【一人読み】ドンペリの泡よ消えないで 外伝 女性用/男性用

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ドンペリの泡よ消えないで 外伝

※①、②と別の台本になります。片方だけ読んでもかまいませんし、男女ペアで順番に読まれても構いません。
※どちらも①約650文字 ②が約800文字。上演時間3~5分程度

①女性用

「毒だと気が付かないのが男の愚かさなら、毒だとわかっていて飲み干すのが女の愚かさ」

(電話をかける)
「(ため息)………あ
その、ちょっと、かけたらでるかなって思って。
そう、これから。なんか待合室みたいなところに通されて。
多分、もうすぐ面接だけど、なんか、やっぱ怖い……ような。
だって、やっぱ、いざとなるとさ。なんか……本当にそれでいいのかなって。
いや、そうだけど。わかってるけどさ。
……うん、わかってるって……。
けど、正直、もし、ハルトがこの電話に出てくれなかったら、このまま帰ろうと思ってた。
……それはわかんないけど。
もうやるしかないんだって気持ちと、やっぱり無理、って気持ちを行ったり来たりしてる感じ。
うん……わかってる……わかってるけどさ。
……ねぇ、ハルト、私の事……どう思ってる? ハルトにとって私って何?
そう……そうか。うん、ありがとう。
ねぇ、今、誰と一緒にいるの? ……や、なんでもない。
……ハルト……ごめん、やっぱり怖いかも……。なんか別の仕事探すとかじゃダメ?
……え? やだ……それは嫌だ。
ハルトの役に立ちたい。わかった、ちゃんと面接受けるって。
もう、それしか方法、ないんだよね?
だから……だからさ……これからも私に何かあったら、心配、してくれる?
私が風邪ひいた時さ、ハルトが冷えピタとスポドリ持って来てくれたよね。
あれすごく嬉しかった。人に心配してもらえるってこんなに嬉しんだーって思った。
……うん、ごめんね、ありがとう……じゃあ……。

あ、初めまして、面接、お願いします。はい、未経験です」



②男性用

「毒だと気が付かないのが男の愚かさなら、毒だとわかっていて飲み干すのが女の愚かさ」
(電話にでる)
「……ん、どうした?
ごめんけど。俺、今、あんまり話せないんだけど。
うん、これから面接でしょ? がんばって。
え、なんで怖くないって。全然。普通の店だし。仕事も簡単らしいよ。大丈夫だって。
え、どうしたの? 帰るって面接受けずに? え、売掛(うりかけ)どうやって払うの?
……うん、わかってるならいいけど。ちゃんと受けてね? 約束。
うん、よかった。
え? (ため息)俺そういうの聞かれるの苦手なんだけどなー。
まあいいや、今回だけ特別。そうだな、俺にとってアユミは……特別な、大切な人だよ。
うん、他の客とは、違うかな? 大事にしたいなーって思ってる。
俺、職業差別とかないし。アユミがどんな仕事してても、アユミはアユミだって思ってる。
アユミは、かわいいし優しいし、その仕事向いてると思うよ。
あんま考えないで、えいって行った方がいいって。
……え? あ、そう、怖い? よね、うん……。
……わかった……アユミがそう言うなら、いいよ。ごめん。アユミの嫌がることさせようとしてごめん。
店のツケは……どうしようかなー? 他の女の子に頼んでみるしかないか。貸してくれるかわからないけど。しかたないよね、なんとか俺が拝み倒すよ。
え、なんで? だってそれしかないじゃん。
……え、ほんと? いいの? 無理しなくていいんだよ?
うん、そっか、うん、大丈夫やってみたら全然怖くないって。
ありがとう、じゃあがんばって。
終わったらお店来て、面接大変だったら、愚痴、聞くからさ。待ってる。
うん……ありがとう。
じゃあ、俺忙しいからまたね。

……ふう、いっちょあがり、っと。
え、あ、ごめ。なんでもない。
ごめんて、今回はしかたないんだって。なんか逃げそうになってたから、ケアしとかないと。後々めんどくさいことになるんだってば。
はいはい、もう仕事の電話はしません! んで、何食べたい?」

【一人読み】ドンペリの泡よ消えないで 外伝 女性用/男性用

【一人読み】ドンペリの泡よ消えないで 外伝 女性用/男性用

ドンペリの泡よ消えないで シリーズ

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2023-05-21

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND