老い行く友たちに/ 新作短歌
近頃近所の知り合いが病に倒れることが多くて気が重いです。
逝きし妻偲ぶ寂しさ夕暮れに
時雨降りても その場を動かず
乗り慣れたバイク手放しこれからは
パチンコもできずにコーヒーも自宅
単衣二重 重ねし病の老い鎧
脱ぐこと能わず動きもできず
友は言いぬ 透析する身は長くても
五年と周りの人は言うなり
身は重く心も疎い老体を
歩けと白衣の人は言うなり
君のため 何も成しえぬ我ゆえに
ただ静かに頷き頷き
救急車 止まる家はと気に掛かり
夜中にそっと窓を開きぬ
ねえ君よ 昔を夢と思うなら
来世の夢も信じて見たら
老いゆきて 朽ちるわが身を嘆くより
想え赤子の新たな息吹
四十九日 過ぎて清らな瞳の中に
映る新しき母の微笑み
☆ 信ずるものは救われるというけど、見えないものを
信ずるのは、一般の人にとっては難しいですよね。(いずみ)
老い行く友たちに/ 新作短歌