海に浮かぶクルーザー

海に浮かぶクルーザー

海に浮かぶクルーザーの美しき佇まい。薄く朧気に転位する波の揺らめき。
人生で探し求めていた色彩を見つける全ての開放的条件。
海の青色と見事にマリアージュする豊穣な生命のダイナミックな営み。
爽快に駆け抜けて、海の上に優雅な心が流れる乙女の純情。
水面が煌めき澄んでいて、その上に生まれたばかりの肉体を浮かべる気持ち良さ。
生きている。
海の純度が水々しく細胞を脈動させ、十分なエネルギーを与えて回転する地球。
全てを享受する喜びに溢れる自然の軌跡。
滑らかな流線美の形式が、アクロバティックな生命躍動エモーションを表現し、海面を目映く漂流する。
全てを波に委ねて人生行路を決定する例えようのない安心感。
情熱の炎が水面を真っ赤に照らす。ほのかな色気で濡れた果実が最も良い円熟な状態を迎えました。
人生の激情の後に来る、心が漂流したまろやかな海との調性で、のんびりと青空へと肉体が一直線に伸びていく。
肉体が海と見事に調和してブレンドされ、神妙な気持ちの軌跡の中で、思考は頂きの青空へと昇っていく。
伸び伸びとしたソファーで、ゆったりと太陽の光をあびながら、五線譜に生命活動を描き上げる。
船が持つ滑らかな曲線の神秘に触れて、生命の深奥へと形式化していく。
躍動した生命のアートが甲板に舞い上がる軌跡、その光の流線を手でなぞる快感。
光の中に、人生を始める飛翔の煌めきに舞う心の浮遊感。
この世に初めて一から築き上げる潮が肉体を揺らしてくねらせ流れ抜けていく。
前へと突き進む冒険心でうきうきする潮の流れに身を委ねる。
航海の羅針盤をセットし目的地を決めて、優しい気持ちで順調なパトスが発芽された。
命の限りを尽くして、海のまろやかな感触を確かめ思う通りに針路を決めれる快方感。
真っ直ぐ進む、太陽が煌めく方向へと人生の景色は良くなっていく。
船は私の拠り所になる。人生はパッションの先に幸福があった。
期待で満ちる朝日が海を照らし何億の光が上昇して発散する。
宇宙と海の中に、人間の感覚は未知の母なる全てを肯定する慈悲があった。
自然の流麗な現象に人間は驚き万力の彼方に昇天する秘密の数々。
数を数えて海で生まれてからの時間の遠さを思う。
長い時間を掛けて築き上げた生命の海に委ねて、クルーズ船の進路を決定する。

私達は一体何処へ行くのか。
生命の原始へと還るのでしょう。

人生が完全な調和で満たされて優雅な時間の先に、新しく産まれ変わる生命があった。
全てが光に溢れ癒やしの心で快方している。
船は進路を自然に委ねて、人生が発芽する煌めいた嬉しき予感。
クルーズ船の前方には未来を期する者の光があった。そして頭上に天の川がひらひらと浮遊し、その時原子がぱっと光に変換した。
喜びに満ち潮が飽和し光で溢れた生命が生きている、私は原始になった。
海が流線的な光の粒子となって輝き、熱量を高めて達成する目的地。
目的地には誰も見た事の無い究極の光があった。

海に浮かぶクルーザー

海に浮かぶクルーザー

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-08

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