異常気象。米軍が犯した犯罪に、フジテレビをちょっと見の感想を

異常気象。米軍が犯した犯罪に、フジテレビをちょっと見の感想を

異常気象は何処まで?


 異常気象。米軍が犯した犯罪に、フジテレビをちょっと見の感想を



(今日もあっさり早めに引き揚げる。医者も三週間ぶっ倒れているという事態で、最も此の人は医者にしては意見はハッキリ言うが優しいと、元の大学病院の旧い連中の間の評判。
 医者が病にかかって悪いという法は無いし、ゆっくり休めばよい。あるがまま、成すがまま。)



 よく報道されるのは温暖化で、移動しつつある極点の氷が溶けている等で、実は青い惑星は構造上災害や異常気象になりやすい。
 仮称~百後十億年前には、青い惑星と似た惑星も幾つかあったし、今でも僅かながら存在している。
 彼等が人類と同じであるのかは、何れ人類が五感で探す事が出来た時に大発見となるのかも知れないが、一億年足らずで太陽系外に・・は無理。
 その昔、幾つかの惑星に数々の災害が発生したが、中でも特出すべきは広義の宇宙空間~と言うととても広大で多層空間など以外も含まれ、尾上雄二達の文明でもその全貌を知る由も無いと考えている。~巨大な惑星が衝突した事から、新たな構造の球体を創造した。
 其れは兎も角、大抵は4月までは何方かと言えば寒く、五月の連休辺りで暑くなると言うパターンが多いが。
 昨夏の昆虫不在は今年はどうなのか?害虫だけは健在だったが。昔は場所によっては木々の低いところに群がっていた蝉を手掴みにできた。
 だが、そうなると昆虫には興味は無くなったし、佃煮が出来るよ・・などと言う冗談も聞けた。
 佃煮と言えば、一時東京の佃島・月島辺りだったと思う・・に買いに行った事があったが、結構値段は高かった。
 当時は川崎から房総半島まで行くのに、フェリーを使用したもので、仕事でも利用したが、船の後部を眺めると結構迫力があった。
 恒星内部での変化も見られる。


 さて、早めに済ませるには何が良いかだが・・最後は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を貼り付けるつもりだが、先日の「トロッコ」は最後何行も。
 芥川の描いたお釈迦さんの辺りの描写が素晴らしいし、登場する罪人とが何なのかは分かるだろう。
 純文学は心理などの描写に優れており、更に漱石の「夢十夜」などでは天才である事が窺える。
 要は、story teller だけでなく、そういうものなら「松本清張」等は面白い。高校生でも「高校生殺人事件」などから入り興味を持つ事も。
 今の世代は、正にstoryのみの世界に生存していると言え、社会も事件も趣味嗜好もそんな事。
 分かり易いものにしか反応できなく、50代や60代のベテランがそうなのだから、若者には右も左も皆が同様に考えるという、或る意味特殊な団塊の世代と言えるのかもしれない。
 昔と違うのは大方が同じ考え方をし、うがった考え方をしたにしても、妄想になってしまうが、原因は言っても意味が無いし、この先も同じ。
 依存症癖があらゆる事にまで見られる。マスク・ギャンブル・薬・煙草・酒・性行為・不動産高騰・その他(大昔からあったもので人類には欠かせないが。)、まあ、上がれば何時の日にか下がる事は、歴史上。
 このうち、金銭欲に絡むものは、一般人が賭場を開いたりすれば大儲けをするので、政府にしか出来無いような法律制度が出来ている。
 日経・証券会社・不動産会社等の言葉を借りれば、
「既に過去最高の勢いで、此のままだと、次々に記録を塗り替える事になりそうだ」
 で、其の後は・・という事には言及しない。
 


 
 12歳少女が3人の米兵に暴行され…それでもアメリカに物言えない政府<沖縄は復帰したのか~50年の現在地>
2022年5月1日 06時00分
 <連載④1995年9月9日 少女暴行事件>
 「米兵が女児乱暴沖縄、3人逮捕へ」報道機関として現在最も価値のある「東京新聞」記事より抜粋。
 1995年9月9日の本紙の一報は社会面のベタ(1段見出し)記事だった。12歳の女子小学生が帰宅途中、米海軍と海兵隊の米兵に暴行された事件。被害少女に配慮し、地元紙の琉球新報と沖縄タイムスも当初、慎重な報道だった。
 だが、県民の衝撃は大きかった。基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の高里鈴代(82)は「ハンマーでたたかれたようなショックを受けた」といまも声を震わせる。直ちに在沖米軍や日本政府宛てに抗議文を送り、記者会見を開いて怒りを訴えた。
◆被害者守ろうとするあまり加害が曖昧に
 高里は「被害少女を思えば大きな問題にはしにくい。でも加害を明らかにしなければならない。守ろうとするあまりに加害があいまいになりかねなかった」と苦しい心情を振り返る。
 この2年前にも、県内で女性(19)が暴行された。基地被害の救済に取り組んできた高里は、被害女性を支援するつもりだったが、加害者の米兵は米本国まで逃亡。連れ戻すまで4カ月かかり、女性は訴えを取り下げた。「あの時の後悔を思い出した」という。
 沖縄県警は、基地内で米側が拘束した3人の身柄引き渡しを要求、だが日米地位協定を盾に拒否された。地位協定は、公務外で犯罪を起こした米軍人・軍属が基地内にいる場合、日本側が起訴するまで米側が身柄を持ち続けると定める。口裏合わせや証拠隠滅の恐れなど捜査への支障があるが、米側は現在に至るまで、一貫して改定を否定。県民の怒りはこの理不尽な協定にもぶつけられていった。
◆対等でないと政府が受け入れている…それが差別
 10月21日、8万5000人が参加した県民大会。翌22日の本紙朝刊はこの「怒りの集会」を1面トップをはじめ大きく展開した。事件は日米安保体制を揺るがす事態に発展した。
少女暴行事件を受け8万5000人が参加した県民大会を伝える紙面=1995年10月22日朝刊一面
少女暴行事件を受け8万5000人が参加した県民大会を伝える紙面=1995年10月22日朝刊一面

 そんな中、日米政府は地位協定の運用改善に動き、重大犯罪では米側が身柄引き渡しに「好意的な考慮を払う」ことになった。ただし、米側の態度に委ねられていることには変わりはない。2016年に元海兵隊員の軍属が女性(20)を暴行し殺害した事件後も、地位協定の対象となる軍属の範囲を縮小する補足協定が結ばれたが、協定本体は手付かずのままだ。
 高里は「改善というが、小手先ですよ」と切り捨てる。「米軍と沖縄は対等ではないと政府が受け入れ、沖縄の状況をそのまま認めている。それは政府による沖縄差別でもあるのです」(敬称略)
   ◇            ◇
 サンフランシスコ講和条約が1952年4月28日に発効し、日本が独立を果たした一方で、切り離された沖縄にとっての「屈辱の日」から70年。本土復帰まで米軍施政下に置かれ、今も過重な米軍基地負担などに苦悩する沖縄は、本当の意味で「祖国」に戻ったと言えるのか。主な出来事を当時の記事でたどりながら10回の連載で考えます。(この連載は山口哲人、原昌志、村上一樹、小松田健一、後藤孝好が担当します)
 
 
 
 更に。
 
 米兵はなぜ裁かれないのか 信夫(しのぶ)隆司著 
2021年10月31日 07時00分 同じく東京新聞より。(他社も同様に取り上げているが。)
 ◆似非法治国家の実態検証
[評]前泊博盛(沖縄国際大教授)
 いざとなったら米軍が守ってくれる−そんな安保神話の下で、対米忖度(そんたく)国家(日本)が形成されている。
 駐留米兵の犯罪起訴率は直近十九年間で17・8%。駐留米兵を除く起訴率(43・7%)の半分以下である。
 なぜ犯罪米兵は裁けないのか。その不条理の本質を徹底的に検証したのが、本書である。裁判権行使を阻む日米地位協定が日本にとって不利なら、そのもとになる日米安保条約を破棄すればよい。だが、対中、対北朝鮮脅威に対抗する手段として国民の約七割が日米同盟を評価している。
 だから安保条約を破棄するより「同盟のトゲといわれる地位協定の刑事裁判権条項の改正を目指す方が現実的」だと著者は説く。
 具体的な“同盟のトゲ”が本書の主題となる公務犯罪の決定権、刑事裁判権の放棄、身柄拘束の問題という米国が在日米軍駐留策として築いた「三つの砦(とりで)」の検証である。
 砦は、駐留軍隊に対する派遣国の専属的裁判権の行使という強固な「旗国法原理」によって構築されている。
 軍隊という性格上、指揮命令系統と法規範を旗国=派遣国軍が一括管理しなければ軍隊の本来的な機能は発揮できないという考え方である。
 一方で、駐留軍を受け入れる側は「受入国の領域内で起きた犯罪を罰する権限は、受入国にある」とする「領域主権論」で迎え撃つ。
 主権国家として、自国領域内は自国法で統治する。他国軍隊であっても「主権国家である以上、その国の治安を維持し、国民の安全を脅かす犯罪を処罰する権利がある」という主張である。
 本書は、駐留米軍と裁判権の在り方を日本と同じ対米安保を抱えるNATO各国、韓国など主要国比較を通して「対処法」を検証している。
 過去の凶悪な米兵事件を丁寧に検証し、軍事安保優先政策の下で蔑(ないがし)ろにされた国民の命、対米忖度がもたらす似非(えせ)法治国家の実態をも本書は浮き彫りにしている。
 米兵を裁けないこの国で、米兵犯罪の被害者になった時のためにも読んでおきたい。
(みすず書房・4180円)
1953年生まれ。日本大特任教授。『米軍基地権と日米密約』で櫻田會特別功労賞。
◆もう1冊
前泊博盛編『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社) 


 時間が無いので次に行く。
 
 今度は、元TV局の学友からも良くないと言われている、フジテレビ・BSフジの昨晩の報道番組「プライムニュース」。
 この番組を見る事は無いのだが、雄二と共通点がある二人の女性が出演していたので・・は良いとしても、此処の独自に宜しくないのは、「政府や自民党の議員・元議員などを必ずと言って良い程出演させる事」
 いや、誰が出ても構わなく自由なのだが、例えば、上記の記事をテーマにし出来るか?
 自民は・・この手のテーマでは専らUSAの属国だからという事で、歯に衣着せたような逃げを打つに過ぎなく、岸田君にしても2013年10月8日のYouTubeでコメントをしている。
「米兵の処分被害者に開示日米地位協定の運用見直し」と言うTitleが付いている。
 その内容は見ても知れているので、本題に。
 雄二達が見ていて疑問点を挙げた。
 男女二名のキャスターの氏名は知らない。
 男性キャスターの言葉の一つ。
「・・私は言葉が・・」
 其れは構わないが、此の人の脳の中は勿論、癖なのだろうし、多かれ少なかれ何処の局でも似たような持って行き方をするのは理解できる。
 要は、或る結果を導き出したい。其れで、ゲストが別の希望しない発言をすると。
「・・ええ・・?それじゃあ・・」
 その一つが。
「・・だったら・・何の為に・・日米安保条約が・・核の傘では・・?」
 此れでは、まるで、政府やUSA好きな国民そのものという事になる。
 報道番組というものは・・真実を告げたいのか・・自らの希望を満足させるに過ぎないのか・・?
 もう一つ、ゲストに呼んだもう一人は元?駐米大使の男性なのだが、番組中話題が二国の事になっているのに、どうして駐米大使が意見を述べるのか?
 其れも、他のstaff等が敬称をつけているのに、プーチンがゼレンスキーが・・が・・と言う具合で、やはり、大使ともなると相当偉過ぎるのかも知れない。
 この番組の悪いところは、上記の様なテーマであれば政府なり駐米大使で相当だろうが、二国の事にどうして自民党を出してしまうのかが問題。
 雄二達は朝番組表を見、関心が無いとか意味が無い番組は、全く無視をするし、大体TVその物に興味はないのだが、偶々チャンネルを回していて映ったという事。
 その僅かな間の出来事。Chinaとか何とかの番組表の内容だったような気がするが?
 なので、此れで終わりにするが、ついでに、ゲストの女性二人。肩書は義塾教授で、東京外語・静岡県立大で雄二と非常に縁がある。
 もう一名は、学習院大教授。此の人は義塾にも係わっているが・・それ以上は言わなくても良いだろう。
 二人共70年代の生まれ。
 元男性が「小泉・・?」。
 此れも義塾。
 さて、此れでお終い。

 では、芥川の短編からご存知のものを・・文章表現が面白く・・そう言ったものはstoryものには無い・・何回見ても面白いに通ずる・・。
 ああ、此れは大正時代の作品。更に十年程経った戦前の事だが、雄二。
「当時は新宿など馬糞が落ちていたことくらいしか思い出さないね。池袋?夜になると駅の近くでも暗くて、女性が歩くには危険だと思ったが、まだ米兵が進駐する前の事だから、そういう意味ではまだ良かった。今の様に高層ビルが林立し、何方も賑やかになるなど想像も付かないさ・・」
 


  蜘蛛の糸
 芥川龍之介

 一
 ある日の事でございます。御釈迦様おしゃかさまは極楽の蓮池はすいけのふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮はすの花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色きんいろの蕊ずいからは、何とも云えない好よい匂においが、絶間たえまなくあたりへ溢あふれて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。
 やがて御釈迦様はその池のふちに御佇おたたずみになって、水の面おもてを蔽おおっている蓮の葉の間から、ふと下の容子ようすを御覧になりました。この極楽の蓮池の下は、丁度地獄じごくの底に当って居りますから、水晶すいしようのような水を透き徹して、三途さんずの河や針の山の景色が、丁度覗のぞき眼鏡めがねを見るように、はっきりと見えるのでございます。
 するとその地獄の底に、※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多かんだたと云う男が一人、ほかの罪人と一しょに蠢うごめいている姿が、御眼に止まりました。この※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多と云う男は、人を殺したり家に火をつけたり、いろいろ悪事を働いた大泥坊でございますが、それでもたった一つ、善い事を致した覚えがございます。と申しますのは、ある時この男が深い林の中を通りますと、小さな蜘蛛くもが一匹、路ばたを這はって行くのが見えました。そこで※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多は早速足を挙げて、踏み殺そうと致しましたが、「いや、いや、これも小さいながら、命のあるものに違いない。その命を無暗むやみにとると云う事は、いくら何でも可哀そうだ。」と、こう急に思い返して、とうとうその蜘蛛を殺さずに助けてやったからでございます。
 御釈迦様は地獄の容子を御覧になりながら、この※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多には蜘蛛を助けた事があるのを御思い出しになりました。そうしてそれだけの善い事をした報むくいには、出来るなら、この男を地獄から救い出してやろうと御考えになりました。幸い、側を見ますと、翡翠ひすいのような色をした蓮の葉の上に、極楽の蜘蛛が一匹、美しい銀色の糸をかけて居ります。御釈迦様はその蜘蛛の糸をそっと御手に御取りになって、玉のような白蓮しらはすの間から、遥か下にある地獄の底へ、まっすぐにそれを御下おろしなさいました。

 こちらは地獄の底の血の池で、ほかの罪人と一しょに、浮いたり沈んだりしていた※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多かんだたでございます。何しろどちらを見ても、まっ暗で、たまにそのくら暗からぼんやり浮き上っているものがあると思いますと、それは恐しい針の山の針が光るのでございますから、その心細さと云ったらございません。その上あたりは墓の中のようにしんと静まり返って、たまに聞えるものと云っては、ただ罪人がつく微かすかな嘆息たんそくばかりでございます。これはここへ落ちて来るほどの人間は、もうさまざまな地獄の責苦せめくに疲れはてて、泣声を出す力さえなくなっているのでございましょう。ですからさすが大泥坊の※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多も、やはり血の池の血に咽むせびながら、まるで死にかかった蛙かわずのように、ただもがいてばかり居りました。
 ところがある時の事でございます。何気なにげなく※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多が頭を挙げて、血の池の空を眺めますと、そのひっそりとした暗の中を、遠い遠い天上から、銀色の蜘蛛くもの糸が、まるで人目にかかるのを恐れるように、一すじ細く光りながら、するすると自分の上へ垂れて参るのではございませんか。※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多はこれを見ると、思わず手を拍うって喜びました。この糸に縋すがりついて、どこまでものぼって行けば、きっと地獄からぬけ出せるのに相違ございません。いや、うまく行くと、極楽へはいる事さえも出来ましょう。そうすれば、もう針の山へ追い上げられる事もなくなれば、血の池に沈められる事もある筈はございません。
 こう思いましたから※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多かんだたは、早速その蜘蛛の糸を両手でしっかりとつかみながら、一生懸命に上へ上へとたぐりのぼり始めました。元より大泥坊の事でございますから、こう云う事には昔から、慣れ切っているのでございます。
 しかし地獄と極楽との間は、何万里となくございますから、いくら焦あせって見た所で、容易に上へは出られません。ややしばらくのぼる中うちに、とうとう※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多もくたびれて、もう一たぐりも上の方へはのぼれなくなってしまいました。そこで仕方がございませんから、まず一休み休むつもりで、糸の中途にぶら下りながら、遥かに目の下を見下しました。
 すると、一生懸命にのぼった甲斐があって、さっきまで自分がいた血の池は、今ではもう暗の底にいつの間にかかくれて居ります。それからあのぼんやり光っている恐しい針の山も、足の下になってしまいました。この分でのぼって行けば、地獄からぬけ出すのも、存外わけがないかも知れません。※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多は両手を蜘蛛の糸にからみながら、ここへ来てから何年にも出した事のない声で、「しめた。しめた。」と笑いました。ところがふと気がつきますと、蜘蛛の糸の下の方には、数限かずかぎりもない罪人たちが、自分ののぼった後をつけて、まるで蟻ありの行列のように、やはり上へ上へ一心によじのぼって来るではございませんか。※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多はこれを見ると、驚いたのと恐しいのとで、しばらくはただ、莫迦ばかのように大きな口を開あいたまま、眼ばかり動かして居りました。自分一人でさえ断きれそうな、この細い蜘蛛の糸が、どうしてあれだけの人数にんずの重みに堪える事が出来ましょう。もし万一途中で断きれたと致しましたら、折角ここへまでのぼって来たこの肝腎かんじんな自分までも、元の地獄へ逆落さかおとしに落ちてしまわなければなりません。そんな事があったら、大変でございます。が、そう云う中にも、罪人たちは何百となく何千となく、まっ暗な血の池の底から、うようよと這はい上って、細く光っている蜘蛛の糸を、一列になりながら、せっせとのぼって参ります。今の中にどうかしなければ、糸はまん中から二つに断れて、落ちてしまうのに違いありません。
 そこで※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多は大きな声を出して、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は己おれのものだぞ。お前たちは一体誰に尋きいて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と喚わめきました。
 その途端でございます。今まで何ともなかった蜘蛛の糸が、急に※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多のぶら下っている所から、ぷつりと音を立てて断きれました。ですから※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多もたまりません。あっと云う間まもなく風を切って、独楽こまのようにくるくるまわりながら、見る見る中に暗の底へ、まっさかさまに落ちてしまいました。
 後にはただ極楽の蜘蛛の糸が、きらきらと細く光りながら、月も星もない空の中途に、短く垂れているばかりでございます。

 御釈迦様おしゃかさまは極楽の蓮池はすいけのふちに立って、この一部始終しじゅうをじっと見ていらっしゃいましたが、やがて※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多かんだたが血の池の底へ石のように沈んでしまいますと、悲しそうな御顔をなさりながら、またぶらぶら御歩きになり始めました。自分ばかり地獄からぬけ出そうとする、※(「特のへん+廴+聿」、第3水準1-87-71)陀多の無慈悲な心が、そうしてその心相当な罰をうけて、元の地獄へ落ちてしまったのが、御釈迦様の御目から見ると、浅間しく思召されたのでございましょう。
 しかし極楽の蓮池の蓮は、少しもそんな事には頓着とんじゃく致しません。その玉のような白い花は、御釈迦様の御足おみあしのまわりに、ゆらゆら萼うてなを動かして、そのまん中にある金色の蕊ずいからは、何とも云えない好よい匂が、絶間たえまなくあたりへ溢あふれて居ります。極楽ももう午ひるに近くなったのでございましょう。
(大正七年四月十六日)


底本:「芥川龍之介全集2」ちくま文庫、筑摩書房
   1986(昭和61)年10月28日第1刷発行
   1996(平成8)年7月15日第11刷発行
親本:筑摩全集類聚版芥川龍之介全集
   1971(昭和46)年3月~11月
入力:平山誠、野口英司
校正:もりみつじゅんじ
1997年11月10日公開
2011年1月28日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。



●表記について
このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
「くの字点」をのぞくJIS X 0213にある文字は、画像化して埋め込みました。
 
 



「世の中に片付くなんてものは殆どありゃしない。一遍起った事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変るから他にも自分にも解らなくなるだけの事さ。夏目漱石」

「人類は地獄よりも地獄的である。芥川龍之介」

「取らねばならぬ経過は泣いても笑っても取るのが本統だ。志賀直哉」




「by europe123 」
https://youtu.be/y5wHuafVAlQ

異常気象。米軍が犯した犯罪に、フジテレビをちょっと見の感想を

米軍に虐げられた過去。

異常気象。米軍が犯した犯罪に、フジテレビをちょっと見の感想を

墜落事故が非常に多く迷惑な米軍基地。 昨年だったか・・米軍ヘリが新宿の高層ビル群の間を縫ってアクロバット飛行をしたが・・墜落確率は高いのだから、若し落ちたら? 更に、大の男である米兵が、12歳の子供を襲うなど。 日米協定の闇は何時になったら? 此の国は独立国とは言えないようだ。 ちょっとだけ見たフジテレビで驚いた事。 芥川の「蜘蛛の糸」。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-04-20

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著作権法内での利用のみを許可します。

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