「徒労」

 悲しい肉体が喋っている
 なんにゃらチップを埋め込んだ
 鉛色の肉体だ
 肉塊
 肉塊
 ぐちょぐちょ
 びちゃびちゃ
 
 喋れば喋る程空は曇りて
 重く垂れこめ
 雨でない吐瀉物を降らせる
 まだ喋る
 まだ喋る
 寂しさを埋め合わせようと
 沈黙を避けようと
 躍起躍起
 馬鹿め
 寂しさとは人の本能である
 生きている限りたとひ死しても消えるものか
 そろそろ窓の外でも眺めりゃいい

「徒労」

「徒労」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-05-15

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