タイムマシンは行ってしまう

休日の朝、窓から外を見ると、車ほどの大きさのエビが、道路を歩いている。のんびりと、道端の草や、空気中の埃を食べながら、のんびりと進んでいるようだ。
私はスマホで一枚写真を撮り、「これが本当のクルマエビかぁ」とツイッターに載せた。

エビは空気中の埃などを食べているように見えたので、起きてきた家族と、埃っていつの時代からあったのかな?という話をした。すると家族がタイムマシンを用意してくれたので、実際に現地に行って、埃の歴史を観察する運びとなった。目指すはナウマンゾウを追いかけていた時代だったが、タイムマシンが到着するや否や、クルマエビがタイムマシンに乗って行ってしまった。

数年後、あるニュースが飛び込んできた。なんと、巨大なエビの化石が発掘されたのである。
そして、それまで「雑なコラだろ」と見向きもされなかったあの時のクルマエビの写真が取り上げられ、関連性を調査してると報道された。
クルマエビは現地で死んでしまったが、乗って行ったタイムマシンはどうなってしまったのだろう。私はそのことをずっと危惧したまま、数十年後に老衰の為、亡くなった。

そのおよそ3000年後に、そのタイムマシンは姿を現すことになる。

到着した世界では、「なんだこの旧式のタイムマシンは」と話題になった。タイムマシンの搭乗履歴を確認すると、直近で乗ったのは、ナウマンゾウを追いかけていた中でも一際頭脳の優れた、ネアンデルタール人だった。彼は江戸時代に降り立ち、その後の消息を調べてみると、当時、妙に猿っぽい風貌の武士がいたことが明らかになる。彼は降り立つと共に、タイムマシンの時空コマンドを、最大まで未来に設定して、機械を飛ばしたのであった。
また、その前に搭乗していたのは巨大なエビだった。情報共有していた研究者の中にいた、一見冴えない歴史オタクの男が言う。「これは、3000年ほど前に当時のインターネットで話題になった、巨大なエビではないだろうか」と。

タイムマシンは行ってしまう

タイムマシンは行ってしまう

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-05-31

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