作曲
人間より彼方遠く上の誰もいない空間で、青空演奏会を行う。
晴れ舞台の一幕が上がる。
人生で一番待ちに待った舞台が来ました。
今まで人生の記憶を集大成した音楽芸術が日に当たり、初めて人類の感性に示されている。
待望の用意周到な筋書きが、限られた時間で、人間の思想が作り上げた小宇宙に凝縮されている。
指揮者が舞台に現れ観客にお礼をする時、精霊が立ち現れる幻の淡きおじぎ草となった。
自然の波形を音楽化して、数式が稀に見る美しさをともない儚く飛翔するのを感覚する。
タクトを振り降ろす時、あなたの創造した宇宙が一つ二つと微かに生まれて産声を上げたのです。
人間を生んだお気持ちはいかがですか。
人間の初めて聞く音楽が、生命の脈動を感化するひたむきな精神の直線。
直線の中に宇宙の微かな熱気があり、円の中を突き抜けていく紙飛行機。
もう一つ宇宙の片隅に置き忘れていた、紙飛行機を飛ばす時が来たのです。
人間の心を浮き始めさせた、私の作曲した血と汗と涙の結露が、暗闇の浮遊点で色彩を憶えている。
その浮遊点の周りに、夜明けの虹色の光線があり、朧気に人間の実情を微かに写生する。
観客の心が、宇宙の光の階段を登り、一斉にコラールが吠え渡らせ隅々が覚めていく。
宇宙を生んだ作曲家は紫の花びらを手に持ち、日の光に当てて神秘の中に幽玄する。
宇宙の静かな座席で一人ビブラフォンを奏でる天使の挑戦状。人として生まれて来た一つの証拠として観客に示された。
人間の中の人間が、生まれて初めての音を聴いた時、そこは青空だったのです。
人間を生みおろした、生命の赤の露が滴る初めての音の粒に、万物は格納される。
音の中に、音が宿り、光の渦となって照り付け、一つのさざ波が現れた、世界に夜明けを告げる。
昨日来た道はまた明日にも必ず通る、人生を照らす灯台に音波の渦があった。
渦の中に処女の革新があり、潮の満ちる海の中に一人の生まれたばかりの人間がいたのです。
ダンスするシルエットになぞらえて、海の水平線にかもめが一斉に飛び交う。
そうしたように、あなたもこの世で初めての音楽を奏でなさい、その彼方で人間がずっと追い求めた地平に知性が存在している。
何と奥ゆかしき宇宙の創造点の現場で、冴え渡る営みに、人類最古の音楽が鳴り響き、木々が揺らぎ小鳥が舞い、自然界の営みで遊び戯れる。
宇宙のギターを鳴らす究極の音遊びで、静けさの中に5線譜はひとりでに生命を生み始めた。
五線譜が人としての生き様の完成を表現している。人生で一番美しい時空に、音楽が音楽そのものを意識し世に問う質問状を提出する。
音楽を意識した音譜達が観客の心に届き、何かしらの生命をスイッチさせた。
全く使っていない音感の深層心理の微熱に、殻が破れる満身創意で、現実の5感が全く新しい音のラインで沈んでいく。
生命が安心して人間の来た道で初めて言葉を発する。人生の晴れ舞台で人間が生き返り音楽を革新化していける進化の系譜があった。
一つ一つの音符が愛されて、宇宙に漂う塵の積み重なりで、人間としての存在を完成へと飛翔させる。
丹念に磨いた芸術の晴れ舞台での静謐な機構。
答えがそこにあって、宇宙の原点の音楽が鳴り響き、初夜の灯火で、本能の中に沈んでいく、はっと人間が無意識に羅列する音の魂を発見した。
音楽が鳴り響き、清めのミサで一人祈る巫女が演奏会で昇天する。
涙の中で、海に初めての波が、淡れに儚く行方をじっと見つめている。
音楽が鳴り響き、一夜の夢見心地で生命がシンプルに生まれました。
生命が音の中で、静かに革命のリズムのパワーを模倣していく。
この世の軍隊行進曲の中で、全く新しい一つのモチーフが変容していくのです。
一つ一つのモチーフが自然万物への分化を迎えて、始まりのさざ波の中で、一人の申し子が神言を語った。
この嬉しき観客の中で、一人の革命児に昇天する光が射して、音符の発生状況を確かめる実存と時間の新たな地平。
人間が生まれた時の音楽が、初めて宇宙に響きました。
宇宙の殻がカタカタと微熱を発生して破れているのが、巫女には見えていた。
人間の原始の宇宙へと還っていく自然の摂理。
宇宙が破れた後に、一人でに音楽が語り始める。
さあ、宇宙が生まれて動き始めました。
作曲