蛇と少女
火の粉。ひたひた、と、目覚める。此処は、と少女は微かに目を開けると、牢の中だった。
嗚呼。
豪奢な服装であった。爪の先まで、美しく飾られていた。
少女は指先を見つめていた時、なみだが伝った。
水滴には、忘れてしまった記憶が、ぼんやりと、過った気もする。
牢の外に、いつのまにか、蛇のような雰囲気の少女が座っていた。
途端に、愛おしくて狂おしくて、また勢い泣いてしまった。
その間、沈黙があった。
そうして、おずおずと、
あなたは…
そう、俯くと、
おまえは喰われたのよ。ここは儂の魂。そう少女は不遜に言う。献上せよ。
そうして、呆然としてると、
聞こえなかったか。毎日、ここに来る。だから、献上せよ。
いつの間にか、雷鳴が轟いた。どこからか?
牢の中から。
少女はしゃりん、と舞い始めた、
雨が降りだす。水は勢いよく流れ出し、世界は潤い、双葉が、地面から芽吹く。
やがて日は登った。
蛇の雰囲気の少女は、笑った。晴れ晴れ、と。
よい、よい。
蛇の雰囲気の少女は、酒を飲む。
酔いに霞む。
一人は、踊り、
一人は、献上され。
楽の音が、鳴り響く。
蛇と少女