老い行く友たちに/ 新作短歌

近頃近所の知り合いが病に倒れることが多くて気が重いです。

 
逝きし妻偲ぶ寂しさ夕暮れに
  時雨降りても その場を動かず

乗り慣れたバイク手放しこれからは
  パチンコもできずにコーヒーも自宅

単衣二重 重ねし病の老い鎧
  脱ぐこと能わず動きもできず

友は言いぬ 透析する身は長くても
  五年と周りの人は言うなり

身は重く心も疎い老体を
  歩けと白衣の人は言うなり

君のため 何も成しえぬ我ゆえに
  ただ静かに頷き頷き

救急車 止まる家はと気に掛かり
  夜中にそっと窓を開きぬ

ねえ君よ 昔を夢と思うなら
  来世の夢も信じて見たら

老いゆきて 朽ちるわが身を嘆くより
  想え赤子の新たな息吹
   
四十九日 過ぎて清らな瞳の中に
  映る新しき母の微笑み


☆ 信ずるものは救われるというけど、見えないものを
  信ずるのは、一般の人にとっては難しいですよね。(いずみ)

老い行く友たちに/ 新作短歌

老い行く友たちに/ 新作短歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-24

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