「水仙の咲く景色」
俯向いて
雨に悄れた水仙の
しづくを頂くは誰であろう
それは土なり 黒く深い土なり
土は濡れる
喘いで喘いで渇望の末に
しとどに濡れて
ありこちに水溜りも生むほどに
土は水仙のなみだを頂く
水仙は食べる
もはやこやしと成り果てた黒い土を
むしゃむしゃ もぐもぐ
食べて
食べて
洗い落とさんとばかりに勢い猛なる大粒の瀑に
白を奪われることもなく
ふるえながら
剝き身の心を
濡れそぼらして
腰から下を
土にうづめた
水仙の花 黒い土
此処は
雪の忘れがたみ
「水仙の咲く景色」