなよ。」
銃を一発撃つ。
魔女は堂々と食らうが…
魔女「…なに…?無効化…できない…」
眠夢「この街の魔法って概念じゃないらしい。私の魔法は。だからお前は無効化できない。」
血の刃で魔女の両足を斬る。
魔女「ぐっ…。」
これでラストだ。
眠夢「覚醒。」
指を鳴らしカードを召喚。
カードをセットし、切腹。
眠夢「A2。」
メアリー『君から言語の一部が表現できなくなったよ。』
眠夢「…。へへへ…。最高の気分なのはどうしてかなぁ?お前を本当はぶっ殺してやりてえけどなぁ!行くぞ!クソアマ!」
あぁ…私…口が悪くなったのか…。

大きな代償

アテナ「眠夢!?」
眠夢「これが共創者の力みたいだ…。大きな代償で口が悪くなっちまった。」
魔女「かかってきなよ。」
何言ってんだコイツ。
眠夢「もう終わってんだよ。」
魔女「!?」
私がさっき撃った弾は魔女に貫通していなかった。
弾は体の内部。
魔女「身体が熱い!」
眠夢「魔女って魔法を流すの得意じゃん?だからテメェの身体で溶かして全身に渡らしたんだよ。」
魔女「…なんで!?流せない!?」
私は苦しんでいる魔女を外に放り出す。
眠夢「アテナ。見てろ。」
魔女は苦しみ次第に大きくなり、爆発した。
ものすご衝撃が全身に伝わる。
アテナ「うわぁ!」
アテナもすこし吹っ飛んだ。
眠夢「マスターの仇だ。さっきビジョンが見えたからな。同じ殺し方をしてやった…よ…」
疲れだろうか?急に眠気が来る。
メアリー『存在値を使い過ぎたね。そんな乱発して使ったら死ぬよ?』
眠夢『存在値はなくならないよ!だった私…英雄だからね
!』
メアリー『それ自分で…』
メアリーの声を聞き終わる前に意識が無くなる。
大きな代償は正直怖い。
二度と戦えなくなるのかもしれない。
でも私にとって、更に最も大きな代償になるのは。
大切な人達がいなくなることだから。
だから死ぬわけにはいかない。
絶対に。

魔女騎士加入

目を開けると…病院ではなく…
輝夜「起きたか。」
輝夜さんの家だ。
しかし、拘束されているようだ。
眠夢「クソチビ…なんのつもりだ…」
輝夜「なっ…なんてこと言うんだ!?もう飴ちゃんあげないぞ!」
眠夢「あっ!ちげぇんだよ!言語に欠損が起きちまってこの話し方しかできねぇんだよ!てか解けよ!クソ!」
輝夜「…。大変なことになった。もう知ってると思うが…私のチームから裏切り者が出た。お前も関与しているのか?」
アテナ「それは違うって…何度も言ってるじゃん…」
隣から声がする。
横見ると私と同じく大怪我を負ったアテナがいた。
アテナ「マスターを殺した魔女をとっ捕まえた。」
眠夢「あれ?殺さなかったっけ?」
アテナ「ギリ生きてたよ。あれじゃもう二度と魔法なんて使えないだろうけどね…」
輝夜「眠夢。拘束を解いてほしいか?」
眠夢「当たり前だろ!寝返りうたせろよ!身体痛てぇって!」
輝夜「なら私のチームに入れ。お前は魔女騎士になるんだ。治安を守るスパイみたいなもんだ。」
眠夢「へえ…面白そう…。条件がある。」
輝夜「何だ?」
眠夢「私の高校の頃の友達も入れてくれ。あいつ等にはどうせ会う。結局はバレる。」
輝夜「ハァ…何とかして話しつけてくる。」
眠夢「さんくす〜」

娘の絆夜

あれは夜の8時。
金曜日。
大雨の中だった。
アテナ「お腹減ったね〜コンビニ行く?」
眠夢「ん〜」
傷はまだ完治しておらず、二人で足を引きずりながらコンビニに行く。
アテナ「いやぁ…まさか右足がやられるとは…運転できないよ…」
眠夢「ちげぇよ。芽亜里さんがいたからこれで済ん…ん?」
遠くで見える、小さな少女。
うずくまっている。
アテナ「えっあの娘…?どうしたの?」
「ハァ…!ハァ…!」
眠夢「苦しんでる!」
女の子のお腹当たりが光っていることに気付いた。
服をまくると。
眠夢「何だこれ…ひでぇ…」
アテナ「この印は!?センパイに電話してみる!」
輝夜さんはすぐに飛んできてくれて、家まで入らせてくれた。
輝夜「淫紋…全ての淫紋がこの子に刻まれている。」
眠夢「淫紋って…」
輝夜「性的な洗脳、契約を強制的に行われる際に浮き出る印だ。まだこんな幼いのに…」
アテナ「…クソ野郎!」
輝夜「私には解除できない。印をつけた奴を殺すか。それとも解除させるか。わしができるのは…印の順番を変え、できるだけ負担を減らすことだ。外へでろ。危険な作業になる。」
アテナ「…分かりました…。」
13時間後。
輝夜さんはフラフラの状態で外へ出てきた。
輝夜「何とか一命は取り留めた。だが…時間の問題だ。まず、太陽に当ててはならない。ご飯も生命に関わるもの。血液だ。そして分け与えても時間はない…覚悟しておけ。」
眠夢「クソッ…暗い場所だったら…宛があるぜ。」
アテナ「どこ?」
眠夢「私んち。地下に本が置いてある。」
アテナ「分かった。日が落ちたらそこへ向かおう。」
輝夜「わしもついて行く。この子が何者かも分からん。狙われる可能性もあるからな。」
アテナ「ありがとうございます。」
日を跨いで23時。
輝夜さんの車に乗せてもらう。
眠夢「…。」
輝夜「…。眠夢。わしのことを疑っているだろ?」
眠夢「…クソ…。」
輝夜「それでいい。すぐに怪しいと思ったら私をつき出せ。」
アテナ「この子起きないね…。」
輝夜「夜中の0時から5時までしか起きれない。更に…今は…2時間が限界だろう。それと、眠夢。共創者の力と言ったか?この子に絶対に使うな。逆効果だ。印が強すぎる。」
眠夢「…分かった…。」
今すぐにこの子が襲われたことを無かったことにすれば良いと考えた。
しかし、別の被害者が増えるだけ…。
歯がゆい。
輝夜「ついた。私は帰るぞ。」
アテナ「はい…。」
輝夜「頼んだぞ。」
家に入るともぬけの殻。
地下室の鍵を開け、女の子の頭を膝に乗せる。
しばらくすると彼女はスッと起きた。
アテナ「うお。…どう?調子は」
「…。」
何も返事がない。
眠夢「おいガキ。名前は?」
「…ああ…うう…?」
この子…記憶がないし喋れないのか。
アテナ「よ〜し。名前をつけてあげよう。夜に出会えたから夜…う〜ん」
眠夢「夜に繋がった命…私達の絆…的な…?」
私は何を言ってんだ…。
アテナ「きずなのよる…絆夜…つなよ。絆夜(つなよ)…よ〜し君の名前は絆夜だ〜。」
絆夜「ん〜♪」
すごく嬉しそうだ…。
眠夢「う〜ん…ガリガリじゃねえか!テメェ!飯作ってやんよ!」
アテナ「作れないでしょ〜私に任せて。」
眠夢「私の血を使ってくれ。」
アテナ「遠慮なく貰うよ〜」
絆夜に見られないように、私は手首を斬る。
眠夢「はぁ…っがっ!いってえ…痛覚なんてなけりゃぁなぁ…」
アテナ「気持ちわかるわ〜でも口の中フォークで突き刺して血まみれとかあるみたいだからね。」
他愛のない話をし、アテナは料理を作りに行った。
眠夢「…くっ…!?」
少しふらついた。
こんなにも血を使うのか!?
これじゃあ私も限界が来るのは早そうだ。
私は笑顔を作り直して絆夜と話をする。
眠夢「絆夜。本興味ねぇか?」
絆夜「…ほ…ん…」
ほんの少しは喋れるみたいだ。
眠夢「じゃあな…これはどうだ?シマウマさんとパンダさん。」
絆夜「…。」
無反応だ…。
でも読み聞かせやってみるか…
眠夢「ある日シマウマさんは悩みました。ジブンが島なのか馬なのか。パンダさんに聞いてみました。すると…オレなんてパンかダなのか分かんねぇよ。」
…5分後
眠夢「分からなくていい。自分は島でもあるし、馬でもあるし、シマウマでもある。ぱんだくんは、ダを探すために旅をするのでありました。」
?????????????
…なんだこの本…。
作を見るとそこにはしっかりとミツキと書いてあった。
姉ちゃん…センス…。
私に読み聞かせようと作ってたのか…。
眠夢「…。」
絆夜「???」
眠夢「…つ、次の本は…」
アテナ「ご飯できたよ〜」
アテナ…地獄のような空気をかき消してくれた!
アテナ「因みにダはヘビってオチね。」
眠夢「聞いてたんかい。無理やりすぎだろ。」
アテナはうまくオムライスを作り上げた。
絆夜「あ…あ…う…」
絆夜がポロポロと涙を流した
アテナ「えっ!?どうしたの!?」
絆夜「まうまぅぅまうま!」
絆夜は笑ったまま寝てしまった。
眠夢「お、おい!私の血を絆夜に!」
まずい!
アテナ「分かった!」
無理やり私の血を飲ませる。
何とか大事に至らなかったみたいだ。
スースーと眠っている。
やけに姿勢の良い寝方だ。
アテナと顔を合わして溜息をつく。
眠夢「これは…輸血パックも用意しておかないとな…」

神椿市崩壊中。〜肆番街、伍番街〜

勇「その娘は?」
眠夢「半年たった時…。丁度2週間前だ…。彼女は…息を引き取った。なんにもすることができなかった!」 
手が震え、また銃を落とす眠夢。
眠夢「おっさん。私は貧血だし、共創者の力を今ほぼ使えない。」
勇「なんでだ?」
眠夢「存在値が減りまくってる。血もだ。だから使えない。」
ようやく俺は目元が黒いチークで塗られているのではなく真っ黒なクマだと気づいた。
眠夢「絆夜に印をつけたのは魔女だと判明した。30種類。神椿市だけじゃねぇ。全世界の魔女から30人見つけて殺すしかないんだよ。まだ私は諦めちゃいねぇ。」
絶望的な数字だ、しかし。
眠夢「絆夜の死体が腐らないことが判明したんだ。まだ手立てはある。そう…私は…零番街にいる魔女を探す為にきた。復讐さ。」
勇「残念だが…魔女と呼べる人達は5人しかいない。それが現実だ。そんなことするはずがない5人なんだよ。」
眠夢「分かってる…でも…何かしら方法があるはずなんだよ。」
時刻は朝の7時。
眠夢「…わりぃ眠たくなってきた…そろそろ…眠る…。」
眠夢の身体が崩れる。
勇「危っ!?」
「とうっ!」
マシュマロだった奴が急に飛び上がって眠夢を抱きかかえた。
「ふぃ〜あぶね〜!」
更に。
「お待たせしました。近くのテセラクターは私が散らかしておいたので。」
杖を持ったツインテールの女性も現れた。
コイツ…何者だ?
「すげえな!流石自称女神!」
「ママと呼びなさい!さて…運転はわたしがするわ。」
勇「…お前ら急に元気だなぁ…」
俺たちは車に乗り、零番街の中心へと進んでいった。

神椿市崩壊中。〜肆番街、伍番街〜

  • 小説
  • 中編
  • 青春
  • 恋愛
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-08-28

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. どうでもいい前世のお話
  2. 幼少期
  3. 共存、共生
  4. 戦傷
  5. 花束
  6. さよならの悲劇(前編)
  7. さよならの悲劇(後編)
  8. 箸休めその1
  9. 高校生
  10. 鯉戸の優しさ
  11. 身体測定
  12. 勝負
  13. 夜飯と性癖
  14. 高校三年生。冬。
  15. 共鳴
  16. プラチナトレイン殲滅戦1st
  17. プラチナトレイン殲滅戦2nd
  18. 高校卒業
  19. 箸休めその2。
  20. 大学生編
  21. 将来
  22. 殺人鬼とデート
  23. 誰に似たか。
  24. 憧れ。
  25. 半年後
  26. 絶望。
  27. 無くしたもの。
  28. 覚醒
  29. 大きな代償
  30. 魔女騎士加入
  31. 娘の絆夜