旧作品から一作のみを。 (時間が無いので、他は省略する。明日は出来たら・・文明の尾上雄二が花街の茶店

旧作品から一作のみを。 (時間が無いので、他は省略する。明日は出来たら・・文明の尾上雄二が花街の茶店


 旧作品から一作のみを。
(時間が無いので、他は省略する。明日は出来たら・・文明の尾上雄二が花街の茶店の皆に「人類の認知症・認知機能」関連の一部のみを簡単に・・予定・・は其の時間があればだが・・。)




<span style="font-size:1.96em;">una palabra de la parada 邦題 止(とど)めの一言</span>



<a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20200608/15/europe123/92/83/p/o0275018314771107581.png"><img width="475" height="383" alt="" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20200608/15/europe123/92/83/p/o0275018314771107581.png"></a>



 <span style="font-weight:bold;">会議がやっと終わった。暇な会議は何時もの事だが案件が少ない時にはまとめてやっても良いのではと思う。会議の間中他の事を考えていた。
 課員の女性から聞いた話では最近中途入社した社員に噂が立っているという、京子は総務で人事も見ていて入社面接には立ち会っているから聞いてみたが、噂は京子の耳まで届いていないようだ。
 源氏光は審査と契約管理の双方の担当をしている。光はあくまでも仕事の状況を見ているだけだから、その噂に気が付いたのは社でも一番遅かった方かも知れない。
 社内結婚はよくある事だし、その前に二人が交際をしていて何となく社員の間でも噂が立つ事はある。今回の話は専務の秘書として採用したので若干噂の内容が違うようだ。
 役員室は最上階の二十階に有り、役員は社長を始め十人ほどいるが中には非常勤で偶にしか来ない役員もいる。
 役員室は大きくは無いが其々個別に設けられている。一番大きな社長室の隣には社長秘書の個室もある。他の役員の秘書は秘書課に席がある。
 社長秘書は秘書の中でも一番優遇されているのだが、今回の噂は数人の秘書と一緒にいる専務の秘書の女性の事だ。
 噂の内容は分からないし、会議では当然会う事も無い、二十階に行く用事も滅多にないし、あるとすればあまり良くない案件だ。
 光は午前中にに決済箱を空にして午後から出掛けるから、内勤の女性達と顔をあわせる時間は多くはない。噂なども聞いている暇は無い・・課員についての問題等なら別だが。
 決済中に内容が分かりにくいものがあり課員の女性を呼んで、説明をして貰った後、課員が光に其の噂について知っているかと尋ねたから知らないよと答えたら、噂のさわりだけを話してくれた。
 どうやら専務の秘書に採用された女性が美人で専務は秘書としてしか見ていないようだが、社長と其の秘書が噂の元らしい。
 中途採用だから経験者が採用されたのだが、かなり優秀なのか其れとも美人だからという事が問題なのかよく分からない。
 社長秘書は秘書の中でも一番ベテランで、優秀だとも言われている北野明子という女性、年齢も他の秘書よりは上。
 謂わば、秘書の間でも一目置かれる存在と言える。渾名はお局さん。
 課員から聞いたところによると、お局さんが専務秘書の川辺夕子に対抗意識を持ち、事あるごとに秘書室に来ては陰口をたたくという。
 秘書たちは自分の役員の補助で忙しいから、一々其れに合わせる暇もないし、余りそういう事が社内で広まると自分の進退問題になりかねないと、適当に話を合わせているようだ。
 光は午後から出掛けようと、白板に行き先を書き直帰と〆た。とほぼ同時に内線で課員から・・専務が用事があるらしいから専務室に来て貰いたいとの事。
 稟議の件か何だろう・・出掛ける前なのに・・と思ったが二十階へ。
 ノックをしてから後ろ手でドアを閉めると、挨拶もそこそこにいきなり専務が話し出した。
「いや、君だから耳に入れておいてもらいたいと思い・・実は、川辺君の事なんだが、社長秘書から苦情があり・・」
 内容を要約すれば、夕子が秘書室の秘書たちから一目置かれているようで・・お局さんの権威に係わる問題だという事のよう。
 其れは秘書室の問題だから光には直接関係の無い事の筈。
 確かに光の直属の上司は専務で光を全面的に信用して仕事を任せてくれているのだが、過去、ある事で光が助言をしておさまったの事はある。
 其れは以前在籍していた秘書と課員の件だった。
 今回は本来お局さんが腹の中におさめるべき事であり、夕子に話すまでもないと思われる。
 専務としてはどうやら夕子に気兼ねをしているようでもあるが、その実、業務に関する事でも無し・・其れなら自らが意見するまでの事では無いと。
 専務が何を望んでいるのかが理解できる。




 光、先ずは夕子にそれとなく職場の雰囲気はどうかと尋ねてみたが、極普通にやるべきことをやっているだけとの返答・・それに違いないと思う。
 以前も課員の女性とお局さんとの間でちょっとした事があり、課員には何も落ち度が無かった。
 お局さんは社長秘書を長く務めている事もあり、社長との相性(そうせい)は頗(すこぶ)る良い・・が社内での専(もっぱ)らの評(ひょう)。
 近頃のご時世(じせい)で有れば、社内恋愛などと囁(ささや)かれかねないのだが・・其処で光が脳裏に浮かべたのは京子の事。
 其れに、此れから出掛けなければならないにと逸(はや)る思い~気がせく事~も・・。
 今晩京子に話をしてみようと思い乍(なが)ら、一旦法務室に戻りバッグを手にした後エレベーターに向かった。
 Elevatorが降りてきドアが開けば、篭には京子の姿のみ・・二人は相も変らぬ笑顔を浮かべる。地上にて再びドアが開き、背文字は「J」新宿。
 光は頷き背を向けたまま片手を少し挙げ歩き出す。ホームに入って来た車両に乗りシートに座るなりバッグから書類を取り出すと訪問先の準備をし始める。
 訪問先を回り終えた時には早(はや)陽は傾いており、橙(だいだい)に化した夕影が全ての建物を舐めるように下がって来れば窓ガラスは反照の体(はんしょうのてい)、続いて待ち兼ねていたかのような紫の薄闇が辺りを包み込んでいく・・。
 新宿のホテルには先に着き待っていた光・・薄灯かりの中・・次第に京子の笑顔が近付いてくる。
 二人テーブルを挟んで向かい合い、早速専務から依頼された件を矢継ぎ早に話し始めた。
 人事の課長である京子は入社前に面接をしている・・で、夕子の履歴や印象につき把握している・・と。
 京子が言うには、夕子は以前、大手デパートの役員秘書経験者で、思慮深い貴女のような物腰且つ穏やかな性格と判断したようだ。
 確かに且つての老舗デパートともなれば店員でさえ今時の女子社員とは異なる厳しい躾を受けているのが常だった。
 光は、やはり、以前のケースのように課員に落ち度はなくお局さんの僻みだと思った。
 只、社長にまで話が及ぶとなると、今回は課員では無く秘書同士だから、やや、厄介のようでもある。
 万が一の場合には、京子にも一役買って貰う事も含めて話す。京子は「どうぞ、私で勤まるのなら幾らでも」と。
 彼女は人事絡みの事実上フィクサーと言ってもおかしくはないのだから、光のような実務型管理職とは手腕が違うのだが・・。


 翌日、お局さんに会う機会があった際、事の次第を聞いてみた。やはり、今までの役員秘書とは異なり、器量が良く秘書たちの間で評判が良いのが気に食わないようだ。
 そうかといい、光にはお局さんに直接意見をする権限はない。また、秘書たちの評をどうとか出来るでもなし。
 秘書達から話を聞いたとて、此ればかりは人類の持てる感情であり、傍がどうのこうのと言えるわけでもない。
 一応、秘書たちにはそれとなくお局さんの立場もあるから、余り、極端な態度を見せないようにと含みおいたものの、皆既に承知の事であるので、決定的な解決方法にまで至らないのは当然。
 此のままでいたら、お局さんの夕子に対する嫉妬心は日増しに募る一方だろうし、夕子からすれば身に覚えがない事であると考え・・反発するどころか辞めてしまう・・。
 問題は、お局さん一人では無く社長共々という事だ。専務もそのあたりを考え直接事を荒立てたくはないが、かと言い優秀な者に辞められたら困るのだろう。
 光は、自分に何が出来るのかと思ったが、何とかしなければ・・。
 交渉事は光の得意分野であるが、社長となると・・。
 光も天秤の襟章の持主。法廷でなら相手が誰であろうと不足はないが・・。
 法にも判例にも無いいわば常識・非常識程度の子供の争いのようなもの、それも社内での問題。
 其処で、光は考えた。
 其れであれば・・家族を持ち出すかという事。早速、考えを実行に移す事にした。京子にしても・・痴話げんかはフィクサーの出番ではないから立ち合って貰う事に。


 法務室では顧客回りという事にして京子に同行して貰った。株主云々では無し、下手をすると詰まらないスキャンダルに発展しかねない。
 事前に連絡を取ってからお邪魔するのは当然だが、電話口では聊か話は出来ないからと、先方にはお願いをしたい事が御座いましてと断りを入れてある。あとは出たとこ勝負。
 約束の時刻にお屋敷のチャイムを鳴らす。お手伝いさんが現れ応接室に案内された。社長の奥方は嫌な顔一つせずにソファに座っている。
 二人の役職・依頼主・今回の状況を掻い摘んで話す。物分かりが早い方で、流石に良家の出、おまけにかつての経営者でもある。
 奥方は誰ぞの顔を思い浮かべているとは思うが、どういう見解に至るか。
「分かりました。主人にはそれとなく話をしておきます。まあ、世の中男と女といったら品が無い言い方かも知れないけれど、男の甲斐性でもあることですし、多少は仕方がないけれど、かといって何も落ち度が無い方を追い落とすような事をしたくはないわね・・」
 と、最後は笑みで締めくくった。
 京子からは提案とし、秘書室長をおいたらどうでしょうかと申し出があった。其れは奥方も結構な事だと評価され、早速、有能な人材を採用するという話に発展した。
 圧巻だったのは、丁度、社長とお局さんが社長室にいるところに奥方が来社された。
 社長は、
「何だ、お前何か用でも?ああ、そうか、確か其処のデパートでそんな催しやっていたな・・其れでついでにか・・うん、まあ、休んでいったらいいじゃないか・・」
 と知らぬが仏。
 奥方も・・何も言わずとも、全ては夫婦の暗黙の了解という事のようにも窺えたのだが・・。
 其処は奥方、
「・・今では此の国で指折りの企業・・役員の方々も優秀であるし・・結構な事だけれど、いろいろと子細な事など多いでしょうから、面倒な事は、秘書室長などいう職に任せた方が・・あなただって・・皆さんにしても都合が宜しいんではないかしら・・あまり、余計な事申し上げたくはないけれど・・貴方の事も心配ですし・・如何がかしら?」
 社長は、突然の来社だけで無し・・思いがけぬ提案で躊躇しながらも、
「うん・・だな・・会議の席で、人事に話してみるか、分かった・・まあ、腐れ縁・・でも心配してくれ・・」
 社長のご機嫌は悪くは無いようだった。
 奥方のとどめの一言が凄かった。
「では、貴方、無理しないで下さいね・・、私は、此れから、デパートの劇場で久し振りに楽しんでいくから・・。ああ、そう言えば・・何か、デパートの秘書だった方が、此方に来てくれているらしいって?いえね、偶然、社長さんに会ってそんな話を伺ったんで、此れも何かの縁かななんて思ったの。デパートの方なら躾は厳しいでしょうから、しっかりした方だと社長さんのお墨付きだそうよ・・。あなたも人材が豊富で、此れもあなたの人柄かしらって思ったの・・まさか。詰まらないいじめなどないでしょうが・・いえ・・何かいじめと汚職の時代と言われているそうですから・・」
 と再び・・類稀なる天女の笑みに・・加え・・、
 玉音とは・・お見事・・。



 社内では奥方がみえたと・・ざわついていたようだが、お美しい奥さまで社長もお幸せだというような風評が・・。
 光が何時もの様に午後から出掛ける時、秘書達に混じって夕子の姿も見えた。元気な姿に微笑んでからElevatorに向かう。
 Elevatorの中で京子と二人になった。背文字は「Y」横浜。片手を少し上げ歩き出す光。
 デパートの前を通り改札を抜け階段を駆け下り・・車掌の呼称で発車前の車両に飛び乗った。
 



 訪問先を回り終えた頃・・忙しそうな街の夜景が一斉に輝きを増していく・・。
 横浜69階のレストランについてから、予約してあった窓際の席からは夜の港が一望に見渡せた。
 間も無くelevatorの明るい灯りを背にして京子が現れた。
「お疲れ・・」
「・・ああ・・今日は浜だからメニューも少し変えてみた、とは言っても何処にでもある・・お口に召すかどうか・・?」
 ビールで乾杯の後はワインを飲みながら料理を摘まむ。
 京子が赤いワインを口に含み飲み干してから、早速、募集の手配をしたと。
 光は奥方宛にお礼の手紙を出した事を・・。
 京子が一瞬、
「あれ、其れ、拙くないかな・・名前と差出人で、若し社長の目にでも入ったら・・」
 光がグラスの赤ワインを揺らしながら、再度、京子をグラス越しに見る。
「うん?大丈夫。デパートの外商部から品物に添えるようにして貰ったから・・外商部でも一番の大口顧客なんだから、先日の催しの御礼を兼ねて、勿論、手紙は正式に添えても、差出人は専務の名だから、失礼は無いでしょう・・。それにしても、奥方の・・回転には参ったね、弁護士も真っ青だ。やはり、夫婦ってあんなものなのかも知れないな・・」
「・・良家のお嬢さんでもあるし・・社長も綺麗な奥さまと好きで一緒になったんだから・・夕子さんや専務どうだった?」
「・・いいんじゃないかな、それにしても、夕子さんってホントに美人だね・・」
「あら・・ご馳走様・・まあ、正直な意見ね・・」
「・・いや・・其の・・君ほどじゃないが・・」
 出番の少なかったフィクサーも苦笑をしていた・・。



 横浜の夜空は、東京の濁った空気とはまた違い澄んでいる。其れに波の音とのハーモニーが・・。
 星々の煌めきが一層増していく素晴らしいさまに合わせるように・・クルーズ船の灯りが波間で揺れ・・踊っている様だった・・。
    



「君は山を呼び寄せる男だ。呼び寄せて来ないと怒る男だ。地団駄を踏んでくやしがる男だ。そうして山を悪く批判する事だけを考える男だ。なぜ山の方へ歩いて行かない。夏目漱石」

「好人物は何よりも先に、天上の神に似たものである。第一に、歓喜を語るに良い。第二に、不平を訴えるのに良い。第三に、いてもいなくても良い。芥川竜之介」

「金は食っていけさえすればいい程度にとり、喜びを自分の仕事の中に求めるようにすべきだ。志賀直哉」



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旧作品から一作のみを。 (時間が無いので、他は省略する。明日は出来たら・・文明の尾上雄二が花街の茶店

旧作品から一作のみを。 (時間が無いので、他は省略する。明日は出来たら・・文明の尾上雄二が花街の茶店

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-24

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