「旅人へ贈る唄」
人を好きになれない者が
人に好きになられる理屈は無い
人に気休めの慰めも言えない者が
また 言われる理屈も無い
理屈を嫌う奴が
理屈に好かれる理屈も無し
人界に居ながら人界を離れる旅人よ
せめてお前が
自然の奇跡に包まれることを願おう
春のひだまりより
冷たい水のほとりに身体を横たえた
あたたかい真実のなみだを流す旅人よ
川に運ばれる水草のやうな
放浪の人よ
白く冷たくなった灰を抱いて
哀しい手で撒いた
お前が自然の奇跡に包まれますやうに
「旅人へ贈る唄」