「わたくし」
どこへ行かうと
心のあてがあるでもなし
ここで寝やうと
安住が目前に立つでもなし
わたくしは知っている
わたくしが不安に喘ぐことも
わたくしは感じている
わたくしが安住にも喘ぐことを
いつまでも一足す一が二にならないで
わたくしはすっかり鉛筆をすり減らして短くしてしまった
もう正規の持ち方が不可能なほどに
黒文字の鉛筆は短くなった
笑われて
嘲られて
それらが仕事だとでも言うやうに
わたくしはずっと計算間違いばかりをしています
百問あれば百問きれいに間違えて
白い紙にりんごのうさぎはねまわる
ぴょむぴょむぴょむ
たのしいな
わたくしの欠損した思考回路は
いつでも夏を終らす線香花火をおぎゃあと生む
「わたくし」