邦題 幾つかの愛鍵の行方、の New Version
まさか・・京都一の芸妓と・・。
Nouvelle version de la localisation de plusieurs clés d'amour 幾つかの愛鍵の行方、のNew Version
こんな夢を見た。
芸妓達が政党を結成したようだ。
「艶やか社会党」の名の通り美しい政党の様だ。
京都の五花街の芸妓が勢揃い、舞妓の応援も見られる。
其れが、その文字につき考え出す。
艶やかとは、読み方が二通りあり、また、類義語に婀娜やか(あだやか)がある。
「あでやか」と読めば、「褒め言葉として使われ、単に美しいさまを表すのではなく、美しさのなかに華があり、どこか色っぽさを感じる状況を表す」。
「艶やかさがある」や「艶やかに微笑む」のように使う。
ただ、艶やかは、女性の容姿だけでなく、着物や花の美しさを表す言葉でもある。
着物や花に対して使うときは”色っぽい”という意味はなく、「華やかで美しいさま」を意味する。
「艶やかな着物」や「艶やかな花」のように使う。
では、「つややか」と読めば、「ツヤのある美しさ」や「光沢があって美しいさま」を現わす。
更に、「艶」であれば、他にも訓読みで”なまめ(かしい)・うらや(む)”と、音読みでは「エン」~妖艶の様に使う事も~などの読みがある・・。
尾上雄二の現役時代の本業。当時は二か国に弁護士事務所を持っており、事務所にはBilingual同時通訳の女性が。
自らLawyerとしてだけでなく、数か国のNative Lawyerを雇用していた。事情があり辞めて帰国後は、或るきっかけで芸妓達の相談に乗る事が多くなった。
とは言ってもご時世により収入が減った事の相談などだが、まあ、話し相手と言った方が良いのかも知れない
そもそも、欧州から帰国したのは家族の介護の為だった。
いろいろな面で良い勉強になったという事が、人生の幅を広げる事に通ずる。
そのせいか、帰国してから片親家庭の子供などを見ると、気になったりする。
特に母子家庭は、父子家庭に比較し貧しい家庭が少なくない。其れで、弁護士に相談したくとも、金銭面の負担を考え諦めるという事もある。
そんな時に気軽に相談に乗ってあげる事が出来るのも、司法の研修終了後この国の弁護士として登録をしなかった事で、国内の事情に疎かったせいなのかも知れず。
京都木屋町のカフェで母親から簡単な話を聞き、可能な限り相談に乗ってあげようと思う。
自治体には法律相談という制度はあるが、三十分限度の無料。
しかも、同じ案件は一年に一度しか相談が出来ない。其の時間内に相談をするのは難しく、具体的な委細に至たらず幕切れとなる事も。
役所の係が時間ですからと、相談者を追い出すような事になり、弁護士も要点だけを搔い摘み話す程度。
其の後は、街の弁護士に相談する事になるという選択肢のみなのだが、単なる身の上話であれば其れも叶わぬ。
先日、「正義の味方の弁護士が・・」などという大見出しで、ニュース記事として載っていたのだが。
弁護士および弁護士法人(以下「弁護士等」という。)は、弁護士法や所属弁護士会・日弁連の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」があったときに、懲戒を受ける(弁護士法56条)。
法人は若干の違いがあり、同57条2項以下。
懲戒は、基本的にその弁護士等の所属弁護士会が、懲戒委員会の議決に基づいて行う。
其の記事当該弁護士は、弁護士に対する懲戒の種類四つの内、半年間の業務停止(弁護士業務を行うことを禁止する処分)で、失業したも同然。
ところで、雄二はカフェで相談を受けた母親の話を聞き、或る方法を考えた。
当初はあくまでも単なる相談だった。逆にその様な相談を商いの目的とする者は無いか、関連する業種による相談所などになる。
帰国してから、何度か話を聞いて来、勿論、話を聞くだけという事を建前として来たのだが。
アドバイスをし、その結果は相談者次第という事。従って、本来は雄二の目的ではないという事になる。
別に、某高齢者は広告を見て商品が安いと思い通信販売で購入したは良いが、気に入らなく返品としたいがというケースなどは、知恵を授ける。
通信販売には訪問販売のようなcooling offという制度の適用が無い事が少なくないから、その様に困惑するのも頷ける。
購入者は販売会社に交渉をしたのだが、正当な理由がないと解約はできないと約款でうたってある。
本人が窓口への電話をかける際に、どのような内容で話すかを判断するが、あくまでも本人確認が前提で他人は交渉の場に立てない。
尤も、TV販売などは例え使用しても、何日以内に返却すれば構わないなどを予めうたうから、その範囲ではない。
このような高齢者が、消費者センターに相談したりしても、彼等は一様に、特約が無ければ無理だと言うのみで、決してそれ以上は関わらない。
そんな事は一切雄二には関係無く、本人が交渉したという事になる。
雄二には帰国してから知りあった芸妓がいる。
お座敷に通った訳ではなく、或る案件が縁で知り合った。
詳細は兎も角、現在は、夕霧という芸妓と、料亭で食事をしたり、二人が合鍵を持っている家で会う事もある。
芸妓は名前も五花街やいろいろな関係により同じ様な文字が使用される事もある。
彼女の名は少しばかり変わっているのかも知れない。変わっているのは名前だけではないのだが・・。
芸妓の源氏名としては、夕霧などは無いだろう。
実は、紫式部が書いた「源氏物語」五十四帖の巻名のひとつ。第39帖。巻名は、夕霧が落葉宮に詠んだ和歌「山里のあはれをそふる夕霧に立ち出でん空もなき心地して」にちなむ。
女性では無い。
光源氏と正室葵の上の間に生まれた息子、世間的には光源氏の長男と言う事になっている。
父に似て美男子だが、プレイボーイとされている。
先日相談を受けた母子と雄二が会う事があった。母子を伴い蕎麦をご馳走してから平安神宮などに行った帰りに、四条大橋の辺りで、夕霧とすれ違った。
彼女は艶やかで美しい事で評判の女性だから、何気なしに小路などを歩いている姿を見掛けた者は殆ど目を遣る。
男女ともに其れは同じ様だが・・やはり男性の方が多いのかも知れない。
彼女には旦那はいないという事になっている。其れで・・彼女を見染めてなのか・・お座敷で声を掛けられたり人づてに噂を聞く事はある。
其の後の事を雄二は彼女に聞いた事はなかった。芸妓が評判な事は決して悪い事でもないし、増して仕事が繁盛する事に繋がれば尚更結構。
すれ違った時に、雄二も夕霧も互いに気付いた。あまり、界隈の者には見られたくなかったので、少しだけ立ち止まって話をした。
あくまでも二人の事だったが、並んで歩いていた母子も彼女に気付き。
「・・お知合いですか?綺麗な方ですね・・」
それ以外特段雄二に話し掛けなかったのは、雄二の知人だからと遠慮をしたのかも知れない。
特に芸妓となれば、どのような経緯があって等聞くまでもなく、お座敷で遊んだくらいに思ったのかも知れない。
少女は芸妓や舞子などを見慣れているとはいえ、母親の腕を掴んだまま、何かを言おうとし夕霧の姿を目で追った。
其れを、母は承知の様だが、少女が何と思ったのかまでは口にしない。
雄二がそもそも母子の相談に乗ろうと思ったのは、知人の紹介で少女の父親は一年程前に病で亡くなり、二人だけで寂しそうにしていたからだ。
まだ、河田美佐子が40手前という年齢で、少女の為に頑張って働いている姿は、健康そうで生き生きして見えた。
だから、雄二は自分の持てる力を二人の為にと思った。
しかし、こうして何回か母子に会ううちに、父親の代わりがいれば良いのにと思う様になる。
少女は、そんな環境でもくじけずに笑顔を見せてくれる。何時か広告か何かで母子家庭が貧しく、子供が毎日同じ服を着ているなど聞いた時には、本当にそうであれば可哀想だと思うが、本当に寄付だけで充分なのだろうか・・本人達に確かに渡るのだろうか?と。
先ずは幼い者が幸せになる事が肝心ではあるが・・?と、聊か疑問に感じる点も・・。
幸い、母親は働き者のようであるし、少女の服も同じではない。其れは現実・・。
雄二は今回の事ばかりでなく、何か心配になるような事があったら遠慮なく、自分で役に立つのならと言っておいた。
また・・何も困った事では無くとも二人の為にしてあげられる事はないかと思ったりも・・。
そんな事を考えているうちに・・少女の父親に相応しく、また美佐子はまだうら若き女性なのだから、いろいろ希望があるのだろうなど考え・・やはり結婚は慎重で無ければ・・と。
この国では未亡人という言葉は一般的だが、何時までもそう呼ばれる事は決して好ましくないのでは・・と。
知人にもそういう事をさりげなく話してみたが、縁ものだからなあ・・?と。
其れは其の通り・・だが、やはりどうにかならないものか・・?子供の将来は・・?
相談事とし会う度に、何か自分でしてあげれる事は、案外近くにあるのではと思うようになった。
何時も別れる時に先ず少女と笑顔を交わしてから、美佐子にも笑顔で頑張ってと告げるのだが、次第に彼女の眼差しが自らを他人として見ているのではないのだろうか・・優しく感じられるようになって行った。
それで、別れ際に或る提案を・・。
「良かったら、貴女の御亭主が決まるまで、とは言ってもどの位先になるかも知れない。其れであればどうだろう。私の養女という事で・・ああ、貴女が・・つまり私の娘になる。寄付などよりは其の方が安心していられるというもの。
其れでどうだろうか?と・・」
その返事はそう待たずに聞く事が出来た。
其の晩は夕霧の仕事も早めに終わり、家で寛ぐ事が出来た。食事や酒を酌み交わしながら話をしているうちに。
「あの・・この前の親子さんは・・?」
相談は終わったのか?と・・。
「ああ、少女の笑顔が素晴らしく・・其れで安心を・・。何時かそう遠くないうちに父親が見つかり、良い人であればきっと幸せになれると思うんだ」
夕霧はあまり仕事の話はしないが・・。
「私のお得意さんで心当たりがある男性がいるんです・・縁があればいいのになど?其れとも、貴方いっその事親代わりになる?」
夕霧がそんなことを言うとは思わなかったが、そういう事になる。
夕霧とは、そんなに短い間の付き合いではないが、かと言い深い関係と言うのでも無い。
そうなったのは、自分と夕霧は偶々知り合ったに過ぎず、祇園でも有名な艶やかな美しい芸妓と自分とが不釣り合いだろうと、不思議に気があったから。
しかし、現実にこの世の花であれば、優しい夕霧は誰にでも親しく話かけるのだろうが、それは仕事の上の顔?
其れだけではない。やはり、こうして過ごしているのは、二人は何かの情で繋がれているのか。
ただ、其れを表立ってはどうという意思表示をしないと言うだけで、気持ちは不思議に通じ合っている事になるのかも知れない。
以前、週刊誌を賑わした芸妓がいた。確か、佳つ乃という女性で、美女だと持てはやされ、何人かの男性と浮名を流した。
彼女(52)は、地元京都を離れ、鳴り物入りで銀座に進出し銀座8丁目の高級クラブ「佳つ乃」を開いたが、わずか1年8カ月で閉店したようだ。
最終、京都の任天堂の社長の息子と結婚したとかで、当時の株が約二千億円とか。
何故か厳密には入籍はしないというのも、彼女には実業家の息子がいるという・・関係の無い世界。
酒が廻って来た時思わず。
「ねえ、芸妓と結婚する男は、やはり、其れなりでなければ?特に君のような女性になると、どうもそんな事を考えてしまうが?」
彼女は首を傾げると。
「何かおかしな理屈を考え出したんじゃない?貴方、私の事が美しいって言うけれど?その癖、その美しいものに近付こうとしないのね?其れは、世間では、芸妓だからと考え、美しいからとまた考え、其れも当然の様だけれど、本音は案外ではないのかしら?私・・お座敷ではそんな考えでない人が多いようよ?何方かというと、じっと見つめられるような、何か私をどうにかって思っているような気がして?私の自惚れなのかしら?でも、何も女性が必ずしも男性の言いなりになるなど、今の時代あり得ないわね?寧ろ、逆の事の方が多い世界だと思うわ・・」
哲郎は・・。
「其れは百も承知の筈だったが、夕霧が敢えてそういう事を口にするなど、何か彼女らしくない。
本来、とっくに彼女は自分の元を去っている筈なのに、彼女・・何だろう?
其れに、あの美沙子の事にしても、ひょっとし自分の事を過大評価しているのだろうか?
少女も美沙子も、僕が余計な事をしなくたって、あれだけ明るく健康なのだから、放っておいても幸せを見つけられたのか?亭主候補は幾らでもいるのでは?」
何か、哲郎は、次第にあれもこれも、自らが間違った道を人に教えているかのような気がし始めていた。
哲郎・・。
「鍵・・初めて二人で合鍵をつくった頃、交換した事があったな?君の鍵を僕が持ち、僕の鍵を君が持つ、だったね?あの頃の二人に戻れる・・いや、君の事?」
彼女は笑みを浮かべながら。
「あら、子供みたい?でも、私の鍵には、私しか気に入っていない飾り物を付けてしまっているから、其れを貴方が人前で出したりしたらおかしいと思われるわよ、きっと?貴方の鍵は?あら、私の本名を刻んだの?両方とも私の鍵?いいわ。交換しましょう?其れで気が済むのかしら・・」
哲郎はお茶屋でお座敷を楽しんでいる。
やはり、夕霧は一段と艶やかで美しく、更に芸妓としても女性としても成長をしたようだ。
旦那衆の視線は夕霧に注がれている。彼女の言葉を借りれば・・どうにかされてしまいそう・・なのかも知れない。
「・・急がなければ・・どうにかされてしまう前に・・」
お座敷が終わった後、其の日は呼んだ車で帰った。
窓の外を流れていく街の夜景が次第に早くなる。高速に入ったようだ。
哲郎は運転手に。
「・・大阪湾まで・・」
潮の匂いが漂う頃、波の音も大きくなる・・。
「・・初めて一緒に見に行ったの、南港だったよね?」
二人を乗せた車は、夜の静寂(しじま)の・・終点に・・。
ついてきている、まん丸な月が少し表情を変えると、くすっ・・。
洋二は、美沙子親子と・・大事な話がある・・。
三人でカフェに。
少女にあの鍵を見せる。
少女の好みだったようだ。
「此れ綺麗、何か綺麗な女の人が好きそうな飾り?・・とってもいい」
「綺麗って・・お母さんも同じ位綺麗じゃないか・・お前も負けず劣らず綺麗・・」
美沙子は頷きながら、
「良かったわね・・お父さん」。
そう言ってくれた美沙子がbagから出したのも鍵・・。
笑顔を一段と輝かせた少女は・・すかさず・・。
「新しい家の合鍵よ・・いいでしょ?」
何方の合鍵も上手い具合におさまったようだ・・。
「女には大きな人道の立場から来る愛情よりも、多少義理をはずれても自分だけに集注される親切を嬉しがる性質が、男よりも強いように思われます。松目漱石」
「 成すことは必ずしも困難ではない。が、欲することは常に困難である。少なくとも成すに足ることを欲するのは。芥川龍之介」
「くだらなく過ごしても一生。苦しんで過ごしても一生。苦しんで生き生きと暮らすべきだ。志賀直哉」
「by europe123 original」
https://youtu.be/WOd05LXYI2g
邦題 幾つかの愛鍵の行方、の New Version
まさかは・・片親母子家庭にも・・。