千本鳥居
この世を見渡すととてつもない建築物を構想する人間がいるものです。
千本の鳥居をくぐると、そこは知覚できない生命の伝説が誕生している。
時間を掛けて一つ一つ鳥居を立てる継続した努力により、総本山は完成していくのです。
長い年月を費やし神社の鳥居が、宇宙の言霊によって丁寧に建造されていく。
この世に人智の限りを尽くした建築物の鳥居は、神様へと続く木材の堂々たる佇まい。
歴史を映し出して期する存在になろうとした、鳥居の数々は文字板の如く神言を語り観客の心を踊らすのです。
魂が躍動する鳥居の壮大なスケールの気高き理想。
人間の好奇心が、鳥居に宿る霊の限り無きパワーを感じ、狐に案内されて山を登っていく。
幽玄なる山の様相に真言を唱えて、修行僧が生まれてから死ぬまでの自分と向きあった言葉の数々を想うのです。
山の遠くから赤ちゃんの産声が聞こえ、原子の細胞が微かに振動している。
鳥居の間をくぐる狐の後ろを、生まれたばかりの子狐が連なりよちよちと歩いていく。
鳥居の赤の色彩が赤ちゃんの産声を拾い取るのです。
誰も考えた事の無い事を、赤ちゃんは感じ取り脳の銀河を発灯させる。
この鳥居は無限回廊のように続いていく、先が見えない居心地は母のねんねんころり。
性格が形作られる自己門答の言葉の数々と重ね合わせる。
くぐった数は人生をこれまで生きてきた言葉の数々なのです。
数々の言葉を使い、主人公として鳥居の赤色の木に触れた、これが長年築き上げた一つの感触。
くぐればくぐる程、人生で費やした思想の言葉の数々を手で感触する事になる。
この磨き上げられた文体の数々に、山道の進路の方向性が決まっていく。
壮観な鳥居の素晴らしい佇まいに、難題をくぐり抜けて来た数々を想い懐かしくする。
情緒深い理念の文体で真っ直ぐに歩き続ける。
赤に染まった情景に、真っ直ぐに狐が人の気配を無くしていく。
この道先案内人に連れていかれる、未知なる言葉の色彩を灯した宇宙遊泳。
この世が赤に染まる幻想の中で、カラスが遠くから私を見ています。
この先にどんな人生が待ち受けているのでしょうか。
新しい情景の連続で、数々の言葉の連想ゲームのパズルとなり、きっちりと合成されていく。
禅的門答のように強く想いを持ち続け、山上へと登っていきます。
ふわっと真っ赤な鳥居が狐になって真言を語り初める。
理想がうまく回転して最上層部へと御言葉を積み重ね人格を形成していく。
千回くぐる人生の劇場で主人公となって自分自身の意見を語ってみます。
そうすると鳥居がそれに最善の策を考えてくれます。
人体が鳥居を模したように、全ての構造は神社の縮図になっていく。
鳥居の一つが人生で感覚したワンシーンとなり、記憶の恋文を読み返し、ほんのりと遠くを見つめるのです。
人間の言葉を作る鳥居の数々は、極楽鳥の翼の飛翔で還元されていく。
人間は神経を使い鳥居の数を一つ一つ数えていく。
宇宙へと鳥居が宙に浮いている不可思議な現象。
鳥居の中心に狐がいて手まねきをして、真言を唱えています。
神社は完成へと時間が達観する時、鳥居を全てくぐり抜けた解放感があった。
鳥居は全て肉体を通して経験し記憶して、細胞の遺伝子へと変化する、そして天の気が渦巻いた。
ヒラエルギーが生命の神秘の中心に御言葉をセットします。
幻想的な色合いの歴史的大門が、知性ある生命の言葉を語り始めて、宇宙になっていきます。
鳥居の全てが意思を持ち発光し、人生の記憶を語り初める。
人生を照らす中心に狐の御言葉があり、人生の闇に光を照らし初めました。
全ての鳥居が万事を放り投げて飛翔する最も待ち望んだ時空で人生は邂逅した。
千本鳥居