フェラーリ

フェラーリ

高速道路を全開でいくまで走る絶頂感を、どのような筆記体で表現すればいいのか。
時速を上げていく高揚感で、光の中心へと時空を超えていく。
他の人間より高く走る優越感で、快感をもよおす宇宙の中心に、人間の意思があったのです。
スピードを上げてフェラーリのエンジンを炸裂させていく。天空へと高度を上げて上昇していく道は、救いへの道標。
時空をもう一つの別次元へとワープさせる、この世の雑事を忘れるカタルシス。
FMから音楽がタイムワープし、微睡みの中にそっと天使を浮かべるのです。
音楽と同期して舞う車体の優雅なダンスに、また一つ未来への方向性を見つめたのです。
高まる速度でタイヤが道路の上空へと浮いて、鳥になった。
鳥の翼が空中へと身を委ねる時、意識がフェラーリの赤い情熱の才能を呼び覚ます。
凶暴な革新性の轟きで、必然と神掛かるドライビングの楽しさが復活する。
不死鳥よ、復活した御気持ちはいかがですか。
高速道路を作った人間達の凄みのある努力の蓄積が、一つの苦労人として、集大成を作り上げた。
道路が道路で無くなって、飛行し優れた旋回性能を発揮するハイな気分に、人生で一番面白いハンドリングが試される。
攻めぐあい抜群の頂上サミットで曲がりくねるコースで、ドライバーは本気で挑戦する武士になります。
武家出身のプライドが、才能の限界スピードまでテクニシャンする。
テクニックを縦横無尽に炸裂する人類で一番速く走る高速道路の試練。
この世で誰も見たことの無い景色に、虹色の色彩で神の表情を手でなぞる。
人生の試練を耐え忍んだ心の凄絶な模様。
人間の力をこめた努力の結晶が実を結ぶ、スイッチ連発の頂上フェラーリ。
史上最速のタイムトラップを刻む歴史的メトロノームは、多段的起爆剤を着火する。
新しい身に悶えるスリルが私の体に必要なのです。
誰も感じた事のない可変ギアのスライダーで、特別的な発進がミステリオーゾになっていく。
期する者がそのタイムの限界を狙って、目標を一直線に総決算した時に発射する。
発願した者が命を懸けて本能のままに突き進む御体。
命の血流が脈々と打ち合い、海のさざ波は一つの点へ向けて流れゆき合体する。
命の中に熱いパッションのさざ波が、一つの連動体として神掛かる御命の車体。
車体が300kmを超えた時、エネルギーが炸裂し炎を放射するオリエンタリズム。
宇宙が真っ赤に燃えている。積乱雲があたりに立ち上がり、私へと爽快なメッセージを送る。
前人未踏の静けさに、パワースロットルは全開になり一直線に突き進む。
同期する天使のモニュメントが連綿と続くわたり鳥の優雅さ。
天才の解読師が最もエレガントなラインを発見する時の閃きは、超自然現象。
この脈打つ鼓動に奥深く宿る精霊の来た道に、真っ赤な車体が走る宇宙から降臨した生命。
道が作られ、あたり一面に花が咲くオアシスの夜明け。
この世を神秘にする者が、この選ばれた道を走る事ができる。
門を叩く者が、道の先に未来のメシアに会える。
天下別れ目の統一王座決定戦の頂点に君臨する事ができる。
厳しい試練を超えた車体が、人生至上最もエレガントな音楽を奏でる。
高速道路が歴史的建造物になっていく。
フェラーリの細胞の塊が露骨な才能の盛りを表現する。
400kmを超えた時、この世では無い光の表情に生まれ変わっていく。
命の車体が限界を超えた能力で面白がる、高速道路上での超大統一理論。
高速道路のフェラーリは全く自我を超えて、一からこの世に全く新しい色彩を授けるのです。
車体の完全な温度が臨界に達するパトリオットミサイル。
劇場のスタイルが、高速道路を走る真っ赤な生命体によって告白されたのです。
この暴走する車体の熱量に、命懸けの物語が語られるのです。
本領発揮の一直線のパワーよ、さあ、神よ、来たれ。

フェラーリ

フェラーリ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-06

Copyrighted
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