教会

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教会の中に籠もって、一人オルガンを弾き音楽を作る魂を揺さぶる才能。
オルガンを弾きながら音程を確かめる手先のなめらかな動きに、天啓は降りて来るのです。
人生は諸行無常に流れる雲の如き、ゆらゆらと揺らめく。
オルガンは聖堂で高々と鳴り響かせ、きらきらと輝く音の粒が宇宙空間を漂う。
宇宙の始りにハ音を慎ましやかに鳴らす、天才の右手が微かに震えた。
全てが音の飛翔体となって光を発した、空中に漂う蛍の囁き。
原子が感情に乗って体を突き抜け快感が走る。
人類が聞いた事が無いような巨大な音像で、救世主の御姿を表現した。
魂が震え上がり、意識が掛かる彼方の宇宙を現像した立方体に、可憐な色彩を付けた。
手に取るように音の精霊が空間を泳ぎ、ひらひらと長細い飛翔体の形状は膨らんだり変化して、人生の色彩の表情を発し、ふわっと天空に浮かぶ輪を見つめる。
指を示して、その輪を自身の手元へと導き回転させ光を発して、ここに太陽が産まれる。
宇宙の初まりの光が新しい産声を上げて、地平に一直線に伸びる人間の無意識。
オルガンの音が連なり劇的に上昇するステンドグラスに、キリストの救いの光を映し、我の前に心身の復活の奇蹟を起こした。
音が一つが二つへと、細胞が分裂するように別れて、天空をもつれながら意識の宇宙を遊泳する。
それからまた音は二つから一つへと合体し、明るくスパークを発し光が産まれた。
そして二つが四つ、四つが八つへと数を倍づつ増やし、脳内の神経の銀河を創造する。
人間を作り上げる音の記憶が連綿と続く記憶の光となり、人格を作り上げた奇蹟。
宇宙の闇に光り輝く音のスパークに、心身が癒やされて嬉々として、流れる雲をはっと見つめた。
神に近き者が作り上げた音の魂が、煌びやかな線模様で聖堂を行き交い溌剌として光線を発した。
人生の色彩を映し微睡む、柔軟性に富む音像の飛翔に、目もくらむ生命の誕生。
雲の流れる不思議な音像を、作曲家は聖堂の救世主と一緒に見つめた。
辺りは神聖な一新する時空となり、無限の感性が手の中で転がり、精霊の数多が天へと一斉に飛翔した。
満たされた光の救いで晴れ渡る、彼方への福音が眩しく我を照らす。
人生の喜びを歌う春の新緑の情景で、神のお告げが手先で輝いた。
晴天の栄光がステンドグラスを照らし、新しい芽を伸ばし萌えて伝える。
天にお告げした生命の流れで、全ての音符が遊び戯れ救世主とじゃれ合う。
嬉しそうに飛翔し、全てが光に満たされた情景で全人生の救いへとなっていく。
全天の光の輝きが我が身に降り注ぎ、全身が安らかな癒やしへと解脱した。
人生でこのような奇蹟が我が身に降誕し、生命の産声を上げた。
私の体が喜びの頂点で飛翔しキリストと手を握り、聖堂を浮遊し快方の晴天へと迎える。
その時キリストが私を見てうっすらと微笑する。
私の心は空となり、雲のように軽く飛翔する。
全ての人生の重荷を許され、天へと昇っていく光。
救世主と手を握り合う、人生の不可思議な光に全てが癒やしで抜けていく。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-07

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