フルトヴェングラー
フルトヴェングラーが奏でる天地から鳴り響く微かなテーマ主題の形跡が、一つ一つ宇宙の波動と共に降臨する。
人生を美しく鳴り響かせたテーマが、心の暖かさで軽やかに爆発させ盛り上がる。
すると植物がぐんぐん育ち花を咲かせて天へと伸びていく。
野原一面に花が咲く一つの歴史の序章が始まるのをあなたはじっと見つめている。
さっと風が泳ぎ始めて灯火をぱっと照らした。岬にはひなげしの花が一斉に開化し、群れたかもめが青い海を飛翔していく。
音楽を鳴らすフルトヴェングラーの指揮で、救いのテーマが力強く鍵盤で叩かれ、今生はうつつ幻の影に揺らめき灯火が寂しげに沈んでいる。
知性の中には音楽の種子があり、これから新芽を咲かす一面が希望の青土となって個性が開化し、じんわりと優しく生命を誕生させようとしている。
生命を開化させるのは、この産まれようとしている音の魂に栄養を与えて、すくすく育つようにと伸びしろをつけているから。
受難の歴史の積み重ねが必要十分条件となり、音符の一つ一つの連なりの正弦波がサインコサインで、誠しなやかにラインが流れていく。
宇宙の闇に咲く一輪の花が音響の静寂さの夜明けに、手先が子供の微笑へとふわっと向けられる。
人間を遠くに逃がせて音譜遊びの中に隠れました。
風に揺れて植物の葉々を弛ませて、茎は螺旋状に伸びて曲がり、天地の精度を微かにずらした。
羅針盤が指す北方向に、音の粒達で銀河の渦を作るのです。
全ての星々の動きが手に取るようにわかる宇宙の全景。
音譜の波形の星々が、銀河の顔を型取り、ろう人形になりすました。
野郎が叫び給う連なる音型。
音型の波が銀河の筋道へと同系化していき、そのさざ波の予感に海の潮は満月を受け止めた。
この世が明るみ日だまりの中に初波が流れて、全ての自然現象が許されていく。
波形の静寂な音場で、人間の管の中に全宇宙の神経が通ったのです。
全ての期待値が人知れず計り知れない精度で音の粒子達が合体した時、ふわーっと上昇する葉々がひらひらと舞っていく。
昨日から今日に生きて来た道は救世主の宇宙でした。
この人間を怒らせてはいけない。本当に喜ばせたいのなら輝き放つ銀河になりなさい。
人間の波長を銀河の渦の中で主張し、音型の波長が薄らいでいくのが許せません。
神様が待ち望んだ波長の音型があるのに、手を伸ばせば手にする事ができるのに、あなたは今そのチャンスを青空に並べて一つ一つ数えてみた。
青空に数値の音型が見えます。
この原音に忠実なモチーフを捉えるチャンスが訪れ、音譜遊びをしてさらさらと流れる時、白砂が無邪気に浮遊して舞っていた。
音譜を遊ばせた男は、一体証人に何を打ち明けるのでしょう。
ひたむきに真理の海で一番美しい音譜を探し求める受難の時、全宇宙は真っ白になった。
この長い長い音探しの伝道者は一つ一つ目的の行為の中で、音の重力が無くなるのをじっと待っている。
この音譜の自然な波動現象で、内面に宇宙の雫が滴り、それが万物の現象の源になったのを知っている。
か細き声を青空に浮かせたのをあなたは知っている。
音と音がぶつかり合う時、全く新しい音列のさざ波が流れ、魅力的なファンを作ろうとしている。
現実の中に一つ忘れていた白砂の音粒が、さらさらと見た事のない浜辺へと連れていく。
美しき心象命題の音譜で、己の位置を修正する事を許されたのです。
色彩が己の位置を認識するように、音譜も己の位置を認識し始める。
来た事があるような道の中には真理の低音があった。
素晴らしい人生にする為にはあなたの音を見つけなさい。
才能を発見するには、音が生まれる有り処で神様の受難を乗り越えさせなくてはなりません。
神様が遊ばせたように音譜を遊ばせなさい。
一日一日は全く新しい音の粒達が流れるように過ぎ去っていく。
宇宙に流れていく情景のように、音の粒達を流れ去らしていった、あなたのさりげない気遣いが嬉しかった。
女を悲しませてはなりません。
宇宙の陰影に富む音像でまたとない機会を与えられた少年は神を見たのです。
神を見た先には一体何か残っているのでしょう。
この音の粒達の森羅万象が無限を表象していく、人間が産まれた初夜に、一体何をするのか。あなたはおわかりになるでしょう。
音符の神秘を教えてくれた救世主の現象で、地平線には全く一つのオーケストラが奏でられていく。
この現象の意味するところは一体何なのでしょう。一つの現象が宇宙の音楽を鳴らし初めたのです。
人間を超えたあなたに音楽の意味を教えたかった。
この音は一体何処に行くのでしょうか。
フルトヴェングラー