詩的に訴えてみよう

詩的に訴えてみよう

『胸の斑点』

 胸のあたりに
 斑点があるのです
 ぽつ ぽつ ぽつ。
 それはまるで そばかすのよう

 心臓の真上あたりです
 床に就くと
 痛むのです



『遅刻しました』

 ハトです
 小さなハトが いたのです
 小さな足で とんとんはねて
 おせんべいのカケラを
 ひろっているのです

 小さな足で とんとん とんとん

 みちにでたら あぶないよ
 ねこがきたら あぶないよ

 とんとんはねる 小さなハトを
 見守っていて あげたのです



『たとえば、女児向けアニメの玩具などを買ってみる』

 包んでいただけますか
 白い子猫のリボンをかけて
 あいつが好きな柄だから
 ええ、喜ぶと思います

 包んでいただけますか
 こうしてやれるのも
 今だけですから
 ええ、あっという間です

 包んでいただけますか
 幾つになっても
 「子供。なんだなあ」と
 想っていて やりたいのです



『掃除当番代わって』

 たとえばここに テラスがあって
 白い小さな テーブルがあって
 エプロン姿の 君がいて
 「まったく、もう」みたいな顔をしながら
 かたづけものを してるんだ

 光いっぱいのテラスを
 ホウキで掃いたり モップをかけたり
 そんな君の姿を
 僕は 想っていたいんだ

 白いエプロンの 胸元に
 初めて出会った頃の 君の姿を重ねて

 だから お願い
 今日だけでいい
 掃除当番、代わって

詩的に訴えてみよう

Note:
『胸の斑点』
 病院で診察を受けたときに、「どんな感じですか」と訊かれたのですが、どう表現したらよいのかと。その時は、だらだらと返してしまったのですが、本当は、こんな感じに、表現して、みたかった。

『遅刻しました』
 クラスにとんでもない遅刻魔がいて、遅刻の理由を小さな紙に書いて担任に渡すのですが、その内容が、毎回アホで、ちょっとした朝の風物詩になっているのです。

『たとえば、女児向けアニメの玩具などを買ってみる』
 間違えちゃうと面白くもなんともないので、はっきり書いておきます。自分のために、買うのです。

『掃除当番代わって』
 クラスの、できれば文系肌の女の子に、お願いするときなどに。ダメもとで。

詩的に訴えてみよう

日常に起きる様々な不都合を、詩的に訴えてみよう

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-07

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