後頭部にブラインド

台風が近づいていて、強い雨が朝からずっと降っている。

一つの交差点で車がバイクを跳ねた。ドゴンという鈍い音が響いた。

喫茶店では「生きる力が実践で身に付く能力」というレポートを書いている学生がいた。

密かに好きだったバンドが今日解散する。

あの警察署の中は時間が止まったままみたいだった。

ボーカルのシャウトに合わせて右手に持った缶ビールが震える。
「達者で」と彼は言った。

達者で。

後頭部にブラインド

後頭部にブラインド

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-06-03

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