快楽としての贖罪
瓦礫の山を前にして、俺は
ありもしない罪を告白し始めた
そうすること自体が贖罪であるかのように
澱みなく供述し始めた
あれほど頑なに拒絶していたのに
霆に打たれ、人が変わったかのように
唐突に默り、冷静沈着になり
終りのない罰を要求し始めた
証人なき法廷で、いや、誰一人いない法廷で
噎せ返るような屍臭の漂う法廷で、俺は
実在しない人間への犯してもいない罪を
恍惚の表情で述懐している
なあ、聞いてくれよ。聞け
死んで償えることなど何一つない
お前は苦しみに喘ぎながら生きるのがお似合いだ
お生憎様、俺はもう苦しみに喘ぐことはないんだ
不幸にも、それは悦楽に転じてしまった
俺の贖罪が終ることはない
快楽としての贖罪