上下共二百度以上をどうする

上下共二百度以上をどうする

遥かな・・と思っていたら・・。


 彼が。
「・・攻撃は最大の防御・・」
 其処で一種の摸擬戦に参加して貰う事にした。
 先ず知識の復習から始めた。
「水星167度・・金星464度・・冥王星-225度・・」
 言うまでも無く太陽系の惑星の表面温度に該当する。因みに青い惑星の場合には15度としておく。
 彼の教官は姿が見えないが、彼にははっきり教官の声が聞こえている。
「私のところでは防御のみとする」
「・・え?其れでは・・有事の際に間に合わなかったら・・どうなるんだろう・・?」
「其の有事というのはどういう状況の事を意味しているのか?」
「・・其れは決まっているでは無いですか・・?近隣から攻撃を受けた場合に・・ですが・・」
「ほう?其れで、君はmilitaryの経験も無いのに、何を根拠にそんな事を考えたのか?」
「・・其れは条約というものがあり・・つまり、世界が二つに分かれているので・・悪い相手が攻撃をした際に・・我が軍と国内所在の基地や本土其の他から集まって来たarmyが見事に・・核兵器等で守ってくれるからです・・」
「成程。で、模擬戦を経験して貰うが良いかな?時間が無いのですぐに始まるが?あ、その前に貴重な体験をして貰おうかな?」
「・・え?いや、私でなく・・軍隊が戦ってくれるので・・」
「その軍隊とは、君が呼べば来てくれるのでは?」
「・・ええ・・其れはもう・・自衛隊という心強い軍隊が・・では呼んでみましょうか・・?」
 教官は頷いたまま黙っている。
 早速、体験とやらが始まった。
 彼の言う通り次々に集まって来る陸上・海上・航空自衛隊のおよぞの数は、25万人に非常勤の5万人を合わせた30万人ということになった。
 教官が彼に尋ねた。
「其れで全部という事だね?有事の際には其の別の国からも来て貰えるんだろう?其処へも連絡をしておいた方が良いのでは?」
「・・ええ、でも、滅多な事では・・其処まで必要が無いと思いますが・・?」 教官は彼に全権を任すことにした。
 其の彼等の総数は彼が言うには約130万人となる。
 体験は模擬戦と同様に二回行われるが・・一回目は太陽系のあるポイントで行われる。
 或る体験をして貰う事になり、その後に体験の二回目が行われる。
 



 彼の指示で総数があるポイントに向かった。勿論、教官同様其処までの道程については見えない。
 如何なる方法で体験をし、全てが如何なる構造なのかなど、全く分からない。兎に角彼にとっては貴重な体験になりそうだ。
 一回目の内、最初のポイントは「水星」と「金星」の中間あたりから「金星」に近づき・・其処で行われた。
 総数が早速ポイントに近づく。
「・・ちょっと待ってください・・無理ですね・・此れを見て下さい・・?」
 そう指揮官から言われた彼が見たものは隊員の所持している温度計。
「・・?此れでは難しいでしょう・・?」
 指揮官の言う通りだと・・総数の誰もが同じ事を考えた・・。
「・・体験はやめにして・・此れが分かっただけでも・・収穫ですから・・?」「ああ、そうだね。君達には少し危険なのかも知れないな?」
 総数が辺りを見回した後に・・温度計に目を遣った・・。
「・・250度・・?そうか・・此処ならあり得るな・・?

 指揮官と総数の中から・・知識が豊富な隊員が・・。
「・・しかし・・此れが一体・・模擬戦とどういう関係になるのか・・?」
 別の隊員も・・。
「・・そうだ・・此処まで来る事は不可能と思われ・・来る意味も無い事になるのでは・・?」
 彼は・・口を・・あんぐりと開けているだけだが・・教官もそんな彼や総数を見て頷いた。
 すぐに・・ポイントを移動した・・。
 総数たちが・・今度も・・奈落の底の様な・・に驚いている・・眼前の光景に・・。
 彼が総数に尋ねた・・。
「・・此れ?どうかね?先程の君・・?」
 そう言われた・・先程の温度計を所持した隊員が・・。
「・・此れは・・また・・極端な・・え?」
 隊員に彼と指揮官が・・。
「・・太陽系では今のところ・・来る必要も無い・・星ですから・・まあ、一応此れになりますが・・?」
「え?・・-250度・・あ?」
「君に敬意を表して、もう戻っていいかな?」
 全員が・・頷いた・・。




「・・で・・あの体験と今回の模擬戦とは・・一体どういう関係になるのでしょうか・・?」
 彼も・・指揮官も・・総数も皆・・同じ事を考えている・・。
「いや、大した事では無いんだが、似たような環境での体験をして貰おうとの考えでね?まあ、それ程異ならないと思うのだが?」
 教官が全員の健康を確認するようにと言う。
「・・全員異常なし・・何時でも模擬戦に向かえます・・」
 そう言ったのが指揮官で、敬礼をしている。
 見えない指揮官から今後の行動に関する説明が始まった。  
「さて、此処は青い惑星、いや、失礼、君達のホームグラウンドだ。そして、すぐそこに見えるだろう?某国の『失地回復』pointと言う設定になるが?」
 総数が指揮官の声が頭脳に指し示したポイントを見た・・。
「・・何も無い様な・・此処で宜しいんでしょうか・・?」
 彼や総数に・・指揮官も・・同様の表情をしている・・。
 彼が突然こんな事を言った・・。
「・・いや・・君達・・此処?・・あそこにそっくり?・・攻撃をしなくてはならないのでは?な・・指揮官?」
 そう言われた指揮官が・・頷く・・。
 其処で・・早速・・今度はホームグラウンドであるから・・あらゆる兵器に弾薬・missileが・・揃い・・準備は万端との・・報告・・。
 当然ながら・・戦車も相当数が投入されているのだが・・何処かで聞いたような事に繋がっている・・。 
「・・敵地攻撃・・失地回復・・」
 一斉に・・掛け声が・・。
 突然・・指揮官の声が・・。
「あ、いや、敵地を攻撃するのではない。じっと此処で待つ事になる。其れが私達の決めごとなのだ。いいかな?」
 総数30万人が身構え・・戦車も戦闘機も・・missileも発射準備が整った・・。
 此処で・・おかしな事に・・総数が行っている事と同様の事を・・何処かの軍隊が・・待機をしている・・。
 と・・其処に現れたのは・・失地回復と叫ぶ声・・。
 教官が総数に、目を見張るようにしながら言った。
「君達の体験が再現される」



 総数が見守る先には・・じっと待機をしている軍隊が・・。
 其処に・・一斉に十数個師団と思われる・・凡そ・・何十万人の軍隊が突撃をして行こうとした・・。
 待機している軍隊が・・。
「まだまだ。もっと近づけて」
 突然・・空間に異常があったが如き光景が窺える・・。
「・・何だ?空間に異常?」
 総数がそう思ったのも無理は無いのだが・・実際にはそうでは無い・・。
 ただ、言える事は・・あの体験の時と同じような・・隊員が叫ぶ・・。
「・・温度・・温度・・何だ・・この異常な・・温度は・・?」
 叫んだ隊員が所持をしていた温度計は・・あの時とほぼ同じ温度を・・示している・・。
「・・250度・・?」
「・・ちょっと此れは無理です・・あ?某国の戦車・・幾つかに分かれた兵士や戦車大隊が・・何か所ものコースから相手方に・・」
 ところが・・それらがすぐに見えなくなった・・と言うのも・・先程隊員が叫んだ通りの・・で、消滅・・。
 しかし、残るはかなりの軍勢・・なのだが・・やはり・・見えなくなった・・。
 別の隊員が叫んだ・・。
「・・此れは拙いな・・じっと待機をしている軍隊の直前の・・あれ見て下さい・・?直前の・・温度・・-250度・・?」
 指揮官から彼に援軍要請の声が飛んだ・・。
「・・米軍を・・?」
 その旨予め連絡を受けていた・・全米軍が動いた・・。
 総数30万人に・・更に・・130万人の大軍が・・空から・・海から・・そして・・大地に・・轟音を立てながら・・更に・・相当な数のmissileの姿が・・一瞬・・空(くう)を切ったように見えた・・。   
「・・あ・・やはり・・似ている・・?」
 其の隊員の言った事は正しかった・・。
「・・待ち受けている軍隊の直前の・・が両極端・・」
 消滅していく数十万人の軍勢・・。





 佇(たたず)み・・見守るばかりの・・160万人・・白地に赤丸と・・幾つもの星が見られる旗とが・・一緒になり・・。
 彼が言った。
「・・信じられない・・宇宙空間が此処まで・・という訳は無い・・何故・・どうして・・?」
 其れに答えるつもりもない隊員の一人が、・・に気が付いたようで呟く・・。
「・・以前勤務していたところにあった・・」
 他の者には・・意味が分から無さそうだ・・。


 教官は既にその場から立ち去ろうとしていたが・・。
「至極・・」
 たった一人の隊員以外には・・最後の言葉が聞こえなかった・・どうやら先程まで頭脳に聞こえていた教官の声は・・遠くに去って行こうとしている・・。
「身近に・・」
 



 
「・・ああ・・種明かしは出来ない・・」
 尾上雄二の・・と教官とのは・・かなり近接した文明である・・。
 時間が無くなったので・・お終い・・。
 
  


 
  

上下共二百度以上をどうする

身近な・・。

上下共二百度以上をどうする

其れを・・。 加工・・。 待ち・・。 とは・・?

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-05-04

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