コーヒー

コーヒー

コーヒーが神様の手により抽出され、真理を極めたエキスが滴るコーヒーカップを頂く時、ただただ選任を受けた人間としての証明を与えられた。
この世を明るくした人間曼荼羅の光がエッセンスとして、大地に恍惚と響き渡る。地球の音響が一体となりブレンドされるのです。
エレガントなコーヒーエキスが縦横無尽に天性の才覚を伴い、絶妙なブレンドで巧みに配合され、豊かな色彩が織りなす宇宙のファンタジア。
人間が太古の母胎で、じっくり暖めた知性の傑出が枠をはみ出して全く新しい一線を描くのです。
人生で一番美しい模様を描いた神様の手のラインが、人類の想像性を超越した機知の翼をはためかす。
無限に祈る念仏の未来の彼方で、人生の荒波を超えた魂の、一つの命を懸けた脈動があったのです。
悲しみの夜に人生の道を耐え忍ぶ、命の様々な心の一面に、表と裏を返し死にかけた花びらが舞う人生讃歌。
人類が高らかに歌う讃歌の音響体が立体的にブレンドされ、コーヒーの水がたゆたむ現象で、一つまた一つと知性の機知を試していく。
それは多段構造で爆発した起立的なメシアの知性。
コーヒーを眺めるメシアのその瞳はずっと遠くの救済の降誕を待望し、じっと佇んで敬虔に祈るしか、もう許されていない。
するとコーヒーのエキスが一雫の中に、森羅万象の結実がそっと誰にも触れぬように滴って、救済を全身全霊で結晶化させたのです。
宇宙の中で揺らぎ泳ぐのを許されたメシアの知性を凝縮した、凄みをおびた色彩のエッセンス。
色とりどりにコーヒーの表面張力が色気を醸し出し、千の風がたなびきシンフォニーの形式主義で熱き想いを語る。

熱き想いの中で静謐なマリアが風にたなびき、草原の中の麦を見つめさめざめと泣いていた。
あなただけには私の泣く姿を見せる事ができるの。
宇宙の中にある皿の数を一つ二つと数える事をせめての償いとさせてください。
愛らしくそっと髪を撫でたあなたの真実の中で、海が微かにさざ波を立てている。
愛のエキスの中に、この世から見捨てられ泣いて死んでいった、女の後ろ姿の哀しみに、まだ人生の肩の重荷をとれない私こそが罪なのです。
その行いの中で静謐に私の見捨てられた人生があり、物の哀れにふと青空の憧憬の中に溶けて死んでいく。
ああ、私を殺したあなたが正しかったのです。
私は死んで青空を優雅に舞う蝶となり、神様の元へ届けられるのです。
私の哀しみの道を歩く死への眼差しが、革命の中で起死回生のブレンドを行う時、雨がさめざめと降りしきっていた。

コーヒーは覚醒させた。 

この世を水で湿らせたあなたの手先でそっと赤らめたひなげしの花が、宙に浮くのを人生で初めて許された。
この待望の時空で優しく暖かい眼差しのあなたに感謝する。
翼の中で羽毛の一つ一つが意味のある造形物として輪郭を持ち飛翔する、彩り豊かな万華鏡が人生になっていく。
一つ一つの人生の側面に無駄なものなどはなく、輝き始めたのが嬉しくてたまりません。
コーヒーの力で目覚めた想像力で、ぽっと赤らめた頬。
初潮の音階モチーフが宿命のように、そっと優しく生きてきた全ての出来事に感謝する。
何という万華鏡の中に一つ一つの生々しい脈動した命の吐露があり、無尽蔵の傑出した人類に指し出された、メシアの音階テーマ。
多段に積み重なるコーヒーカンタータが美しいキリエを奏でて、静謐な音響の秘密が、人が来た道で謎めいた。
宇宙で初めて産まれたコーヒーがうっうっと唸るのです。
その遠くを見つめる瞳で、全人生が解決した音の初期に海水のさざ波があった。
万華鏡の色とりどり精緻に変化するさざ波が、足を濡らすその昨日までにない感触。
宇宙の初期で、海水のさざ波が産声を上げてさらさらと流れた。
その時生命の脈動が天地に冴え渡り、原始時計が宇宙リズムを打ち始めた。
人間の中にさざ波があり、原始の海が初めて波を一つ、そして一つと立てて、遠くの白砂に打ち寄せた、舞い上がる憧憬の巫女。
宇宙の波動の要素で、立体的に構築し直す。
原始に漂う海水の雫の中に、神様の最も愛したコーヒーがあった。
今コーヒーが産まれたばかりの産声に、手を合わせて祈り、天地のリズムが躍動して暴れ、極めて美しいメロディーを奏でていく。
この雫の中に宇宙を動かす圧力を感じた。
生命の脈動をブレンドして構築し、そっと重力を忘れて液体の雫を浮かせた男がいた。
それこそ救世主の原音に忠実な、アトミックの浮遊でした。
人間を復活させた御体のプレゼントは、最も凝縮度が高い美しき生き様のコーヒーなのです。

コーヒー

コーヒー

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-07

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