寒暖の日々/新作短歌

季節外れの暑さや寒さ、年寄りにはこたえますねえ・・・。


 おじちゃんと 可愛い声に振り向けば
    お出かけ姿の嬰児(みどりご)手を振り

 その笑顔 その幸せをいつまでもと
    祈れずにおられぬ あどけなき命

 二畝も 実りすぎたる鞘豆を
    千切る姿に初夏の陽は照り

 共に生きる 嬉しさ楽しさ知る頃は
    すでに生い先 短き人生

 ふと姿 見えぬ隣人 如何なりやと
    思えど不安が過(よ)ぎりて問えず

 前後ろ 我が子を乗せて漕ぐ母の 
    逞しくもあり苦しくもあり

 連れ合いを 亡くして掘れぬ竹の子を
    客の手を借り 並べて売りぬ 

 竹の子は 歯ごたえなければ物足りないと
    いいし彼の妻 居なくて寂し

 病を得て 人の心が身に沁みたりと
    老たる独り者 涙に暮れて

 夕暮れの 時報流れて今日もまた
    事なき日々を妻と過ごせり


☆ 今日は朝から雨でしたが、植物には芽吹きの季節。
  待ちに待った慈雨なのでしょうね。(いずみ)
   

 
    

 

 

寒暖の日々/新作短歌

寒暖の日々/新作短歌

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-04-26

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