深夜のパスタ食堂

エッセイ集『カクガクシカジカ』より。
折り本フェアにて配信
2020/10/3 発行

 ――ぱちり。むくり。今は何時? まだ、2時か。それにしても、お腹すいたな……何か食べたいな。

 がさごそ。晩ご飯の残ったご飯は……ない。お茶漬けは……無理ですね。ラーメンのストックも切れてる。今日は菓子パンもない。要するに何もないです。えー、嘘でしょ? あ、これは……パスタですね。海外産の食品が買える店で買ったなんかよくわからんメーカーのパスタ! しかも一人前が紐で縛ってないタイプのやつ! 適当に掴んで鍋に入れろ、ということでしょうか。パスタなら茹でるだけですし、簡単かな。今日のお夜食はこれにしましょう。

 えっと、一人前はこれくらいかな? 鍋は……でかい鍋だと処理するのが面倒なので、この小さい鍋があればこと足りるでしょうか。茹で時間は……8分! わりとかかりますねぇ。スマホでも見ながら待機すればすぐ、かな。
 鍋に水を入れて、塩を適当量入れます。さて、鍋の水を沸かしているうちに考えなければならないことがあります。それは、『このパスタを何パスタにするか!』です。うーん、明太子パスタが食べたいなぁ。そういえば……まだ冷蔵庫にアレが残ってるはずです。じゃじゃーん! カル○ィの『めんたいマヨソース』。これ、パンにつけて食べると最高なので常備しているものです。これをかけて和えたらおいしそうですね。決まり! これでいこう!

 そうこうしている間にお湯が沸きました。さて、パスタを鍋に投入……しようとしましたが、鍋が小さすぎて入らない! えぇい、こうなったら、パスタを半分に折る! うん、いい感じに入りましたね。よかった、よかった。お湯加減は4くらいでいいでしょう。これで、8分タイマーをかけます。この間にツイッターのTLでもチェックしましょうか。うーん、夜中なのに結構みなさんツイートしてらっしゃる……みなさんも眠れないんでしょうか。

 なんてことをしているうちに8分たったことを告げるタイマーが鳴ります。ザルとお皿を用意して湯切りをしましょう。ここでのポイントは水を流しながら、湯切りをすること! そうでないとシンクがボコン! と悲鳴を上げてしまいます。うーん、いい感じにアルデンテになってそうな感じですね。
 お皿に盛ったパスタにめんたいマヨソースをたくさんかけて、いただきまーす! うん? なんかすごくからい! 私が思っていためんたいパスタと違う! そうだ、確かパルメザンチーズが残っていたはず……アレをかけたらもっとまろやかになるかしら。チーズ大好きなのでたくさんかけたいですね。こう、ダバッと! あれれ、長い間放置していたせいでチーズ固まっちゃってますね。ならば、フォークを突っ込んでゴリゴリ! よし、ほぐれた。チーズをたくさんかけて、と。今度こそいただきます! うん、とってもおいしい! これよ、これ! 私が求めていたパスタ! ぴりりとしたからさとチーズのまろやかさが相まって最高です。これはハマってしまいそう……

 数日後。私はあのパスタの味が忘れられずにいました。寝室を抜け出して、キッチンへそろりそろりと向かいます。今日はなんだか……マヨネーズが恋しい気分です。がさごそ。あ、ツナ缶があります。そうだ、このツナ缶にマヨネーズをたっぷりかけてツナパスタにしよう。
 早速、お湯を沸かします。パスタを折る作業ももはや慣れたものです。今日はパスタを茹でている間に一仕事あります。ツナ缶をお皿に出して、と。おっと。油も少し残しておきましょう。そして、マヨネーズと一緒に混ぜ混ぜ!
 うーん、いい香り。これだけでもおいしそう。そうだ、今回は先にザルとお皿をきちんと用意しておきましょう。前回はタイマーが鳴ってから用意しましたからね。ベテランというものは、先に準備をしておくものなのです。
さて、そうこうしているうちにタイマーがなりました。今回は簡単です。パスタをお皿に盛って、ツナマヨをたーっぷり上からかけます。そうだ。パシャリ。ツイートして自慢しておこう。後に、この写真が折り本用の素材になるとはつゆほども思っていませんでした。
 お味の方ですか? やっぱり最高でした。私はツナが大好きなのです。うーん、何と和えても合うなぁ。マヨネーズ食べたい欲も満たされました。さて、おやすみなさい。

 また、数日後。まだまだパスタは残っています。今度は……大好きなペペロンチーノが食べたい! ニンニク大好きな私のうちの冷蔵庫には『桃○のきざみにんにく』が常備してあります。これをたっぷりかけて和えたら、ペペロンチーノ風の何かができるでしょうか。ビンの裏面にもパスタに、って書いてあるし、いけるでしょう。本当ならベーコンとほうれん草も入れたいところですが、あいにくそんなものはうちにはありません。和えるだけ! の簡単ペペロンチーノです。
 にんにくの匂いってなんでこんなに食欲をそそるんでしょうか。真夜中というのに、ネリの食欲は爆発しておりました。茹でたパスタにたっぷりきざみにんにくをかけて、混ぜ混ぜ。ぱくり。あらおいしい! ちゃんとペペロンチーノ風のパスタになってますね。爆速で食べて、ごちそうさまでした。

 またまた数日後。残り少なくなったパスタを見つめながら私は考えました。最後は何のパスタにしようか、と。パスタといえば……ミートソースでしょうか。うちの冷蔵庫にはこれまたカル○ィのトマトガーリックソースが常備してあります。これはですね、カレーが出てきたときにたっぷりソースを混ぜ込んで食べるように常備してあるんです。トマトの酸味が効いてて、とってもおいしいんですよ。ですが、このソースは本当はパスタ用なんです。今こそ、その使命を果たすとき! 茹でたパスタにたっぷりかけて、さらにその上からパルメザンチーズをたっぷりと。やっぱりこの味ですねぇ。トマトとニンニクの組み合わせは最強なんですよね。なんだか懐かしい味です。

 はい、これで残っていたパスタは全部おしまい。完食いたしました。

 
 大変おいしゅうございました。ごちそうさま!

深夜のパスタ食堂

深夜のパスタ食堂

エッセイ集『カクガクシカジカ』収録。 『夜中の炭水化物は罪の味がしますね。飯テロな話です』

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-08-20

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted