旧の作品掲載の前に・・幾つかの気が付いた事などを。

旧の作品掲載の前に・・幾つかの気が付いた事などを。

 (旧作を少々とニュース記事等の吟味をしてみる。)


 本日のニュース記事になっていたエーザイの「認知症治療薬」なのだが、説明文の記載は、「進行を遅くする薬」となっている。
 半年くらい前にも同じ電話をしたのだが、其の時にの此方の説明はこうだった。「認知症の治療薬の定義は幅広く解釈をすれば進行を遅くする事までも含むのかも知れない。ただ、数年以前にアリセプトと呼ばれた薬があり、ほぼ同様に「進行を遅らせる薬」だった。
 そういう意味で有れば、今回の新薬は単なる後発薬品としか価値が無い事になる。
 ジェネリックと呼ばれるのは同じ成分・効能がある・・謂わば一定の期間が過ぎた著作権のようなもので、単に安価で手に入るという特徴がある。
 今回は、おそらく、成分は異なるのかも知れず、そういう意味ではジェネリックでは無く新薬となる。
 USAが散々臨床試験をし認めた・・の記載は特段の意味が無く、何がどう認められたのかが分からない。
 本日エーザイに告げたのも同じ事で、「アリセプトも進行を遅らせる薬であり、当時の医者は其れを処方したが、一時、NHKが煽ったような放送を行った「認知症の将来は明るい」の期待とはかけ離れた医学の実態が浮き彫りにされただけだった。ところが、一ヵ所の病院~徳洲会病院~の医者は強制的に該薬品の使用を禁止した。
 意味が無いと思われ・・徳洲会の指示に従った施設の認知症患者は・・驚くべきことに禁止された約一年後に、症状が急降下の様に進んでしまった。
 あっという間の出来事だったが、患者の家族からは・・「やはり、やめなければ良かった・・」との溜息が漏れた。
 此れは、認知症の症状が患者により異なる為、一概に全てがそうだとは言えなかったが、少なくともその患者については事実である事は間違いがない。
 また、徳洲会内でも該診療科の医者の全てが同じ見解なのかは分からない。europeで此の国の病院を探す事は無いだろうが・・偶々ヨーグルトで知られるブルガリアには徳洲会系列の病院があった事をよく覚えている。
 そういう意味では、単なる個人病院とは大違いと言えそうだ。
 人類にとり、認知症は未だ解明がされていない部分が多過ぎ、治療薬の登場を期待する事は先ず難しい病と言える。
 理論的に考えるだけでも、「海馬と言う記憶を司る部分の神経細胞が壊死をして行くのは間違いがない。其れであれば・・謂わば死んでしまった細胞を蘇らせる事が可能か?という事に近くなり、人類の医学・科学では不可能と言えそうだ。何故なら・・更に飛躍をするが・・亡くなった人類の復元も可能な事になりそうなのだ。では、異なる観点から・・壊死をさせない予防薬或いは、完全に壊死の進行を止めてしまう薬が開発されるのであればその限りでは無い・・」と言う事が言える。
 だが、其れもおかしな事になりそうで、前者は好ましいが・・後者の効能であれば・・中途半端な認知症患者が存在し、其れが生存する意味合いとどう関連してくるのか・・と言う疑問が生じてしまう。
 端的に言って、「傷んだ頭脳を再生できるのか?」に焦点が移る事になる。
 最後に・・且つての「アリセプト」と今回の新薬を比較した医者の見解では「ほぼ同じ・・いや、寧ろ副作用の点も含め・・そうで無くとも単純に進行を遅らせる効果のみであれば・・アリセプトの方が良いと思われる・・」
 と述べている。
 こういう事は、患者或いは患者の介護者・家族にとっては・・重大な問題であるから期待を持つのは当然であり・・其れも加味すれば・・安易に新薬が極めて効能があると・・軽率に発言すべきではない・・と思料する・・。


 次に、NHKがニュースで報道をした事なのだが、「・・或る人物の死後40年を記念した展覧会が行われ・・非常に記念すべき・・さんと言えば・・を思い出しま・・と男性キャスターが述べたのだが・・此のキャスター50年前以前の事を覚えている・・40代に見えるが・・?勿論その事件が全てでは無く・・良い面があった事は分かる・・ただ、わざわざニュースに迄するから・・覚えている事が異なり・・良い面とそうで無い面双方を記憶している世代の印象と異なってしまう・・。
 名前は伏せるが、この人物は渋谷から恵比寿方面に歩いた辺りに芝居小屋を開いていた。
 その当時に、報道された事があった。
「・・氏が他人の風呂場で其の家の奥さんが風呂を浴びている最中であるのを見ていたので・・通報で・・逮捕」
 まあ、此れが即問題とは言えないまでも・・今の世代は自らが良く知らない事でも・・平然として評価をする・・特徴がある・・。
 この件は一応放送局には・・そういう事があったと伝えた・・。

 次は、昨日の事なのだが・・海外で行われた「テニス大会」の事を、民放三社で一斉に報道をした。
 審判の判定に問題があるという様な事だった。日本TV、TV朝日、もう一社だが、客観的に見ると・・こんな事を感じる。
「審判の判定には従わなくてはならないのは当然で、その場を其れで終わった。其れでも、どうしても納得がいかないから提訴をした・・したのであれば後がどうなるのか見極める事が真っ先になり・・覆(ひるがえ)れば問題はないし、そうで無ければ今後の問題として記憶を残す・・しかないと思われる」
 今の世代は・・すぐに早合点をし、其れもsportsなのにゲームと同じ感覚で感情が高揚してしまう。
 且つて、応援はしていなかったが、巨人の王や長嶋のような大選手が同じ様に興奮をし・・泣いたり・・提訴をしたりしたのだろうか?
 更に・・王選手は台湾Chineseであるが・・台湾と言う国は突然誕生したのではない。蒋介石の国民党が共産軍から追われて逃げ込んだのが台湾である。
 台湾の国民党の中でも一部は本来は敵の筈であるChinaに戻りたいと欲している・・片や民主党はUSAに防衛を依頼し全面対決の様相を呈している。
 なるようにしかならないが・・台湾では戻る希望の者には・・希望どおりにすべきでは無いか・・ただ、内政干渉のつもりで申し上げているのではない。
 CHINAにも台湾にも・・内政干渉は不可能が道理である・・。



 次に・・。
 此の国では・・戦前の全体主義に移行しようとするようにしか見えない昨今だ。其れは国民次第でいくらにも出来る事。
 自民与党に接近をしている維新と国民党?よく名称を知らない。興味がないから・・。
 只でさえ自民が圧倒する此の国で、更に二つの党が加われば鬼に金棒となる。最初からい二つの党は政権与党に憧れていたのは・・構わないが・・入管の強行採決(此れ実は、其れ以前にそうなる事を既に文面にうたっておいたが、他の全文迄記載している間に国会での決議が追い抜いた。)や何とかカードで個人情報を盗み取るのは・・どう考えても感心がしない。
 一番の問題は・・ミスが続く事も勿論なのだが・・国民にインタビューをした際のコメントに・・「・・事、病などに関するまで他人に知られるのは怖い・・アレルギーとかいろいろありますから・・」。
 更に・・免許証までが・・は全く失礼な話で・・国民の権利が侵害される。十割負担でも・・カードよりはましだ・・。
 更に事故や被災時に・・やっぱり紙の保険証で良かった・・。など・・滅茶苦茶になるだろう・・。


 時間が無いのでこんな事を申し上げる。
 与党が圧倒する事は間違いがないだろう・・。
 だが・・今度政権をとった党は・・予期しない苦汁を飲む事になりそうだ。そういう意味では・・共産党と立憲とやらには・・政権は避けた方が良い・・。
 且つての一年余りの民主党だったかな?すぐに下野したのだが・・其の理由の一部に・・神戸阪神大震災が発生した事が挙げられる。
 国に災難が次から次へと振りかかる時代に政権与党になったら・・大変どころではなく・・どうしようもこうしようも・・無いよ・・となるのは言うまでもない・・経験からの換言・・二党にはここは自然に任せ・・野党でいた方が安全と言える・・。
 約一年半から二年程度先くらいに・・色々な事が起きる。投機は其処までは問題が無いだろうが・・不動産価額と共に・・どん底に突き落とされる・・。
 世界経済も例外ではなく・・USAの構造不況も十年は続くだろう・・。目先に囚われず・・「万事塞翁が馬」ということわざが活かされる時が来そうである。
 全ては自然に任せ・・全ての結論が出尽くすまでは・・達観をするに限る・・最悪の時代到来必須・・。 

 では、旧作品を少々・・明日は何かを貼り付け程度か・・。。



 百合


 信三の法律事務所に新しく女性の事務員が入って来た。
 まだ、若い女性は片野百合といって器量が良かった、何故か信三は仕事の教え甲斐を感じた。
 信三は毎日一緒に仕事をやっていくうちに、百合の事が気に入った・・というか、おかしな感情が頭を擡げてくる様な気がした。
 実際、百合は性格も素直で、仕事を覚えるのも早かった。
 仕事が終わってから、信三が百合を誘って夕食を食べ酒を飲む事が多くなった。
 歳は両手程違う。
 二人で仕事の話は抜きで、いろんな話をした。
 そんな中で、百合が信三に、
「百合の花って好きですか?」
「そりゃあ、君の名前と同じ綺麗な花だと思うけど、百合にもいろんな色があるからな」
 百合はスマホで百合の花と検索しながら画面を見せた。
「こんなにいろいろの花があるんですよ。どの花が好きですか?」
「う~ん、君の様な清楚な白い大輪、此のホワイトリリーなんかいいね!」
「・・清楚な・・ですか・・」
 百合は歳の差をあまり意識してないようで、所帯持ちの信三の事を気に入って・・、いや、それ以上に・・?
 信三も同様の気持ちだったが。
 酔いが回った百合が、
「私の事・・どう思います?」
 と聞いた時には、何と言って良いか言葉に詰まった。
 其れからも何回か同じ様な機会があったが、或る日、信三はカウンター席の横に座っている百合に、雰囲気を壊さない様にと考慮しながらも話してみた。
「君、綺麗だし、若いんだから、当然、付き合っている彼氏とか・・?」
「全くいない訳では・・でも、此の人ならという・・何故か?」
「そう・・まだ君が出会いが足りないのかも知れないな。もう少しいろんな人に会ってみれば。良かったら、僕の後輩で独身者等大勢いるから、会ってみないか」
 暫く考えていた百合がグッとグラスのワインを飲んで言った。
「考えてみます」
 信三は、其の時、言葉にならない言葉が存在している様な気がした。
 百合がトイレに立った時、今度は信三がグラスのワインをグッと飲んで呟いた。
「俺だって、人間だからな。美しいとか・・いや、可愛いなって思う事だってあるよ」


 暫く経った頃、偶然だったが、信三が何人かの後輩にあった事があった。
 その内の、百合にお似合いかと思えた二枚目の後輩に話し掛けてみた。
 百合の事は何も言わなかったが、
「偶には、事務所に遊びに来いよ」といって見たら、
「そうですね。先輩の所も暫くご無沙汰しているし、遊びに行ってもいいですか?」。


 短い期間だったが、百合の結婚式の日取りが決まった。
 信三は来賓として会場にいる。
 新郎新婦の入場が始まった。
 信三は、「百合は・・どうだったんだろう・・」と呟いた。
 此の式では引き出物は宅配で送るらしい。
 テーブルにはお届け日が記載されたカードが置かれている。
 司会者から、「引き出物はおふたりからのお心遣いで後日ご自宅へ配送させていただくかたちとなりました」と一言アナウンスもあった。



 信三が仕事を終えて家に帰って来ると、引き出物が届いていた。
 引き出物の大きな袋の中から、「白い大輪、ホワイトリリー」が首を傾げる様に信三を見ている。
 おかしなことに、信三は其の花を何時まで見ていても飽きなかった。
「そんなに僕を見ないでくれよ、・・完全敗訴・・・」


 ベランダの外から冴さえざえとした星が澄んだ空にあらわれて来た。
純白のドレスが白すぎる肌に映えていた事を思い出した。



  harcèlement sexuel en entreprise 邦題 社内のセクハラ



  仕事に関する人事考課は社員によりまちまちになるが、今晩の歓迎会で仕事の話は出ない。
 転職で中途入社した藤田沙織。
 社員たちが順番に自己紹介や励ましかたがた、彼女のグラスにお酌をしていく。
 アルコール度の低いカクテルを飲んでいるようだが今の女性の好みなのだろう。
 彼女の出身大学は葉山洋二と同じ。
 こういう飲み会では年齢により話題も異なる。話し好きの者がいてくれると洋二の出番も少なくなり助かる。
 洋二は人を選ぶ訳では無いが、年齢をとるに連れ交際範囲が狭まって来る。中には既に亡くなった者もいる。
 幅広い年齢層が混じる飲み会などで会話にずれが生じるのは仕方のない事。そういう意味では孤独と言える。
 まだ先が見えていないうちはがむしゃらに働いてきたが、役員の席が保証されている。
 時計を早回しした様に過ぎていった時代が懐かしく感じられる。
 其れが当然で一人立ちをしてからの歴史に過ぎない。
 やはり、社員同士・同性同士でも好き嫌いはあるようだ。
 全国の支店や営業所更には出張所などでも、長との相性はある。
 男子門を出(い)ずれば七人の敵ありというが、そんなものかも知れず気心が知れたものは案外少ない。
 結構、年上の支店長より秋田県の出張所の結婚したばかりの若者の方が教育し甲斐がある。
 法的な事などは何でも聞いてくるが、丁度彼の子供が生まれた時に、秋田出張中だった。
 彼と会っていると、一日が早く感じたのは充実していたからだろう。
 そんな事を考えている内に居酒屋での飲み会は終了していく。
 締めは若い者にやって貰ったが、そうした方が歓迎会らしくなるし、肩書を何も飲み屋まで背負って来る?




 
 其の日は、定時過ぎに社を出た。
 まっすぐ帰るのも詰まらないような気がし、銀座通りにある楽器店による。
 よく来る店だから店員は寄ってはこない。ふと気が付くと、沙織が楽器を物色している。
 ピアノくらいは弾けそうな気もしたが、卒業した大学は金持ちの家の子女も少なく無いから彼女もそんな一人なのかも。
 しかし、どうやらfluteを購入したいようで店員と話を。
 洋二は電子楽器の付属品を見ていた。
「葉山さん、音楽・楽器に興味がおありなんですか?」
 音楽が好きだと言う人は多いが、楽器を好きだと言うのは当世はどうなのか。
 仕事をしながら楽器に集中すると言うのはほぼ無理に近い。圧倒的に時間が無い程忙しいからだ。
 家族でさえ洋二が楽器を弾けるとは思っていない。以前楽器を購入したが結局弾いている時間が無かった。
 或る晩に家のピアノの前で友人に取って貰ったテープを聞いていた。
 ジャズピアノが流れると、妻が、貴方が弾いているのかとびっくりしたと言う。
 何か、夫婦でもそんな事を知らないのだと思った時、学生時代の良さが思い出された。
 彼女が声を掛けたのは暇だからでは無いだろうが、珍しい事のようにも思う。
 人事課長の面接の時に洋二が彼女の大学の先輩だと聞いていたらしい。
 他の学校は知らないが同窓意識は高い学校だ。
 其れに、自営業の者は別として定年後も働くと言っている同期は少ない。
 そんな事を考えながらそろそろ店を出ようとしたのだがほぼ彼女と同時に。
 何となく飲みにでも、と言う言葉が出て来其れをそのまま。
 



 新橋に行けば居酒屋は幾らでも立ち並んでいる。若い頃仲の良い先輩と一緒に行った事があった。
 その先輩は小田原だったから、飲めば終電では帰らず洋二のアパートに泊まったものだ。
 資格を取得し今も夫婦で働いている事と思う。どういう訳か卒業しても飲み仲間意識が抜けない。
 三越デパートは慶応閥で、岡田茂が社長になった時に同じ慶応同士でいがみ合いになり岡田の愛人は女帝と。
 そういうケースは珍しい。正におぞましいと言いたくなるが収賄か何かで逮捕された岡田が最後に残した言葉「何故だ?」は其の年の言葉に選ばれた。
 新橋までは歩いてもすぐ。
 適当にあまり汚くない店を選んで入った。あの頃はそんな事を気にしなく焼き鳥が上手い店・・などと探し入った記憶がある。
 



 カウンターで無く個室にした。
 彼女も年齢は三十代位だろうか、独身かどうかは知らない。
 普通なら家族持ちだろうが、そういう雰囲気は感じられない。
 ビールを頼み乾杯を。
「最近の男女の若者は社で飲みに行こうと誘う事が無いようだが、何か人から聞いたところセクハラになるんだって言うんだが」
 彼女は案外そういう事には興味は無さそうだったが。
「そうですよ。尤も詳しくは知らないけれど、でも、そういう法律や規則はあるんですか?」
 洋二はグラスを傾けた後笑いながら。
「そんな法律はないよ。社は就業規則にそんな事まで載せる必要は無い、誰かが言い出したデマゴーグのようなものかな?」
 彼女は頷くと。
「其れは、おそらく今の若い女性のプライドが高いのか?それにしても器量が狭いのか何なのでしょうね?」
 洋二はそう言っている彼女は自分の事を若くないと思っているのかと思うが、寅さんのワンシーンを思い出す。
 妹の倍賞千恵子扮するさくらは、極端に「おばさん」と呼ばれる事を気にするが、美人なのにどうしてそんな事を気にするのかと思う。
 其の話を彼女にしたら、笑いながら女性はそういう人も多いんでは?と言う。
「君はおばさんには見えないな?よく分からないけれど、おばさんていうのは、どんな状況を現わしているのかな?大体、おばあさんというのなら、気持ちもわかるけれど、おばさんって、別に・・却ってお嬢さんとでも言われたら気持ち悪くならないかな?男性ならお爺さんとおじさんの違いだけれど、僕は残念ながら今のところお爺さんと呼ばれた事は無いな」
 自分がお爺さんと?洒落たジョークの様で笑いが込み上げてくる。
 やはり同窓・・話は個人的な事よりも、其々の学生時代の出来事等に纏(まつ)わる話などに。
 そうなると記憶というものは、また、学校に行っていた当時に誘(いざな)うように。
 



 彼女とは同窓の絆があるだけに仕事が終われば個人的な同窓会。
 今の世の中は何かおかしな事になり、その一つが先程話題に挙げた社員同士の飲み会がセクハラと?
 言葉というものをいい加減に使うのなら問題だと思うが合意の上で強要されたのでなければやはりおかしい。
「君、以前は何のお仕事?営業か事務かそんなところ?」
「そうですね営業事務って感じですか?其れが?」
「いや、営業ってのはある意味客を騙す様なところがないかな?まるきしの正直者では実績が上がらないような気もするが」
「人によっても違うでしょうが、そういう意味合いのやりとりも必要な事なのかも知れませんね」
「弁護士ってどう思う?」
「弁護士は正義の味方ですか?襟batchが確か公平という意の天秤ですよね?」
「其れが、そうでもないんだな。結構、脅かしたり、オバーに言う事もあるし。まあ、騙すと言えば言い過ぎになるとしても、果たして皆が皆善人と言えるのかと聞かれそうだと言えば嘘になるだろうな。いろいろな弁護士がいて、まあ、レベルの問題もあるのだろうが、よく、こんな法律ある事知ってますか?とか、逆にそんな法律はないんだ、など法律知識をひけらかすような者もいるが。案外脅しだったり、意味がない事を言っていたりと。僕が若い頃だった、検事から変わった人によく注意をされたことがあるんだが、ああ、そういうのをやめ検と言うんだが。その人は真面目な人でね。かなり年配だったけれど僕の理論の組み立て方が適切でない場合などに其れを指摘してくれた」
「葉山さんはどうなんですか?弁護士でもあるんでしょう?」
「ああ、企業法務と言うのはあまり幅広い仕事とは言えない案件が殆ど。元々刑事事件が少ない弁護士もいるが。其れより広域暴力団相手なんてのも昔は多かったな」
「司法試験に受かることが条件なんでしょう?」
「そうだね、最低の条件といえそれだけでは一人前とは言えない。弁護士会に所属して初めて弁護士となるのだが、今どきの若い弁護士には色々驚かされることがある。例えば、弁護士法人と呼ばれる中にはなりたての弁護士も少なくなく、其れに一時流行った、払いすぎた利息(過払い利息。)を正当でないとし、取り戻すことばかりやらされていると、其れにはある程度対処ができても、法定経験が少ないこともあり、素人から法廷でこんな風に持っていけば良いんじゃないですか?なんて逆に突っ込まれたり。或いはこんな弁護士もいたが、弁護士になり五年も経験しているのに、根抵当権の実行に極度額の確定が必要かなど覚えてなかったようで、逆を言ったからそうかな?と言ったら、慌てて六法を持ってきて調べ、嗚呼、済みません。その時は事務員の女性達に笑われていたけれど、まあ、性格が良い若者だったから、其れはいいんだが。年配になっても完璧とは言えないケースも有る。百歩譲り・・という節回しなんだが・・遠山の金さんでもないだろうに?と、芸がないというか、小説を書かせたらさぞかし奇抜な筋書きも浮かばないだろうし、美しい文章など書けないだろうね?
 法廷での光景でよくあるのは、勝手にこねくり回した挙げ句、筋書きは正しいと自らは思い、いよいよ言いたかった結論を・・と。途端に判事から、・・代理人、其れは誘導尋問ですよ・・で、嗚呼、済みません。ベテランでもそういう事は多い。中には相手方の証人に、それとなく、こう言いなさい的な・・其処までになると呆れるが。其れが青山の有名な女性弁護士だったりして。おまけに、早口過ぎ。速記書記官から・・先生は早口で書き取れませんなんて・・其処までになると・・大抵勝敗は決まっている」
「弁護士の困ることっていろいろあるんですか?」
「そりゃ刑事罰なら論外だが、弁護士が弁護士会から、ある期間営業を停止させられる事があると、失業に近くなる。其れ以上なら、大変だ」
「判事は常に正しいと言えますか?」
「そりゃ人類だから最高裁の判事でも、最近はおかしな判決を下したりが多くなった。政府などに肩を持つ判事もいる。明らかに憲法に抵触するとしても、触れずに判決を下したり。ただ、こういう事は言える。NHKの最高裁の判決文を見ると、弁護士の持って行き方がお粗末で、やはり、肩を持ったのと同じような結果になっている最高裁の判事の罷免判断にしても、一般の国民は広報を見ていないし、どんな裁判で判事をやり、判決が適切だったかどうか等分からない。それなのに、選挙のときに投票所で賛否を問うというのはあまりにも合理的な策と言えないだろう?まあ、そうなると選挙法自体が改善されなければならず、人類だから仕方がないとは言え、極端な話、選挙カーでのスピーカーによる主張・候補者の掲示版なども改善すれば必要がなくなる。まるで明治時代と思わせる。デジタル庁など、マイナンバーカードばかり固執しているが、本当に意味があるのかは疑問。NHKの電波を利用した主張辺りをデジタル化と合わせ選挙そのものを改善しなければならないのに」
「でも、判事さんに戻りますけれど、かなり勉強をするんでしょう?」
「ああ、書類を家に持って帰り宿題をこなし、判決の骨子を改めて見直すなどの努力をしている判事も」
 沙織も法学専門で、勉強すれば司法に携わることは可能だと言える。
 昔は書記官上がりの判事もおり、仕事をしながら勉強し判事になった者もいた。
 誰にでもそういう能力はあると言ってもおかしくは無いだろう。



 二人の会話によどみは無い。
 個人的な事は敢えては聞かない・・つもりが・・。
「奥様の話が・・?」
「・・うん?実は・・数年前に亡くなった・・」
「・・あら?そんな事私が聞いちゃって良かったんでしょうか?」
 洋二は黙って彼女の顔を見た。
「・・弁護士失格かな?」 
 



 其れから何度か彼女と・・。
「どうだい?偶には飲みに?」



 偶にという言葉の使用方法を忘れてしまったかのような・・一年も経った頃・・。
 そんなことが続いているが・・?
 其れもセクハラ?
 其れとも、同窓会?
 其れとも・・?



 今晩も、二人の笑い声が店の中から聞こえてくる。
 やはり・・なんだろうと二人は思っている・・?
 洋二が役員に上がることは・・以前から薄々分かっていた社内。
「・・おめでとうございます」
「・・いや・・それで・・其の・・?」 
「・・あら?百歩譲るは・・禁句なのでは?」


 今日は着物姿の彼女・・誠に美しい限り。
「・・其の風情は・・?」
「・・何か?おっしゃいました?」
 
 
 
 三田のキャンパスの芝が赤く燃えている夕刻・・そんな記憶。
 その後の筋書きを・・二人は辿っていた・・。



「世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。一遍起った事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変るから他にも自分にも解らなくなるだけの事さ。夏目漱石」

「古来賭博に熱中した厭世主義者のないことは、いかに賭博の人生に酷似しているかを示すものである。芥川竜之介」

「幸福というものは受けるべきもので、求めるべき性質のものではない。求めて得られるものは幸福にあらずして快楽なり。志賀直哉」




「by europe123 」
https://youtu.be/WOd05LXYI2g

旧の作品掲載の前に・・幾つかの気が付いた事などを。

旧の作品掲載の前に・・幾つかの気が付いた事などを。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-10

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著作権法内での利用のみを許可します。

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