鳥になる為に
人間が鳥になる為には一体どうすれば良いのでしょうか。
人間が想像する最も美しい鳥をこの手で作ってみる。
人生を作り上げた原石を一生懸命に磨きぴかぴかに輝かせる。
一つ一つの積み重ねた努力の血と熱意が実を結ぶ世紀の発明。
大空を自由自在に飛翔する翼を持った鳥に憧れて、本当にこの青空に飛ばせてみたい。
人生の想いが頭の中で完成し、この手で時間を掛けて紙に書いてみる。
骨格の翼をはためかし、一つ一つ飛んでいる姿を想い浮かべながら、熱い想いでパレットを重ね合わせ、全ての流れる方向を見定める。
人生を築き上げる記憶のパーツを一つ一つ大事に手で暖めて、様々な角度で組み合わせ、見事な寸法で絶妙なマッチングを得る。
想いに心が躍動し、命の熱意を描く翼のヒラエルギー。
鳥は高く舞い、天を眺め何て宇宙は奇蹟なのだと感動した。
そして全体と部分が身軽な重力で、見事に快適な星間を移動する。
機動力を備え大空を高く飛翔する鳥の肉体は、目的意識を持った絶対的権力者。
様々な飛行の形を作り、全ての想いをそのまま方向付けして飛べる。
この鳥の視点は神の視点となり広く見渡す日の出の赤の景観。
劇場が観客の興奮に連鎖的に包まれ晴れやかな青空が表現されていく。
鳥を設計する人間はこれまでの記憶を頼りに、手が作り出す線の形状で見事な円を描き、一直線へと突き抜け、一つのワンダーランドを表現し活路が喜びに踊っていた。
全ての現象を万能的に発生させる自然科学の代数式。
数学的に計算し尽くされた頭脳労働の先に、青空を駆け抜ける神の鳥がいた。
全ての情景を一から変える男の美学が、設計舞台に無限の動力源を与え機動する生命の発電。
電気信号を発生し羽根を広げ、大きく地上を離れる意識の中枢で、身軽な大文字が青空へ昇る。
全く意のまま肉体がふわっと上へと昇る気持ち。自然の力学で私は太陽へと力強く持ち上がり飛び立った。
気持ちの良い躍動性で旋回してみる、軽く機敏に向きを変えて大空を回転していく。
地平が流れて行く快感で生きている青空の情景に陶酔して、全てが産まれた時のような一新された色彩を発している。
記憶が全て良く書かれていき、山川平野を上方へと高く乗り越える超越時空の憧れ。
手をいろんな形状に変えて姿勢を変える喜びに、遠くへと意識が飛ぶ真っ白な薄いメランコリ。
体の内部の痛みが無くなり、全ての願いがすらりと楽になる。
景色が喜びで天へと翔ける、色めき立つ己の感覚が波に乗り、全速力で滑空する気持ち良さ。
地球上を想い描く位置と向きのベクトルで、肉体を規格外へと飛躍させる。
形式が見事に統一され、肉体が自然と調和し命が生まれ変わる。
ウイングが頼もしく飛翔し、目的地へと到達する課程は生まれて初めての初夜の飛行。
溶ける心のまろやかな陶酔の心地に微睡み、太陽がこの青い地球に愛を降り注ぎ、賞賛を与えブレンドされる。
期待した通りの心が今スタートし、鳥は天へと昇って行き全ての色彩を超越した。
この景色を与えた人の熱意の結晶に、神が祝福する。
神が手をふわっと伸ばして、大空を翔る鳥になった私を追いかける。
神の手と一緒に並んで飛翔して静かな天を礼拝する。
全てを超えた体感の先に、人類が到達した全く新しい色彩があった。
鳥になる為に