二国の争い。朝から晩まで放送されているコマーシャルについて忠告を。旧作品から二作品を掲載する。
小国の先が見えている。
領土を取られ、食料も押さえられた小国をUSAの黒人は「長期化するだろう」なのだが、何を根拠にゼレンスキーを甘やかすのかが疑問だ。
元は大国包囲網を築いたUSAにより、眠れる獅子を起こしてしまった。その上、絶滅同然の小国に、まだ戦えは残酷すぎるというもの。
ゼレンスキーは個人的には戦いたいだろうが、国民の犠牲をどう考えているのかが次の言葉に象徴されている。
「此の責任は世界中にある」
此処まで力んでしまっては引くに引けなくなる。バイデンや西側諸国もpauseは見せるが、本音はいい加減結果が出て欲しいとなっている。
USAでも負け戦になる事を案じるのと、自国の経済構造が最悪になって来た事から、バイデン政権への支持率が低下している。
同時に此の国の自公に対する支持率も20%台まで落ち込み、更に何とかカードを筆頭に明るい話題は全く無く、挙句は大災害で止めとなるだろう。
西と東の分かれ目は既にすぐそこまで来ているとしか思えない。だが、未だに此の国の新聞・NHK~朝日と毎日しか見ていないが、相変わらず小国に期待をするpauseが窺える。
歴史上もこの様な戦争というものは存在しなく、大東亜戦の大本営であれば、そのくらいは常套手段だった。
一部、国連が食料封鎖に関して抗議をしたという記事も載せられていたが、戦後国連は=USAであり其れは全く変わっていない。
大国内部は、初期に反対する国民が大挙して他国に移住をし、その後反発する者のデモも取り押さえられ、最終的には不満たらたらで待遇改善を図った国家転覆罪容疑者も国外に退去をさせられた。
此の者の邸宅から押収された金の延べ棒・ドル紙幣・小銃・変装用の鬘などは、如何に此の者が以前から欲得に溺れていたのかを示す結果となった。
大国の取るべき手段の内、手を付けていない大きなことが幾つかある。初期に謂われたキエフ消滅は未だ実行されておらず、兵器も温存している。
だが、陣形は隣国に核を配備している通り、NATOにも手が出せない構えと言える。
此の国の「関ヶ原」のような、援軍も期待できない現在、若し小国を本心から助けたいのであれば、投降を勧めるか、Chinaの和解案で手を打つ以外に・・事実上の逃げ道は塞がれている。
度々起こしている「テロ」等は、戦争の内には入らない。F16も使用しておらず、この状況では失地回復の道は遠すぎるに過ぎなく・・強硬策で多大な犠牲を出した後に終わりを告げそうだと言える。
尤も懸念されるのは、戦後復興に関する事になり、地雷の撤去やクラスターの不発弾など問題が山積しているのに、未だ事態悪化を望む事は愚の骨頂と言える。戦争には長期化という言葉は当て嵌まらない・・若し強引に其れを当て嵌めるのであれば・・小国の国土は二度と回復が出来なくなり、国民の屍も山と積まれる事に繋がる。
もう一度申し上げる。
戦争はゲームでは無い。
本来は、こういう事は「国連」がUSAで無く中立であれば、調停をするべきであるという事を添えておく。
さて、最近TV画面では通販だらけの様相を呈しているようだ。
当方で警告をしている企業も少なくはないが、誇大広告や効果の無いサプリ類などのうち、気が付いた事を下記に挙げてみる。
1)認知機能を改善。
単刀直入に申し上げれば、効果は無いが、害が無ければ良い程度に考えた方が良い。
現在大手の会社から中小企業に至るまで、凡そ五社程度でコマーシャルを報じている。
ご存知のように、認知機能との言葉から連想するものに「認知症」が存在する。しかし、その両者では全く内容が異なる。
「認知機能の低下」でも、昔は「老人ボケ~物忘れ」とも言ったりしたが、要は「老化現象」であり、青い惑星の動物全体に起きる事である。
具体的な例を挙げれば「先程電話で話した時に聞いたのに、相手の名前を忘れてしまった~名前をすぐに忘れてしまう~」。
「・・お~い、俺のメガネが見つからないが・・お前知らないか?」
すると、妻がわらいながら。
「・・貴方のおでこにあるじゃない・・嫌ね、ボケちゃって・・」
「75歳になってから運転免許を更新する際に、講習がある。其の中の一部に、動物や乗り物その他の絵が書かれている紙を見せ・・覚えていてくださいよ?」
関係無い話をしてから十分後にこんな事を言われる。
「・・はい、あの紙に何が書かれていましたか?覚えているものを挙げて下さい」
実は、似た事を認知症の診断でも行うのだが、異なる事は・・。
先ず、認知症の場合には紙に書かれている物の数が少なく、認知症で支援1程度でも、殆ど覚えていない結果になる。
片や、もう一方は、紙に書いてある絵が多ければ半分以上でも応えられれば問題は無く免許は更新できる。
認知症で6個くらいとするが、此れでも思い出せない。免許では数はハッキリしないが、それ等全てを覚えている必要は無い。
先程も述べた通り、認知機能の低下とうたっているコマーシャルは、実は、「老化現象」を示しており、治療の必要は無いどころか、アプリや薬を呑む必要もないし・・呑んだところで効果は無いか・・疑問。
全動物に起きる現象であり、何れは亡くなる前に記憶力が低下するのは当然とも言える。
逆に、80年のあらゆる細かな記憶を全て覚えていて亡くなるなどは有り得なく・・寧ろ想い出だらけで・・厄介な事になってしまう。
ところが、「認知症」特にアルツハイマー型となると、非常に悲惨な事になる。仕組みとしては、人類だけにしか発症しない病であり、昔は「痴呆症」とも言われた。
人類に限り、脳の後ろ側にある「海馬」という部分の「神経細胞が壊死をする」のが原因であり、MRI等で見ると壊死をした部分が黒く見える。
人類の医学では、壊死をしたものを蘇生~元に治す事~は絶対に不可能である。大袈裟に言えば、亡くなった者を行き返させる事が出来るようなもの・・。
昨年来、エーザイという製薬会社が開発をし、USAで認可されたというニュースが報道されていた。
当方で詳しい担当者に架電をし、治療薬となっているがその実どういうものなのか?
返答は、「認知症の進行を遅らせる薬です・・」なので、其れなら問題は無いが、誤解をして認知症が治るとか、予防薬と解釈をすれば間違いとなる。
実は、今から7年以上前に既に先発薬として「アリセプト」という薬が、全国の病院や医学会で認められていたが、此れも同じ「進行を遅らせる薬」だった。
当時は、医者も「・・其れ程はっきりとした効果は何とも分からないが・・」ならまだ良い方で、ある系列の病院に限っては「・・其れは効果が無いから禁止をする・・」だった。
確かに、効果の程がはっきりわかる事は難しい・・のは、脳の働きを手に取るように見る事は出来ないからだ。
だが、施設に入ったある患者が、今まで日本赤十字病院で処方してくれた「アリセプト」を禁止されてから一年後・・あっという間に症状が進んだという結果が出た。
現在もその効果についてはっきりとした解明はされていない・・が、呑まないよりは飲んでおいた方が良いのかも知れない・・という経験は事実だ。
其れでは、後発薬であるエーザイの薬と両者を比較した複数の医者の見解は、「・・う~ん、効果の程は何方とも言えないな・・副作用という点では・・前者かな?」
そのくらい「認知症については人類では全く難解な病である」と言える。
其れは、現在でも研究者はいるので、いろいろな事が言われている。
「・・脳の血流が悪くなると・・酸素不足になり・・」
「・・認知機能には銀杏の葉を食べると良い・・」
「・・アミノ酸・・蛋白質・・その他のビタミンB・栄養素など・・に効果がある・・」
「・・ある物を服用すると海馬の細胞が増える・・其処で壊死をした細胞の不足分を補えるのでは・・」
だが、何れも正解とは言えない。
いいですか?
動物には発症をしないのに・・人類だけに発症をする・・とはどういう理屈だろう?
動物の動きや姿勢と人類の其れとでは・・そりゃ違いはあって当然・・。
しかし、上記の・・まあ、人類で考え出した幾つかの思考なのだが・・動物には当て嵌まらないのだ・・。
つまり、動物は上記の事などお構いなしであるにも関わらず・・症状が無い・・・。
時間が無くなって来たので・・本日は此処までとし何れ別のコマーシャルで通販をしている物に付き順番に挙げ解説をして行くつもりだ。
本日の結論としては・・「・・認知症の治療は不可能・・予防も同じ・・」。 また、認知機能・・つまりは、物忘れに過ぎなく認知機能の低下と必ずしも言えない症状・・寧ろ単なる老化現象の拡大されたもの・・アプリや薬の効果は全く不明であり・・若し、確たる証拠を提出した上に・・例えば医学会だけに過ぎず・・争われた時には法廷での【医療訴訟】という非常に難しい訴訟になる・・勿論、物証の類から、人証(証人尋問)及び、科学的な確たる根拠が示されねばならない・・此の国は三審制であるから、一審の地方裁判所で争ったが、判決を不服として、原告・被告(実際には代理人弁護士になると思うが。)の何れかが控訴をすれば高等裁判所・・更に上告で最高裁判所で争う事になるが・・現実問題とし・・人類ではそこ迄波及をする事件にはならないと思われる。」
問題は、コマーシャルには・・其れが真実なのかそうで無いのか?の根拠を示さなくてはならない。
ただ、TV画面にちょこっと判読が不可な細かい文字を並べたり、ナレーションで補っただけでは不足し、強いては「通称~誇大広告」ともなれば、次のような事を記しておく。
「通称~誇大広告とは、それ自体は法律上の用語では無いが、商品やサービスの内容・価格などが、実際のものより優良または有利であると消費者に誤認させるような表現を用いる広告のことをいう。また、法規制上認められていない効果効能や科学的根拠のない効果を謳う広告も誇大広告に該当する。」
では、もう少し追加をすると・・。
「景品表示法」というものがあるが、今回は「景品表示法以外の誇大広告を規制するための法律」として、健康増進法・薬機法・不当競争防止法・独占禁止法・
特商法取引法・JAS法のうち、時間の都合上一部を載せる。
健康増進法
厚生労働省が所管の健康増進法は、国民の栄養の改善を通じた健康増進を目的とした法律。
表示の対象は、トクホと呼ばれる特定保健用食品などの特別用途食品と、熱量・たんぱく質・脂質などの栄養表示基準があり、健康の保持増進効果などについての虚偽・誇大な表示などを禁止している。
なお、栄養表示基準については、2015年4月に施行された食品表示法に統合、統合を機に全ての加工食品に栄養表示が義務付けられるようになった。
【NGな表現例】
これを食べれば、医者に行かなくてもガンが治ります
絶対に痩せるダイエット食品です
この食品は体脂肪を下げる効果があると言われています
是正勧告
健康食品の広告規定に反するとともに、違法広告が国民の健康を害する懸念がある場合、消費者庁は、景品表示法と同じように、対象事業者に措置命令を下す。
ここでいう国民の健康を害する懸念とは、表示されている健康保持増進効果などに苦情が寄せられている場合や、誇大、虚偽表示がされることにより、疾病を抱える人が、医療機関で診療を受ける機会を逸する場合などが挙げられる。
懲役または課徴金制度
勧告を受けた人が正当な理由なく、措置を講じなかった場合、消費者庁は、命令違反として、対象事業者に、6ヶ月以下の懲役または100万円以下の課徴金を課せる。
薬機法
薬機法は、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の品質と有効性、安全性を確保するために、製造や販売、広告といったサプライチェーン全般における規制を定めた法律。
対象となる商品の名称・製造方法・効能・効果または性能に関して、虚偽または誇大な内容や、医師などが保証したものと誤解されるおそれがある内容などを記載することは禁じられている。
NGな表現例】
これを使うと髪質が変わり、芯から元気になります
お肌のシミ、そばかすなどに有効です
疲れのサインを和らげる。バリア機能と代謝のリズムを整える。
措置命令
医薬広告で違反行為をすると、厚生労働省から、違反行為の中止・排除、再発防止策の実施などの措置命令が取られる。
この医薬広告における虚偽・誇大な表現は、2021年8月1日から改正法が施行されたのを機に措置命令の対象になった。
思わぬ形で措置命令が下される可能性がある。
懲役・課徴金制度
薬機法66条1項の虚偽広告や誇大広告に抵触すると、2年以下の懲役もしくは200万円以下の課徴金が課される可能性がある。
課徴金額は景品表示法上が売上額の3%に対し、薬機法違反の場合は売上額の4.5%が課される。
人体への影響が大きい医薬品ならではの厳しい規制。
消費者庁・弁護士に相談をした方が良いのは勿論です。
又、他にも幾らもコマーシャルがあるので、何れ又続きを・・。
ああ、少しだけだが・・。
此れは勧めでも何でも無く、ある人類の個人的な事例から挙げる。
健康診断・胃カメラ・大腸内視鏡などは勿論やった方が良く、特に高齢者には良いでしょう。エコー検査も良く行われるが、例えば膀胱癌の場合には、此れで以上が無いと判断される事もあり・・やはり、何にしても人類の医学においては、実際に医者が目で確認をする・・内視鏡が良い。
時間の都合で簡単に。
腹が出るよりは平均的な方が良いのは当然。
一般的ではないが・・働いている者には一日三食をきちんととる事が大事だが・・意外な例で・・高齢者で二食主義の者もいる。~勿論誰にも良いのではないが。
便通が悪ければ、水分をとるのも一考~下痢気味にはなるが。膀胱は大体200mlが目安とすれば、此れで満タンになるので、夜間でもトイレに行く事はある。
其れが必ずしも頻尿とも言えず、例えば「夜中に一回でも」トイレに行く事が良くない・・かどうかは必ずしも言えず・・要はトイレに行く事で済めば問題でもない。
目の下のクマが気になる。
気にすれば仕方が無いが・・芸能人でも年を取れば目に下に隈があるのに平気でTVに出ている。
時間が無くなったのでお終い。
其れでは旧作から再々々放送を・・。
「ショートショート暦」
鎌田進は、K大学の3年生。大学が暮の休みに入った昨日から、デパートでアルバイトを始めた。
地下の食料品売り場でケーキなどを販売するのだ。
昨日から始めたから、仕事を完全に覚えた訳では無いが、自分なりに自信はあった。
鎌田はケーキの入っているショーケースを見回しながら思った、「まあ、一日にしては、結構、いろいろな事が出来るようになった。ノロノロしているとお客さんから苦情を言われるから、スピーディーに、が原則だな」
しかし、新入りである鎌田にとって、はっきりと覚えていない事もあった。
デパートには客には分からない店員同士で使う「隠語」というものがある。店によって様々だが、有給休暇は「手伝い」万引きは「川中様」、食事は「喜左衛門」、そして、「暦」。その隠語の持つ意味は、「常連のクレーマー客」。
クレーマーといっても、デパートにとっては失礼があってはならない大事な客であり、クレーマー客は何人もおり、店員は、其々の特徴を暦に記すように覚えている。
暦にそういう客の来店する日の印を付けたら、幾つも付くだろうが、客は何故か、銘々決まった曜日に来る事が多い。例えば、ある客は火曜日と金曜日という具合に。 店員は、暦を頭に浮かべて各クレーマーに応じた対応をする。
普段は、ベテランの中田肇と学生アルバイトの鎌田進が二人で売場に立って、来客の対応をする。
其の日は、中田は有給だったから、鎌田は少し心細い気がした。
暮れだから、通路は流れていく客で込み合っている。
鎌田は、そんな光景を見ながら隠語を繰り返し覚えていた。
しかし、隠語は社員同士でしか使えない言葉、そして、間違えない事が大事だという事を忘れていた。
鎌田は、その客がクレーマーだとは知らなかった。そして、耳が遠いという事も。
客は鎌田の顔を見て尋ねる、「何時もの彼はいないのか」
「はい、本日は暦でございます」
それを聞いた70代位の客は、耳の後ろに片手を添えるようにあて、鎌田の言葉を聞いた途端、驚いて、「暦って、あなた、よく今日が私の妻の誕生日だとわかったね。気に入った。あいつとは大違いだ」
鎌田は呟いた、「あいつとは中田の事だろうか、客には、「暦」の部分だけが強調して聞こえたようだが」
客はショーウインドーを右から左まで眺めて、「さて、どれにしようか。よし、今日は奮発して、この大きな方のケーキにしよう。それを一つ、包み紙は誕生日用に綺麗なやつを頼むよ」
鎌田はケーキが入った白い箱をショーケースから取り出した。
包装紙にも何種類かあるから、鎌田は一番綺麗だと思うものを取り出すと、客に包装紙を見せながら、「お客様、この柄で宜しいでしょうか?」
客はニコッと笑って、「ああ、いいねえ、それならきっと妻も喜ぶだろう」
鎌田はリボンのような紐をクルクルと取り出しながら、小さな声で呟く、「さて、ここからが俺の腕の見せ所だ」
鎌田は自己流で白い大きな箱を縛っていく。
箱を縛ったあと、最後は自分なりにアレンジして、箱の上部に飾り付けをし、余った紐を鋏で切った。
そして、鎌田は出来上がった物を見て呟いた、「これなら上出来だろう。紐も包装紙も綺麗な物を選んだし」
最後の紐の部分が、箱の上で幾重にもアーチを描いているように見えた。
鎌田は、頭を下げながら、商品を客に大事に手渡した。
客は、一部始終を見ていたが、顔色を窺うかのように見る鎌田に、「おう、丁寧にやってくれて、しかも、持ちやすくしてくれたのかい。この上の方もリボンのようにしてくれたんだな、洒落ているじゃないか。」
そして、客は続けて言った、「あんた、なかなかのベテランだね。俺は、このデパートでは初めてだよ、いい思いをしたのは」
客は笑顔を見せながら、「あんたの上司に褒めといてやるよ。何時ものあの主任だろう?主任を呼んでくれよ」
客はクレーマーだから苦情を誰に言うべきかをわきまえている。
店員と話をしても埒が明かないからと、上司の食料品部門の主任に直に苦情を言うのだ。
鎌田は客にお辞儀をしながら、「少々お待ち頂けますか、只今呼んで参りますので」というと、主任の常駐している部屋へ向かった。
部屋のドアをノックして、応答を確認してからドアを開けた。
鎌田は、主任に事の次第を話しながら、内心思った、「褒めて貰うなど、まあ、当然かな」
主任が売り場内を歩いて行き、客に近付くと丁寧にお辞儀をした。
客が鎌田を指差して、主任に言った、「この店員は妻の誕生日を覚えていてくれたようだ。なかなか、客の妻の誕生日まで覚えている店員などいない。たいしたものだ」
瞬間、客の持っていたアーチの紐が箱から外れると、箱がフロアーに落ちて潰れ、ケーキがフロアーに飛び散った。
鎌田は思い出した、「暦」とは、最悪のクレーマーを意味するという事を。
「うっかりしていた面接」
銀座のカフェで食事の後、時間を潰していたら黒いスーツを着た端正な顔立ちの女性が珈琲を飲んでは書類を拡げている。
黒suitと言えば、就職活動をする学生のユニフォームでもある。
どうして黒服に拘るのかとも思うが、企業が其れに好感を感じるのだろうか?
其れに、テーブル上に履歴書を拡げているので、やはり間違いは無いように思う。
しかし、此の時期は少し就職シーズンには遅いような気がする。
就職もconnectionがある学生は気楽。学歴も成績も関係は無いというケースが少なくない。
代表的な例としては、親が目指す会社の代理店をやっている場合など。
大会社でも、メーカーや保険会社などにはこの手のconnectionが最も有効。
会社には支店や営業所などがあり、其れら営業の業績に繋がる代理店には頭が上がらない。
男性大卒・女性は短大卒などの条件を満たしているだけでほぼ無条件に採用となる。
少ないconnectionとしてだが、会社が保険業なら監督する金融庁に親が勤めていれば最強のconnectionと言える。
要は会社が逆らえない監督官庁という事になり、何年か前にTVドラマでやっていた『半沢直樹』の例の様に保険会社は「金融庁の検査」を怖がる。
一年ごと交代で日銀の監査と金融庁の検査が行われ、日銀は何でも無いが金融庁は厳しい。
保険会社や銀行の監督官庁が金融庁で、クレジット会社は厚生労働省と分かれている。
一般の社員に行われる検査は、例えばdeskの引き出しなどに私的な金銭が十円でも入っていようものなら、会社のお金なのか個人のものなのかが不明だと注意をされる。
其れはまだ良いのだが、会社の契約先との審査状況がいい加減だったりすれば、大問題。
要は、金融機関というものに不正や誤魔化しに繋がる様な業務をやって貰っていては困るという事。
審査とは、クレジット会社なども同じなのだが、顧客と契約を締結する際の正しいかどうかのチェック部署なので、一つ間違えば契約の内容に甘さが生じる事もあり、適正な審査とかけ離れてしまう事になるから。
通常はマニュアル通りにやっていればスムースに事が運ぶのだが、営業は自らがとって来た融資などの契約をどうしても通して欲しいと考えるのは当然で、其処に適正な審査に欠けると思われる契約で無くなり、会社内部での不正等に繋がるいい加減さが出る可能性が生じる。
業績は営業のみにあらずして、会社全体としても営利を追求する事が目的であるから、営業・審査がつるんで行動すればという危険性が指摘される事になる。
connectionがある学生達にも建前だけで、一応筆記や面接試験は行われるが、合否に関わる様な事は先ず無い。
例えば、集団面接の場では、五流大学卒は一流大卒ばかり質問に答えているから、凄いなと思ったところで、試験官は其れを重視はせず、よっぽど異常さでも感じさせなければ通さざるを得ない。
そういう事は人類の社会では当然の事となっており、その点では公然と偏った審査が行われているのだが、其れが議員が汚職をするなどの金銭欲しさの行為にエスカレートするのも想像はつくだろう。
人類のやる事は世界中が同じ仕組みとも言える訳になる。
其れを指摘すれば、大人で無いなどと決め付けるのも人類の悪い特徴とも。
三田康介が顧問弁護士をしている会社にもそういう会社があり、芙蓉グループとの名称。
このグループは富士銀行が中心となり、日産自動車の様なメーカーや食品・保険・鉄道会社・その他広範囲に亙る会社で構成されている。
同じグループの中に同業の会社もあるが、財閥系の安田火災と日産火災などが其れだ。
以前、時代の流れでこの二つの会社が合併する事になった。
損保会社では、他の系列でも吸収合併が行われたが、景気が良くても悪くてもそうなる。
合併となれば、小さな方の会社の社員には悲喜こもごもとまでは言わないが、良い事とそうでない事が生じる。
給与は大きな会社の方の基準が適用されるから上がるが、職位などはどうだろう?
建物が一緒になれば、学歴からも財閥会社の従業員の方が上になるのかも知れない。
こういうグループには決まりやジンクスのようなものが存在し、日産自動車などは本社ビルに出入りする他社の車にも制限をかけている。
更に、グループ内では、家を購入すると転勤になると言われるが、実際にそのケースが多いのだろう。
其れで、本当はトヨタ自動車の車を購入したいのだが到底出来ないし、家も建てたいが単身で全国転勤の旅に出るのでは不自由となる。
さて、康介の知人の娘である川野美幸は、東京大学を出た後財閥系の損保に入社し、課長職にまでなったのだが事故で両親を亡くした。
其れで、康介が美幸の親代わりになる事もある。
颯爽と肩で風を切り歩く姿は美貌と相まって、康介を安心させてくれる。
彼女はまだ独身であるから、先々を考えてやらなければならないとも思っている。
カフェの女性は、何か彼是考えているようにも見えるのだが就職活動などで・・何か理由(わけ)があるのかも知れない。
康介が事務所に戻ると、事務の女性が採用の件でと話し掛けてきた。
彼女は、事務員とし長く勤めてくれたが、この度辞める事になり、現在、代わりの事務員を探している。
彼女の話とは応募者から連絡があったという事だ。
都合を聞かれたので、何時でも良いと話す。と、早速電話を。
午後三時に面接という事になる。今日は法廷は無い。
時間になり・・訪れたのは先程の女性だった。
其れで、スーツの件も頷けた。康介はあまり杓子定規な事は好まないから、別にスーツなど何でも構わないと思ったのだが。
神楽耶涼子は開口一番、カフェで康介と一緒だったのを覚えていると。
就職に関係無い事だろうと何だろうと、康介の事務所は会社とは違う。
堅苦しくはしない、出来ないというのが康介の方針。
女性は大学院を出ていると事務員が・・、案外、大学院卒は就職が悪いようだ。
寧ろ、大会社でも一流大卒を歓迎する傾向にある。
教授を目指し大学に残るのならまだしも、二年間余分に通ったという事に過ぎず、まあ、本人が何かを志していたのであれば其れは結構。
専攻は文学と言う事。本人はやや場違いだと勘違いをしているようだが、事務員に法律知識は必要無い。
康介は、カフェでの第一印象。あの時一目で好感を感じていた。
不思議な魅力のようなものが彼女には感じられた。
美幸も美しい女性で学歴も素晴らしい。しかし、また異なった何かを感じた。
やって貰う仕事は決まっているし、引継ぎさえしっかり出来れば。
話は文学の、職業作家である宮部みゆき氏も法律事務所で勤務していたと。
彼女は高校を卒業後、会社員・法律事務所・アルバイトなどをやりながら、子供の頃から本を読むのが好きで・・という事。
康介も文学は大好きであり、以前、古本屋の店頭だったが、「火車(かしゃ)」という本がワゴンに並べてあったので立ち読みをした。
随分厚い単庫本だったが、飛ばし読みで30分程で読み終えた。
其の表紙裏に周五郎賞をとった作品との記載があり、その後直木賞を取っているそうだ。
読んだ時に法的な内容が記載されているので、?と思ったのだが後で説明書きを見てから成程と思う。弁護士に聞きながら・・と。
そんな話が中心になり、果ては文豪の作品にまで及べば、彼女も感想を述べる。
学歴は関係無いと言った事が、彼女にはどんなに感じられたのかと思ったが、まあ、採用の結論は彼女次第。
翌々日、彼女から連絡が入り、勤務と決まった。大学院を卒業した女性はプライドが高いと聞くが、彼女はそうでもない。
康介は、履歴書などの書類には目を通していない。
元の事務員も彼女の印象を同じ様に纏めていたようだ。
個人情報などを遵守してくれれば、後は仕事に慣れるだけ。全く問題はない。
引継ぎはと言えば、もう一人事務員がいるから、事務所内の半分の仕事という事になる。
裁判所に慣れて貰い、筋書きを康介が記述した提出書類を作成して貰うだけだ。
康介ともう一人の弁護士が作成するから・・と、思っていたのだが。
慣れて来て・・彼女。覚えが良いのか、自分から手順を組み作成出来るようになっていた。
法律知識は必要ないが、二人の内彼女の分担は、主に民事執行法などに関係する書類作り。
やはり、驚くべきことに、彼女の仕事の進捗状況には素晴らしいものを感じる。
「裁判所に申し立てる書類は、例えば、文字であってそうで無いような場合もある。姓名や地名などは全国版というか、実に様々なものがあるから、昔は・・」
personal computerのアプリにも辞書にも載っていないようなケースもあり、手書きでも十分通用。
要は、書記官は文字を照らし合わせるだけ。おかしな文字であろうが、元の文字と同じであればそれで問題はない。
海外の様に言語が異なっても先ずその点は一緒。
其の事を彼女に言った時には、既に彼女は其れを承知していた。それどころか其れ以外にも・・。
スマフォが振動し・・美幸から。
「三田さんお暇な時あります?何か、新しい事務員さんが入り・・優秀な方だって仰ってましたよね?私も、偶にはお会いして食事でもと思うのですが・・如何でしょうか?」
勿論、楽しみに・・。
早速、其の晩の事。有楽町駅の近くの帝国ホテルで食事をする事になった。
もう一人の事務員は御主人がいるので帰宅したが、涼子を誘うと微笑みを浮かべ、宜しかったら・・。
美幸の話とは、大した事はないようで、そろそろ相手をなど話そうと思った。
エリートだけに相手も其の線だろうが、社内恋愛なら簡単で・・と、やはり出世が早いせいかそう簡単にはいかないようだ。
美幸はそんな事より涼子の事が気になったようで、二人で話をし始めた。美幸の関心は彼女。
康介は、二人にワインを注いだり、料理を取ったりで、あとは二人の会話を聞いていた。
美幸の亡くなった父は法曹界の人だったが、美幸も法学部を出ている。
様子を見ていると・・美幸が驚いたような表情を。二人の会話からは、法的な話題が。
其れが驚いた事に、美幸の六法クラスの質問に、涼子は適宜応えている。
要は、法律を全部覚えているような気もするのだが・・其れもあり得ないような・・其れでいて・・その場に応じ・・。
先日の面接時には文学で・・今度は法律?と・・まあ、其れで・・彼女に任せてある執行の事に関し聞いてみる。
「ねえ、涼子さん・・強制執行だけでなく、担保権の実行と言う言葉があり、其れを君にやって貰っているんだが。其れに関連し、根抵当・・ああ、此れは継続的な・・其処まで言わなくとも良いようだ・・其れで・・極度額というもの・・ああ、知っている?確定は・・その実行つまり任意競売に必要な要件?ああ、必要無い・・?え?此れ、なりたての弁護士で知らない者もいるが・・」
此れでは・・美幸といい勝負になりそうかななど、と美幸が。
「ねえ、三田さん?この方に結構難しい事まで教えてらっしゃるんですか?可哀想な?でも、彼女、そういう気配は無いですね。何か私と、気が合いそうな?良い方に入って貰いましたね」
美幸は東京大法学部で管理職。その彼女に褒められるとは?
法廷で、涼子が尋問をしている。其れも、人証申請から何から自分で手配し、尋問も尋常ではない?
最初のうちは、まさか・・弁護士の資格は持っていないと思っていたのだが?此れは、履歴書をよく見て無かった?
弁護士涼子の活躍が始まった。
手が付けられないほどの華麗な話法。正に端麗な容姿に映えるが・・女性弁護士でこんなに美しい者はいない筈・・?ああ、此の国では・・失礼。
やはり、早とちりで採用してしまったようだ。素晴らしい弁護士。此の国で優秀と言われるカミソリ何とかの異名以上?
彼女の事は次第に分かってくる場合と・・逆にますますわからなくなっていく方が・・多い?
或る日、涼子がこんな事を話し始めた。
「・・私、三田さんには随分とお世話になりましたが・・帰らなければなりません。え?停止条件付?いえ、其れはいいんですが・・時間が無いので・・済みません・・」
結局、涼子を美幸と二人で送る事になった。
涼子が何者かは?どうでも良い事。
事務員だって、また採用すれば良い?
美幸は彼女とまだ一緒に話がしたかったと言う。
しかし、美幸も優秀な頭脳の持ち主。事の次第が分かったようだ・・。
夕闇が迫る頃・・青い惑星の自転する速度は秒速460m、涼子が飛び立つ時、その自転の速さを利用し東向きに、斜めに去って行く姿が見えた・・Energy温存。
最後に・・和服姿を披露してくれたのだが・・美幸は言う。
「ねえ三田さん、彼女、かぐや姫に似てません?お名前、神楽耶、で無かったかしら?道理で、優秀で美しい訳ですね。私の結婚相手では無く、三田さん、独身でいらっしゃい・・?彼女にいて貰いたかったのでは・・?」
康介は・・。
「いやいや・・あ、君と同じ様に美しい・・それでもね・・」
「・・あら?私は、ずっといるんですから・・いいけれど・・彼女に何かメッセージを送った方が宜しいんじゃありません?」
もう・・かなり・・高く迄上がっていて・・夜空の星と見分けがつかないほど・・。
スマフォが振動した。
「涼子です・・帰らなければならなくてすみません・・三田さんには良くして頂いたし・・美幸さんとも・・仲良しでいられた・・忘れません・・またきっと・・此方に来させて頂きます・・其れ迄・・暫しのお別れ・・お元気で・・たった、百五十億(光)年の距離ですから・・ご心配なく・・ではまた・・」
美幸と二人で感心をした。
「道理で・・優秀な訳だ・・宇宙の女神・・ねえ、美幸君?でも・・宇宙でも・・和服が流行っているのかな?」
美幸はくすっと笑い。
「・・案外・・そんなものでは無いですか?でも・・三田さんの好みを読むくらいは・・あの涼子さんには簡単なんでしょう・・ですから・・きっと、期待通りになると思いますよ・・」
「・・あのね?先程のかぐや姫に似ているとは?何処かで見たのかぐや姫?」
どうもしっくりこない康介は、今朝のTVで見た番組の事などを・・。
「・・美幸君・・Classic・・ああ、そうだね。今朝見たんだが、ベートーベンのピアノコンチェルト第四番・・あれ、コード進行が・・やはり如何にもBeethovenらしく・・似ているんだな?彼のものは何となく・・?」
噴き出し笑いの・・美幸は。
「・・あら?聴いていてすぐにコード進行がおわかりになったんですか?あんなに大人しく・・かと思えば・・速弾きで・・目が見えなくなって最初に創った曲なんですね・・其れで、運命の前段のような部分も・・今度また三人でそんな話をしましょうか?え?いえ、きっと彼女はお見通しです・・?」
流石に優秀な美幸だけの事はある・・なんて感心を・・誤魔化しか・・?
美幸のお相手探しは、もう少し先になりそうだが?
全くおかしなくらい、綺麗な星々が煌めいているが・・その中に・・涼子弁護士の星も・・涼子と同じ様に・・美しい星が・・多過ぎて・・よく分からなかった・・。
「人間の目的は、生まれた本人が本人自身に作ったものでなければならない。夏目漱石」
「天才の悲劇は「小ぢんまりした、居心地のよい名声」を与えられることである。芥川竜之介」
「金は食っていけさえすればいい程度にとり、喜びを自分の仕事の中に求めるようにすべきだ。志賀直哉」
「決断は、実のところそんなに難しいことではない。難しいのはその前の熟慮である。徳川家康」
「治世は大徳を以ってし、小恵を以ってせず。軍師諸葛亮孔明」
「by europe123 」
https://youtu.be/N6mykOAclrI
二国の争い。朝から晩まで放送されているコマーシャルについて忠告を。旧作品から二作品を掲載する。