死の電波

天国への階段を登って
世界を見下ろす
マンションの屋上にやってきた
穏やかな夏の午後なので
空気はからっと
甘酸っぱく
新鮮な潮の香りがする気がした 
毎日晴れだ
ずっと晴れている
なのにどうして、悲しいのだろう
もう終わったはずなのに……
私は生き残れた
けれど誰にも伝えられなかった
好きな人も
そうでない人たちも
皆んないなくなったから
私は一人で舞台に立って
佇んでいる
空の近くから世界を見下ろして

死の電波

死の電波

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-25

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