あなたは真実を見たのでしょうか。
あなたは真実を見たのでしょうか。無限の喜びとは苦しみを経て訪れる、救いとはこんな事でさりげなく、ああ、私は生きていたのです。
苦しみとは人間にとって、必要で無邪気な世に移ろうたわむれに、死の花を見てしまった私はもう死んでいる。
私はついに死んで生まれ変わるまで冬眠するのです。
冬眠するまで死んでいる、安楽を感じれる喜びに浸れる、死の襞へ降りていく快感に、人間は生きながら死ぬ事ができるのです。
死ねるもう死ねる喜びに、私の体に苦しみなんて何もなかった。死んでいる朝に、あなたは私に民謡を聞かせた。
その古めかしい歌声に、人間の死んだ声の音色で、朝顔の花はもうとっくに枯れていた。
死んだ花が私の方を向いたその悲しさに打ち震える、その声に宇宙が闇に沈んでいく。
この世は闇に沈んでいく時に、朝顔の花は一つの光子を発光した。
私の人生に一つの啓示をもたらす人生の歌に、天女が手を添えて念ずる空の賛歌。
人は死ぬまでに、一回だけ一つの朝顔の花を握る事を許されるのでしょう。
死ぬ前に一輪の花を枯れさせた、私の肉体は罪になり、一つ宇宙にその夢を見させた存在感に、りんと光り輝くその光明。
この世は救いに、そっと夜が周りを暗くさせた、ドンと低い音像が姿を現わし、宇宙の形状をデリケートに隠し、誰にも知られないように。
何も知らせない姿が無い少女の情景に、ふっとさりげなく死を選ぶことを許される。
私にも死が隠れていたなんて。
私の手はかつてない死の感覚に、世界が共鳴の渦で、宿命の奇蹟の一音を奏でるのです。
この一音で宇宙は全て死んで無くなるのを観察する寂しさに、ふっとさりげなく涙を拭き、じっと青空を見つめるのです。
この世は死にたくなるのをお待ちなのです。
でも生きているのが、神経の御経の一文を読み上げ、それが朝顔に連続的に音波で伝わる、その雫が微かに青空に反映するのを、美しきあおによし。
さあ、時間が初まるのはわかりますか。
青空にその雫が浮き上がり、360度で姫君の静かな音像の一点が、宇宙と連動し連携して晴れ渡る。
この世に厳しく生きて、雫が一つから二つに分裂するのを見つめる、この男と女の心中の悲しさよ。
この苦しみに人間の命はさぞかし哀れに儚く散らして、もう全てを初めからやり直す、雫の一つから二つへの分裂だった。
雫は宿命的に愛を語り「愛」を散らそうとしている。
愛を語らせてください。そして宇宙の中の一分になり、人生をやり直させてください。
宇宙は死ぬのをずっと待っているのです。
愛の中に沈んでいく諸作用に、一つの雫が朝顔の葉に落ちて、その一音が宇宙全体に届く。
植物の形はこの世の静かな一音に、宇宙の情景で一度の合体現象を起こし、花をもう一度咲かせてください。
人生にもう一度だけ雫が動き初める、その一つの動作に神が宿るのを感じたのです。
人生が動き始めた諸動作に、起動スイッチが生命の世界の秘密の中へと、誰も知らない不思議な心を感覚するざわめきが、深遠に真理を隠していく。
ああ、これで世界の真理を一つまた一つと闇に隠す事ができたの。
この世の中に、もう一度お天童様を隠したのです。
人間である事を忘れさせてください。
人間である事、記憶のスイッチは宇宙になったのです。
宇宙にもう一つの神様がいて、初めての一つの雫に、全人生の記憶を忘れさせようとしている。
もう意味の無い事はやめましょう。
この世に一つまた一つと、人生が生まれ始める。その一つの生命の意思で全宇宙を見渡し、全ての記憶を無くすことを、神からこの日初めて許されたのです。
全てが無くなり、全てが形の無い御姿へと、全ては全く無くなりました。
全ては初めから何も無かったのですから、何も気にする事は無かったのです。
ああこれでやっと死ねるのです。死。
あなたは真実を見たのでしょうか。