ケンカマン
初めて書いた小説です。正直、書き終わってから「ああした方が面白かったな!」っていう感じです。お暇な方は読んであげてください。
遠藤 花火・田中 太郎・デスキャノン。
「ややや、ヤベーーーーよ!花火!やめたほうがいいって!」
グルグル眼鏡のチビ超普通ヘアーの15歳のやつが話しかけてくる。こいつの名前は田中太郎。俺の数少ない友達だと思う。
「アホかタロッペ。奴らは俺らを軽蔑した。少し痛い目を見ねえとわかんねえようだ。」
タロッペは田中太郎のあだ名だ。タロッペは、なにやら怯えているようだ。俺の斜め後ろで俺の腕を握ってくる。
「大丈夫だよ。お前だけはちゃんと帰れるようにするから。」
そう言って俺は、屋台の隅に、ライターで火をつけた。俺はタロッペのほうを向く。
「タロッペ。デスキャノンを出してくれ。」
デスキャノンとは、俺の愛用の改造エアーガンだ。ネズミくらいなら殺せる。
虎柄の、ドラえもんが一匹入りそうなくらいデカイくて、物がたくさん詰まってるのかゴツゴツまるまるとした巾着袋の中から、タロッペがデスキャノンを引っ張り出す。
「気をつけてよ!」
そう言ってタロッペはデスキャノンを差し出してきた。
俺は笑みを浮かべて言う。
「はっはっは!戦車が来たって俺は死なねえよ!」
夏祭り会場で戦っている
俺達は今、7月29日に毎年町内の鬼火山の春日神社で行われる、夏祭りに来ている。
現在時刻は7時になろうかというところだ。
そして今俺は、そばにあったタコ焼き屋の屋台に火をつけ、これから一騒動起こしてやろうとしている。
「いくぜ・・、世の中のクズ共・・。俺達の力を見せてやる!」
俺はデスキャノンを片手に、勢いよくタコ焼き屋の隅から飛び出した。そして目の前に見えた綿菓子屋の屋台の中へジャンプして、そのまま綿菓子を作る機械に両足で突っ込む。
ガシャアアアンッ!!
機械を粉砕した。
俺は間髪いれずに綿菓子屋の中から飛び出し、隣の射的屋に行き、子供達から銃を奪っては折り奪っては折り。
すべて折り終えた頃には、折ってる間に邪魔してきた数人の人間が足元に散らばっている。周りが騒がしくなってきたようだが、俺にはそんなことはどうでも良い。次のターゲットへ行く。
何件か屋台を荒らした頃、「警備員さん!こっち!」そんな声が少し離れた所から聞こえてきた。
ずいぶん呑気な警備員だな。もう何件も荒らしてんのに。酒でも飲んでたんか?はは!
警備員の位置を確認するため、屋台が並ぶ道の脇にたくさん生えてる木の一本に登った。辺りを見渡してみる。近くには神社の本殿、別の方向には俺の住む町が見える。
俺の町はなかなか栄えてる町だ。そしてこの山は結構高い山だ。普段は森が邪魔して見えないが、木の上からはきらびやかな夜景が見えた。
「うおおおお!こんなに景色よかったのかここ!」
思わず大きな声が出た。景色も名残惜しいが、警備員を探そう。・・・ん?
俺のいる木の周りを取り囲むように大量のヤジウマ共がいて、それを掻き分けるように青い制服のやつらが来るが・・・・
あれは警官だ。
間違えたなさっきの人。
ざっと10人か。
俺は叫んだ。
「おいっ!!警官共!!町会長を連れて来いよ!!」
俺が一番殴りたいのは奴だ。この町の長(笑)だ。あいつマジでなんなの!?はっ!・・・考えるだけでイライラしてきた。
下で野次馬共が騒ぎだした。俺に対して怒鳴っているのだ。
おっさんが怒鳴る。
「おい!降りて来いよっ!降りてきてみんなに謝れ!」
その声に触発されたのか、集団の中にいる若い男が何人か叫びだした。
「おい!人に迷惑かけてんのが分かんねえのか!?」
それに対して俺は答える。
「わかってるよ!!迷惑掛けたくてやってるんだろうが!!」
そういうことだ。迷惑掛けたくてやっているんだ。俺の今の行動の引き金は、およそ5時間前にさかのぼる。
町会長
ーーおよそ5時間前ーー
祭会場;春日神社。
放送「えー、今年の中学生による神輿かつぎですが、急きょ春日2中と3中は出場中止になりました。」
放送を聴いて、呆然となる2中の生徒達。
屋台を作る作業を手伝うさなか、俺達は放送を聞いた。
「はああああああああああ!?」
俺が怒鳴った。
「ちょっ、俺言ってくる!!」
放送所があるであろう神社の境内に行こうと走り出したら、たろっぺがしがみ付いてきた。
「しょうがないよ。いつものことじゃないか。」
たろっぺは弱気な発言をする。
「何言ってんだよ!くやしくないのか?」
言いながら、たろっぺを付けたまま進んでいく。たろっぺは離そうとしない。
「いつもそうやって怒って暴動を起こすからこうなるんでしょ!?」
たろっぺが珍しく怒っている。確かにそうだ。だが・・・。
すまんたろっぺ。たろっぺを地面にねじ伏せた俺は、走り出した。
眉間にしわを寄せて、いかにも怒っている雰囲気を感じ取ったんだろう。放送所に向かうさなか、周りの人が俺を避けるのが感じられた。
テント作りの放送所に飛び込む。そして叫ぶ。
「おい!どういうことだよ!なんで俺達は神輿担ぎに出られないんだ!」
そこにいたのが・・・
俺はその時は知らなかったが、町会長だ。
「あん?だれだてめえ。中学生か。帰れ。」
40代くらいのおっさんは、いすに座り、腕を枕代わりに机に伏せたまま、こちらを向いて言った。
なんだこいつ。
そのおっさんの目は、曇っていた。
俺は目の前のだらけたおっさんに聞いてみた。
「お前誰だよ。」
「春日町の町会長だ。」
間髪いれずの返答。
こいつが町会長?・・・大丈夫か?この町。
目の前のおっさんの、あまりのやる気の無さっぷりと曇った目に、俺は一瞬恐怖を覚えた。
こんな人間は初めて見たからだ。まるで何か大事なものをあきらめている、そんな空気感だ。
ぼりぼりと頭を掻く町会長は、ダルそうに顔をしかめて言った。
「お前あれだろ。神輿が中止になった学校の生徒だろ。・・・ああ・・・クズだな。」
・・・!?
目の前が白くなりかけた。
俺は今まで、避けられたり不良扱いをされたことはよくあったが、ここまでハッキリと「クズ」と言われたことは無かった。少なくとも面と向かっては。
「おい、クズ。ちょうどいいや、タバコ買って来てくんねえかな?」
無表情で町会長が言う。
そして傍らにある茶色い革の大きなカバンの中を探り始めた。
「ああ~、町会長ともなるとさあ、荷物が必要でよぉ・・。」
しばらくして、高そうな革の長財布を取り出した。
「ほらよ、10000円。買えるだけ買って来てくれ。銘柄は・・・なんでもいっか。」
10000円札が手渡された。
「・・・・・、でさあ、それ買って来たら出来れば死んでくんねえかな?目障りなんだよね。ゴミが落ちてるとさ、町の評価が下がるんだ。」
・・・・・・・・・・・・・。
俺は町会長をぶっ飛ばした。
そして警備員を呼ばれて、連行された。
その途中に、いろんな人の声が聞こえてきた。
「2中の子?・・・やっぱり神輿担ぎに出なくて良かったね~。」
「ああいうのがいるから、この町の評判が落ちるんだよな~。」
「マジで何考えてるのかな?」
「こわ~いっ。」
「まったく、最近の若者は・・。」
・・・・・・。
俺は途中で逃げ出した。警備員ごとき敵ではない。
ただ、俺の今までの人生でずっと蓄積され続けた爆弾のようなものが、この一件で少し弾けたのかもしれない。
10人来た、警官達の拳銃の銃口が一斉に俺に向けられた。
10人来た、警官達の拳銃の銃口が一斉に、木の上にいる俺に向けられた。
場に緊張が走り、一瞬無音になった。
俺にさんざん怒鳴りつけていたおじさんが口を開く。
「おい!お前ら何やってんだよ!」
すると警官の一人が、横目でおじさんの方を見て言った。
「邪魔しないでください。任務なので。」
しかしおじさんは警官に掴み掛かり、腕を引っ張って無理やり銃を下ろさせる。
「いくらなんでもやりすぎだろ!こんな任務があるかよ!」
おじさんは果敢に警官に怒鳴りつける。
それに周りの人たちも同乗した。
「おいおい警官やりすぎだろ!銃を下ろせよ!」
そう言って、若い男達が警官に掴み掛かる。
パンッ!!!
銃声が轟く。
そしてあのおじさんがズルズルと、掴み掛かっていた警官から滑り落ち、膝を着いた。
顔を歪ませたおじさんの太ももから、一筋の血が流れ出す。
おじさんは前のめりに、警官の足にもたれるようにして、倒れこんだ。
それを見ていた人たちの顔が歪み、悲鳴が轟く。
「や・・・、やめましょう!こんなこと!」
警官の一人が言った。
それにおじさんを撃った警官が答える。
「おい。町会長の指示を忘れたか?」
警官がうつむき加減で言った。
「い・・・、いえ・・・。く・・・くずを掃除して来いと・・・。」
「分かってるじゃないか。春日町はな、汚れてるんだ。俺達が掃除しないといけないんだよ。」
淡々とそう言って、あらためて指示を出す。
「さあ撃て。」
・・・・・。
「撃て。」
・・・・・。
「撃てよおおおおおおおおお!!!」
そのいかれた警官が、突然顔をゆがめて銃口を弱音を吐いた警官に向ける。
パシュッ!!
「ぐああああ!!」
いかれ警官は右目を押さえて膝まづく。
「目がああああ!!」
花火が木から飛び降りた。
「デスキャノンだ。俺の友達が作った最強のエアーガンだ。いてえだろ?もう右目は見えねえだろうな。一生。」
いかれ警官が目を抑えているその手の下から赤い滝が流れ出す。
花火は呻いているそいつに近づいていく。
そして頭を蹴り飛ばした。まるで金属バッドでボールを打ったかのように、そいつは7,8メートル先へと転がりぶっ飛んだ。
ドエムの不良中学生
「ばっかもおおおおおん!!」
怒鳴り声が響いた。担任の佐々木源流門(ささき げんりゅうもん)だ。
花火は源流門に竹刀でぶったたかれている。
パン!パン!パン!パン!パン!・・・
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・。どうだ?そろそろ反省したか?」
「まだだ!もっと!もっと叩いて!!」
花火は腫れた顔で竹刀での制裁を悲願する。
こいつ・・・と、源流門は思った。しかし彼は体罰以外の教え方を知らなかった。
パン!パン!パン!パン!パン!・・・
「貴様、今のご時勢、中学生で暴力事件なんか起こしたら将来どうなると思ってんだ!!しかも警官相手に!!」
源流門は顔を真っ赤に腫らして怒っている。
「これでなあ!!高校に行けずになぁ!!おま・・・、お前って奴はよおおおおおお!!!」
パン!パン!パン!パン!パン!・・・
「もっと!!もっと叩いてええええええ!!!」
エピソード1:花火と町会長の因縁 完。
ケンカマン