およぐ/産む

 およぐ

群衆の中で一人凝固していた。
血肉からの排斥を感じながら、私は「なぜ教えてくれないのですか?」と問う。
私は幻覚を見ることができない。
血肉は自由だ。自由に泳いで行き来する。
私は僅かな目で血肉を追いかける。


 産む

空がなくなった
血がなくなった
感情がなくなった
空を想像する
血を想像する
感情を想像する
自分で自分を産む

およぐ/産む

およぐ/産む

2010年くらいに書いたものです。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-07-23

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