USA発癌性物質問題、その他の箇条書きと文豪作品掲載

USA発癌性物質問題、その他の箇条書きと文豪作品掲載


 USA基地による環境汚染はおさまる見込みは無し。
 協定がもたらす自滅危機に注意が必要。
 癌もいろいろの臓器で発症するが、水分と言えば人工透析患者のように水分を制限しなければならなくなり、月・水・金modelで週に三日の透析が必要になる。
 そうではなく、水分が通過する膀胱癌について少し。
 地球人の科学・医学・薬学は半分以上が仮説なのだが、理由は不明なものが多過ぎるからだ。
 医者の選択も必要になり、正直な医者は、仮説である事を話す事で医院の取捨選択の判断が可能になる。
 実は逆に「分からない・・病を治せない」医者の典型は、「・・怒り出す・・」「・・酷い場合は分からない事が多過ぎると・・帰れ!」などと言う医者もいる。
 又、単科は専門で有って他には医者としての常識程度のlevelでも「・・私は医者なのだから・・」というケースもお粗末すぎるが、果たして患者が其処まで見抜けるのかは甚だ疑問なのが地球人の常でもある。
 其れに対し、或る程度のlevelの知識を持っている患者からの質問に、前述のように怒り出さずに、「・・其れは専門外ですから・・」と、自己の専門分野にのみ見解を述べる医者は少ないが、慈恵医大病院から開業医になった方に見受けられる。
 例えば精神医学などは・・仮説が9割と言われる。何故であれば。脳外科の様なケースでは機器を使用し頭部内を見る事がある程度は可能だが、精神の構造・仕組み・完全に発症を防ぐ術(すべ)迄を地球人が理解する事は難しく・・従い1割は過去の症例と其れに対する処方薬・心得などに頼るしか無くなる。
 では、膀胱癌に付き多少話をして見る。
 其の後に、近頃不況の影響で、TVやパソコンでコマーシャルだらけになっている現象を取りあげ不必要なものや誇大広告に関し話をしてみる。
 地球人と異なり宇宙文明ではチャンネルなどに関係無く、全ての放送を一度に知る事が出来る。
 膀胱癌の発症以前に、自らの自覚症状を挙げるが・・その前に、煙草は例え何十年前に禁煙したとしても、癌を発症する原因として挙げられるが、煙草は何度も申し上げているが「百害あって一利なしなので・・出来れば早めに禁煙をし、家族等周囲に地球人がいる場合には禁煙するしかない。因果関係の証明は無理だが、性感染症などと同様、他人に感染させれば、傷害罪と思われても仕方が無い」。
 いろいろな病で、ケースが二つ以上に分かれる事もある。例えば、治療をするにあたり「特定の薬を服用してはいけない」というケースと、「いや構わない」というケースの事でもある。
 また、膀胱癌にも種類があり、単純に手術が可能なケースと、そうで無いケース・・膀胱を摘出し、人口膀胱を採用するがある。
 前者につき話す。
 自覚症状とし・・頻尿も敢えて挙げてみる。ただ、気を付けて頂きたいのは、頻尿だからといって、=癌では無く、老化現象の一部の症状であったり、膀胱炎だったりと宛になるのかは?・・確実なのは泌尿器科での尿道から内視鏡を入れ医者が見つける方法。
 此処で、コマーシャルの中で、「頻尿」を強調するものがあるが、老化現象なら良いが、癌の前兆であれば、大事な病のsignを見逃してしまう事になり、危険なコマーシャルとも言えるが、メーカーにその旨を話してもやめてはいない。
(勿論、頻尿=癌ではないし、炎症でない事も少なくはない・・ので、メーカーとしては、認めたくは無い事になる。が、万が一の事態よりは商いを優先したいのだろう。)
 夜中に尿意を催したら、トイレに通うしかないと考える者には不要の薬であり、また、力んだ拍子につい失禁しそうというのであれば、急いでトイレに駆け込むか、バッグにパンツを入れておき持ち歩けば・・トイレで履き替えれば良いに過ぎない。
 出来るだけ、「あらゆる薬」の服用はしないに越した事が無いのは言うまでもない。
 此れに関連し、老化現象により自然に発生する現象については後程。
 先に、膀胱癌に付いてだが、明らかに拙いと思われるうちに「血尿」がある。その名の通り、小便時に血の小便をする事。
 其れも、トマトジュースの様にどっと出て来た時には、泌尿器科の門を叩いた方が良いのは当然。
 此処で、泌尿器科でも分からないケースを挙げてみる。個人の開業医などで、「エコー検査」なるものをする事がある。
 全身というか内臓に付きエコー・・超音波による検査・・医者は画像で見るのと同時に、規定の数値で判断する事もあると思う。
 此の既定の数値は宛にならないから要注意。特に、患者が「・・血尿が出た・・」と告知しているのにも拘わらず、数値に異常がないからと血止めの薬を処方したら・・一旦は血尿が止まるが、再発し・・放っておけば大変な事になる。
 個人病院では気が利く医者は、総合病院に紹介状を書き、其処での検査や手術を優先する。
 ただ、血尿の原因が全て膀胱癌ではないとも言えるので・・。地球人は男性が交尾の際に放出する液状のモノがあるが、此れに血液が付着している場合もあるが、何かの病とは言えないケースも少なくはない。
 又、自覚症状のうち、「顔などがげっそり痩せてしまった」という場合も、疑ってかかった方が良い。
 前述、後者の癌の場合には、総合病院でオペ・手術となる。医者が内視鏡で見た画面は、写真等で患者にも見せる筈だ。
 写真にもじゃもじゃの海藻のような・・毛のようなものが見えれば、俗に「イソギンチャク」と医者は呼ぶが、オペも時間がかかる。
 薬で治す事は不可能で・・手術室で尿道から電気メスを膀胱迄入れ、それらを全て切除するが、回転するメスであるから、ついでに周囲の膀胱壁を削り血が噴き出す事もあるだろう。
 医者は、手術時にモニター画面を見ながら切除をするが、患者には見せない・・・もし地球人で無いとすればその限りではないだろう。
 ベテランの医者であれば、時間を掛け全て刈り取る事が出来る。ところが、膀胱癌は極めて再発しやすい病で、1~2年程度をして・・或いは何か月で再発をする事がある。
 真面目な医者であれば、三ヶ月に一度ずつなど・・内視鏡検査をする。地球人は五感でしか判断できないので、実際に見て貰うに越したことは無い。
 医学が宛にならないというケースもあり、前述のように寧ろ「・・分からないが・・難しいが・・」と口にする医者の方が真面目だろう。
 其の例えとし、仮に「二ミリや三ミリのような極小さな癌が発生するとする」。
 国立癌センターでは、一定の条件のもとに電話で医者と会話が出来るようだ。
 年輩のベテランの医者でも「・・そんなのは癌じゃないよ・・」という事があるかも知れない。
 そうではなく、理論的に癌であるので、やはり、手術が必要になる。何事も早目に行うに越したことは無く・・社会一般でも同じ・・何とかカードも被害が酷くなる前に、処置をしなければならなく、保険証化をせずに辞める事が急務である。地球人のAIも同じで・・次第に詐欺などやtroubleが増えていくだろう。
 AIと名付けているが、文明では呼称が異なり機能も全く異なるが、百五十億年以前にその様なものは化石になっている。
 とういうのも、その手のものは創造者により知能等が全く異なるので、感情面が突出している地球人では地球人に沿った能力になるので開発は無理であり、大した意味も無く、他に代替えの優れたモノを開発すれば良い事になる。

 発癌性物質は非常に危険である。USAで有ろうと何であろうと、差し止めや基地の移転が必要だろうし、損害賠償も可能な交渉をしなければならない急務。
 なったとしたら・・原因は水であれば・・特にマンション等の集合住宅で、屋上に給水タンクが備え付けられている場合は、注意が必要だ。
 水道水も井戸水も飲まずに、先刻から申し上げている様に「一リットルのペットボトルの水」を毎日飲食時に使用すれば防げるだろう。
 スーパーによっても異なるだろうが、百円程度で購入できるので・・命と引き換えなら安いものだ。
 かなり昔の事だが、「奇跡の水」のような触れ込みのものがあった。癌患者が高価なその水を購入していたが、亡くなった。
 発症し酷くなってからでは遅過ぎで、完治してからなら予防の為にペットボトルの水で再発を防ぐ事が出来ると思われる。
 地球人はコマーシャルやその手の奇跡のような言葉につい騙されてしまうのが欠点と言える。
 


 次。

 コマーシャルでもいろいろなケースがある。
 健康に関与しないものであれば騙されても仕方が無い。健康に関係するものでも種類が異なると思う。
 ブルーベリーなどはパソコンなどを毎日使用する者には効果があるだろうが、出来るだけ安いドラッグストアーで適度なものを購入すべきだろう。
 脳の海馬の壊死に効能があるというフレーズは絶対にやめた方が良く、地球人では海馬に関するオペの技術も持ち合わせていないし、先刻から申し上げている様に、認知症は地球人類だけに発症するもので、他の動物には老化現象は訪れるが、認知症は見られなく、物忘れのような認知機能の衰えも高齢であれば当然であり、全動物に共通している事と言える。
 確か・・サントリーも他にも似たようなものがある筈・・。
 薬は飲まなく・・メモをとれば良いだけの事・・スマフォの操作が可能であればメモをすれば良い。
 ただ、高齢者でもこのような事が起きるので一言。
「・・老人ボケが次第に酷くなると、この様なケースがあった。銀行のキャッシュカードの暗証番号を覚えていられなく、カードに記入してしまっていた。拾われたら大変な事になる。また、振り込み詐欺なのだが、お得意のパターンで・・お孫さんがアルバイトで失敗をし・・。孫可愛さに銀行に向かった高齢者。ATMから送金をしたのは百万。だが、再び銀行に現れた老人に気が付いたのは、ATMの付近で案内をしていた女性銀行員。先程来た人なのにまた来ている・・と思い、声を掛けた。・・お陰でもう百万の振り込みは止める事が出来た。女性は勲章ものだが・・後日孫を連れた子供が銀行に事情聴取をした。
 銀行の幹部が対応し、【・・うちでは・・そういう事は珍しい事では無いので・・お気の毒ですが・・】」。
 コマーシャルも景気が悪くなってから・・朝から晩までキリがない程。其の中でも・・騙しには注意。
 中間のものもあるが、老化現象を補うものが非常に多い。例えば味の素のグリナを取りあげてみる。
 うたい文句は「年を取るにつれ・・ぐっすりと眠れなくなった・・という方々に・・実は睡眠というものはこのような仕組みで・・」
 此れなのだが、無理に満足のいく睡眠がとれなくとも何等怖れる事も何もない。要は自己満足の範疇に過ぎない事になる。
 ただ、どうしても睡眠に拘るのであれば自由に購入すれば良い・・昔は味の素は東京大閥だと言われた時もあったが・・良くは知らない。
 睡眠時間は人により満足度が異なり八時間というものも単なる目安に過ぎない。海外では睡眠剤を服用する者達も少なくなく、其れは確実に睡眠がとれるのは間違いがないし、体に負担がかかる事も無い。

 仮に会社にしても何にしても、最も効果があるのは代表者宛に通告をするか、其の会社の筆頭株主に・・銀行等・・から、通告をして貰うという事もある。
 マスクの件では、尾上雄二が抗virusとの記載が誇大広告にあたるとし、JAROにも通知をしたが強制力は無いので、筆頭株主に連絡をし其処から通告をして貰ったという経緯もあった。
 
 時間が無くなったのでお終い・・。


 

 白昼夢
 
 江戸川乱歩



 あれは、白昼の悪夢であったか、それとも現実の出来事であったか。
 晩春の生暖い風が、オドロオドロと、火照ほてった頬に感ぜられる、蒸し暑い日の午後であった。
 用事があって通ったのか、散歩のみちすがらであったのか、それさえぼんやりとして思い出せぬけれど、私は、ある場末の、見る限り何処どこまでも何処までも、真直まっすぐに続いている、広い埃ほこりっぽい大通りを歩いていた。
 洗いざらした単衣物ひとえものの様に白茶けた商家が、黙って軒のきを並べていた。三尺のショーウインドウに、埃でだんだら染めにした小学生の運動シャツが下っていたり、碁盤の様に仕切った薄っぺらな木箱の中に、赤や黄や白や茶色などの、砂の様な種物を入れたのが、店一杯に並んでいたり、狭い薄暗い家中うちじゅうが、天井からどこから、自転車のフレームやタイヤで充満していたり、そして、それらの殺風景な家々の間に挟まって、細い格子戸の奥にすすけた御神燈の下った二階家が、そんなに両方から押しつけちゃ厭いやだわという恰好をして、ボロンボロンと猥褻わいせつな三味線しゃみせんの音ねを洩もらしていたりした。
「アップク、チキリキ、アッパッパア……アッパッパア……」
 お下げを埃でお化粧した女の子達が、道の真中に輪を作って歌っていた。アッパッパアアアア……という涙ぐましい旋律が、霞んだ春の空へのんびりと蒸発して行った。
 男の子等は繩飛びをして遊んでいた。長い繩の弦つるが、ねばり強く地を叩いては、空に上った。田舎縞の前をはだけた一人の子が、ピョイピョイと飛んでいた。その光景ありさまは、高速度撮影機を使った活動写真の様に、如何にも悠長に見えた。
 時々、重い荷馬車がゴロゴロと道路や、家々を震動させて私を追い越した。
 ふと私は、行手に当って何かが起っているのを知った。十四五人の大人や子供が、道ばたに不規則な半円を描いて立止っていた。
 それらの人々の顔には、皆一種の笑いが浮んでいた。喜劇を見ている人の笑いが浮んでいた。ある者は大口を開いてゲラゲラ笑っていた。
 好奇心が、私をそこへ近付かせた。
 近付ちかづくに従って、大勢の笑顔と際立った対照を示している一つの真面目くさった顔を発見した。その青ざめた顔は、口をとがらせて、何事か熱心に弁じ立てていた。香具師やしの口上にしては余りに熱心過ぎた。宗教家の辻説法にしては見物の態度が不謹慎だった。一体、これは何事が始まっているのだ。
 私は知らず知らず半円の群集に混って、聴聞者の一人となっていた。
 演説者は、青っぽいくすんだ色のセルに、黄色の角帯をキチンと締めた、風采ふうさいのよい、見た所相当教養もありそうな四十男であった。鬘かつらの様に綺麗に光らせた頭髪かみの下に、中高なかだかの薤形らっきょうがたの青ざめた顔、細い眼、立派な口髭で隈くまどった真赤な脣くちびる、その脣が不作法につばきを飛ばしてバクバク動いているのだ。汗をかいた高い鼻、そして、着物の裾からは、砂埃にまみれた跣足はだしの足が覗いていた。
「……俺はどんなに俺の女房を愛していたか」
 演説は今や高調に達しているらしく見えた。男は無量の感慨を罩こめてこういったまま、暫しばらく見物達の顔から顔を見廻していたが、やがて、自問に答える様に続けた。
「殺す程愛していたのだ!」
「……悲しい哉かな、あの女は浮気者だった」
 ドッと見物の間に笑い声が起ったので、其次そのつぎの「いつ余所よその男とくッつくかも知れなかった」という言葉は危く聞き洩す所だった。
「いや、もうとっくにくッついていたかも知れないのだ」
 そこで又、前にもました高笑いが起った。
「俺は心配で心配で」彼はそういって歌舞伎役者の様に首を振って「商売も手につかなんだ。俺は毎晩寝床の中で女房に頼んだ。手を合せて頼んだ」笑声しょうせい「どうか誓って呉れ。俺より外の男には心を移さないと誓って呉れ……併し、あの女はどうしても私の頼みを聞いては呉れない。まるで商売人の様な巧みな嬌態きょうたいで、手練手管てれんてくだで、その場その場をごまかすばかりです。だが、それが、その手練手管が、どんなに私を惹きつけたか……」
 誰かが「ようよう、御馳走さまッ」と叫んだ。そして、笑声。
「みなさん」男はそんな半畳はんじょうなどを無視して続けた。「あなた方が、若もし私の境遇にあったら一体どうしますか。これが殺さないでいられましょうか!」
「……あの女は耳隠しがよく似合いました。自分で上手に結うのです……鏡台の前に坐っていました。結い上げた所です。綺麗にお化粧した顔が私の方をふり向いて、赤い脣でニッコリ笑いました」
 男はここで一つ肩を揺り上げて見えを切った。濃い眉が両方から迫って凄い表情に変った。赤い脣が気味悪くヒン曲った。
「……俺は今だと思った。この好もしい姿を永久に俺のものにして了うのは今だと思った」
「用意していた千枚通しを、あの女の匂におやかな襟足へ、力まかせにたたき込んだ。笑顔の消えぬうちに、大きい糸切歯が脣から覗いたまんま……死んで了った」
 賑かな広告の楽隊が通り過ぎた。大喇叭おおらっぱが頓狂とんきょうな音を出した。「ここはお国を何百里、離れて遠き満洲まんしゅうの」子供等が節に合せて歌いながら、ゾロゾロとついて行った。
「諸君、あれは俺のことを触廻ふれまわっているのだ。真柄太郎まがらたろうは人殺しだ、人殺しだ、そういって触廻ふれまわっているのだ」
 又笑い声が起った。楽隊の太鼓の音丈けが、男の演説の伴奏ででもある様に、いつまでもいつまでも聞えていた。
「……俺は女房の死骸を五つに切り離した。いいかね、胴が一つ、手が二本、足が二本、これでつまり五つだ。……惜しかったけれど仕方がない。……よく肥ふとったまっ白な足だ」
「……あなた方はあの水の音を聞かなかったですか」男は俄にわかに声を低めて云った。首を前につき出し、目をキョロキョロさせながら、さも一大事を打開うちあけるのだといわぬばかりに、「三七二十一日の間、私の家の水道はザーザーと開けっぱなしにしてあったのですよ。五つに切った女房の死体をね、四斗樽しとだるの中へ入れて、冷していたのですよ。これがね、みなさん」ここで彼の声は聞えない位に低められた。
「秘訣ひけつなんだよ。秘訣なんだよ。死骸を腐らせない。……屍蝋というものになるんだ」
「屍蝋」……ある医書の「屍蝋」の項が、私の目の前に、その著者の黴かびくさい絵姿と共に浮んで来た。一体全体、この男は何を云わんとしているのだ。何とも知れぬ恐怖が、私の心臓を風船玉の様に軽くした。
「……女房の脂あぶらぎった白い胴体や手足が、可愛い蝋細工になって了った」
「ハハハハハ、お極きまりを云ってらあ。お前それを、昨日きのうから何度おさらいするんだい」誰かが不作法に怒鳴った。
「オイ、諸君」男の調子がいきなり大声に変った。「俺がこれ程云うのが分らんのか。君達は、俺の女房は家出をした家出をしたと信じ切っているだろう。ところがな、オイ、よく聞け、あの女はこの俺が殺したんだよ。どうだ、びっくりしたか。ワハハハハハハ」
 ……断切たちきった様に笑声がやんだかと思うと、一瞬間に元の生真面目な顔が戻って来た。男は又囁き声で始めた。
「それでもう、女はほんとうに私のものになり切って了ったのです。ちっとも心配はいらないのです。キッスのしたい時にキッスが出来ます。抱き締めたい時には抱きしめることも出来ます。私はもう、これで本望ほんもうですよ」
「……だがね、用心しないと危い。私は人殺しなんだからね。いつ巡査おまわりに見つかるかしれない。そこで、俺はうまいことを考えてあったのだよ。隠し場所をね。……巡査だろうが刑事だろうが、こいつにはお気がつくまい。ホラ、君、見てごらん。その死骸はちゃんと俺の店先に飾ってあるのだよ」
 男の目が私を見た。私はハッとして後を振り向いた。今の今まで気のつかなかったすぐ鼻の先に、白いズックの日覆ひおおい……「ドラッグ」……「請合薬うけあいぐすり」……見覚えのある丸ゴシックの書体、そして、その奥のガラス張りの中の人体模型、その男は、何々ドラッグという商号を持った、薬屋の主人であった。
「ね、いるでしょう。もっとよく私の可愛い女を見てやって下さい」
 何がそうさせたのか。私はいつの間にか日覆の中へ這入はいっていた。
 私の目の前のガラス箱の中に女の顔があった。彼女は糸切歯をむき出してニッコリ笑っていた。いまわしい蝋細工の腫物しゅもつの奥に、真実の人間の皮膚が黒ずんで見えた。作り物でない証拠には、一面にうぶ毛が生えていた。
 スーッと心臓が喉のどの所へ飛び上った。私は倒れ相そうになる身体からだを、危くささえて日覆からのがれ出した。そして、男に見つからない様に注意しながら、群集の側そばを離れた。
 ……ふり返って見ると、群集のうしろに一人の警官が立っていた。彼も亦また、他の人達と同じ様にニコニコ笑いながら、男の演説を聞いていた。
「何を笑っているのです。君は職務の手前それでいいのですか。あの男のいっていることが分りませんか。嘘だと思うならあの日覆の中へ這入って御覧なさい。東京の町の真中で、人間の死骸がさらしものになっているじゃありませんか」
 無神経な警官の肩を叩いて、こう告げてやろうかと思った。けれど私にはそれを実行する丈けの気力がなかった。私は眩暈めまいを感じながらヒョロヒョロと歩き出した。
 行手には、どこまでもどこまでも果しのない白い大道が続いていた。陽炎かげろうが、立並ぶ電柱を海草の様に揺ゆすっていた。
 
 
  



「人間は角があると世の中を転がって行くのが骨が折れて損だよ。夏目漱石」

「阿呆はいつも彼以外のものを阿呆であると信じている。芥川竜之介」

「一つの考えというものは正しいか正しくないかだけで評価できない。正しい考えであって、しかも一顧の価値さえないものあるし、間違っていても価値を認めないわけにはいかぬ考えというものがある。志賀直哉」



「by europe123 」
https://youtu.be/ItfFsmBmeOE  

USA発癌性物質問題、その他の箇条書きと文豪作品掲載

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  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-16

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