自我同一性障害 .1

私は誰なのか?

いつでも何かに脅えている

形も、音も、臭いも、感触も、何も無いモノに、

得体の知れない静寂が私の身を焼く

ジリジリと、低温火傷の様に心を蝕む病、


自分は其処にいて、此処には居ない、
自分は此処にいて、其処には居ない、


終わりの無い二重螺旋、同じ事を繰り返すだけのメビウスの輪、

当の昔に壊れ果てた自己同一性の欠片を手に取ってみては、

鋭い切先が掌を深く傷つける、


存在が曖昧な操り人形は

与えられたルーチンをなぞるしか能が無い、

意図を裁ち切られたら自分で立ち上がることすら出来ない、

其処に心なんて無く、また肉体すら自分のものではなかった、


他人が理解できないから、他人が理解してくれるわけも無く

また他人が助けてくれないから、他人を助けようとはしなかった、


苦い煙草の味が脳を支配する、

鎮痛剤が激しい頭痛を和らげる、

徐々にはっきりとしてきた思考の中で、

どうやって自分を殺すかを考え始めた。

自我同一性障害 .1

自我同一性障害 .1

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-03

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