国連とは=USAで核廃絶は藻屑となり果て、そしてUSAの進めている化学兵器まがいのモノは?
国連・・。
先に気が付いた事を申し上げる。TV等で「夏日」とうたっているが、夏日で無い事は次の事から判断して頂きたい。
確かに青い惑星・・特に此の国の全国の気温は高温だ。35度とも言われるが、では夏の気温と何処が異なるのかを。
表に出れば暑い・・だから・・危険な運動などはやめるに越したことは無いのは人類も同じ見解だ。
何処が夏では無いのか?
夏季には此の国・・北半球は暑さに見舞われる。
通常、夏であればこういう事が言える。
例えば・・恒星の働きが達者であるから・・全てが猛暑になる。
鉄筋コンクリート五階建て等の屋上のコンクリートの温度が五階に直接繋がる。だが、五階ではストーブに灯を灯す事も行われている。おかしいだろう?
まだ夏では無いという事。
其れは当たり前で五月に夏が訪れる事は有り得ない・・ただ、熱射病などに対する予防は必要だ。
では、人類に質問をする。
どうして・・高温と低温が共存していられるのか?
まあ・・いいだろう・・今年の夏に昆虫が出て来てくれれば。安心した方が良い。
其れだけ・・。
国連とは=USAで核廃絶は藻屑となり果て、そしてUSAの進めている化学兵器まがいのモノは?結局軍縮には繋がらない。
小学校の現在の教科書にどのように載せられているのかは分からないが、国際連合は=USAに間違いは無いという史実上の解釈。
戦前の国際連盟は脆弱でお粗末だった。ところが、戦後の国際連合は率先してUSAと運命共同体を培ってきた。
大東亜戦の次に勃発した朝鮮戦争では、国連軍とは名ばかりで、USAが引き連れた数か国が朝鮮半島を北上し共産軍と戦うが、猛攻撃に手を妬き結局38度線で手を打たざるを得なかった。
此れが大した事で無いと思うのは結構だが、それ以後東西社会の分裂に拍車をかける事になった。
此の国には都合が良い事で需要が増大し、昭和時代の戦後復興の礎(いしずえ)を築く事に繋がった。
だが、其れも今の世代に受け継がれたあたりから再び此の国の礎がぐらつく事に繋がった。
株価や不動産価額等は今暫くの話で、何れ二年後には・・上がった先は真っ逆さまという事になる。
経済と宇宙の法則が同じでは無いと思うのは自由だ。そんなに簡単に世の中の構造が安定するものでは無く、堅固という事は蓋然性に於いても有り得ない。
人類には先が見えないという能力的な限界はついて廻り、仕方が無いと言わざるを得ない。
まあ、其れは先の事ゆえ何れ追記をすれば足りる。本題の国連のコメントが如何にいい加減であるのかは何だろう?
「核保有国はさておき」は詭弁で有り、核を無くすのであれば自らが真っ先に実践して示さなければならない。
自らとは、=USAなのだからUSAをさすのと同時に、USAが率いる西側諸国も同義となる。
要は、無手勝流で世界を良くするという趣旨がほぼ正解だとするのは・・本当に大丈夫かな?
そう、本音は分かっている。
此の国で散々経が読まれてきたが、経名は「核の傘」。USAの核に頼り切って来た筈が、核を抜かれては困るという結論に至る。
良い例が、NKのmissileが発射され、Jアラートが鳴り響く事程度で、政府に留まらず国民も口を揃えて。
「・・怖い・・何処へ逃げたらいいの?・・死にたくない・・」
国連はG7の席上で存在感を示したいだけで、実力は皆無に等しい。少なくとも西と東に分かれたままで、会話が出来無ければ、国連の出る幕は全く無いと言える。
此れが、中立の存在であるのなら又話は別になるが・・=USAでは頭隠して尻隠さずでUSAが、西側諸国が、ダブって出ているに過ぎず、出席の必要性は皆無。
今の世代がその様な簡単な事すら分からなくなってきているのは、退化をしている事に加え、思考回路が狂ってしまっているから。
少し横道に逸れ詰まらない事を。
こんな事があった。
今は衛星からの信号に頼り車に搭載のNAVIに限らず、マップも同様だ。一昔前にどうしていたかは覚えている者も少なく無いだろう。
地図帳に頼っていたのだが、地図で確認しながらではその都度止まっては確認しなければならなくなる。
尾上雄二と同乗者は且つて1500キロの距離を何往復した事もあり、此の国の45都道府県で自在に移動が出来た。
雄二達には其れも必要が無いのは言うまでもない。実は同乗者が使用したものは磁石で、車の大型のルームミラーに貼り付けておいた。
ミラーは問題では無いが、普通は購入時に備わっているミラーを其のまま使用する者は・・どの程度か?
交通安全の意味で運転席から車外を確認する意味で欠かせないのは、死角を極力少なくする事で、その為にカーショップ等で販売している、「よりワイドで大型のミラー」を装着するのは常識だろう。
地図を殆ど使用しなくても移動が出来る方法は、磁石しかなかった。此の国の全体の地図が頭に入っていれば、後は磁石で確認しながら走る事が出来た。
ああ、勿論宅配をするには住宅地図が不可欠な事は言うまでもない。其れは又詳細にという意味で異なる話。
先日、ある国で起きた内戦で邦人が帰国をしたが、報道では800キロを移動と報じていた。
世界中の何処の国であろうと磁石に頼れば、二か所のポイントを移動する事は容易い。
勿論、川・岩山などの障害物は迂回するしかないし、透視も役に立つだろう。
東京を起点とすると、阪神高速の終点あたりが・・神戸等で距離にして600キロと覚えておけば良い。
どうして距離が関係するのだが、昔はガソリンスタンドが24時間至る所に存在するのでは無かった。
1500キロは鹿児島になるが、勿論何処かで給油をしなくてはならない。例えば1200~1800等を例にとれば・・最も車によっても、またマニュアルかどうかも関係してくるが。
当時ある者が使用したのは自家用車で、ほぼ、前進8段変速のマニュアル車だった。
厳密には4段まではギア比が関係してくるが、残りの4段は・・レバーが二つあったという事で・・説明が難しくなるので省略をする。
大型牽引トレーラーなどになれば13段変速等もあったが、其れは巨体が移動するには無くてはならないからだった。
USA映画で「邦題・激突」等にはモンスタートレーラーが登場しているが、乗用車が追いまくられる程の速度が出る。其れが売りポイントの恐怖映画。
話を戻すが、今は法律で禁じられているが、トランクに補助tankを積んで置き、予め出発地で満タンにして置く。
丁度神戸まで来ると、ガソリンはスッカラカンになる。其処にスタンドがあれば使用しない。
ところが、真夜中で閉店をしていたり東名などの高速が無い場所では、空になれば補助tankから給油するしかない。
此れは頼りになったと云う。
それと、本島から九州に入る前は、国道一号線から続けて二号線になるが、九州からは二通りのルートがあり、三号線か十号線の何方かになる。
長崎寄りから熊本を経由し宮崎えびののループ橋から鹿児島か、大分の別府等の海岸線を見ながら山道に入り宮崎の延岡・日向経由で鹿児島に向かうかで、気分次第となる。
ノンストップで行けば・・まあ、一回だけ道端の自動販売機で缶コーヒーを購入するだけで、本当にノンストップだが、34時間かかる。睡眠?無し。
此れは高速が無く走った時間で、東名と阪神しか無かった時代。中国は対面通行・・後に自動車道が完成し九州自動車道も次第に延びて行った。
高速をところどころ使用すれば24時間程に短縮される。関門海峡をトンネルで抜けるか関門橋で眺めの良い道を走るかの何れかで、他に選択肢は無かったと。
住宅を探すのでなければ地図は使用しない。頭の中に二つのポイントの位置関係・・つまりは方角が入っていればONの字となる。
家康では無いが、先ずは西へ西へ・・ひた走るが、当時は何処の路上でも速度の取り締まりをやっていた。
後に全国に高速が延びた当時には、東名・阪神以外は高速道路でも路上取り締まりをやっていた。
中央高速・関越・東北・一般道は至る所だが、真夜中にはやっていない。高性能の機器で察知は出来る。
覆面は透視判断しか無いが、車種と二人搭乗でも識別可能。此れは雄二達の話では無く彼は法の番人だから。
其れで、真夜中に時間を短縮する事になるが、九州の三号線から先の山道に入れば、大型トラックばかりになり、ワインディングロードを通行する彼等の速度は一般道路だが90キロを超える。
偶に見掛ける一般車が路肩の溝にタイヤを落とし何台か連続して立往生をしていても、先が空いたからと無視をし速度を上げる。
其れでも時間が無い時には、極めて危険だが、大型トラックを対抗車線から抜き去るが、当然トラックは怒りのクラクションを鳴らしまくる。だが、後は知らず次々に抜いて行くし大型同士で追い抜きは不可能。
事故などは決してないが・・人類はやめた方が良い。すぐ死ぬ。九州に入れば只管南を目指す事になる。
人類に渋滞は付き物だが、勝手に迂回をする時にも磁石が頼りになり、地元のタクシーが渋滞を避けて行けば其の後をつければ参考にはなる。
頻繁にシフトチェンジをするからブレーキはなるべく使用せず、従いブレーキパッドも減らず・・先はローターを痛める事にもならなくて済む。
高速で・・ブレーキング・・仮に・・百六十キロからフルブレーキングで40まで落とす・・といってもレンタカーなら二度と乗らないから構わないが・・ハンドルを真すぐにしていなければ・・すっ飛ぶ。新潟の黒碕料金所直前など・・。
宇宙空間でそういうことは不可能なのは言うまでもないが、青い惑星なら何処に行こうと磁場を頼りにできるが・・実は磁石が案外すぐに狂う。
磁気を帯びてしまうからで、磁気を取り払わなければならない。まあ、宇宙空間での移動方法は役に立たないだろう。
詰まらない事から元に。
つまりは、核廃絶は難しい事になる。
現在USAが核以外の方法を考え思考錯誤しているが、所詮殺人兵器なのだから何も変わらない事になる。
それより・・国連が言っている様に、保有国は兎も角・・核廃絶をG7で・・此れは全く意味不明。
国連はUSAなのだから、真っ先にUSAに核兵器を単独で廃棄して貰えば・・進む方向にはなる。
だが、NKは廃棄しない。Chinaは此れから増々増やしていくと。すると、その点と、東側諸国の問題を・・というテーマも何も意味が無い事になる。
其れは当然で・・人類は消滅するから。
取り敢えず核は残したまま・・東西の交易を進めるしかない。マクロンの様に複眼で見る事が出来無ければ・・岸田君の様なワンパターンのままの頭脳しか無く、国民の退化を助長させ・・私利私欲に励むのでは・・先は見え過ぎと言える。昆虫でも複眼。
人類はありとあらゆる欲望で凝り固まっている。
其れに世代の退化が進行してくる。すると・・目に見えやすい事だけに集中し・・その点では一見好景気の様に錯覚をする事になる。
其れが・・投資・株であり・・迷惑なのは大谷選手であり・・憲法改正・・G7の後に・・二年後程度で・・厄がはびこって来る。
とは言っても・・何も危惧を感じないのであれば・・一向に構わないのではないか?
人類は・・結果が出るまで先を読む事が出来ないばかりか・・目先の欲に溺れてしまうのは・・いいじゃないかな・・。
原発は人類の意思で廃炉出来るのだからそうすべき。電気料金?上がっても仕方は無い。
何処のスーパーでも値上げが続いている事だろう。virus制限が解除され人出の増加が・・何れ又感染増に繋がるが仕方が無い事。
経済優先・・其れも良いだろう。
だが、土曜日に珍しく薬局が開いていた。どうやら感染者の処方の必要があったようだ。
其れと・・頼りにしているのかも知れないが、ワクチンの副作用が出て来ると思われ、若年層は接種回数が少ないからまだ良いが、回数が五回以上になると・・肺炎では無い病が登場する。
実は医者が連続して病の床に臥せっているのだが・・感染症状では無い・・肺臓以外の臓器にも・・或いは皮膚炎やら・・表面上でも・・色々に遊離してきているが・・元はvirusだったので・・マスクは全く効果は無い・・。
軽症になっている事も油断に繋がっているだろう。
まあ、幾ら何を言おうと・・絶対に分からない原始動物だと言える・・。
なにせ・・狂言芝居が罷り通り・・誰も気が付かないのだから・・始末が悪いし・・人類に明日は無い・・。
時間が無くなったので・・其の他のテーマは何れ又・・。
お終い。
ああ、文豪の作品でも少しだけ載せて終わろう。
桃太郎
芥川龍之介
一
むかし、むかし、大むかし、ある深い山の奥に大きい桃ももの木が一本あった。大きいとだけではいい足りないかも知れない。この桃の枝は雲の上にひろがり、この桃の根は大地だいちの底の黄泉よみの国にさえ及んでいた。何でも天地開闢かいびゃくの頃ころおい、伊弉諾いざなぎの尊みことは黄最津平阪よもつひらさかに八やっつの雷いかずちを却しりぞけるため、桃の実みを礫つぶてに打ったという、――その神代かみよの桃の実はこの木の枝になっていたのである。
この木は世界の夜明以来、一万年に一度花を開き、一万年に一度実をつけていた。花は真紅しんくの衣蓋きぬがさに黄金おうごんの流蘇ふさを垂らしたようである。実は――実もまた大きいのはいうを待たない。が、それよりも不思議なのはその実は核さねのあるところに美しい赤児あかごを一人ずつ、おのずから孕はらんでいたことである。
むかし、むかし、大むかし、この木は山谷やまたにを掩おおった枝に、累々るいるいと実を綴つづったまま、静かに日の光りに浴していた。一万年に一度結んだ実は一千年の間は地へ落ちない。しかしある寂しい朝、運命は一羽の八咫鴉やたがらすになり、さっとその枝へおろして来た。と思うともう赤みのさした、小さい実を一つ啄ついばみ落した。実は雲霧くもきりの立ち昇のぼる中に遥はるか下の谷川へ落ちた。谷川は勿論もちろん峯々の間に白い水煙みずけぶりをなびかせながら、人間のいる国へ流れていたのである。
この赤児あかごを孕はらんだ実は深い山の奥を離れた後のち、どういう人の手に拾われたか?――それはいまさら話すまでもあるまい。谷川の末にはお婆ばあさんが一人、日本中にほんじゅうの子供の知っている通り、柴刈しばかりに行ったお爺じいさんの着物か何かを洗っていたのである。……
二
桃から生れた桃太郎ももたろうは鬼おにが島しまの征伐せいばつを思い立った。思い立った訣わけはなぜかというと、彼はお爺さんやお婆さんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだったせいである。その話を聞いた老人夫婦は内心この腕白わんぱくものに愛想あいそをつかしていた時だったから、一刻も早く追い出したさに旗はたとか太刀たちとか陣羽織じんばおりとか、出陣の支度したくに入用にゅうようのものは云うなり次第に持たせることにした。のみならず途中の兵糧ひょうろうには、これも桃太郎の註文ちゅうもん通り、黍団子きびだんごさえこしらえてやったのである。
桃太郎は意気揚々ようようと鬼が島征伐の途とに上のぼった。すると大きい野良犬のらいぬが一匹、饑うえた眼を光らせながら、こう桃太郎へ声をかけた。
「桃太郎さん。桃太郎さん。お腰に下げたのは何でございます?」
「これは日本一にっぽんいちの黍団子だ。」
桃太郎は得意そうに返事をした。勿論実際は日本一かどうか、そんなことは彼にも怪あやしかったのである。けれども犬は黍団子と聞くと、たちまち彼の側へ歩み寄った。
「一つ下さい。お伴ともしましょう。」
桃太郎は咄嗟とっさに算盤そろばんを取った。
「一つはやられぬ。半分やろう。」
犬はしばらく強情ごうじょうに、「一つ下さい」を繰り返した。しかし桃太郎は何といっても「半分やろう」を撤回てっかいしない。こうなればあらゆる商売のように、所詮しょせん持たぬものは持ったものの意志に服従するばかりである。犬もとうとう嘆息たんそくしながら、黍団子を半分貰う代りに、桃太郎の伴ともをすることになった。
桃太郎はその後のち犬のほかにも、やはり黍団子の半分を餌食えじきに、猿さるや雉きじを家来けらいにした。しかし彼等は残念ながら、あまり仲なかの好いい間がらではない。丈夫な牙きばを持った犬は意気地いくじのない猿を莫迦ばかにする。黍団子の勘定かんじょうに素早すばやい猿はもっともらしい雉を莫迦にする。地震学などにも通じた雉は頭の鈍にぶい犬を莫迦にする。――こういういがみ合いを続けていたから、桃太郎は彼等を家来にした後も、一通り骨の折れることではなかった。
その上猿は腹が張ると、たちまち不服を唱となえ出した。どうも黍団子の半分くらいでは、鬼が島征伐の伴をするのも考え物だといい出したのである。すると犬は吠ほえたけりながら、いきなり猿を噛かみ殺そうとした。もし雉がとめなかったとすれば、猿は蟹かにの仇打あだうちを待たず、この時もう死んでいたかも知れない。しかし雉は犬をなだめながら猿に主従の道徳を教え、桃太郎の命に従えと云った。それでも猿は路ばたの木の上に犬の襲撃を避けた後だったから、容易に雉の言葉を聞き入れなかった。その猿をとうとう得心とくしんさせたのは確かに桃太郎の手腕である。桃太郎は猿を見上げたまま、日の丸の扇おうぎを使い使いわざと冷かにいい放した。
「よしよし、では伴をするな。その代り鬼が島を征伐しても宝物たからものは一つも分けてやらないぞ。」
欲の深い猿は円まるい眼めをした。
「宝物? へええ、鬼が島には宝物があるのですか?」
「あるどころではない。何でも好きなものの振り出せる打出うちでの小槌こづちという宝物さえある。」
「ではその打出の小槌から、幾つもまた打出の小槌を振り出せば、一度に何でも手にはいる訣わけですね。それは耳よりな話です。どうかわたしもつれて行って下さい。」
桃太郎はもう一度彼等を伴に、鬼が島征伐の途みちを急いだ。
三
鬼が島は絶海の孤島だった。が、世間の思っているように岩山ばかりだった訣わけではない。実は椰子やしの聳そびえたり、極楽鳥ごくらくちょうの囀さえずったりする、美しい天然てんねんの楽土らくどだった。こういう楽土に生せいを享うけた鬼は勿論平和を愛していた。いや、鬼というものは元来我々人間よりも享楽きょうらく的に出来上った種族らしい。瘤こぶ取りの話に出て来る鬼は一晩中踊りを踊っている。一寸法師いっすんぼうし[#ルビの「いっすんぼうし」は底本では「いっすんぽうし」]の話に出てくる鬼も一身の危険を顧みず、物詣ものもうでの姫君に見とれていたらしい。なるほど大江山おおえやまの酒顛童子しゅてんどうじや羅生門らしょうもんの茨木童子いばらぎどうじは稀代きだいの悪人のように思われている。しかし茨木童子などは我々の銀座を愛するように朱雀大路すざくおおじを愛する余り、時々そっと羅生門へ姿を露あらわしたのではないであろうか? 酒顛童子も大江山の岩屋いわやに酒ばかり飲んでいたのは確かである。その女人にょにんを奪って行ったというのは――真偽しんぎはしばらく問わないにもしろ、女人自身のいう所に過ぎない。女人自身のいう所をことごとく真実と認めるのは、――わたしはこの二十年来、こういう疑問を抱いている。あの頼光らいこうや四天王してんのうはいずれも多少気違いじみた女性崇拝家すうはいかではなかったであろうか?
鬼は熱帯的風景の中うちに琴ことを弾ひいたり踊りを踊ったり、古代の詩人の詩を歌ったり、頗すこぶる安穏あんのんに暮らしていた。そのまた鬼の妻や娘も機はたを織ったり、酒を醸かもしたり、蘭らんの花束を拵こしらえたり、我々人間の妻や娘と少しも変らずに暮らしていた。殊にもう髪の白い、牙きばの脱ぬけた鬼の母はいつも孫の守もりをしながら、我々人間の恐ろしさを話して聞かせなどしていたものである。――
「お前たちも悪戯いたずらをすると、人間の島へやってしまうよ。人間の島へやられた鬼はあの昔の酒顛童子のように、きっと殺されてしまうのだからね。え、人間というものかい? 人間というものは角つのの生はえない、生白なまじろい顔や手足をした、何ともいわれず気味の悪いものだよ。おまけにまた人間の女と来た日には、その生白い顔や手足へ一面に鉛なまりの粉こをなすっているのだよ。それだけならばまだ好いいのだがね。男でも女でも同じように、※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)うそはいうし、欲は深いし、焼餅やきもちは焼くし、己惚うぬぼれは強いし、仲間同志殺し合うし、火はつけるし、泥棒どろぼうはするし、手のつけようのない毛だものなのだよ……」
四
桃太郎はこういう罪のない鬼に建国以来の恐ろしさを与えた。鬼は金棒かなぼうを忘れたなり、「人間が来たぞ」と叫びながら、亭々ていていと聳そびえた椰子やしの間を右往左往うおうざおうに逃げ惑まどった。
「進め! 進め! 鬼という鬼は見つけ次第、一匹も残らず殺してしまえ!」
桃太郎は桃の旗はたを片手に、日の丸の扇を打ち振り打ち振り、犬猿雉いぬさるきじの三匹に号令した。犬猿雉の三匹は仲の好いい家来けらいではなかったかも知れない。が、饑うえた動物ほど、忠勇無双むそうの兵卒の資格を具えているものはないはずである。彼等は皆あらしのように、逃げまわる鬼を追いまわした。犬はただ一噛ひとかみに鬼の若者を噛み殺した。雉も鋭い嘴くちばしに鬼の子供を突き殺した。猿も――猿は我々人間と親類同志の間がらだけに、鬼の娘を絞殺しめころす前に、必ず凌辱りょうじょくを恣ほしいままにした。……
あらゆる罪悪の行われた後のち、とうとう鬼の酋長しゅうちょうは、命をとりとめた数人の鬼と、桃太郎の前に降参こうさんした。桃太郎の得意は思うべしである。鬼が島はもう昨日きのうのように、極楽鳥ごくらくちょうの囀さえずる楽土ではない。椰子やしの林は至るところに鬼の死骸しがいを撒まき散らしている。桃太郎はやはり旗を片手に、三匹の家来けらいを従えたまま、平蜘蛛ひらぐものようになった鬼の酋長へ厳おごそかにこういい渡した。
「では格別の憐愍れんびんにより、貴様きさまたちの命は赦ゆるしてやる。その代りに鬼が島の宝物たからものは一つも残らず献上けんじょうするのだぞ。」
「はい、献上致します。」
「なおそのほかに貴様の子供を人質ひとじちのためにさし出すのだぞ。」
「それも承知致しました。」
鬼の酋長はもう一度額ひたいを土へすりつけた後、恐る恐る桃太郎へ質問した。
「わたくしどもはあなた様に何か無礼ぶれいでも致したため、御征伐ごせいばつを受けたことと存じて居ります。しかし実はわたくしを始め、鬼が島の鬼はあなた様にどういう無礼を致したのやら、とんと合点がてんが参りませぬ。ついてはその無礼の次第をお明あかし下さる訣わけには参りますまいか?」
桃太郎は悠然ゆうぜんと頷うなずいた。
「日本一にっぽんいち[#ルビの「にっぽんいち」は底本では「にっぼんいち」]の桃太郎は犬猿雉の三匹の忠義者を召し抱かかえた故、鬼が島へ征伐に来たのだ。」
「ではそのお三さんかたをお召し抱えなすったのはどういう訣わけでございますか?」
「それはもとより鬼が島を征伐したいと志した故、黍団子きびだんごをやっても召し抱えたのだ。――どうだ? これでもまだわからないといえば、貴様たちも皆殺してしまうぞ。」
鬼の酋長は驚いたように、三尺ほど後うしろへ飛び下さがると、いよいよまた丁寧ていねいにお時儀じぎをした。
五
日本一の桃太郎は犬猿雉の三匹と、人質に取った鬼の子供に宝物の車を引かせながら、得々とくとくと故郷へ凱旋がいせんした。――これだけはもう日本中にほんじゅうの子供のとうに知っている話である。しかし桃太郎は必ずしも幸福に一生を送った訣わけではない。鬼の子供は一人前いちにんまえになると番人の雉を噛かみ殺した上、たちまち鬼が島へ逐電ちくでんした。のみならず鬼が島に生き残った鬼は時々海を渡って来ては、桃太郎の屋形やかたへ火をつけたり、桃太郎の寝首ねくびをかこうとした。何でも猿の殺されたのは人違いだったらしいという噂うわさである。桃太郎はこういう重かさね重がさねの不幸に嘆息たんそくを洩もらさずにはいられなかった。
「どうも鬼というものの執念しゅうねんの深いのには困ったものだ。」
「やっと命を助けて頂いた御主人の大恩だいおんさえ忘れるとは怪けしからぬ奴等でございます。」
犬も桃太郎の渋面じゅうめんを見ると、口惜くやしそうにいつも唸うなったものである。
その間も寂しい鬼が島の磯いそには、美しい熱帯の月明つきあかりを浴びた鬼の若者が五六人、鬼が島の独立を計画するため、椰子やしの実に爆弾を仕こんでいた。優やさしい鬼の娘たちに恋をすることさえ忘れたのか、黙々と、しかし嬉しそうに茶碗ちゃわんほどの目の玉を赫かがやかせながら。……
六
人間の知らない山の奥に雲霧くもきりを破った桃の木は今日こんにちもなお昔のように、累々るいるいと無数の実みをつけている。勿論桃太郎を孕はらんでいた実だけはとうに谷川を流れ去ってしまった。しかし未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。あの大きい八咫鴉やたがらすは今度はいつこの木の梢こずえへもう一度姿を露あらわすであろう? ああ、未来の天才はまだそれらの実の中に何人とも知らず眠っている。……
(大正十三年六月)
世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。一遍起った事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変るから他にも自分にも解らなくなるだけの事さ。夏目漱石」
「軍人の誇りとするものは、小児の玩具に似ている。なぜ軍人は酒にも酔わずに、勲章を下げて歩かれるのであろう。芥川龍之介」
「金は食っていけさえすればいい程度にとり、喜びを自分の仕事の中に求めるようにすべきだ。志賀直哉」
「by europe123 test 10」
https://youtu.be/eVMQH16oLQA
国連とは=USAで核廃絶は藻屑となり果て、そしてUSAの進めている化学兵器まがいのモノは?
G7・・。