ちょっとそこまで。
エッセイ集『アンダンテ』より。
おうちdeちょこ文 折本フェア場外
2021/8/19~8/26配信
「ちょっと外に出てくるね」
「車で?」
「いや、歩きで」
「いいね、運動した方が健康にいいよ」
「だって近いから」
「あ、コンビニ?」
「当たりー」
「そう、じゃあ、気をつけてね」
私と父のいつもの会話です。私が住んでいる一軒家は町中に近くとても便利がよいです。病院に学校、図書館にコンビニ。あらゆるものが近くにそろっています。特にコンビニは近くに二軒もあり、私はよくお金の支払いや人様の作品のネットプリントなどに使用しています。もちろんアイスやお菓子を買ったりなどにもとても便利です。
ゆったり歩くのにちょうどいい距離なので、ゆるい坂道をゆっくりと下っていくのがいつもの光景です。
今日はですね、突然ぷち贅沢がしたくなりました。そこで、私はいつもの様にコンビニにいくことにしました。それは、なんとなくじめっとした暑い日でした。なんだか、アイスが食べたい! しかもいつもの100円ぽっちのではなく、ちょっとお高めの……ようするに○ッツですね。私はこのマカダミアナッツ味が大好きです。でも、このアイス、先に書いたように少々お高くてなかなか食べられる代物ではないのです。しかし、今日は違います。今日はなんでもない日だけど特別なんだから! 私が食べたいと思ったから! 今日はアイス記念日――というのは嘘ですが、とにかく私は暑い中わざわざ歩いてコンビニまでやってきました。
あぁ、クーラーが効いてて涼しい!
さて、お目当てのものは決まっています。私は迷わずマカダミアナッツ味の○ッツをレジに出しました。ついでに他のお菓子も買っちゃったりして。さすがに○ッツのためだけにコンビニなんて贅沢すぎますからね。
帰り道はゆるい坂道を今度は登らなければならないのでちょっとだけつらいです。はぁ、信号までが遠い。でも、信号を超えたらあともう少しで家ですから、頑張っていきましょうね。
ふぅ、ただいま。運動した後のアイスは格別ですね。これは家族にバレないようにこっそり食べねば。ふふふ。
話は変わりますが、聞いてください! 今日はですね、私の本が売れたんです! いやぁ、とっても嬉しいことです。弱小サークルの私はオンラインイベントに出まくって、『数打ちゃ当たる戦法』で宣伝を繰り返している宣伝魔です。なので最近では、
「ネリさんってどこにでもいますね!」
と言われてしまう始末。だって、それくらいしないと全然本が捌けないんだもの。やっぱり作った本は売れた方が嬉しいですしね。
と、いうわけでスーパーお手紙タイムです。
『買ってくださってありがとう、嬉しいです!』
『この本はですね、とても思い入れが強くて……』
なんて長ったらしい手紙をつけるのが常です。だって、嬉しくて嬉しくて仕方がないのですから。このお手紙と本を梱包して、住所を書いて、切手を貼って……
「何? また本が売れたの?」
「そうなの! 今からポストに出してくる!」
家族にすっかり同人活動がバレている私はおおっぴらにこんな話を家族とします。
その件のポストも近くにあるので、重宝していますね。ただし、少し難点が。ポストにたどり着くまでに信号があるのです。この信号、切り替わるのがとても早い!
私はいつも信号が青になると必死で全力疾走して、ポストに封筒を差し込み、また信号が赤になるまでに全力疾走しているのです。なので、コンビニを使用しない発送作業はやたらと疲れるのです。いつだって汗だくで家に帰ってきている私にはよほど体力がないに違いありません。
そして創作や本作りで忘れちゃいけないのが図書館。この図書館がとてもとても便利なのです。検索機能や他の図書館との連携に力を入れているこの図書館は、私の恰好の遊び場です。
本を書くためにたくさん資料集めをするの事が好きな私は、しょっちゅう図書館に通っては本を借りてきています。例えば……心理学の本、医学雑誌、ハーブティーの図鑑、サバイバルの本、子供用の歴史の本。妖怪の絵本。独裁国家とは何かについての本。自分でできるお祓いについての本。他多数。図書館の方がもしこの履歴を見たら、『この人は一体何をしようとしているんだろう?』と頭をひねること間違いなしです。
このように、私の住んでいるところには『ちょっとそこまで』がたくさんあります。ぶっちゃけ前に住んでいた場所より暮らしやすい! 都会には少し遠いですが、私はこの土地を気に入っています。『もうちょっとそこまで』足を伸ばせば、美味しいからあげ屋さんやラーメン屋さんもありますし、これからもご贔屓にしていきたいところです。
おっと。もうこんな時間です。『ちょっとそこまで』行ってきますね。どこへ行くかって? ふふふ、秘密です。
ちょっとそこまで。