祇園の芸妓
祇園の芸妓さん達が通う世界の、麗しき人間ロマン街道に光が射し、鐘が鳴る日に私は昇っていきます。
芸子さんは踊りの練習に、日々の鍛錬の賜物を披露し築き上げた想いのかけらを、生命の清酒に浸す。
都の道は、王道を走る王様の堂々たる勇ましさである。
祇園には人間が積み重ねた熱情の想いがあり、ぬめりの中から蓮の花が咲く。
人間のおもてなしが何気ない優しさに溢れる天上世界。
人間を喜ばすにはどうすればいいのか。
芸子さんはわかっているのです。
人情紙風船の屋形船の中に、灯りがほのかに慈しみ、ロマンの中に一番星を見つめたのです。
期待に溢れる人間の熱き想いが流れる。天体移動の生命の中心に、おもてなしの感動がある。
期する者が答える人と人の情のやりとりに、人生がまた新しく生まれ変わるのです。
情が浮遊し軽やかに機微を表象し、遠く彼方で蓮の花が咲いた。
人間の世界を盛り立てる女気でのいたわりの日本酒で、人生に乾杯をする。
全体像を俯瞰した時、世界の夜明けは見渡すかぎりの成功の歴史の数々です。
人生に喜びを与えた芸子の人想う中心に、暖かい仏様の御姿が謎めいていた。
遠くに人生の完成した御姿があり、祇園の遊びの中に本当の勉強があるのです。
芸術のひとひらのさらりさらりの舞いに、この世の秘め事はそっと胸にしまうのです。
隠された人の心情の色が、芸妓の手によってそっと秘め事になっていたのです。
本心は一体何処にあって、人間のもう一つの心はいつ生まれるのでしょう。
祇園の明かりに、ほのかな恋心の世界は創造の産物なのです。
人間が憩いを求め訪れる心情の中に、熱い会話があり、深層心理の泉へと触れた時、芸術を創造する芸妓の誰も真似できない性質に惚れてしまう。
お客様が集まると、一人ではできない活気と想起に満ちて徳を持つに至る。
人間を磨く為の日々の修行で生まれたままの素となっていくのです。
栄養を養う光が祇園のお茶屋さんに指し伸べられ、私は生きてきて良かった。
この気の流れにアルペジオが両手で奏でられ、人間の世界を創造していく。
芸妓の舞いが知性の喜びに飛翔し、らんたんの灯火の中に、心はこの世に無いのです。
経験が本流となって新しい世界を構築し、酔わす心の気遣いに、もう一人の世界があった。
命を懸けて芸妓の舞いを堪能する時、世界に初めての形状が仏様の手でなぞらえていく。
秘められた人間として生まれた個体が、一つの細胞から生まれています。
あなたの気持ちがわかり初めてきました。祇園の夜の秘密に、遠くで鈴虫が鳴いて祈りを捧げ、これから天地に夜明けを見せます。
人間の情に、天地の回転を同期させる期待感で、もう一人の芸子がお月様を見つめています。
お月様の光が芸子の舞いを照らし、幽玄で妙な御姿の魅力的な形状が、世の面白さを表現するのです。
表現する情景の御体が謎を明かし仏様の御姿を現す。
期する者よ、さあ来なさい。
この世の中で一番美しい舞い姿にお月様が満月になった。
期する者よ、祇園で一番幸せ者になったのです。
蓮の花が満開になって、一番星があなたを照らし、海が満潮になって生まれし新しい生命に感動している。
お月様がこの満潮の無我の境地で新しい舞いになって、人々を幸せにするのです。
人間が新しくなる時、芸子が一世一代のお月見日和なのです。
明るく照らして全ての人生を肯定している。
芸妓の言う通りです。
芸妓の言う通りにすれば全てがうまくいくのです。
祇園の夜が満月の輝きに照らされて、全ての罪を取り除いていく。
祇園の芸妓