「過去を喰らう」第2話
プロローグ
昨日オイラ達は優愛に攻撃を受けた。
封印を解いたのは雨子じゃなくて夜雨。
今オイラに包まれて寝てる、薄緑色のボブロングストレートヘヤーの魔女だ。
優愛はなぜ…オイラを狙っているのだろうか。
兎に角会って話さないと辻褄が合わない。
だって夜雨、何一つ知らないんだもん。
まるで記憶喪失の不思議ちゃん。
いや…オイラもオイラ自体が分からない。
実質彼と同じか…。
特殊戦闘用形態 鶯
≪不審者に…気を付けてください。こちらは〇〇警察…≫
警察の拡声器の声で飛び起きる。
夜雨「ッハッ!?」
今何時だ!?逃げないと…。
ラプラス「安心して。皆には見えてないよ。」
なんだよ…。
ほっと胸を撫でおろす。
夜雨「ハハ…君の能力?焦ったよ。」
ラプラス「使い魔では常識的な魔法だよ。」
凄いんだな…ラプラス達って。
ああ、シンプルな質問を忘れていた。
夜雨「なんで僕を助けた?」
ラプラス「困っている人がいたら助けると雨子が言ってたから。と言いたいところだけど…、そりゃ今契約してる同士なワケだし、助けるに決まってるよね。教科書で習わなかった?授業でさ。」
なんだぁ!?そのマウントは!
夜雨「習ってるわけないでしょうが!どこの魔法学校だよ!僕は体育がそこそこできて、歌が上手いただの元高校生ですよ〜!」
ラプラス「…あんな反射神経持ってて普通の人間と言い切れるのはスゴい。オイラ感心しちゃった!」
なんて話をしながら、僕達はトイレまで歩く。
自分の今の容姿が気になったからだ…。
少しだけ下を向いて、勢い良く鏡をみる…。
おお…。
夜雨「…綺麗。雨子みたいな目になってる。」
ラプラス「オイラと契約してるからね…。でも服がボロボロ…」
確かに…魔女の衣装?が所々破けている…。
夜雨「ラプラスなんとか出来ないの?」
ラプラス「ハァ…君は魔女だよ?…あ。そう言えば君、元々男の子だったよな…」
そうだ…。
夜雨「そうじゃん!トイレとかどうしよう!」
ラプラス「座ってするしかないよ。君みたいな子はワリと沢山いるもんさ。慣れだよ慣れ。」
夜雨「慣れか〜…。まあそうなるか…」
ラプラス「魔女は魔女。女の子になりきらないと、魔力の威力は落ちる。君が着ている服は…う〜ん…。オーラ!オーラみたいなものなんだよ。」
オーラか…。
夜雨「よし。ちょっとやってみるか。」
呪文?は使わないって事だろ?
目を瞑る。
昨日、戦った時のことを思い出せ。
反射神経、復讐、怒り、悲しみ。
ラプラス「お!オーラが出始めた!その調子!」
これに付け加えるスパイスは…。
夜雨「女の子、魔女…!」
ぬお!凄い光が目を瞑っても見える!
…!?
何か着心地が良い服になったぞ!
へぇ〜!動きやすい!
夜雨「…どう?」
ラプラスの前で一周してみる。
ラプラス「うん…うん!いい感じ!」
ゆっくり目を開けると、小柄で身が少し引き締まった女の子が立っていた。
服はやっぱり魔法使いの映画に出てくるパーカー!
ラプラス「本当は…口調も女の子のほうがもっっっと強くなるんだけどね…それは奥の手として取っておくといい。君は今のままでじゅーぶん強い。うーん…。名前、僕つけてもいい?」
この服装の名前をラプラスが?
僕はラプラスに親指を立てる。
が。
夜雨「ちょっと…トイレ行きたくなったから…出てくるまで考えておいて…。」
ラプラス「うーん。分かった…!考える!」
よいしょっと。
洋式トイレと変わらないんだな。
へえ…。女の子もらくがきとかするんだ…。
うわ…エグいこと書いてある…。
女の子って大変だな…。
早く慣れないと…。
ラプラス「うー…ん。」
用を足し、トイレのドアを開くと…。
ラプラス「キマリマシタ…」
ラプラスがずん、と、目の前で泳いでいた。
僕は手を洗い、ハンカチがないので服になすりつける。
夜雨「ほう…聞こうか…。」
ラプラス「フフフ…。君の衣装の名は【特殊戦闘用形態 鶯】だっ!!!」
夜雨「う〜ん!!!色も鳥っぽいし!鶯は僕の苗字…!」
ラプラス「…」
夜雨「キニイリマシタ…」
ラプラス「ヤ、ヤッター!」
ラプラスに抱きつく。
ふわふわしてて暖かかった。
逃亡
ぐ~っと腹が鳴る…。
夜雨「腹減ったなぁ…。」
フラフラとその場でヘタりこむ。
ラプラス「盗んで食べるしかないね。透明の状態だか――」
「オイ!見つけたぞ!!!」
…何だ…?
男組三人がこちらを見ている。
そして――
「魔女だ!」
確実に僕達に指をさしてる!?
ラプラス「何だ!?バレてる!?ありえない!」
夜雨「おいおい…僕達見えてないんじゃ…!?」
「くらえや!!!」
なっ!?一斉に拳銃を撃ってきた!
夜雨「チィ!!!」
避けるのは簡単だ!
でも誰かに当たったらどうすんだよ!
いや、待て!
優愛の槍を手で弾けたんだ!
それならこんな弾3発!
下に弾く!
夜雨「そぉらっ!」
1発!2発!3は…。
夜雨「ぐぅ…!?!?!?」
一発だけ弾きそこねた!?
僕の手の甲を銃弾がえぐり取った!
何でこの弾だけ!?
夜雨「クッソ…折角の衣装がまた血まみれだよ…!」
でも…!
3発目をもう一度手で掴み取る!
ラプラス「夜雨!飛んで!一旦引くんだ!」
「逃がすかぁ!」
更に銃弾を撃ち込んでくる!
ああ!ごめん!ちびっこ達!
僕は近くにあった鉄棒をへし折り、振り回して銃弾を弾き落とした!
夜雨「これでもくらいな!」
更にそこらへんにあった小石をかき集めて、三人組に投げる!
「ぐぁぁぁ!」
夜雨「BINGO!」
当たった!
夜雨「よいっしょ!」
瞬発力と脚力を活かして、空高く飛び上がる。
夜雨「浮け!飛び上がれ!僕は鶯だ!【特殊戦闘用形態 鶯】 だ!」
ビュンッ!ととんでもないスピードが出る。
衣装の名前が鶯で良かった!
イメージがきちんとできた!
ラプラス「流石!とてつもない反射神経能力だ!頭の回転も早い!追いつくのがやっとだよ!」
夜雨「君に当たったら危ない!とりあえず…僕の衣装に入って隠れといて!」
ラプラス「右ポケットに入っとくよ!にしても君の持ってる雑草はなんだい!?」
夜雨「この弾だけ当たったんだ!異常過ぎる!優愛の槍を弾けたのに!だから雑草に包んで持ってきたんだ!」
ラプラス「君は…どこまで機転が利くんだ…」
取り敢えず廃墟のホテルまで逃げてきた。
夜雨「ハァ…ハァ…ハァ…」
ラプラス「夜雨…手の傷は…」
夜雨「魔女…だからね…治せると思ったんだけど…僕はそういうのまだ出来ないみたいだ…痛っぅ〜…」
息を整えよう…。
ラプラスを見るとどうやらかなり焦っているようだった。
ラプラス「こんな事…。ありえないっ!…透明だったのに…見えた?夜雨が男の子だから?いや…それだと今まであった子達も見えてるハズ…」
夜雨「ハハハ!」
僕は笑い飛ばした。
夜雨「ハハ…まぁ?アレだよ…慣れってやつだよ…!」
雑草をそこらへんにあったポリ袋に入れる。
何も変化がなさそうだ。
…魔女を狙う集団…。
一つだけ思い当たる節がある。
いや、それしかない。
夜雨「なぁ…ラプラス…魔女狩りって知ってる?」
ラプラス「魔女狩り?」
夜雨「ヨーロッパとかで魔女狩りというものがあって、魔女を処刑していったんだ。人物でいうとジャンヌ・ダルクが有名かな…火炙りにあって亡くなった。」
ラプラス「ってことは今襲ってきた奴らは…」
夜雨「…魔女狩りなのかもしれない。」
ちょっと面倒くさいことになりそうだ…。
出会い
手の痛みが少しだけ引いた…。
少し廃墟を探索しようか…。
もしかしたら缶詰なんてある…わけないか…。
ラプラス「こ…これは!!!!?」
ラプラスの大声が廃墟中響き渡る。
夜雨「どうしたの?」
ラプラス「これは、魔女集会…!これは魔女会…!」
ラプラスは壁のスプレーされた落書きの文字を見ている。
夜雨「落書きかどうかした?」
ラプラス「落書きなんかじゃない!転送呪文だ!うかつに触っては駄目だよ!どこに飛ばされるのかわからないのに…普通は消すものなのに…。これなんか…5年前の会場の転生呪文だ…!」
…ちょっと待て…。
夜雨「ねえ…ラプラス…あの落書き光ってない?…」
ラプラス「…!?あ!あれは…!魔女集会!」
その時だった。
「お久しぶり!ラプちゃん!雨子!」
夜雨「おわぁぁぁぁ!!!!」
ラプラス「キヤァァァァ!!!!」
突然声を掛けられてビビり散らかす。
夜雨「だ!誰だ!」
「誰だってわた…え?だれ?」
黒いロングストレート、一言で言えば美女がそこに立っていた。
でも手には刀。
もう構えている!?
ラプラス「まっ…待って!話せばわか…」
夜雨「危ない!」
風を切る音が聴こえてきた。
これは…優愛の槍だ!
片手で受け止めれるが、反撃する力がない。
だるそうに割れた窓ガラスから現れる優愛。
優愛「ん…だよ…3匹もろとも殺せたのにさ…。ヨサメ…お前本当に鬱陶しいよ。」
この女ァ!
「…先輩」
…先輩?
美女は寂しく呟く…。
優愛「があっ!?」
その時、優愛が壁にめり込んだ!
夜雨「なんだ?超音波!?」
優愛だけが吹っ飛んでいったぞ!
「察しがいいな。お前。」
オレンジ色のツインテールの女性が天井から降りてきた。アイドルの魔法衣装?
そのアイドルはずんずんと近づいて、僕の手から優愛の槍を持つ。
「優愛、お前を今すぐ殺してやりたいところだが、見逃してやる。集会前に乱闘はご勘弁だ。」
アイドルが優愛に槍を投げ捨てる。
「ところで、お前誰だよ…雨子はどうした…」
夜雨「僕の…!!!!…僕の彼女は!!!!この女に!!!!殺されたんだ!!!!」
僕は優愛を指差し叫んだ。
「は?」
「は?」
美女とアイドルはかなり動揺していた。
「このクソアマぁ!」
アイドルは怒り狂い、美女は必死に止める。
その時。
ラプラス「うるせぇぇぇぇ!!!!」
混乱を止めたのはラプラスの怒りの咆哮だった。
ラプラス「ごめん…色々ありすぎて…今イライラしてるんだ…魔女集会…行こうよ。」
夜雨「…ラプラス」
ラプラス「ごめんね!夜雨!さっ!呪文に手を触れて。」
僕は咄嗟に落としたポリ袋を持ち、止まらない血に少し朦朧としながら手を触れる。
夜雨「おおっ!」
何だ!?
目の前が歪んだと思えばそこは沢山の魔女らしき人達が座っていた…!
魔女集会
ここは大学の講義室か?
「ラプラスの隣にいるやつは誰だ!?」
「雨子は!?」
皆ざわついているようだ。
「静粛に。」
教卓の前に、真っ黒なパーカーを着ている人物が立っていた。
パーカーの帽子を羽織り、仮面もつけているため顔は分からない。
夜雨「あいつは…?」
ラプラス「マリアさ。魔女の長。」
マリア「集まってもらったのは無理もない。魔女狩りについてだ。」
やっぱり…アイツら魔女狩りだったのか。
ラプラス「マリア!夜雨。渡してあげて?」
僕はコクリと頷き、マリアに袋を渡そうと近づく。
マリア「これは?」
夜雨「魔女狩りらしき物に襲われた時、この弾だけ、僕の手の甲をえぐり取った。」
と弾と傷跡を見せる。
するとマリアは少し驚いた声を出す。
マリア「私も現物を持ってきたのだが…なぜお前の弾は色が違うのだ。」
色…?
ん!?よく見ると青い弾だ。
確かに…見たことがない。
何か練り込まれているのか?
マリア「…なんで食らって生きている?」
ラプラス「どういうこと?」
マリア「普通なら当たったら死ぬ。傷を見せてみろ。」
手を見せると、マリアは少し観察をしたあと、傷を魔法で治してくれた。
アニメとかで見たことあるように、光って傷口が治っていくのだが、何だか麻酔を受けてフォークでぐちゃぐちゃに肉を混ぜられている気分で、正直気持ち悪かった。
夜雨「お、おお…」
マリア「これは持っているだけでも危険だ。私が厳密に保管しておく。下がれ。」
僕は振り向いて下がると、優愛が恐ろしい表情で僕を睨んできたので、睨み返した。
マリア「魔女狩り討伐を行う前に、魔女会をはじめる。3日後だ。健闘を祈るぞ。」
マリアはそう言った後、瞬時に消えてしまった。
ざわざわと周りがし始める。
魔女会って魔女のお茶会ではないのか?
優愛「全員殺してやる!ヨサメ!楽しみにしてろよ!」
そう言うとドアを勢いよく開き出ていってしまった。
ラプラス「とりあえず帰ろうか。」
夜雨「はは…帰れる場所なんて…ないって…の…」
目眩で倒れた。
頭の中がオーバーヒートしている。
何も考えられなくなり、僕は意識を失った。
(真)魔女会
…。
起きるとなんかまだざわついている。
夜雨「ん…」
ここは?ファミレスか?
隣にはラプラスがおり、どうやら寝ている。
そして真正面には…
夜雨「美女とアイドルだ…」
「び!?」
「まあアイドルみたいなもんだからな。とりあえず水飲んで飯食えよ。」
さっきの二人が座っていた。
僕が水を一杯飲むと、アイドルが口を開く。
「お前夜雨か?」
夜雨「うん…。」
僕はタッチパネルのメニューを凝視しながら返事する。
夜雨「金ない…。」
「何言ってんだよ!奢りだ!奢り!」
とアイドルが笑って答える。
凄い怖いイメージだったけど…そんなに悪い人ではなさそうだ。
夜雨「とりあえず…。タコスサラダとシーザーサラダと海鮮サラダ」
「めっちゃ野菜食うやん!」
と美女が…。
じゃなくて…名前を聞かないと。
夜雨「お、お二人のお名前は?」
ルピ「ああ。ワールド・ピースだ。長いからルピでいい。」
花恋「草風花恋(くさかぜかれん)。よろしくね…。」
花恋は僕の頭を撫でる。
凄い落ち着く…。
結局僕は眠りに落ちてしまった。
再び目を開けると、隣に花恋が寄り添ってくれた。
ラプラスはルピに撫でられているようだ。
こっちからじゃ尻尾しか見えない。
ラプラスも眠るんだ。
無理させちゃったな…。
ごめん、ラプラス。
花恋「サラダきたよ〜?食べさせてあげよっか?」
夜雨「いえ…」
花恋「遠慮すんなよ〜!」
何か、腑抜けてきた…。
なんだろう…この人といるとめっちゃ落ち着く…。
ルピ「とりあえず食って、少し話をしよう。」
僕はサラダを食べる。
美味い…。
少しだけ元気になった。
でも辛い話をこれからしなくちゃいけない。
億劫だな…。
ルピ「にしても女って大変だよなぁ…男と身体が違って身軽になれるけど、肉の付き方がまた違うから、変な気分になるんだよ。」
と、笑ってくるルピ。
ああそうか…!ラプラスが言ってた知り合いの男ってこの人か。
花恋「私達の話をしたほうがいいんじゃない?ほら、ね?まだ少し緊張してるみたいだし。」
ルピ「そうだな…。俺はミュージシャンだ。俺の願いもミュージシャン。」
すげえ…。
花恋「私は今年で大学2年生になるの!」
それじゃあ一つ年上か…。
ルピ「その前にお前若手社長だろ。」
ええ!?もっとすげえ!!!
花恋「まあね!絵とか、陶芸品売ってるの。展示もしたことあるんだよ〜!」
と、写真を見せてくれる。
す、凄い…。
月は陶芸で作られており、周りの光と星は描かれている。
夜雨「何か飾りたくなってくる…良い作品ですね…」
花恋「分かってくれたか〜!」
とまた頭を撫でられる。
ルピ「ま、こんなところだな。次はお前の話が聞きたい。」
夜雨「わかりました…その前に…また頼んでいいですか?」
ルピ「良いぞ!」
ルピさんはニッコリと返事をした。
(真)魔女会その2
雨子が死んだと聞いて、俺達は絶望した。
しかも…殺したのは優愛。
何であいつが…。
一体何があったんだ…。
夜雨「…。」
…夜雨君…結構食うな…。
かなりボロボロだったし、全然食べれてなかったのだろう。
優愛から死ぬ気で逃げて来れたのは凄い。
パンプキンポタージュを飲み干し、夜雨君は話をし始める。
夜雨「僕の名前は鶯夜雨です。大学は行く予定ではあったんですが…雨子の件で事件を追うために断念しました。優愛に同級生も殺されています。」
花恋「はぁ…」
花恋は溜息をついて、涙を流す。
そして、優しく夜雨君の背中を擦った。
夜雨君は黙って花恋にしがみつき泣いてしまう。
ルピ「辛い質問をしちゃったな。ごめんな。」
夜雨「いえ…。」
花恋「はぁ…先輩…最強の魔女になってから逆に弱くなっちゃったなぁ…」
今の状況で一番苦しいのは花恋だろう。
夜雨「何であんなにもラプラスを狙うんですか?」
それは簡単な事だ。
ルピ 「俺たちを見てみろよ。俺達は使い魔はいるっちゃいるけど、姿を現さない。でもラプラスはこうやって契約者とずっといる。理由はラプラスの能力が、強力な強化補助だからだ。まあ一言で言えば、よく自分を見てくれるコーチみたいなもんだ。だからこそ一緒に行動しなければいけない。アイツはラプラスの能力が邪魔なんだよ。憶測だけどな。」
とラプラスを撫でながら喋る。
まだ寝ている。
こういう寄り添いを大事にしてくれるのもラプラスの良いところだ。
話題を変えよう。
ルピ「雨子が、お前のことを反射神経が凄い奴だと言ってた。何かやってたのか?」
夜雨「さあ…普通に生きてきましたから。でもスポーツはできる方だったかな…」
天性ってやつか…。
花恋「さっきはありがとうね。君がいなかったら私は死んでたよ。」
あの反射神経、とてつもない武器だ。
ラプラスで強化されていたとしても、だ。
この子はもっと探る必要は今後あるみたいだな…。
ラプラス「ん…ん…。夜雨は起きた?」
ラプラスが起きた。
ルピ「お?起きたか?自己紹介やってたんだ。よし、場所を移そう。そうだなぁ。(真)魔女集会とでも言おうか。一杯飲み物を買って作戦会議室に移動しよう。何がいい?俺は…スロートコートのベンティ。」
花恋「私はオリエンタル・ミントティーのベンティ。ラプちゃんと…夜雨君は?」
夜雨「うーんと…僕はどうしようかなぁ…。」
花恋「あ!えっとね…今は…スノア&ピースがオススメだよ!」
夜雨「じゃ、それでよろしくお願いします。」
ラプラス「オイラはバニラチャイのベンティで。」
よし!
ルピ「それじゃ行こうか。皆、魔女狩りだけは気をつけろよ?」
扉を開けたら戦場だ。
ドルフィンスマイル。
透明化してくれ。
(真)魔女集会
ふう。
何事もなく作戦会議室についた。
竹やぶだらけの山にこんな地下室があるなんて。
ルピ「寒くないな?よし、じゃあ作戦会議を始める。早速だが…夜雨!お前…何人喰った?」
夜雨「僕は…30人…」
ルピ「狙う相手は一緒だな?」
僕はコクリと頷く。
優愛に決まっている。
ルピ「花恋はどうする?覚悟を決めるしかないぞ。」
花恋「私は…うん…雨子の為だ。私も。」
ルピさんは黒板に大きく、優愛と書いた。
ルピ「優愛がどう来るかわからん。仲間を連れてくるかもしれん。だが雨子殺害によって評価がガタ落ちしてるのは確かだ。皆から狙われるだろうな…。優愛は…変わってしまった。これ以上の被害は出せない。」
ちょっと待って。
夜雨「ちょっと待ってくださいよ。もしかして魔女会って殺し合いなんですか?」
ルピ「…本来は…いろんな特技を見せるための楽しい会だったらしい。マリアが来てから変わってしまった。彼女の能力は100人を犠牲にし、願いを叶える能力だ。だからその―――殺し合いになってしまったらしい。」
そんな…
ルピ「夜雨。ハッキリ言って俺も優愛と変わらん。俺の願いは歌でちびっこ達を守る事だ。だからちびっこ達を狙う殺人鬼を殺してきた。勿論魔女会で狙われた時も本気で殺した。殺らなきゃ殺られる…!そして今99人。残る一人は優愛だ。俺は願いを叶えて魔女を降りる。雨子の為にもな。」
夜雨「僕は優愛に復讐できればそれでいいです。」
黙って聞いていた花恋さんが喋る。
花恋「私、まだ喰ったことないけど、夜雨君を守りたい。いや、先輩とぶつかりたい。」
優愛、花恋さん、ルピさん、雨子、この四人はどういった関係だったのだろうか…。
夜雨「花恋さん先輩って…」
花恋「終わってから全部話すよ。私の願いの事も。」
エピローグ
ふう。
本当は創作に没頭したいんだけど。
遂に、魔女会が始まってしまう。
私は知っている。
優愛さんの優しさを。
取り戻さないといけない。
この刀は身を守るためじゃない。
道を斬り開くものでもない。
夜雨君を守り抜いて、雨子を安心させる。
ああ…でも…。
この身体中を巡る罪悪感は何だろうか。
「過去を喰らう」第2話
第二話。正直投稿するのに迷いました。本当は早めに出せたのですが…タイミングが悪かったので、少し遅らせてもらいました。本当にやめてしまおうかと考えた。
小説家というのはとても大変だと思っています。どれだけ面白くても手にとって貰えなかったら意味がない。僕の実家の近くにある本屋も2店舗とも潰れてしまい、あるのはゲオの古本屋だけなんです。本当に本屋がなくなってきている。電子書籍も良いのですが、紙で読む本も良いんですよね…僕はとてもなんか…失礼なことをしている気持ちがあって、邪魔をしているんではないかと…。でも書ききりたいので書かせてください。ごめんなさい。クソ迷惑かけます…。
花譜ちゃんの過去を喰らうの
URL→https://www.youtube.com/watch?v=tMKrECxEpq8
そして人間六度さんの過去を喰らう(I am here) beyond you.のURL→https://www.youtube.com/watch?v=MyJSW_kpf6g