みんないなくなった

消えそうな消えた雲
知らなかったら知らないことになるし
知ってしまうと消えてしまう
どこで何してようが
知らなければ知らないのに
明日またねって
会う約束ができたら
それだけでよかった
水を買っている
余計に水を買っている
浮腫んだ顔が
余計に誰かを想起させるんだ
鏡を割って
向こう側へ行ってみたい
なんてね、嘘だ

生きていてくれてありがとう
それだけで報われていると言い聞かせる

あなたはあの子に似てるし、私はあの子に似てる
私はあなたと似てる

それでも、私の本当の事は私にしかわからないよ

傷まで浸透してきたら突き放すしかない
それがわからない私は
痛かったし痛くしたけどクセになって
自分と絆を壊した

そんなものがあったのか
今はわからないけれど
夕日がフィルムに焼き付くみたいに
消えなくなってしまった

ああ、みんなを捨てたのはわたしかもしれないな
そう気づいた頃
100年はもう過ぎていた

みんないなくなった

みんないなくなった

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-07-31

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