夜行

初めて投稿する駄文です。


窓裏の網越しに漂うう空気は、想像していたより冷たくなかった。
0°が温かいと感じるにはまだ早い時期だ、と思いかけるも
数分もしない内に寒く感じ窓を閉めるだろう事はわかりきっていたので
その感想は放棄した。
いつものことだ。

暖房と体温との掛け合いが悪く、溶けたチョコレートと似た
あまったるい感覚にかるく反吐がでかける。
その状態を解消するために冷えた空気に肌を晒し、走り去る車の音に
嫌気が差した頃に窓を閉め、冒頭の嫌悪感が戻るやいなやの繰り返し。

いつからかの日常。
気がつけば世間と数時間ずれた生活を送っている。
日の光を見ていないわけではない。
ただ、日の光を延々と待つ夜が続いている。
せめて列車であれば景色も変わりおもしろいだろう、
などと考え、旅行というものの疲労を思い出し、
結局は家か、などと断片的に自己完結を済ませる。

眠りというものを知らないのか、と小馬鹿にするような
相手でもいたらまだマシなのかもしれない。
自分でもなんのタイミングを待っているのかと思う。
寝際などいつでもいい。
それで目を閉じれば朝が来るのかと言われても、と
そこで自問自答をしたところで不毛。
自己完結が思考を省略し、考えるという行為が遮られ、
少しずつ知性というものが蒸発していく気がしてならない。
それがぼんやりすることにつながるのか。

波のように定期的に聞こえる車走音に反応し、
窓越しの風景をみても、枯れ木は微塵と動かず、
暗闇も絵画の如く現実味がない。

朝は未だ遠い。

夜行

夜行

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-05

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