MATERIALBIND(ホームズ編)
第(1話)ヨーロッパのホームズ
カシャカシャカシャカシャっ♪♪♪♪♪
??「アッシュ?この事件は君が介入する程の山なのかい?」そう言われ脚光を浴びているのはこの物語の主人公…アッシュゴールドジュニア。彼はヨーロッパのホームズと言われる程の私立探偵で…若くして地位と名声を手に入れた男である。
アッシュ「今のところは何とも…ただ私の元に1通の「手紙」が届きました。」
アッシュ「差出人不明のXなる人物は私にこう告げます。NYの街にジャック・ザ・リッパーが降臨したとね?」
アッシュ「その手紙の中に昨日の事件を連想させる様な一文もありました」
アッシュ「日が赤く染まる頃…小鳥がベッドで血を流して横たわる。私はそれを遠めで見ながら君が来る事を待っているとね?」
??「なるほど?アッシュ?ミステリアスな一文だね?」
アッシュ「君もそう思うかい?実はこの文には続きがある」
アッシュ「その夜カラスたちは一斉に羽ばたきNYの街に混沌が訪れる」
アッシュ「混沌に触れた者は斬り裂かれ…鳥たちの死骸がNYの雑踏に転がる。君は何もできずにただそれを見詰めるだろう?とね?」
話しは少し前に遡る
??「はぁ…はぁ…はぁ…」
??「心の声(ヤバい…俺はもう殺される…)」ベッド脇で腰掛ける男はそう心の中で呟くと時計を見る。時刻は夕方の17時を回っていた。
その時だったふいに部屋に声が響き渡る。
?「どうした?ウォルナット?」
ウォルナット「ん?あぁ兄貴か?どうしたんだ?」兄貴と言われた男の名はドリューブラウン。ウォルナットブラウンの兄でここNYで自動車関係の仕事をして働いている。
ドリュー「どうした?って見舞いだよ」そう言うとドリューは果物の入ったバケットを手渡す。
ドリュー「それより何かあったのか?凄い汗だぞ?」
ウォルナット「え…!!?いや何でもないんだ?」
ウォルナット「ちょっと‥昔の事を思い出してただけだよ(汗)」
ドリュー「ふーん?まっお前がそう言うなら詮索しないでおくよ」
ドリュー「所でウォルナット…お前にこれを渡してくれって頼まれたんだ」そう言うとドリューはウォルナットに手紙を手渡す。
その手紙には…妙な文様が刻まれており…「N」と書かれていた。
ウォルナット「ありがとう兄貴」
ドリュー「それとこれ!!母さんから」
ウォルナット「中身は?」
ドリュー「さぁ?着換えじゃないのか?」そう言うとドリューは窓を開けようとする。
ウォルナット「辞めろ!!?辞めてくれ!!窓は開けないでくれ」
ドリュー「どうした?ウォルナット?お前ほんとに変だぞ?」
ウォルナット「兄貴には関係ないだろ!!?」そう叫ぶとウォルナットは黙り込み頭を抱える。その様子を見たドリューは只事ではないと感じると息を飲む。
ドリュー「そっ…そうか!!?悪かったな。ちょっと俺は下の売店に行ってくるよ」ドリューはそう言って立ち上がり…廊下の方へと向けて歩き始める。
ドリューが出て行ったのを確認すると…ウォルナットは深いため息をつく。
ウォルナット「はぁ…」
ウォルナット「終わりだ!!俺はもう」ウォルナットは何かを呟きかけて辞めたが意を決して手紙を見る
手紙には…♠の6と書かれたトランプに(N)とただ一言記されていた。
ウォルナット「何だ?これは…?」ウォルナットがそう呟いた直後…部屋の外でカラスがやけに煩く鳴き始めたのが聞こえた。
次の瞬間…♠の6と書かれたトランプから(adios)という文字が浮き出るとカラスの鳴き声がピタッと止まる。
ウォルナットはそれを見てさらに動揺する。
ウォルナット「はぁ…はあ…はあ…」
ちょうどその頃…1人の男が数km離れたビルの屋上からとある1点を眺めてフゥー…っと息を吐くと静かに構えてライフルを1発撃ち込む。
数秒後…ウォルナットは蹲り頭から血を流してベッドに倒れ込んだ。
その後…病室に戻ったドリューが見た物は…必死にウォルナットの名前を呼ぶ看護師と頭から血を流してベッドに蹲った弟の姿だった。
数時間後…
??「デーヴさんステラです。こちらが事件があったとされる病院です。」
ステラ「この病院で勤務する医師によると…怪しい人物や車等は一切見かけなかったと話し銃声や発砲音などもしなかったとの事です」
ステラ「ただ…同じ病院に居た人物の話しによると被害者は生前何かに怯えていたとの事です」
?「ステラさぁ~ん」
ステラ「はい?何でしょう?」
?「事件があったのは何階ですか?」
ステラ「情報によると5階の角部屋だそうです。」
?「角部屋かぁ?デーヴ?今回の事件どう思いますか?」
デーヴ「被害者のウォルナットブラウンは特に恨みを持たれる様な人物ではなかったらしいですから…怨恨の線は薄いと私は思います」
?「となると犯人は…顔見知りでは無いと言う事ですか?」
デーヴ「一概にそうとは言い切れません。」
デーヴ「こういった事件の場合…顔見知りが検挙されるケースも稀ではありませんから!!?」
同刻その会話をTV越しに眺める少年は…飴を舐めながら考えていた。
??「ふーんなるほどねぇ?」
?「なるほどねぇじゃないでしょっ!!!?」
バシッ♪♪♪♪♪
??「いってぇ何すんだよ!!?ベル?」
ベル「アッシュからの伝言…準備しといてくれ!!?だってさ!!?」
??「ウィッスぅーー」
ベル「返事はっはいでしょ!!?シャキッとなさい!!?」
?「あっははははっ(笑)ベル彼にそれを言っても無駄だよ」
ベル「うっるさいわねぇ!!?」
??「所でオルガ今回のターゲットの目星はついてるのかい?」
オルガ「まぁな!!?」
オルガ「ただ本星はまだまだ見えねぇ」
オルガ「1つだけ確かな点は…怪しいクソ野郎共がこの事件の裏に暗躍してるって事さ!!?」
??「あっははっ(笑)オルガらしいね?」
ベル「そんなことより…あんたあれ持ってきたの?」
??「もちろんだよベルっ(笑)」
??「それよりこれを見てご覧…こいつはアリスフェネルの銀時計と言ってね?」
??「銀時計の所有者は…闇を退ける力があるとされいかなる災厄もこの時計の前では無力だそうだ」
ベル「また?オカルト?」
??「違うよ!!?最後まで話しを聞きなよ?」
??「闇から這い出た一匹の(獣)は銀時計の力によってあらゆる富と財産を奪われる」
??「この時計の前ではあらゆる闇が無意味であり全てが意味を成さない」
??「ねぇ?ベル?全てを奪われた獣が最後に行き着いた先は何処だと思う?」
ベル「知らないわよそんなこと!!?」そう言うとベルは足早に部屋を出ていこうとする。
ガチャっ♪♪♪♪♪
ベル「あっそうだ!!?アッシュに会う前にあんたの髪洗いなさいよ」
オルガ「はぁ!それ俺に言ってんのか?」
ベル「あんた以外に誰がいんのよ!!?」
バタンっ!!?
数時間後…NYにあるアッシュの別邸
アッシュ「今日みんなに集まってもらったのは他でもない…例の事件を追うためさ」
アッシュ「これを見てご覧」そう言うと…アッシュはボードに貼られた写真を見るように指示をだす
アッシュ「ここは事件の被害者ウォルナットブラウンが死ぬ前に務めていたとされる工場だ」
アッシュ「(NOAH)と呼ばれる工場で表向きにはただのゴミ処理場という事になっている」
アッシュ「彼は死亡する数ヶ月前に上司と揉めて職場を解雇されている。その後事故にあい…殺害現場となった病院に入院したそうだ」
アッシュ「これは僕の推測なんだが…おそらく彼は知ってはならない秘密を知ってしまったのだろう?」
アッシュ「知ってはならない秘密を知ってしまった彼は口封じの為に殺された」
アッシュ「その秘密は国を揺るがす程大きな出来事で…彼は触れてはならない何かに触れたのだろう?」
アッシュ「今から作戦の概要について説明するよ」
数十分後…
??「なるほどね!?ねぇアッシュ?」
アッシュ「なんだい?リル」
リル「その作戦うちらもやらしちゃくれねぇかい?」
アッシュ「元からそのつもりだよ」
アッシュ「君たちは僕にとって大切な仲間だ」
アッシュ「僕は決して1人で戦わない!!?」
アッシュ「チームで挑み…切り裂きジャックの正体を掴んでやる」
アッシュ「ただジャックザリッパーを追い詰める前にまずはこいつだ!!?」
アッシュ「ミハエラ?」
ミハエラ「OKアッシュ」そう言うとミハエラと呼ばれた青年はとある人物の写真をボードに貼り付ける。
ミハエラ「男の名は(ウォルフ・ベル・アレン)」
ミハエラ「ウォルナットの元上司で…ジャックザリッパーの正体を掴む上で重要な人物の1人だ」
アッシュ「おそらく…ウォルフは末端」
アッシュ「直接的にはジャックとは繋がらないだろう?」
アッシュ「だが…私は必ず見付け出す!!?」
アッシュ「このNYで起きたあらゆる事件を解明しジャックの正体を必ず掴んでみせる」
数日後…アッシュゴールドジュニアは部下たちと共に1人の男をマークしていた。男の名は…ウォルフ・ベル・アレン。ウォルナットの元上司で…NOAHの工場長を務める男である。
アッシュの調べによるとウォルフの工場ではココ10年間で黒人従業員ばかりが悲運の死に巻き込まれたり謎の失踪をしている。工場にいる殆どが白人で構成されており…黒人は1割に満たないと言う。
明らかに不自然な数値に違和感を感じたアッシュは工場長であるウォルフ・ベル・アレンを尾行していたのである。
アッシュ「リル…ターゲットは右に曲がった」アッシュはすれ違いざまに少年にそう言うとウォルフが行くであろう方角を推察する。
リル「OKアッシュ俺がつくよ」リルはそう答えるとウォルフの後を付け始める。
??「ねぇねぇアッシュ昼間あのおじさんとすれ違った時臭かったよ」
アッシュ「ベルも気付いてるようだね?彼からしてるのは死臭だ」そう言うとアッシュは…タバコを口に加えて火をつける。
?「にしたってあのタコこんな真夜中に何処向かってるんすかね?」
アッシュ「方角からして彼が行きそうなルートは3つだ。」
アッシュ「1つは彼の会社があるNOAHの敷地…もう一つは彼がよく行くと言う噂のBAR」
アッシュ「そして最後は…彼の愛人が住んでるアパートだ」
ベル「何でそう思うの?」
アッシュ「理由は単純さ。こんな真夜中に行ける場所なんて限られてる。もし彼が単に遊びたいだけなら…レイが待ち伏せしてる…BARの前に入り」
アッシュ「そうでないのなら…メロが待ち伏せしてる工場に入って行くだろう?」
アッシュ「そのどちらでもないのなら彼はリサが待ち伏せするアパートの1室で迷わず愛人と密会するだろうね?」
ベル「なるほどね?夜中の3時に人目を忍んで行く所と言えば確かにそれしかないわね?」
?「ふーん?つまり人目を忍んで愛人の家に向かってるか?会社からの急な呼び出しで工場に向かってるか?行きつけの店に向かってるか?って事だね?」
アッシュ「あぁその通りだユーリ。」
アッシュ「その全ての予想が外れた場合は彼はこれから僕たちが行く場所に必ず訪れるだろう?」
第(2話)ロイドメモ
アッシュたちがそうして話している頃(LiSA)が張り込みをするウォルフの愛人(ミシェル)のアパート前では…。
リサ「へっくしょんっ!!!」
リサ「んーもぉお?…誰か噂してんのかな?」そう言うとLiSAは少し遠めの駐車場から怪しい人影がいないかチェックする。
??「もしかしたらアッシュかもね?」
リサ「ん?ミハエラさん?どうしたんですか?」
ミハエラ「疲れてると思ってね?」そう言うとミハエラはLiSAにパンとジュースを手渡す。
リサ「ありがとうございます」
ミハエラ「それじゃ僕はあっちで見張ってるから何かあったら合図するんだよ」
リサ「了解です」
LiSAとミハエラが監視するウォルフの愛人ミシェルは彼の部下マシューの娘でウォルフとは(30歳)年が離れている。出会いのきっかけはNYのBARだった。当時…ウォルフ46才…ミシェル16歳の時である。日々の仕事で疲れ…家に帰れば邪魔者扱いされる。そんな生活に嫌気が指したウォルフはとあるBARに立ち寄った。店に入ると自分の娘ほどの子供が優しく出迎えてくれてウォルフに微笑みかけた。出会ってから半年が経った頃…ウォルフは町中で制服姿で歩くミシェルを見つけた。人違いかとも思ったが…ウォルフは彼女の後を付けていきひとけの無い路地で突然彼女の手をひくと壁際に抑えつけて唇を奪う。ミシェルは突然の事にビックリし抵抗したがウォルフは父親をクビにされたく無かったら大人しく従えと言い…無理やり行為に及ぶ。ミシェルは父にこの事を言おうかとも思ったが言えば家庭が崩壊し…父と母の笑顔が見れなくなる事を恐れ言わなかった。それからウォルフはことある毎にミシェルを呼び付けては身体を求める様になり気付けば数年が経過し現在に至るという訳である。
リサ「異常なしっと」そう呟いてLiSAは飴を口に加えて舐め始める。
その頃…ミハエラはリサとは別方向に停車してある車の中からアパートを監視していた。あたりは暗く周囲に怪しい人影はいない。
ミハエラ「さてさてさぁーて…昼間ロイドが集めてくれた資料をチェックするかな?」
ロイドとは(EASTCHILDREN)の1人で…このミシェルが暮らすアパートの住人である。ロイドによるとウォルフと思しき男が尋ねてくるのは夜中が多く。前に1度下の階の騒音が煩くて眠れなかった事があるという。
また…極たまに…ミシェルのアパートから怪しげなバッグを持って出て行くらしい。そのバッグが始めから持ってた物か?ミシェルの部屋から持って出て来た物かはわからないが…やけに鮮明に記憶に残ってるとロイドは言い…あれは何かあるといつも呟いている。
ミハエラ「なるほどねぇ?」そう言うとミハエラは1枚1枚ロイドが作成した資料を確認していく。
資料によると…このアパートの203号室の男性が…ロイドが怪しげなバッグを目にするちょうど1週間前から姿を消しており…行方がわからなくなっている。と言う。
また…ミシェルは稀にウォルフ以外の男を連れ込んでいる事もあり…たまに下の階から喘ぎ声が聞こえるらしい…以前廊下ですれ違った時は若い金髪の白人男性だったとロイドはメモに記入しておりその男の住所はこのアパートから東に5km程進んだ場所にあるらしいとのこと。
一通り資料を読み終えたミハエラなるほどと思い一言呟く。
ミハエラ「よく調べてるねぇ?」
ミハエラ「となると…このアパートにはもっとでかい謎が残ってそうだ」そう言うとミハエラはフゥー…と息を吐いて空を眺める。ちなみに以下の内容がロイドメモに記入されていた内容である。
(ロイドメモ)
①怪しげなバッグ
②203号室の男性
③ウォルフ以外の金髪の男
④ミシェルの違和感
⑤ベランダからした異臭
⑥アパートの階段に残された違和感
⑦騒音の謎
ミハエラ「心の声(見れば見る程怪しい点しかないね?)」ミハエラは心の中でそう呟くと…タバコを加えて火を付ける。
時を同じくして…メロが監視する…工場前では…
メロ「オルガさん…んなわかりやすいとこにいたらすぐバレますよ!!」
オルガ「あぁ?ばーかバレて良いんだよ。わかってねぇなお子ちゃまは?」
メロ「いやバレちゃ駄目でしょう?てゆーか‥僕はガキじゃないです!!」
オルガ「はははっ(笑)言ってろ言ってろ!!」
メロ「もう?どうなっても知りませんよ」
オルガ「良いからてめぇはそこに隠れてな」そう言うとオルガは…工場の入り口の方へと向かって歩き始める。
工場の入口には守衛があり…その中に警備室のような物があった。
警備員「すいません?どちら様でしょうか?」
オルガ「新人のオルガ・ラッセルだ。遅刻した」そう言うとオルガはメロが裏ルートから入手した社員証を見せる。
警備員「わかりました。ここに時刻と名前を書いて下さい」そう言われオルガは紙に来た時間と名前を書き工場の中に入った。
工場の中は…A~Eまでの5ブロックに分けられており…敷地内は小さな球場3つ分程の広さだった。まず入り口から入ってすぐ正面に…事務室等のスペースがあり…その奥に工場内へと繫がる扉がある。
Aブロックは主に一般ゴミを扱うエリアで各家庭から集められた大量のゴミを処分する所である。
Bブロックは産業廃棄物を処理するエリアでココでは事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定された20種類の産業廃棄物の内動物性の物を除いた物を処理している。
代表的なものでは、石炭がらや焼却炉の残灰などの「燃えがら」、鉱物性油や動植物性油などの「廃油」、鉄鋼または非鉄金属の破片や研磨くずなどの「金属くず」などを処理している。
また産業廃棄物の中でも、爆発性や毒性があり人々の生活に危険を及ぼすものについては「特別管理産業廃棄物」と呼ばれ、その扱いは特に注意しなければなりません。
Cブロックではそれらのゴミの中からリサイクルできる物を仕分けて分類してる。
例えばペットボトルなどは…汚れた物を省いて機械の中でプレスされて数十本から数百本のペットボトルがひとまとめにされて四角形に成形される。
こうして再利用できると認められた物は…Dブロックに移動されて…細かく粉砕された上で洗浄し再び使える様に再度形成し直す。
ペットボトルは主にシャツやシート‥繊維等に生まれ変わり…シートからトレイや卵パックなども作られている。
Eブロックは産業廃棄物の中でも動物性のゴミを焼却するエリアで…Bブロックで処理しきれなかった物が回される。産業廃棄物の内…動物系固形不要物‥動植物系残さや動物のふん尿などがEブロックに集められ…処理される事が多い。またNOAH第3工場においては…ワニなどの動物の死体の他‥人間の死体も一緒に処分する為…その時に異臭が発生する事が稀にあり特に臭いの酷いエリアである。
しかしそうした物が処理される件数は年間を通して見るとそこまで多くは無い為Eブロック周辺に食堂と売店が存在し…普段は休憩所代わりに使用されている。
またワニなどの動物の死体の件に関しては違法にペットとして飼っていたワニを無責任に捨てた飼い主の怠慢が招いた問題で…NYでは年間100匹以上のワニが捨てられていると言う。ワニは短期間ならば下水道で生き延びることができるが、低温と人糞に含まれるバクテリアのため、長期の生存は不可能である。その為稀にワニの死骸が…放置されている場合がありそれらの物をNOAHで処分している。
だがあくまでワニの件に関しては噂にしか過ぎず真実はワニと称した人間の遺体である。
オルガは…工場内に潜入すると…最も怪しいEブロック周辺を探索した。
オルガ「心の声(ここにちげえねぇ?)」そう心の中で呟くとオルガは息を殺して身を潜めると工場内を歩き始める。
Eブロック周辺には常時…数十名の従業員がいてその殆どが白人である。基本的に白人2名黒人1名という感じの班分けになっており…白人たちは重労働を黒人従業員1人に任せて自分たちはサボって見てるだけと言った感じである。白人たちがそうする理由は2つあり…本来ここの作業は1人で充分な持ち場であり3人も必要ないという事実と単純に黒人を虐めたいからである。
オルガは隠れられるスペースを見付けて物陰からそっと作業員たちがいる方向に目を向ける。
??「あっはははは(笑)見たかよグレッグの奴?」
??「何でオレ一人だけって感じの顔だったぜ」
?「よせよせアレン。奴にはわからねぇーよ」
?「それより…この前のゴミ見たかよ?」
アレン「あぁ例の奴だろ?」
?「あれは笑ったよな?」
アレン「おっと…そろそろグレッグの奴が戻ってくるみたいだな?」そう言うとアレンたちはタバコを吸うのを辞めて作業をしているフリをし始める。
グレッグ「班長作業終わりました」
アレン「ご苦労。グレッグ。オリバーを手伝ってやれ」
グレッグ「了解しました」そう言うとグレッグはオリバーの作業を手伝い始める。
グレッグ「オリバー手伝うよ」
オリバー「Thank youグレッグ」数分後…班長のアレンがオリバーに声をかける。
アレン「オリバーちょっと手伝ってくれないか?」
オリバー「どうしたんです?班長?」
アレン「なぁーーーに来ればわかるさ」そう言うとアレンはオリバーと共に何処かへ向かい歩いて行く。
その頃…工場前で待機するメロは怪しい人影がいないかどーかをチェックしていた。
??「メロ買って来たよ」そう言うとティファはメロにパンとコーラと手渡す。
メロ「Thank youティファ。てゆーかお前よく抜け出せたな?」
ティファ「うちの親1時過ぎたら爆睡するから…これぐらい余裕だよ」
メロ「ふーん?なるほどねぇ?」そう言うとメロはコーラを飲み始める。
ティファ「所でターゲットは来たの?」
メロ「いんやまださ…かれこれ2時間見張ってるがオルガとティファ以外誰も来ちゃいねぇーよ」
ティファ「だったらこっちはハズレなのね?」
メロ「まぁ…今の所はな?」
メロ「それより…ティファ一つ頼まれてくれないか?」
ティファ「ん…?」
時を同じくして…アッシュたちは…とある1点を目指して歩いていた。
ベル「ねぇえ!!?アッシュどこ向かってるのさ?」
アッシュ「答えは自分で見付けてこそ探偵だよベル」
ベル「むぅうぅ~~~(汗)もぉおいや!!?」
アッシュ「ベル?どうしたんだい?」
ベル「べっつにぃ~~~!!」
アッシュ「あっはは(笑)じゃあ1つヒントをあげようベル」
アッシュ「答えは見えてるものとは限らない」
アッシュ「真実はいつも…すぐ近くにあってベルの横に転がってる」
アッシュ「あとはベル自身が真実を拾うだけさ」アッシュがそう呟いた直後に…前から少年がこっちに目掛けて歩いてくるとすれ違いざまにアッシュに何か手渡す。
??「アッシュ…リルからの伝言だ!!?」
アッシュ「お疲れ…今日はもう帰って休むと良い」
ベル「ねぇ!!?メモには何て書いてあったの?」
アッシュ「ん?気になるかい?」
ベル「当たり前でしょ!!?」
ユーリ「まぁ…リルの事だから…また意味不明な事書いてあんだろうな!?」
アッシュ「あっはは(笑)そうでもないよ」
ベル「もぉお!!?いいから見せなさいよ!?」ベルはそう言うとアッシュからメモを奪い取り…広げて読み始める。
ベル「何よ…?これぜんっぜん意味わかんないわ!?」
メモにはこう記されていた。
鳥たちが一斉に羽ばたき…夜の闇に翔ける。顧客はそれを見て一言呟き…満足げな表情を浮かべる。
「S⇒♠」アッシュへ…リルより
アッシュ「あっはは(笑)ベルにわからないのも無理ないね?」
ベル「たくっ!!?もっとわかり易いメモ渡しなさいよ」
ユーリ「まっリルからの伝言なんて気にしたってしょうがねぇーよ!!?」
ユーリ「それより…アッシュ…これ見てみろよ」
アッシュ「ん?」
ユーリ「あのタコ野郎まんまと罠に引っかかってやがるぜ!?」
アッシュ「そのようだね(笑)?」
アッシュ「となると…彼が向ってる先は?」
ユーリ「あぁ!!?間違いねぇーぜ!?」
アッシュたちの疑念が確信に変わり始めた頃…ウォルフ・ベル・アレンは…とある路地裏で誰かと話していた。
ウォルフ「間違いないのか?」
??「えぇ!?間違いありません」
ウォルフ「あの!!小僧…よくもわしの女を…」
ウォルフ「殺してやる…」
??「ご安心下さい。ウォルフ様。その件に関してなら既に手は打ってあります」
ウォルフ「自身ありげだな?ミック?」
ミック「全てこのミック・ウェル・トレンスにお任せ下さい!!必ずご期待に応えてみせます」そう満足げに答えるミックに…少年は呟く。
??「何だか?怪しげな雰囲気だね?リル?」
リル「だね?」
リル「アッシュに良いお土産ができそうだよ」
?「しっ静かにしろ!?気付かれんぞ?」
リル「大丈夫だよ!!彼らの位置からは僕等は見えてない」
??「ねぇねぇ!!?こっちはこっちで面白そうだよ!」
?「お前何見てんだよ?」
??「ん?あそこにいる人たち…」
数十m先少女が見詰める視線の先…
ドリュー「ゲス野郎…てめえマイケルの何なんだよ!!?」
エリック「恋人さ!?」
ドリュー「てめぇみたいな奴が?嘘だね?」
エリック「嘘じゃねぇーよ!?てめぇこそ何なんだよ!?」
マイケル「だから…2人とも落ち着けって!?」
ドリュー・エリック「「落ち着いてられっかよ」」
エリック「マイケル…こいつとさっき何やってたんだよ!?」
マイケル「いや…だからあれは…?」
エリック「今朝から隣に居ないからおかしいと思ったらこんなピーマン野郎と会ってたのか!?」
ドリュー「誰がピーマンなんだよ?ゲス野郎が!!?」
エリック「お前だよ!?お前!!?」
ドリュー「ふざけんなよ!?ゲス野郎が!!?」その様子を遠目で見詰める少年は呟く。
?「何処がだよ?」
??「ちょっと行って来ようかな?」
?「おいっ辞めとけって?」
??「ちょっとだけだよ!!?」
数分後…
エリック「何なんだ?お前!!?」
ドリュー「そりゃこっちの台詞だ!!?」
マイケル「だから…2人とも落ち着けって!!?」
??「ふぉっふぉっふぉ(笑)お兄さんがた?何を怒鳴り合っとるんじゃ?」
マイケル「悪い!!爺さん今はあんたの相手をしてる場合じゃないんだ!!?」
??「みりゃわかるよ」
??「これ!!辞めんか!?大の大人がみっともない」
ドリュー「じじいは黙ってろよ!?」
エリック「初めて意見が合ったな?ビーマン野郎?」
??「心の声(だぁーもうどうすればいいんだか?せっかくこの私が完璧な変装をしてまで止めようとしてるのに…(汗)?)」
???「そこまでにしやがれ!!?」
ドリュー「あん!!?てめぇ何だよ?おら?」
???「わりぃが黒人野郎に名乗る名前は持ち合わせちゃいねぇーよ!!?」
ドリュー「はぁざけてんのか?てめぇ?」
???「何だよ?てめぇ俺とやんのか?良いぜかかってこいよ!!?」
????「ちょっと!!?オルフェさん!!?何やってるんですか?」
オルフェ「るせぇな?男の喧嘩に女が口出してんじゃねぇーよ!?」
オルフェ「んなことより嬢ちゃんは…車に戻って…書類の整理しといてくれよ!!?」
????「その嬢ちゃんって呼び方辞めてくれませんか?私にはシオンって名前があるんですから!!?」
オルフェ「考えといてやっから!!?ちったちった!!」
シオン「何なんですか?その適当な返事は!?」
オルフェ「なぁ…兄ちゃん?悪い言は言わねぇ!!?」
オルフェ「とっととママの所に帰ってミルクでも飲んどきな!!?ここはてめぇみたいなガキが来るとこじゃねえんだ!!?」
ドリュー「てめぇ!!?ざけてんのか!!?こちとら弟が死んで気がたってんだ!!?殺すぞ!!?」
マイケル「おいっドリュー辞めとけって!!?」
オルフェ「そいつぁ悪かったな!!??こっちもてめぇとは別の黒人野郎の行方がわからなくなって気がたってんだ!!?」
ドリュー「はぁ?それと俺に何の関係があんだよ?」
オルフェ「何もねぇーよ!!?ただ気に食わねぇ!!?」そう言うと…オルフェはタバコに火を付けてフゥーと息を吐く。
シオン「だぁーもぉう!!?何でこうなったんですかね?」
??「お前ら何してんの?仕事は?」
シオン「ジュンくん!!?」
ジュン「なぁ?オルフェ??余計な揉め事に首を突っ込むなっつったろ?」
オルフェ「だぁーうるせぇなぁ!!?」
ジュン「部下が迷惑かけて悪かったな?」そう言うと…ジュンはオルフェを連れてその場を立ち去ろうする。
ドリュー「おいっ待てよ!!?」
ジュン「なに?まだ文句あんの?」
ドリュー「俺がその野郎を逃がすと思ってんのか?あぁ!!?」
ジュン「はぁ…しょうがねぇな?」
ジュン「だったら兄ちゃん?賭けをしようぜ!!?」
ドリュー「賭け?」
ジュン「そっ!!?俺が勝ったらこの場は見逃しちゃくれねえか?」
ドリュー「フンッ良いぜ乗ってやるよどんな賭けだ?」
ジュン「なーに?簡単だよ!!!?」そう言うとジュンはコインを1枚投げて…素早く手でパシッと掴み取る!!?
ジュン「このコインが表か裏か?を答えるだけの簡単なゲームさ!!?」
その頃…アッシュたちはとある公園でのんびりくつろいでいた。
ベル「ねぇ?アッシュこんなとこでのんびりしてていいの?」
アッシュ「良いんだよベル!!?何事も焦り過ぎは良くない」そう言うと…アッシュはベルにコーヒーを手渡す。
ユーリ「所でアッシュ?昨日全ての事件って言ってたけど?ジャックが関わったかもしれない事件に心当たりがあるのか?」
アッシュ「察しが良いね?ユーリ?」
アッシュ「これを見てご覧…」そう言うと…アッシュは1枚のメモをユーリに手渡す。
アッシュ「そこにはここ最近…NYで起きた不可解な5つの殺人事件についての詳細な情報が書いてある」
アッシュ「まず1つ目はコールマン伯爵夫妻殺人事件」
アッシュ「1962年2月…NY郊外の街でとある2人の男女の刺殺体が発見された」
アッシュ「男女の身元はコールマン伯爵とその妻ティファニーと見られ旅行の為にNYに来ていた」
アッシュ「コールマン伯爵はイギリスでその名を馳せた伯爵で…度々メディアに顔を出していた」
アッシュ「事件はそんな彼が…人生の絶頂期にいたそんな時に起きた」
第(3話)ジャック・ザ・リッパー
1962年2月某日…アメリカ【NY】
??「コールマン伯爵本日は我がパーティーにお越し頂き誠にありがとうございます」
コールマン伯爵「うむ」
??「ささこちらへどうぞ」そう言うと…男はコールマン伯爵を別室へと案内する。
??「こちらは我が同胞が死ぬ思いで集めた珠玉のコレクションになります」
コールマン伯爵「素晴らしい」
コールマン伯爵「どれも他では見れない代物だ」
??「いかがなさいますか?」
コールマン伯爵「これにしてくれ」
??「かしこまりました」
同刻…パーティー会場では
?「それでは本日の二品目はこちらでございます」
?「彼の地より取り寄せたダ・ヴィンチが遺したとされる幻の名画。」
?「一節には…ダ・ヴィンチを模倣した何者かが模写して描いた物だとされてはいるが…真意の程は不明」
?「ただ…専門家の話によるとダ・ヴィンチが世には出してないとされる物である可能性が高いとのこと」
?「これを手に入れて一攫千金を夢見るもよしあなたの自慢のコレクションに加えるもよし」
?「その使い方はあなた次第」
?「さぁまずは1000万から」
男1「3000万」
男3「7000万」
男7「10億」
?「おぉっとここで10億が来ました」
?「さぁさぁ他にございませんか?無ければ落札でございます」
男4「120億」
カンッカン♪♪♪♪♪♪
?「お見事!!?25番様の勝ちでございます」
ステファニー「うっふふ(笑)乾杯スコット」
スコット「乾杯ステファニー」
ステファニー「あんな絵に120億も使うなんて私には信じられないわ!!?」
スコット「そう言ってやるな?ステファニー」
スコット「君の支援者がこのパーティーの主催者で良かった!!おかけで私まで得ができる」そう言うと…スコットはワインを飲み干す。
ステファニー「120億の使い道どうする?」
スコット「そうだね?まずはクルーザーを買おう」
スコット「そして我々のNOAHの会員の為に別荘を各地に建てようじゃないか?」
数時間後…
ステラ「えぇ〜こちらが事件の現場となった路地裏です。辺りに人影はなく…鬱蒼とした雰囲気であることがわかります」
ステラ「目撃者の話しによると…被害者の夫妻はとあるパーティー会場から出た後に襲われたということで…警察は事件との関連を調べています」
??「ステラちゃぁーん!!?路地に変なメッセージが残されていたって話し本当かい?」
ステラ「はい。こちらを見て下さい」
ステラ「こちらの壁には(The Juwes are The men That Will Not Blamed for nothing.)と書かれており…かの有名なゴールストンストリートの落書きを模範したものと見られています」
??「なるほどねぇ?切り裂きジャック事件の?」
??「デーヴ?これは犯人からの何らかのメッセージということなんでしょうか?」
デーヴ「一概にそうとも言い切れません。単なるいたずらで何者かが書いたのかもしれないし…我々に何らかのメッセージを残したかったのかもしれません」
デーヴ「ただ…今回の事件の被害者は…男性と女性の中年夫婦だったことから…犯人は切り裂きジャックの犯行手口までは真似ていないことが見て取れます。」
??「切り裂きジャックと言えば少なくとも5人を無惨に殺害し迷宮入りとなったロンドン史上最大級の事件でその被害者の全てが女性という事も有名ですからね?」
アッシュ「当時のNY市警はこの事件の犯人を切り裂きジャックの模倣犯だと考え事件を追ったが逮捕できずに今日に至るとされている。」
アッシュ「それが事件の概要だ!!?」
アッシュ「ユーリ僕はね?その事件の犯人はジャックじゃないと考えている」
アッシュ「そして警察もその事に気が付いている」
ユーリ「どういうことだよ?アッシュ?」
アッシュ「落書きは別の事件を示しているということさ」そう言うと…アッシュはタバコを口にくわえてふぅーっと息を吐く。
ユーリ「別の事件?」
アッシュ「あぁ!?その事件が起きる数日前…とある1人の娼婦がNYから姿を消している」
アッシュ「名前はメアリー・カン・ランピエール」
アッシュ「くしくも切り裂きジャック事件の最初の被害者と同じ名前のその女性は…1962年の1月20日に失踪している」
アッシュ「それだけじゃない…1962年の1月には実はもう1人の女性が姿を消してたんだ。名前はエリザベス・ハムネット」
アッシュ「彼女は雑貨店を営んでいた中年の女性で1962年の3月に失踪届が出されたまま行方不明となっている」
アッシュ「おそらく犯人は落書きを使い…自分がこの街に現れた事をアピールしたかったのだろう?」
アッシュ「だが…犯人にとって不運な事に事件の被害者である女性の名前が新聞に載ることは無かった」
アッシュ「理由は明瞭で」
アッシュ「警察が本当の事件をニュースで報じなかった為だ」
アッシュ「代わりにNY市警はコールマン伯爵夫妻殺害事件と落書きの因果性をTVで報じ意味のない落書きだと嘲笑った」
アッシュ「そしてこうも付け加えた。落書きを書いた男は知能の低いサルの様な男だとね?」
ユーリ「なるほどねぇ?」
ベル「アッシュ?そろそろ獲物が罠に引っ掛かる頃だよ?」
アッシュ「そのようだね?行こうか?」アッシュがそう言うと全員…立ち上がりその場を後にする。
アッシュ「そこに書いてある5つの事件のうち…最も不可解なのは第3事件さ」
ユーリ「第3の事件?」
アッシュ「あぁ…現場となったアパートの鍵は固く閉ざされていて…外からは誰も入った形跡が存在しない上に女性はトラブルに巻き込まれる様な人物ではなかった」
アッシュ「これだけなら何てことはない殺人事件なのだが…発見された女性の胸元には大事そうに手で抱える一本の薔薇とメッセージカードが残されていたそうだ」
ユーリ「メッセージ?」
アッシュ「「愛するエリザベス君に捧ぐ」ただ一言そう記されたメッセージカードには…これから行う7つの殺人事件の日付とおおまかな時間が記されていたんだ」
アッシュ「1963年1月7日。鳥たちが泣き喚く頃静寂の闇に包まれたその場所で子羊は何かを見付ける。神に近付きすぎた1匹の獣はただ無惨に切り刻まれ…夕闇の闇が漆黒に染まる頃…子羊は息絶える」
アッシュ「当初警察は単なる悪戯として処理しメッセージカードについては重要視しなかった様だ」
アッシュ「そして1月7日にとある娼婦の遺体が発見された女性の名はエリザベスパーカー」
アッシュ「NY郊外の街でひっそりと暮らしていた女性だった」
アッシュ「無惨に切り刻まれ遺体は下ろしたてのドレスを身にまといこれからパーティーにでも出掛ける前の様だった」
アッシュ「髪は綺麗に整えられ…手には再びメッセージカードと一本の薔薇が添えられていた」
アッシュ「そのメッセージカードを開いてみると黒く塗り潰された一文と…新たな事件の日付とおおまかな時間が記されていた」
ユーリ「日付と時間がわかってりゃ簡単に解決できるじゃねぇかよ?」
アッシュ「それがそうもいかないんだ。メッセージは全て意味の通らない英文で記されており…暗号文の様だった」
アッシュ「暗号解読のプロフェッショナルが挑んだものの解決できずに予告どおりに3人の女性が殺害された」
アッシュ「そして僕の元に正式に暗号解読の依頼が届いたんだ!!?」
アッシュ「ユーリ?依頼主は誰だと思う?」
ユーリ「誰なんだよ?」
アッシュ「ジャックだよ!!?彼は自分の暗号を解読すら出来ない無能な警察に嫌気が指してわざわざ僕のもとに…暗号解読を依頼しNY市警に協力するように依頼してきたんだ」
アッシュ「その一文がそれさ」
ψoξUαoφUεUυaθb ιa゛θoψbξUγoπo
οeγo゛【βa】ーχUρbαaξU(HOTEL)αo
βb(ζU)κbζU νe゛γbζUκb゛εe゛(ζU)ξo゛
νe゛ψbηaθbοeρbπa(ζU)νeβa(ζU)ωeτo
C…S…A…T
H…K…S…R(C)←(✖)
A…E…L…E
N…F…F…N
δaοeξUφa゛πoεU ☆1963年4月9日☆
アッシュ「メッセージカードにはこうも記されていた」
アッシュ「力に溺れた狼は私を追うが見当たらない。やがて狼は疲れ果て迷宮を彷徨う事になるだろう?とね!」
アッシュ「そしてその手紙に記された1963年4月9日…事件が起きた」
アッシュ「被害者の身元は不明…現場となったHOTELは一時封鎖され大々的に報じられた」
アッシュ「身体の特徴から性別は女性だが被害者へと繋がる者が何1つとして発見され無かった」
アッシュ「ただその文には続きの文章が記されていてね?」
アッシュ「被害者の身元の手掛かりはこの中に記されていると言うんだ」
アッシュ「当時NY市警はHOTELの宿泊者名簿を虱潰しに調べたが結局犯人へと繋がる手掛かりは見つからなかったそうだ…」
ユーリ「ふーん?なるほどな?」ユーリがそう呟いた直後に1人の青年がアッシュたちに歩み寄ってくるとすれ違いざまにメモを手渡す。
アッシュ「ご苦労さま…」
??「死ぬなよアッシュ…」
アッシュ「死なないよ僕を誰だと思ってるのさ?」
??「そうだったな!!?」青年はそう満足げに呟くと足早に離れていく。
アッシュ「ユーリ?あれを持ってきたかい?」
ユーリ「ん?持ってきたぜけどこんなもん何に使うんだよ?」
アッシュ「その内わかるさっ(笑)!!?」
時を同じくして…ミハエラとLiSAは恋人ミシェルのアパート前で不審な車が出入りしている事を目撃していた。
リサ「心の声(何だろう?あの車?)」
リサ「ねぇ?ミハエラさん?あの車何だと思いますか?」
ミハエラ「さぁね…?今のところは何とも?」
ミハエラ「ただ…この事件と何らかの関わりがある何かである可能性はあるよ」
ミハエラ「ロイドメモによると…203号室の男性が失踪する少し前もしきりに黒い車が駐車場に止まっていたらしい」
ミハエラ「あれがロイドの言う黒い車かどーかはわからないけど臭う事だけは確かだよ!!?」そう言うと…ミハエラは黒い車の写真をカメラに収めていく
リサ「ふーん?そうなんですね?」
ミハエラ「ところでリサ?アパートの階段は見てきたかい?」
リサ「見てきましたよ!!?」
ミハエラ「君から見てどうだった?」
リサ「うーん?何というか?ちょっとだけ変でしたね?」
リサ「上手く言えないですけど?階段って普通人がのぼるために作るものなのにあれは人を意図的に遠ざけようとしてるような?何か不思議な作りでしたね?」
リサ「階段からここからのぼんなよ!!?エレベーター使えよって意志がむんむんに伝わってきますっ!!?」
ミハエラ「僕もそう感じたよ!!」
ミハエラ「そこで一応この物件のオーナーが何者なのか調べてみたんだ」
ミハエラ「オーナーの名前はジェフ・ベック」
ミハエラ「とあるイタリア宝石商と関係の深い…株式会社CEFを束ねる企業のトップで…地元では名のしれた富豪だった」
ミハエラ「ジェフは25歳で起業し…1代で会社を国内屈指の会社にすると…とあるイタリア人実業家と出会っている…」
ミハエラ「その後…業績はみるみる右肩上がり」
ミハエラ「現在では…国内外問わず様々な場所に物件を所有するほどまでになっている」
ミハエラ「米国のアパートのオーナーがなぜ?イタリア人実業家なのか?という疑問は残るが…オーナーに関してはそれ以外に不審な情報は見当たらなかったよ」
ミハエラ「ただ…今住んでいる住人の話によれば…この物件にエレベーターが出来たのはオーナーがジェフというイタリア人に変わってからで…前はもっと…のぼりやすい位置に階段があったそうだ」
ミハエラ「その為本来階段があったはずの場所が不自然に取り壊されて…代わりに部屋の様なモノができたらしい」
ミハエラ「曰く…その部屋は物置き小屋の様に使われてるらしく…この物件を管理している人間以外は誰も入れない様だ」
ミハエラ「おそらく…ロイドとLiSAが感じた違和感は不自然に増設された壁のせいで圧迫感が生まれた為にできたものだろうね?」
リサ「うーん?そうなんですかね?」
リサ「というか?…階段を取り壊してまで作りたい部屋って何なんですか?普通物置き小屋作るためにそこまでしますか?」
ミハエラ「さぁね…?ただ意図的に隠したい何かがあったことだけは確かだろうね?」
ミハエラ「もしかしたら増設された壁の中に人の遺体でも埋まってるのかもしれない」
リサ「遺体ってっ(汗)!!?ちょっと辞めて下さいよ」
ミハエラ「はっはは(笑)冗談だよ!!?」
第(4話)バックの中身
時を同じくして工場内に潜入したオルガは…不審なバッグを持ち運んでいる従業員がいることに気付いていた。
オルガ「心の声(何なんだ?あのバッグ?見るからに怪しいぜ)」オルガはそう心の中で呟くと…こっそりと後をついて行く。
数分後…男は立ち止まりバッグを乱雑に投げ入れ様とする。
?「おい!!?アレックスそれじゃないと言ってるだろう?」
アレックス「ケルビン…?」
??「貸せ!!?お前に頼んだ奴はこっちだ!!?」そう言われたアレックスは無言でゴミ袋を受け取ると投げ入れる。
??「たくっ困るんだよ!!?いい加減仕事覚えろよな?」
??「心の声(重いな…?)」
??「心の声(さて?こいつの中身は何かな?)」ケルビンと言われた男はそう心の中で呟くとその場を立ち去ってゆく。
数分後…
??「そこにいるんでしょ?」
オルガ「心の声(気付かれたか?)」
??「いい加減気付いて下さいっす先輩っ(笑)!!!?」
オルガ「チッなんだよてめぇかよ?ジャックス?」
ジャックス「やぁ?」
オルガ「やぁ?じゃねぇーよ!!?」
オルガ「てめぇ潜入してやがったのか?」
ジャックス「そんなこと言わないで下さいよ先輩っ!!!?」
ジャックス「僕と先輩の仲じゃないですか?」
オルガ「いつからんな?仲になったんだっつぅーの?」
ジャックス「それよりちょっとそこで見張ってて貰えますか?」
オルガ「早くしろよ!!?」
ジャックス「心の声(さぁ?鬼とでるか?蛇がでるか?)」
ズズズゥーーー♪♪♪♪♪♪♪♪♪
ジャックス「心の声(これは…?)」
ジャックス「心の声(いや待て待て待て落ち着けジャックスもう一度よくみるんだ…)」
ジャックス「心の声(1…2…3)」
ジャックス「やっぱり…」
オルガ「おいっ?」
オルガ「おいっジャックス聞いてるのか?」
ジャックス「なっ何すか?先輩?」
オルガ「何すか?じゃねぇだろ?」
オルガ「何があったんだよ?」
ジャックス「ったいが…あったんっす」
オルガ「あっ?今何て?もう一度言ってくれねえか?」
ジャックス「人間の遺体があったんす」
オルガ「そうだよな大したもんは無かったってはぁ!!!?」
オルガ「お前どういうことだよ?それ?」
ジャックス「しっ声がデかいっすっ!!!?先輩」
ジャックス「気付かれたらどうするんですか?」
オルガ「すまねえっついっ」
ジャックス「ついじゃないです」
オルガ「どうすんだよ!!それ!!?」
ジャックス「どーするも糞も警察に通報するしか無いでしょうよ!!?」
??「おいっ!!?お前ら何してる?」
オルガ「あんっ!!?誰だてめぇ?」
??「そりゃこっちの台詞だ?誰の許可を得てここに出入りしてる?」
ジャックス「あっははっ(笑)嫌だな?僕の顔忘れましたか?」
??「確かにあんたの顔は俺の知り合いによーく似てる?」
??「が?似てるのは見た目だけだ?」
ジャックス「何が言いたいんですか?ゼルヴさん」
??「それだ?確かに俺の名はゼルヴ・ヴィア・テセスだ」
ゼルヴ「が?俺が知ってるショーンマクレガーという男は俺のことをその名では呼ばねぇ?てめぇ誰だ?」
オルガ「いい加減にしろよ!!!?タコ野郎?」
オルガ「こちとら!!?やべぇもん見付けてそれどこじゃねぇんだ?」
ゼルヴ「やべぇもんってそれか?いつもの事じゃねぇか?」
オルガ「てめぇ頭湧いてんのか?」
ゼルヴ「そりゃ?こっちの台詞だ?腹筋オスゴリラ?」
オルガ「誰がゴリラだ?てめぇ?」
ゼルヴ「てめぇだよ?てめぇ!?」
?「あなたたち?何してるんですか?」
ゼルヴ「リックス?来たのか?」
リックス「来たのか?ではありませんよ?私の方が先輩なんですからね?」
リックス「それより?これは何です?」
ゼルヴ「何って?見りゃわかんだろ?そこのゴリラと一匹のお猿さんと揉めてんだよ!!?」
リックス「なるほど?そんなことだろうと思いましたよ」
リックス「あなたたち!!?」リックスという男がそう言うと…数十人の男たちが物陰から出てくる。
リックス「さぁ…もう逃しませんよ」
リックス「そこの不届き者2名を血祭りにあげなさい!!?」
オルガ「ちっ…!!!?まじぃことになったな?」
ジャックス「どうすんですか!!?先輩!!?」
オルガ「どーするも糞も…とりあえずこの場はひくしかねぇだろ!!!?」
オルガ「例のバッグ?写真には撮っておいたか?」
ジャックス「もちろんっ!!!?」
オルガ「だったら余裕だ!!?」
オルガ「ここを抜け出して…証拠もってサツに駆け込むぞ!!!?」
ゼルヴ「行かす訳ねぇだろ!?」
ゼルヴ「どらぁっ!!!?」
オルガ「やるな?おっさん?だが甘え!!?」
オルガ「オラオラオラオラぁ!!!??」
ゼルヴ「ぐっふぅぁ」
オルガ「どうした?んなもんか?かかってこいよ」
ゼルヴ「調子こいてんじゃねぇーぞ!!!?ガキが!!?」
オルガ「ジャックス!!?てめぇは俺が足止めしてる隙に逃げやがれ!!!?」
ジャックス「言われなくてもそのつもりっすよ!!?」そう言うと…ジャックスは逃げようとする。
リックス「そうはさせませんよ!!?貴方たち!!!?」
部下1「にっひひひっ(笑)逃さねぇぞ兄ちゃん?」
部下3「さぁ?どこから斬り落として欲しい?腕か?足か?」
ジャックス「どっちも勘弁っす!!!?」ジャックスはそう言うと…男たちの攻撃を既で躱しながらその場を走り去ってゆく。
部下4「くそっ!!!?逃がすか!!?」
リックス「何をしているんです?逃げた男を追いなさい!!!?」
オルガ「おうおう手厚いねぇ!!?たった8人ぽっちでこの俺を出迎えてくれるってか?」
ゼルヴ「自惚れんなタコが!!?てめぇ追い詰めんのに8人もいらねぇーよ!!?」
オルガ「そうかい!?ならかかってきな?」
第(5話)イーストエンドの惨劇
その頃…ミハエラたちは不審な車を二手に分かれて追い掛けていた。
少し前に遡る…
リサ「ミハエラさん!!?ミハエラさん」
リサ「起きて下さい!!?」
ミハエラ「…うぅ…ん?どうしたんだい?リサちゃん?」
リサ「車!!!?動きましたよ!!!?」
リサ「どうするんですか?」
ミハエラ「やっと動いたんだね?」
ミハエラ「大丈夫…そっちはブリッツが追ってるよ」
ミハエラ「黒い車が出ていった後に黄色い車が動いただろう?」
リサ「えぇ…あれブリッツさんだったんですか?」
ミハエラ「まぁね?」
ミハエラ「ただ…ブリッツの事だ途中で犯人を逃しちゃう可能性があるね?」
ミハエラ「うーーんどうするか?」そう言うと…ミハエラは顎に手を添えて頭の中で不審な黒い車が行きそうなルートを予測し始める。
ミハエラ「リサちゃん?黒い車は右方向から出ていっただろう?」
リサ「えっえぇ!!?どうして知ってるんですか?」
ミハエラ「やっぱりね?だったら簡単だ!!」そう言うと…ミハエラは車を発進し始める。
リサ「ちょっ!!!?ミハエラさんどうするんですか?」
ミハエラ「その車を追うのさ!?」
リサ「追うってここの見張りはどうするんですか?」
ミハエラ「窓の外の方を見てご覧」ミハエラが指を指した先には2人の少年が立っていた。
ミハエラ「やぁロイド!!?レオンおはよう」
レオン「おはようございますっミハエラさん」
ミハエラ「君たちにここの見張りを頼めるかい?」
レオン「もちろんっす!!?ここはうちらが住んでるアパート!!?」
レオン「うちら以上の適任者はいませんよ!!?」
レオン「なっ!!!?ロイド!!?」
ロイド「うっうん!!?もちろんだよレオン」
リサ「あんたたちやっと起きて来たのね?遅いわよ何時だと思ってるのよ!!?」
ロイド「そりゃねぇーよ!!朝の4時だぜ!!?母ちゃんにバレねぇように部屋から抜け出すの大変だったんだからな?」
リサ「はいはい」
ミハエラ「あっはは(笑)それじゃ後は頼んだよ」
ミハエラ「ついでにこれ!!?夜食用に食べようと思っていたパンとジュース」
ミハエラ「君たちにあげるよ」
レオン「ありがとうございますっミハエラさん」ミハエラは2人にパンとジュースを渡すと…黒い車が出ていった方向とは別方向から車を発進させてマンションの敷地内を出て行く。
リサ「ミハエラさん方角が違いますよ」
ミハエラ「いんや…こっちで合ってるよ」
ミハエラ「まぁ今にみてなってっ(笑)」そう言うと…ミハエラはコーヒーを一口飲む。
リサ「はぁ…?」
そして現在…ミハエラたちはNY郊外の街に車を走らせていた。
ミハエラ「ねっ(笑)!?僕の言った通りだろ?」
リサ「ほんとだ!!?あの黒い車!!?ナンバーも合ってる」
リサ「何でわかったんですか?ミハエラさん」
ミハエラ「ちょっとばかし…黒い車の運転手の思考を読んでみたのさっ(笑)」
ミハエラ「この様子だとブリッツは撒かれたんだろうね?」
ミハエラ「まぁいつもの事だけど?」
リサ「そうなんですか?」
ミハエラ「うん!!ブリッツの尾行は露骨過ぎるからね?」
ミハエラ「追われてる車の運転手がすぐに気付いちゃうのさ」
ミハエラ「ただ…ブリッツもプロの探偵で僕たちファントムオブリージェのメンバーの一人だ」
ミハエラ「簡単には諦めないだろう?」
リサ「いつも思うけどそのファントム何とかって何なんです?」
ミハエラ「アッシュを支える五本の剣さ…ブリッツ以外の僕たち4人は一人一人とある分野のスペシャリストでね?」
ミハエラ「その特技を活かして…世界一の名探偵アッシュゴールドジュニアを裏から支えてる」
ミハエラ「アッシュの推理力に僕らPhantomObligerの力が加わって溶け合った事で全ての歯車が回り始めたのさ」
ミハエラ「とまぁ…どうでも良い話しはこれぐらいにして…そろそろシートベルトを締めてくれないか?」
ミハエラ「飛ばすからね(笑)??」
その頃…黒い車を見失ったブリッツはタバコを口に加えながら考え事をしていた。
ブリッツ「心の声(奴が次に行きそうなルートはどこだ?)」
ブリッツ「ロゼ?ちょっとそこにある地図を見せてくれ」
ロゼ「地図?地図ってこれのこと?」
ブリッツ「あぁそうだ!!!?」
ブリッツ「心の声(俺が尾行に気付かれたのはこの辺り…だとすると?)」
ロゼ「ねぇ?ブリッツ?あんな奴もうほっとこうよ!!」
ブリッツ「馬鹿な事を言うなっ!!!?アッシュからの命令を反故にするつもりか?」
ロゼ「だってめんどくさいじゃん?」
ロゼ「あんな奴追っても無駄だって」
ロゼ「どーせ今頃ミハエラがピッタリ後ろに張り付いてる頃よ!!!?」
ロゼ「ねぇ!!?そんなことより今から私と…どう?」そう言うと…ロゼはブリッツの耳元で息を吹き掛ける
ブリッツ「茶化すなロゼ…!?」
ブリッツ「俺たちは仕事で来ているんだぞ!!?」
ロゼ「もぉう…!!?またそうやって私を焦らして」ロゼがそう言った瞬間に対向車線を走っている赤い車の運転手が窓から手を出すのがブリッツの目に映る。
ブリッツ「なるほど?今奴はその辺りか?」
ブリッツ「よしっ!!!?先回りするぞロゼ!!?」
ロゼ「えっ!!!?なに?あいつの居場所がわかったの?」
ブリッツ「まぁな(笑)!!?」
ブリッツ「心の声(まぁ殆どミハエラのお陰だけどな?)」
ミハエラ「ボクの指示ちゃんと…伝わったかな?」
リサ「大丈夫なんじゃないですか?さっきの赤い車?ロゼッタさんの車ですよね?」
ミハエラ「まぁね?よくわかったね?リサちゃん?」
リサ「何年!!ミハエラさんたちの補佐をやってると思ってるんですか?そりゃ気付きますよ」
ミハエラ「おそらく…ブリッツならもう既に先回りし始めてる頃だろう?」
リサ「んじゃ私たちの尾行はそこまでって事ですか?」
ミハエラ「さぁね?今のところは何とも?」
ミハエラ「ただ…あの黒い車の運転手がボクが考えてる奴だとすればもっと長引くだろうね?」
リサ「そうなんですか?」
ミハエラ「うん!!?まだ確証はないけどねっ(汗)!!?」そう言うと…ミハエラはタバコに火を付けるとフゥーっと息を吐く
そして不意に意味深な事を呟いた。
ミハエラ「キミはそこにいるのか…?イーストエンドのキラークラウン」ミハエラは一言そう呟くと…車の速度を上げて物憂げな表情をすると考え事をし始める。
数十年前…潰れたテーマパーク内でのこと?
??「はぁ…はぁ…はぁ…」少年は何かに怯えながら潰れた遊園地のテーマパーク内を疾走していた。
?「うっふっふふ(笑)!!?」
?「ばぁッ!!??」
?「ボクが怖いのかい?」そんな声が響くと何処からとも無く一本のナイフが飛んでくる!!?数秒後…「ぐっああぁぁあ…!!?」という少年のけたたましい悲鳴がパーク内に響き渡る
?「うっふふふ(笑)もう鬼ごっこはおしまいかい?」
ミハエラ「大丈夫か!!?しっかりしろ!!?」そう言うと…ミハエラはもう一人の少年を庇いながらパーク内にある物陰に隠れる。
ミハエラ「心の声(落ち着けこんな時こそ冷静さが大切だ!!)」
ミハエラ「心の声(奴は狩りでも楽しむように僕らを狙ってる)」
ミハエラ「思考を読むんだ?相手の数手先を」ミハエラはそう呟くと…息を整えながら…空を見上げる。辺りは暗く人もいない。かつてイーストエンドと呼ばれた楽園に残されたのはたった8人の少年と言い様のない恐怖。そして不気味に笑うピエロとクマのぬいぐるみだけだった。
ミハエラ「はぁ…はぁ…はぁ」
ミハエラ「心の声(くそっくそっくそ)」
ミハエラ「心の声(考えがまとまらない)」
ミハエラ「ボクはどうしてこんなに無力なんだ?」ミハエラはそう呟いて隣をみてみた。だがそこに先程まで隣にいた少年の姿はなかった。
1分…2分…3分と時間が経過する度に仲間は消えていき…ミハエラの息使いだけが増えていく。
数秒後…「ぐっああぁぁあ…!!?」という声が何処からとも無く響くと…鳥たちが一斉に羽ばたく。薄ら笑いを浮かべるそれはゆっくりとこっちに近付いて来てニタァっと笑うと…こう告げる。
?「みぃっーつけた(笑)!!?」次の瞬間…ミハエラは気を失いその場に倒れ込む。
「イーストエンドの惨劇」と言われたその事件はこうして幕を閉じた。唯一の生存者である少年の名は…ミハエラ・リル・プラント。犯人と思われるピエロについては現在に至るまで謎のままとされており(別名「イーストエンドのキラークラウン」)と言われている。
ミハエラはそんなことを思い出しながらフゥーっと息を吐いて…アクセルを踏み込む。それから数十分後…車はとある屋敷に止まる。閑静な住宅街に佇むその屋敷は…どこか物憂げな雰囲気を醸し出していた。
時刻は明け方の4時半を回った頃か?ミハエラは一言そう呟き…コーヒーを口に含む。
リサ「ミハエラさん何なんですかね?この屋敷?」
ミハエラ「さぁ…僕にもわからない…ただ危険な香りがすることだけは確かだね?」
ミハエラ「見てご覧?あの窓?格子が付いているだろう?」
リサ「本当だ!!?」
ミハエラ「あれが何のために付けた格子なのかは今のところわからない…ただあそこによっぽど見られたくないものがある事だけは確かだろうね!!?」
ミハエラがそう言った屋敷の中では1人の男が…椅子に腰掛けながらジッと座っていた。男は時計を見ながら…何かを呟くと足早にその場を後にする。同刻…何処ともわからない地下室の中に閉じ込められた少女は…ただ怯えていた。
暗くジメッとした部屋の中にあるのは…簡素なベットと…質素なトイレだけ…ハエが蒸せ込むその空間で少女は目を瞑り震えていた。
どれだけ時間が経っただろうか?突然‥扉がギィっと開き…1人の男が入ってくる。
??「待たせたね?カトリナ?」カトリナと言われた少女は何も答えずにただ頷く。
??「今日はこれを持ってきた…みたまえ?キレイだろう?」
??「お前のために仕留めたんだ!!?」男はニンマリ笑いながらそう言うと…怯える少女を押し倒し…唇を奪う。少女がそうして男に襲われるよりも少し前…アッシュたちはとある場所に辿り着いた。そして…ベルは…空を見上げてアッシュに問い掛ける。
ベル「本当に奴はここに来るの?」
アッシュ「来るさ!!?(笑)僕の計算通りならね?」
第(6話)メイベルマン侯爵と双子の悪魔
ユーリ「ベル?アッシュを疑ってんのか!!?」
ベル「疑ってなんかないわよっ!!!?」
ベル「ただ…ちょっと不安になっただけよ!!?」
アッシュ「あっははっ(笑)!!!?ベルらしいね?」
アッシュ「ねぇ?ベル?1つゲームをしようか?」
ベル「ゲーム?」
アッシュ「そっ!!?彼が右から出てくるか左から出てくるか?」
ベル「良いわね?乗った!!?右よ!!?」
アッシュ「即決だね?根拠はあるのかい?」
ベル「なんにも無いわただの「勘」よ!!!?」
アッシュ「Okじゃあボクは左だっ(笑)!!!?」そう言うと…アッシュは立ち上がり…空を眺める。時刻は明け方の4時。あと2、3時間もすれば日も昇る。そんな時間に差し迫っていた。
ふと…左の道から犬を連れて散歩する男性が通り過ぎる。冷え切ったNYの風はアッシュを嘲笑う様に…吹き荒れる。その時だった…1人の男が目の前に現れる。男の手には何かが握られており…周囲を警戒でもしているのか?キョロキョロしていた。それをみたアッシュは呟く。
アッシュ「ビンゴっ(笑)!!?僕の勝ちだね?ベル?」
ベル「くっそぉ!!?何でよ!!?そこは普通右から出てくる所でしょーが!!?」
アッシュ「所でベル?こんな話を知ってるかい?」
ベル「ん?こんなって?どんなよ?」
アッシュ「アリスフェネルの銀時計の逸話さ…」
アッシュ「あの銀時計の魔力に魅入られた者は最後にみな全員…朽ち果てるそうだ!!?」
アッシュ「だがそれと引き換えに…力を得る」
アッシュ「遥かむかし…銀時計を手にした1人の発明家は偉大な功績を残し…その次の所有者も残らず全員が歴史に名を残す「偉人」となった」
アッシュ「そんな彼らが死の間際に出逢ったとされているのが…フェヴェルと呼ばれる1体の悪魔らしい」
アッシュ「フェヴェルは人間の願いを叶える代わりにその代償として魂を喰らうとされている悪魔でね?」
アッシュ「彼ら偉人の魂は死後…銀時計の内側にある悠久の世界へ封じ込められたそうだ」
アッシュ「そして二度とこちら側に来ることは無かった」
アッシュ「あんな風にね…?」アッシュはそう呟くと…フゥーっと息を吐いて遠ざかっていく怪しげな男の方を見る。
アッシュ「さぁ…行くよ!!?ベル!!?」
アッシュ「時は満ちた!!?後は僕らが鐘を鳴らしてこの幕間劇に終止符を打とう!!?」
アッシュ「銀時計の刻んだ時の中に彼を封じ込める為に…」
数分後…とある公園の中時刻は明け方の4時過ぎ…日は暗く…まだ太陽は登っていない。
??「くっくくくくっ(笑)!!?これでヤツを」
アッシュ「何処に行くんだい?」
??「っ!!!?」
??「だっ誰だ?貴様は?」
アッシュ「そんなことをキミに答える義理はないだろう?」
ユーリ「なぁ…?おっさん?もう吐いちまった方が楽だぜ!!?」ユーリはそう言うと…男の背後に立つと…髪の毛を引っ張るっ。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪っ
ユーリ「こんなバレバレの変装でうちらの目を欺けると思ったのかよ?ウォルフ・ベル・アレンさん」
アッシュ「今日1日…キミの行動を見させて貰った」
アッシュ「朝はいつも通りに会社に行き夜に仕事を終えて退勤。ご飯を食べ仮眠を挟んだ後に外出」
アッシュ「一見すると何てことない1日だが…キミはその間に2度…会社から抜け出していたね?」
アッシュ「1度目は仕事が終った時…そして2度目は午前3時30分頃…」
ウォルフ「何を馬鹿な事を言ってる?私はその時そこには居なかった!!?」
アッシュ「行きつけのBARに行っていたと言うんだろ?」
アッシュ「確かに目撃情報はそこにあるだろう?」
アッシュ「但し…キミじゃなくてキミのふりをした双子の弟…ヴォルフ・ベル・アレンの目撃情報がね?」
ウォルフ「…っ」
アッシュ「解き明かして見せようキミたち兄弟が仕組んだ犯罪の全てを」
アッシュ「午後…18時過ぎ…いつも通りに会社を終えたキミはそこで弟のヴォルフベルアレンと入れ替わった。」
アッシュ「キミはそのままヴォルフのふりをして自宅とは反対方向にあるアパートへ帰宅」
アッシュ「アパートにはバックが置いてありキミはそれを車に詰め込んだ」
アッシュ「日付が変わった深夜1時過ぎ…キミはとある所へ向かって歩き始めた」
アッシュ「場所はニューヨーク郊外にある寂れた屋敷の前」
アッシュ「キミはそこで男たちと会っていた」
数時間前…ニューヨーク郊外にある寂れた屋敷の前…そこには数人の男が居て…誰かを待っている様だった。数十分後…とある初老の男が屋敷の方に向けて歩いてくる。
??「やぁ!!!?ウォルフ待っていたよ!!?」
ウォルフ「ふっ(笑)!!!?レナードここは君の屋敷だったのか?」
レナード「まぁね?立派なもんだろう?親父の30年の努力がココに詰まってるっ(笑)!!?」
ウォルフ「ふっははは(笑)!!!?親父さんも中々頑張ったじゃないか!!?」
ウォルフ「所でまだ?出発しないのか?」
レナード「うーん?そうしたいのは山々なんだけど実はまだ…来てない奴がいるんだ!!?」
ウォルフ「そうなのかっ!!!?」ウォルフがそう言った直後に1台の車が屋敷の前に止まる。
レナード「おっ来た来たっ!!!!?よしっ行こうか?ウォルフ!!?車の中で今後に関する入念な打ち合わせをしよう!?」
ウォルフはレナードにそう言われ「OK!!!?」と答えると足早に車の方に向けて歩き始める。
レナード「なぁ!?知ってるか?この前ダグの奴がヘマしちまったんだよ!!!?」レナードはそんな他愛ない会話をしながら…ウォルフと車に乗り込むと走り去って行った。今日起きた出来事の一部始終を話し終えたアッシュはウォルフを見詰めながら続けてこう話す。
アッシュ「キミはこの時2つの大きなミスを犯した…1つは僕たちが既にその場所にいた事に気付かなかった事。」
アッシュ「そしてもう1つは…うっかり車の中でとある事件に関する秘密を漏らした事だ!!?」アッシュはそう言うと…タバコに火を付けてフゥーっと息を吐いて話しを続ける。
レナードが運転する車の車内
レナード「なぁ…所でウォルフのダンナ?」
ウォルフ「ん?どうしたんだ?」
レナード「例の話し本当ですかい?」
ウォルフ「まぁな…?」
ウォルフ「気になるか?」
レナード「えっ!!!えぇまぁ…?」運転するレナードにそう言われたウォルフは…あの事件に関する秘密を話し始める。
ウォルフ「数年前に起きた…コールマン伯爵夫妻殺人事件の犯人は組織の人間だ…」
ウォルフ「奴に関する事は俺も詳しく知らねぇが…ただ1つだけ言えることは…奴は腕利きのイレイザーだって事だ。」
ウォルフ「そして…俺が処分した20を超える遺体の内67件は奴が組織に命令されて殺したターゲットの骸さ…!!!?」
「過去回想はここまで」
アッシュ「キミは車の中で…こう言い満足気な表情で星空を眺めていたね?」
アッシュ「そしてこうも続けたその内の1件は俺が奴に依頼したものだ!!!?ともね?」
アッシュ「何でそんなことを知ってるのか?不思議そうな顔をしてるね?」
アッシュ「このピアスに見覚えないかい?」
ウォルフ「てめぇ…まさか?」
アッシュ「ご明察!!!?そのまさかさっ(笑)!!!?」
アッシュ「ここまで来ればさしもの君でもボクの言いたい事はわかるね?」
ウォルフ「わかんねぇな…?」
ウォルフ「全部てめぇの推測だろうが!!?」
アッシュ「確かに!!!?だけど…ボクが何の用意もしないであの車に乗り込んだと思うかい?」そう言うと…アッシュはとある機械を取り出す。
アッシュ「これは…CIAが当初からあの車に仕掛けていたものでね?」
アッシュ「キミがあの時話した会話の内容は全てCIA捜査官…「リックニコルド」に筒抜けになっている」
アッシュ「そして僕は他ならぬリックからの依頼でキミたちの監視をしていた」
アッシュ「ここでキミたち兄弟の半生についてボクが知ってる限りの情報を話そう?」
アッシュ「1919年2月…(アメリカ)バージニア州にある農村で君たち兄弟は産まれた」
アッシュ「0才~22才までをバージニア州で過ごした君たちは23歳の頃にニューヨークにやって来た」
アッシュ「そんなキミたちの人生が狂い始めたのは25歳の頃の事だ!!!?」
アッシュ「弟のヴォルフが誤って人を殺し…あわや逮捕という事態に陥った」
アッシュ「弟を守りたいキミは…彼の為に事件を闇に葬る為に隠蔽工作を行った」
アッシュ「20年前に起きた未解決事件!!?メイベルマン侯爵殺人事件!!?」
アッシュ「当時の報告書によると…遺体には鈍器の様な物で殴られた跡があり…それ以外には目立った外傷は無かった。」
アッシュ「また…現場となった部屋の1室は密室になっており外から誰かが侵入した形跡は無く現場からは犯人へと繋がる手掛かりはなに1つ掴めなかったそうだ」
アッシュ「当時のNY市警は血眼になって捜査を進めやがて1人の人物に辿り着いた。それがキミの弟であるヴォルフ・ベル・アレンだ!!?」
アッシュ「犯人と思われる男が捜査線上に浮かび上がった事で…事件は解決するかに思われた」
アッシュ「だが解決には至らなかった…」
アッシュ「それには理由があってね?当時事件を担当した刑事によると…事件が発覚する数か月前…事故があったそうだ?」
アッシュ「探すのに苦労したよ!!?」
アッシュ「20年前に起きた…山間部での遭難事故!!?」
アッシュ「ロンダック山遭難事故…。この事故は20年前の5月に起きていた遭難事故で登山に来ていた数人の男女が山で遺体となって発見された」
アッシュ「当時の警察はこのロンダック山での1件に事件性は無いとして…事故として処理した。その時の事故の被害者の1人がヴォルフ・ベル・アレン。そうキミの双子の弟だ。」
アッシュ「警察は直ちに彼の遺体から採取した指紋と事件現場に残された指紋を確認し照合した」
アッシュ「だが…指紋は一致しなかった。何故か?」
アッシュ「理由は簡単だ…当時ヴォルフとして処理されたその遺体はヴォルフ・ベル・アレン本人では無かったからだ」
ウォルフ「ふっ馬鹿馬鹿しい何を言ってる?」
ウォルフ「弟の遺体が别人のモノだっただと?」
ウォルフ「何を根拠にそんなことを言ってるんだ?」
ウォルフ「確かに貴様の言う通り私には弟が居た」
ウォルフ「だが奴は…もう」
アッシュ「死んでいる…そう言いたいんだね?」アッシュはそう言うと指をパチっと鳴らす。すると物陰から…オルガがとある男と共に出てくる。
??「離せ!!!?っ貴様!!?私を誰だと思ってる?」
オルガ「知らねぇなぁ!?てめぇの正体なんざ!!?」
オルガ「ただムカつくクソ野郎であることだけは確かだ!!?」
オルガ「アッシュ連れて来たぜ!!?」
アッシュ「ありがとう!!オルガ!!?いつも感謝しているよ!!?」
アッシュ「これを見てもまだ白を切るつもりかい?」アッシュがそう言った先にはウォルフと全く同じ顔をした…男が立っていた。
ウォルフ「…っしっ知らないな!!?確かに私に顔は似てるかも知れないが…そんな奴は何処にでもいるだろ?」
ユーリ「なぁ?ウォルフさんよ往生際が悪いぜ?」
ユーリ「いい加減吐いちまえよ!!?」
ウォルフ「心の声(くそっここまでなのか?)」
ウォルフ「心の声(考えろ!!?何か手立てはある筈だ!?)」
ウォルフ「心の声(はっそうか!!?よしいい事を思い付いたぞ!!?)」
ウォルフ「降参だ!!!少年その銃を閉まってくれないか?」
ユーリ「ひっやっと観念しやがったか?」ユーリはそう呟くと…少し安堵して目線を僅かに逸らす。その時だった…ウォルフは一瞬の隙を付いて背後に立っていたユーリを投げ飛ばす!!?
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
ユーリ「いっつぅ!!?」
ウォルフ「ふっ油断したな?さぁ…銃を降ろせ!!?」
ウォルフ「じゃねぇとこのガキの命はねぇ!!?」ウォルフはそう言うとユーリの首を軽く締めながら…銃を突き付ける。
MATERIALBIND(ホームズ編)